電通の闇<本澤二郎の「日本の風景」(3704)
<第四の権力・言論統制=底知れない反民主的独占広告代理店>
日本国民は、数日前に発覚したコロナ対策給付金問題で表面化した幽霊法人問題の仕掛け人「電通」という日本一広告代理店の暴走にたじろいでいる。先には、五輪買収事件追及のフランス検察が、五輪組織委の電通OBに大金が流れていた事実をあぶりだしたばかりである。
日本の第四の権力機関(新聞テレビなど)は、広告操作次第で、生殺与奪の権限を握られているため、言論の自由も、電通によって統制されているのが実情だ。新聞テレビの幹部社員の常識となっている。電通の底知れない不正腐敗の闇について、国民は無関心・無知で過ごせなくなっている。いわば給付金詐欺事件は、コロナが教えてくれたようなものである。
<言論の自由・法の下の平等=絵に描いた餅の犯罪国家?>
立派過ぎる日本国憲法も、電通にかかっては無力化するほかない、これが悲しい現実と決めつけるしかない。言論の自由、法の下の平等も形無しだ。
一般的に、平和憲法を破壊するような論調をぶち上げている読売グループやフジサンケイグループと電通の関係は、ことさら「濃密」と見られている。「電通の意向に忠実な新聞テレビが、日本のナショナリズムの先導役を担わされている」という現状をジャーナリズムの世界では常識に属する。
そこでは記者が、進んでナショナリステックな記事を書こうと必死となる。「言論の自由を自ら拒絶することで、記者生活を送っている」ため、人間の屑が恥を捨てて、積極的に政府寄り・財閥よりの活字を並べることになる。
したがって、電通が総力を挙げると、いかなる問題・不正腐敗も処理することが出来るだろう。目下、注目の法務検察も、財閥や政治に迎合して、正義を放棄したりする鬼のような機関に変身してしまう。
河井選挙事件は安倍事件である。これの結末を見ないと、その成果を即断することはできない。
正義が不正に乗っ取られる社会では、憲法も形無し、法の下の平等・言論の自由も絵に描いた餅でしかない。電通の闇の暴政に言論界は無力なのだ。
<財閥・東芝病院医療事故の刑事告訴を難なく不起訴>
具体的な実例を自ら体験させられた。2010年4月7日に、救急で入院した次男の誤嚥性肺炎を治療した財閥・東芝経営の東芝病院は、1週間の予定で入院させたが、数時間後に窒息・異常死させた。完ぺきな医療ミス・重過失致死であるにもかかわらず、病院も医師・看護師も反省・謝罪しなかった。
やむなく1年後に警視庁に刑事告訴、その1年後に捜査開始、東京地検に書類送検したが、検事の松本朗は不起訴にした。刑事告訴の時点で、真っ先に取材に来たのは読売新聞だったが、1行も活字にしなかった。テレビはTBSを除いて、取材したものの報道しなかった。新聞は、朝日と東京が申し訳程度に小さく報道したが、電通株主の共同通信も時事通信も配信しなかった。
犯人は、言うまでもなく電通である。財閥病院に対する初の刑事告訴にもかかわらず、大半の新聞テレビが報道しなかった。電通の威力を、目の前で見せつけられた。
しかも、警視庁の書類送検に対して、東京地検の松本朗は、あっさりと不起訴にした。電通の圧力は、新聞テレビから法務検察にも及んでいたのである。
言論の自由・法の下の平等も、絵に描いた餅であることを、自ら体験させられ、憲法の形骸化をしたたかに教え込まれてしまった。
<東京地検・松本朗の弁護士業務の面倒見?>
遺族の最大の敵・東芝は、地球を破壊する原発特化ビジネスで破綻した。息子の命を奪った翌2011年3月11日の巨大地震と津波で、東電福島原発3号機の東芝製が核爆発を起こし、息子の無念を少しばかり癒した。呪われた東芝の再生は、可能だろうか?人間の命を奪っても反省しない東芝製の製品が、人々を幸せにすることはないだろう。
東芝に軍配を上げた検事・松本朗の前途は、電通によって老後の生活が保証されるだろう。東芝の顧問弁護士など、電通が面倒を見るはずだ。事実は、あらゆる財閥企業犯罪を救済する警察・検事にも当てはまる。
たかが広告代理店によって、法務検察が不正を働く日本であることから、今回の、政府に肩入れして大出世した黒川弘務をだぶらせると、黒川事件の本質が見えてくる。それゆえに安倍と菅が、黒川を、御用検事総長に仕立て上げて、大騒動に発展、とどのつまりは賭け麻雀で首になったが、辞職後の弁護士稼業の行方が注目される。電通の出番かもしれない。
<政府政策に関与、血税のピンハネ機関初めて判明>
国民の資産である電波は、総務省が認可していることになっているが、実際は電通が新聞テレビの細かい部分にまで関与している。テレビ広告は、すべて電通が独占しているためだ。テレビコメンテーター起用なども、電通の仕事の範疇となっている。したがってテレビの報道部門は、電通を見ながら仕事をしていることになるから、考えてみると、彼らは「電通の奴隷」そのものだから、哀れである。知的奴隷が日本のジャーナリストなのだ。
それは新聞も、である。
かくして政府の世論操作という重要な任務を、電通が帯びていることになる。各種世論調査も、この枠から飛び出すことはできない。安倍内閣が7年も継続した真の功労者は、電通なのだ。
<コロナ対策の給付金吸い上げなど日常茶飯事>
その一端が、白日の下にさらされたコロナ対策費である。中小企業継続のための給付金が、電通の仕掛けた幽霊会社を経由させることで、20億円を吸い上げてしまった。
国民の血と汗の結晶である予算にまとわりつく電通の威力を、見事に裏付けている。民間企業としての広告代理店は、電波や活字媒体を通して集めた情報を、政府に吸い上げられていく。
不都合な情報は、封じ込めればいい。新聞テレビの生殺与奪の権限を行使することで、容易に解決することが出来るだろう。
ずばり日本政府は、電通を駆使することで、不正腐敗の統治にのめり込んでいることになろう。国家主義の政権だと、一線を超えて強行される。政党・政治家も、電通には勝てない。
<「昔から自民党・政府与党と一体」と清和会OB>
70年代から自民党本部職員をした清和会OBは、福田赳夫にも重用された人物だが、彼は「電通の職員は毎日、自民党本部に来ていた。常駐していた。選挙ポスター一つとっても、莫大な利権だ。党のすべてのイベントも電通任せ。国会議員の子弟は、特別枠で電通社員になっていた。昔から電通は、自民党と一体と思ってきたが、政府の政策にもまとわりついて、血税をピンハネしていることは、全く気づかなかった。五輪利権も、みな電通が仕切って暴利を懐に入れている。たかが広告代理店と勘違いしてはならない」と指摘したものだ。
<独禁法適用で電通退治、10分割が不可欠>
行政から個人の事件にまで関与して、闇の利権を懐に入れている電通は、独占禁止法に違反している。独禁法で成敗、まずは10分割させてはどうか。
2020年6月4日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)