格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

首相虚偽答弁判明すれば政局は重大局面

2018-05-23 10:05:06 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

首相虚偽答弁判明すれば政局は重大局面
安倍首相の虚偽答弁が明白になりつつある。

愛媛県が5月21日、加計学園の獣医学部開設に関する新たな文書を参院予算委員会に提出した。

このなかで、2015年3月に行われた加計学園と愛媛県の打ち合わせ内容が明らかになった。

愛媛県が提出した打ち合わせの内容を記録した文書によると、この打ち合わせで加計学園は、2015年2月25日に加計学園理事長の加計孝太郎氏と安倍首相が15分程度面会したとのことである。

加計氏は愛媛県今治市に設置予定の獣医学部で国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明した。

これに対して、安倍首相は、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と述べていたとされている。

安倍首相は2017年の国会答弁で、加計学園の今治市での獣医学部新設の意向を早い段階から知っていたことを明らかにしていた。

5月9日答弁では、「特区に申請した段階で、当局から説明を受けるわけで、当然、総理大臣として知りえた」

6月5日答弁では、「申請を今治市とともに出された段階で承知した」

と述べている。

今治市が国家戦略特区を申請したのは2015年6月であることから、少なくとも2015年6月の段階で加計学園の意向を知っていたとの疑いが強く持たれている。

ところが、2017年7月24日の衆院予算委で突然、加計学園の意向を知ったのは、同学園が事業者に認定された今年1月20日だと答弁を修正した。

安倍首相は野党の追及に立ち往生して答弁を何度も中断したうえで、結局、
「知りうる立場にあったが、実際には認識しなかった」、
「申請を決定する段階(2017年1月20日)で承知をした」
と、従来の答弁を修正した。

安倍首相は加計学園の今治市での獣医学部新設の意向を早い段階から知っていたと答弁していたが、これを突然、昨年の7月24日に、2017年1月に初めて知ったと修正したのである。

ところが、実際には、安倍首相が、やはり早い段階から加計学園の意向を知っていたことを裏付けるさまざまな「証拠」が明らかになっている。

新たに公表された愛媛県の資料は決定的証拠であると言える。

柳瀬唯夫首相秘書官(当時)は2015年3月から6月にかけて3回も首相官邸で加計学園の職員と面会している。

この面会を受けるかたちで2015年6月に今治市が国家戦略特区に獣医学部新設を申請した。

その直前の2月25日に、安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長と面会していたことを愛媛県文書は明らかにしたのである。

公表されている首相動静には安倍首相と加計孝太郎氏との面会が記載されておらず、安倍首相サイドと加計孝太郎サイドは面会の事実を否定しているが、この説明を鵜呑みにはできない。

首相動静には実際には面会をしているが掲載されないものが無数に存在する。

このことは安倍首相自身が国会答弁で明言している。

2015年2月25日に安倍首相が加計孝太郎氏と15分の面会をした。

愛媛県が公表した記録には、加計学園職員が打ち合わせでこの事実を明らかにしたと記録されている。

安倍首相の側は面会の事実を否定しているが、面会がなかったことの証明にはならない。

面会があったことを認めれば、安倍首相の国会答弁はすべて崩壊する。

当然のことながら、安倍内閣は総辞職に追い込まれることになるだろう。

安倍首相は、この事実を否定しないわけにはいかないのである。

しかし、2015年2月に安倍首相と加計孝太郎氏が面会をしていた事実は、すでに多くの者が知るところになっていたと思われる。

その認識の下で、安倍首相に対して、繰り返し2015年4月の直前に加計孝太郎氏と面会した事実の有無を確認していたのだ。

今後、この事実の真偽を明らかにすることが最重要の焦点になる。

面会の事実が明らかになれば、安倍内閣は総辞職を回避することは極めて困難であるだろう。

面会の事実が明らかになれば、加計学園の獣医学部新設のプロジェクトは文字通り安倍首相自身が指揮した「首相案件」であったことが裏付けられる。

重大な政治腐敗問題が明らかになるのである。

表面で確認できる事実だけでも、安倍氏は加計孝太郎氏から飲食やゴルフなどの接待供応を受けていることが明らかになっている。

職務権限のある者が事業の認可を受ける事業者から利益供与を受けていれば刑事事件に発展する可能性も浮上する。

加計疑惑は極めて重大な局面を迎えている。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍首相が破棄したはずの「官邸記録」を根拠に加計理事長との面会を否定(笑)

