衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)
第四十六回目朗読 (2019.02.19)
第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1067.html
第三節 経済の“ブラックバス”特殊法人の姿 (P131-159)
●世界一のゼネコン ― 日本道路公団 (P131-132)
高速道路建設は一般道路建設とともに巨大利権を生む公共事業の一つとし
て、政官の権益に支配されてきた。高速道路の建設・管理を担うのが、旧建設
省、現国土交通省が所管する日本道路公団である。ほかに首都高速道路公団、
阪神高速道路公団、本四連絡橋公団があるが、これら四公団は財務状況、経営
実態、そして天下り構造まで、その規模の大小を別にすれば同類である。
日本道路公団はその資本、資産、売上げ等、どこから見ても民間土木企業大
手の一〇倍を超える超ゼネコンである。公団の新規高速道路建設は、主に民間
のゼネコンに発注されるから、その意味からも道路公団はゼネコンの上に君臨
する超ゼネコンである。
国の道路建設計画としては一万四〇〇〇キロメートルの「高規格道路」があ
るが、そのうち一万一五二〇キロメートルは日本道路公団による高速道路(予
定路線)である。そして、そのうち六六〇〇キロメートルはすでに完成し運用
されている道路で、九〇六四キロメートルまでは施工命令が出ている。
つまり、二四六四キロメートルを建設中というわけだ。ちなみにこの中に
は、首都高速や阪神高速、本四連絡橋、アクアライン、その他都道府県の道路
公社が建設する高速道路は含まれていない。
旧建設省は当初、高速道路は完成後三〇年で償還して公団から国に引き渡
し、料金も無料になると説明していた。しかし、その後、総延長距離をどんど
ん延ばし、通行料も再三値上げし、償還期間も平成七年六月に四〇年に延ば
し、平成二年四月には四五年に延ばした。道路審議会は高速道路の耐用年数を
五〇年と見ているから、これでは永久にタダになることはない。というよりも
実際には、このまま行けば料金はもっと上がり、通行量は減り、破綻してしま
うのである。
日本道路公団の事業規模は予算ベースで年間五兆五二六七億円である(平成
二年度)。
内訳をいえば、支出面では、建設費などに二兆二六〇億円を使うほか、借入
金(元本)返済のために二兆二六二〇億円、利子支払いのために一兆三七〇億
円の合計三兆二九九〇億円を元利返済に使っている。これに対して収入は、科
金収入が二兆二一四三億円しかないから、財投などから二兆九四八三億を新た
に借り入れ、政府から三六四一億円の資本金・補助金を受け入れて、辻褄を合
わせている。こんな財務状況なのに道路公団は道路を造り続けているのだ。
積もり積もった日本道路公団の借金残高は平成一三年度末で二七兆円に達
し、しかも毎年約九〇〇〇億円ずつ増え続けている。利息だけで毎日三〇億円
が排ガスのように消えている。
(続く)