2018-05-23 08:52:53 | 杉並からの情報発信


安倍首相が破棄したはずの「官邸記録」を根拠に加計理事長との面会を否定(笑)。首相動静に載せなかった極秘会談の数々

2018.05.22 Litera

http://lite-ra.com/2018/05/post-4024.html

「新しい獣医大学の考えはいいね」──安倍首相が2015年2月25日に加計孝太郎理事長と面談し、獣医学部新設構想に同意を示していたことが記されていた愛媛県の新文書。これによって安倍首相の「加計氏から獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ない」「計画を知ったのは2017年1月20日」という答弁が大嘘であったことがはっきりとした。

しかし、予想通りと言うべきか、安倍首相はまたも愛媛県文書の否定にかかっている。昨晩は記者から「『獣医学部、いいね』と言ったのですか?」と質問されても無言で立ち去った安倍首相だが、今朝は一転、「ご指摘の日に加計理事長と会ったことはない」「獣医学部新設について、加計氏から話をされたこともないし、私から話をしたこともない」と新文書の内容を否定し、こう話した。

「念のため、昨日、官邸の記録を調べたが、確認できなかった」

官邸の記録……? そもそも官邸の入館記録は「破棄」されたのではなかったのか。実際、萩生田光一・元官房副長官は「訪問者の入邸確認後、訪問予約届はその使用目的を終えることから、公文書管理法や関係規則等に基づき遅滞なく破棄する扱い」と述べてきたし、安倍首相自身も「総理官邸に入館した方の記録は基本的に定期的に廃棄をしている」(4月11日衆院予算委員会)と答弁していたではないか。その、遅滞なく速やかに破棄されたはずの3年前の記録を、安倍首相は昨晩「調べた」と言うのだ。これは「いままで国会で嘘をついてきた」と白状しているようなものではないか。

しかも、愛媛県の新文書には、柳瀬唯夫首相秘書官のみならず加藤勝信内閣官房副長官(当時)までもが加計学園関係者と面談するなど、当時、いかに官邸の安倍首相側近たちが加計と接触を重ねていたかが記されている。そうしたなかで安倍首相の面談をセッティングするのに、側近たちが記録を残さないかたちで加計理事長を入邸させていても不思議はない。

実際、池上彰はウェブサイト「P+D
MAGAZINE」の連載で、総理官邸の建て替え以降、総理が極秘に人と会うことが可能になっていると指摘している。

「ただし、総理官邸が建て替えられてからは、記者たちの目の届かないルートを通って総理執務室に入ることが可能になりました。これ以降、「首相動静」に報じられる会談以外にも、極秘の会談がありうるようになりました。」

加計理事長とのバーべキューも秋元康、見城徹との組閣ごっこも首相動静に記述なし

いや、そもそも安倍首相はなぜ、加計理事長と面談したのが「官邸」だと限定しているのか。同日夜、安倍首相は公邸で各府省庁の副大臣と菅義偉官房長官と会食を約1時間30分にわたっておこなっているが、この合間に事前に公邸に招かれていた加計理事長と15分の面談をおこなった可能性もある。

さらに、加計理事長と私邸で会った可能性もある。加計理事長は昭恵夫人とも昵懇で、森功氏の著書『悪だくみ
「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)でもふたりの関係について、〈その親密な交際は、日本国内のクリスマスパーティやゴルフ、飲食にとどまらない。海外にもいっしょに頻繁に出かけた〉〈下戸だった首相に代わり、大酒飲みの夫人たちの面倒をみてきたのが、ほかならぬ加計なのだ〉と書かれている。加計理事長が私邸で昭恵夫人と安倍首相の帰宅を待って“宅飲み”していてもおかしくはない関係なのだ。

つまり、安倍首相は破棄したはずの「官邸の記録」をもち出して加計理事長と会ってなどいないと否定するが、ふたりが面談をおこなったのは官邸以外の場所、公邸や私邸である可能性は十分考えられるのだ。
 
他方、安倍応援団やネトウヨたちも「首相動静には加計理事長と会っていたなどとは書かれていない!」として愛媛県文書の内容を同じく否定しにかかっている。だが、これもまったくナンセンスな話だ。

たとえば、2013年5月に安倍首相の別荘でおこなわれたバーベキューの際も、加計理事長が参加していたにもかかわらず、各社の動静には名前は出ていなかった。

名前が乗らないケースだけではない。会合そのものが消されているケースもある。安倍首相は「お友だち」である秋元康や幻冬舎の見城徹社長らと2015年3月、総理公邸の西階段で「組閣ごっこ」写真を撮影し、それが「フライデー」(講談社)に報道されたが、このときの会食も首相動静には一切出ていない。

また、安倍首相と会食した経済評論家の三橋貴明氏はその会食をブログで報告する際、こう書いていた。

〈「財務省が日本を滅ぼす」を書いた三橋との会食を持ちかけたのは両端の方々ですが、「クローズではなく、オープンで」と決めたのは官邸であること(オープンなので、総理動静にも載りました)〉

つまり、これは会談そのものをオープンにするかクローズにするか、官邸が恣意的に選んでいるということだろう。

当の安倍首相も首相動静に載らない加計との面談を認めていた!

しかも、こうした首相動静が完全な情報ではないことは、当の安倍首相自身が認めている事実だ。

5月14日におこなわれた衆院予算委員会の集中審議で、無所属の会・江田憲司議員に「第1次政権では加計氏と1回も会食もゴルフもしていないのに、第2次政権では17回もしているのはどういう事情か?」と問われた安倍首相は、こう答弁している。

「一次政権のときも加計さんと会食したことはありますけども、いわば、たまたま名前が外に出ていないということだろうと思います。あの、それはよくあることですから」

ネトウヨは「首相動静に記述がない!
はい論破!」などと騒いでいるが、安倍首相自らが述べているように、名前が動静に載らないことは「よくあること」なのである。

このように、安倍首相も、安倍首相を擁護したいネトウヨも必死になって加計理事長との面談を否定しているが、いずれもまったく反証になっていないのだ。

 その上、今回提出された愛媛県の新文書の正しさを証明する証言も出てきた。2015年2月に加計学園関係者と面談したと新文書に記述されている当時の加藤官房副長官(現・厚労相)は、「地元(岡山県)の事務所で確か事務局長が来て、10回以上チャレンジしたけど難しいという話があった」と、面談の事実を認めているのだ。

愛媛県の記録と安倍首相の言い分、一体どちらが事実で、どちらが嘘をついているのか。愛媛県の中村時広知事の参考人招致はもちろんだが、この1年、嘘ばかりの答弁に終始してきた可能性が高まった安倍首相こそ、偽証罪に問われる証人喚問が必要だろう。

(編集部)





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛媛県文書で嘘はばれる。安部首相はこんどこそアウト。中村知事は正義の人だ(かっちの言い分)

2018-05-22 18:15:02 | 阿修羅



愛媛県文書で嘘はばれる。安部首相はこんどこそアウト。中村知事は正義の人だ(かっちの言い分)
http://www.asyura2.com/18/senkyo244/msg/867.html
投稿者 一平民 日時 2018 年 5 月 21 日 20:51:39: weTx3UHdkkpXM iOqVvZav


愛媛県文書で嘘はばれる。安部首相はこんどこそアウト。中村知事は正義の人だ。
http://31634308.at.webry.info/201805/article_21.html

安倍首相は、加計学園の計画は、今年の1月に初めて知ったと述べていた。安部首相のこの主張は誰も信じていない。自民党議員ですら、内心信じているものはいないと思っている。この嘘を繕うため、柳瀬氏、今井氏、政府関係者、全ての官僚がその嘘に付き合っている。

日本の中には、正義は無いのかと半ば、あきらめていたが、愛媛県の中村知事が、官邸を恐れず、安倍首相の嘘を根本的に暴く証拠文書を参議院予算委員会に提出した。

この中にはNHKが入手した文書には、当時、県が学園側から受けた報告の内容として、「平成27年2月25日、理事長が首相と15分程度面談。理事長から獣医師養成系大学空白地帯の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』とのコメントあり」と記載されている。

さあ、野党の諸君、今度こそ、安倍首相の嘘を暴いて頂きたい。

愛媛県新文書 “3年前 加計氏が安倍首相に獣医学部構想説明”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180521/k10011447081000.html
5月21日
加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で、愛媛県は、3年前に柳瀬元総理大臣秘書官が官邸で学園側と面会したことに関連する県の新たな文書を21日に国会に提出しました。文書には、学園側からの報告内容として「3年前の2月末、加計理事長が安倍総理大臣と面談し、獣医学部の構想を説明した」などと記載されています。
続きを読む

加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で、柳瀬元総理大臣秘書官は、今月行われた衆参両院の参考人質疑で、愛媛県今治市が国家戦略特区に提案する2か月前の平成27年4月2日に官邸で学園側と面会したことを認めました。

愛媛県は、担当者がこの面会に同行したと説明していて、参考人質疑を行った参議院予算委員会が、県に対して、面会の内容や経緯が把握できる文書を提出するよう求めていました。

これを受けて、愛媛県は、当時の資料を調べ直した結果、平成27年2月から3月にかけて作成した新たな文書が見つかったとして、21日午後、参議院事務局に提出しました。

愛媛県は内容を明らかにしていませんが、NHKが入手した文書には、当時、県が学園側から受けた報告の内容として、「平成27年2月25日、理事長が首相と15分程度面談。理事長から獣医師養成系大学空白地帯の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』とのコメントあり」と記載されています。

さらに、同じ年の3月に、学園と今治市が協議した結果の報告として「加計理事長と安倍総理大臣の面談を受けて柳瀬氏から資料を提出するよう指示があった」と記載されています。

このほか、4月2日に総理大臣官邸で面会した際の柳瀬氏の発言をまとめたとするメモには、柳瀬氏が「獣医学部新設の話は総理案件になっている。なんとか実現を、と考えているので、今回内閣府にも話を聞きに行ってもらった」と発言したと記載されています。

今回、新たな文書を提出したことについて、中村知事は午後5時半すぎに取材に応じ、「国権の最高機関の国会から、与野党合意のうえ、関連文書を出してほしいと要請があったので提出した」と述べ、文書の今後の扱いは国会に委ねる考えを示しました。

立民 辻元国対委員長「柳瀬氏の証言がうその濃厚な証拠」
立憲民主党の辻元国会対策委員長は国会内で記者団に対し、「『柳瀬元総理大臣秘書官の証言がうそだった』という濃厚な証拠が出てきたと思うし、『1国の総理大臣が国会や国民に対し、うそをつき通してきたのではないか』ということにつながると思う。『うそをうそで上書きして、書き直そうとしても無理だ』ということだ」と述べました。

国民 玉木共同代表「核心的な疑惑出てきた」
国民民主党の玉木共同代表は国会内でNHKの取材に対し、「『加計ありき』がより鮮明になったし、『一連のストーリーは安倍総理大臣の指示から始まったのではないか』という極めて核心的な疑惑が出てきた。この疑惑を明らかにすることなく、ほかの重要法案の審議は到底できない。安倍総理大臣、加計理事長、愛媛県の中村知事ら関係者に一堂に予算委員会の集中審議に集まってもらい、真実をしっかり話してもらわなければならない」と述べました。

共産 小池書記局長「総理の進退に関わる重大な文書」
共産党の小池書記局長は国会内で記者団に対し、「安倍総理大臣の進退に関わる重大な文書だ。文書を見ると、安倍総理大臣と学園の加計孝太郎理事長の会談がすべてのスタート台で、安倍総理大臣が『いいね』と答えたことで、すべての話が始まった。『加計ありき』どころか『安倍ありき』だ。国会で虚偽答弁を続けてきた安倍総理大臣の責任は極めて重大で、解明なしでは何も進まない」と述べました。

加計学園「コメントできない」
愛媛県が国会に提出した新たな文書について、加計学園はNHKの取材に対して、「責任ある担当者が不在で、文書の内容も把握できていないため、現段階ではコメントできない」としています。

1. ひでしゃん[1993] gtCCxYK1guGC8Q 2018年5月21日 21:12:00 : hjTsd0XdN2 : TcB2NvmzLxs[197]
▲△▽▼
メディアは加計孝太郎を一切取材しないのはなぜか?
あれほど頻繁にゴルフやバーベキューを続ける関係者に対する
典型的な利益供与じゃないのか?
また森友学園問題で
国有地値引きのキーパーソン
当時の森友側代理人弁護士酒井康生に取材しない?出来ない?
これは取材出来ない特別の事情が隠されているからではないか?
まさか?やっぱり?メディアの側に「鼻薬」を嗅がせているからでは?
安倍晋三には常識は通用しない
NHK従軍慰安婦問題番組改編事件の首謀者安倍晋三が当時使った恫喝の手口が
現在更に狡猾に去勢された官僚コントロールで使われているのである
「膿を出し切る」とは安倍晋三を塀の中に落とすことから始まる







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

是枝裕和のカンヌ受賞作『万引き家族』は“貧困叩き”への違和感から生まれた!

2018-05-22 12:03:27 | 杉並からの情報発信


是枝裕和のカンヌ受賞作『万引き家族』は“貧困叩き”への違和感から生まれた!
安倍政権と国粋主義批判も語った監督の問題意識

2018.05.21 Litera

http://lite-ra.com/2018/05/post-4022.html

『万引き家族」公式HPより

第71回カンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞であるパルム・ドールを受賞した。

日本人監督がパルムドールに輝いたのは、『地獄門』の衣笠貞之助監督、『影武者』の黒沢明監督、『楢山節考』『うなぎ』で2回受賞した今村昌平監督に続く4人めということで、マスコミはこぞって「快挙」と大きく取り上げた。

ただ、今回、その一方でほとんどふれられていないのが、是枝監督がこの作品を撮った背景だ。

「数年前に、日本では亡くなった親の年金を受け取るために死亡届を出さない詐欺事件が社会的に大きな怒りを買った。はるかに深刻な犯罪も多いのに、人々はなぜこのような軽犯罪にそこまで怒ったのか、深く考えることになった」

是枝監督は、カンヌ公式上映後に韓国紙・中央日報のインタビューに応じて、『万引き家族』を制作したきっかけについてこう明かしていた(5月17日付)。

2010年、足立区で111歳とされていた男性が白骨化して発見され、実は30年以上前に死亡していたことが発覚。死亡届を出さずに年金をもらい続けていたとして、家族は後に詐欺で逮捕される。この足立区の事件を皮切りに全国で相次いで類似の事件が発覚し、“消えた高齢者”として社会問題化。年金詐欺として大きなバッシングを浴びた。

このバッシングは、数年後に盛り上がった生活保護バッシングにも通じるものだが、是枝監督はこの事件をきっかけに、“社会から排斥される存在”として年金と万引きで生計をたてている一家の物語を着想したようだ。前掲インタビューで、是枝監督は、『万引き家族』の主人公一家が現在の日本で決して特殊な存在でないと強調している。

「日本は経済不況で階層間の両極化が進んだ。政府は貧困層を助ける代わりに失敗者として烙印を押し、貧困を個人の責任として処理している。映画の中の家族がその代表的な例だ」


枝監督が語った“家族の絆”ブームへの違和感、歴史修正主義への批判

しかし、いまの日本社会ではこうした失敗者は存在しないものとして無視され、浅薄な“家族愛”ばかりがやたら喧伝されるようになった。是枝監督はこうした“家族礼賛”の空気に対しても違和感を表明している。

「日本では今も家族は『血縁』というイメージが固定化されている。特に、2011年大地震以降、このような家族の絆を大げさに強調する雰囲気について疑問を感じていた」(前出・中央日報)

そういう意味では、『万引き家族』には、是枝監督がいま、日本社会にたいして感じている違和感、問題意識が凝縮されているとも言えるだろう。近年の新自由主義政策によってもたらされた格差の激化、共同体や家族の崩壊、機能しないセーフティネットによる貧困層の増大、疎外される貧困層や弱者、自己責任論による弱者バッシングの高まり……そういったものが、一人一人の人間に、家族になにをもたらしているのか。今回のカンヌ受賞作はその本質的な問いを私たちに突きつけるものだ。

しかし残念なことに、メディアでは日本人によるカンヌ最高賞受賞という快挙を大々的に報じているが、こうした作品の背景にまで踏み込んだ報道はほとんど見られない。

一方、日本人の世界的活躍にいつもはあれだけ「日本スゴイ」と大騒ぎするネトウヨたちは今回の『万引き家族』受賞に「こんな映画絶対に見ない」「万引きをテーマにするなんて世界に恥をさらす行為だ」などと、ディスりまくっている。

両者は真逆のように見えて、根っこは同じだ。賞を獲ったというだけで「日本スゴイ」と賞賛、マイナス面を真正面から見据えるという行為については、無視するか、「恥さらし」「反日」と非難する。これは、現在の日本に蔓延る、偏狭な愛国主義や歴史修正主義にも通じるものだろう。

実は是枝監督自身、先のインタビューでこうした日本に蔓延する国粋主義と歴史修正主義についても指摘している。

「共同体文化が崩壊して家族が崩壊している。多様性を受け入れるほど成熟しておらず、ますます地域主義に傾倒していって、残ったのは国粋主義だけだった。日本が歴史を認めない根っこがここにある。アジア近隣諸国に申し訳ない気持ちだ。日本もドイツのように謝らなければならない。だが、同じ政権がずっと執権することによって私たちは多くの希望を失っている」

安倍政権のテレビに対する圧力にNOを突きつけた是枝監督

まさに正論と言うほかはないが、是枝監督のこのインタビューは前述した『万引き家族』同様、ネトウヨから激しい攻撃を受けている。

しかし、是枝監督はこれからも、日本社会の本質に目を向ける姿勢を曲げることはないだろう。実際、是枝監督は、安倍政権の圧力に対して、はっきりとNOの姿勢を示してきた。
たとえば、是枝監督はBPOの委員をつとめているが、安倍政権のテレビへの圧力とも完全と闘ってきた。たとえば、2015年、『クローズアップ現代』(NHK)のやらせ問題と『報道ステーション』(テレビ朝日)での元経産官僚・古賀茂明氏の安倍首相批判を問題視した自民党の情報通信戦略調査会がNHKとテレビ朝日の幹部を事情聴取、両局に高市早苗総務大臣が「厳重注意」した際、BPOが〈今回の事態は、放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである〉と毅然とした意見書を出したが、この原動力になったのも、是枝監督だった。

是枝監督はブログでも、〈安易な介入はむしろ公権力自身が放送法に違反していると考えられます〉〈BPOは政治家たちの駆け込み寺ではありません〉と批判。「週刊プレイボーイ」(集英社)2015年12月14日号での古賀茂明氏との対談でも「安倍政権は放送法4条だけを言い立てて、「公平にやれ」と、しきりにテレビ局を恫喝しますが、それって実は放送法を正しく理解していない証拠なんですよ」「公権力が4条の「公平」という部分だけを局所的に解釈して、介入を繰り返すというのであれば、それこそ放送法違反だといってもいい」と繰り返し強調していた。

安倍政権による映画の政治利用も危惧していた是枝監督

また、安倍政権は明治期の国づくりなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を支援する方針を打ち出しているが、こうした安倍政権の映画の政治利用の姿勢に対してもはっきりと異議を唱えてきた。

「補助金もあるけれど、出してもらうと口も出すからね。映画のために何ができるか考える前に、映画が国に何をしてくれるのか、という発想なんだと思いますよ。それはむしろ映画文化を壊すことにしかならないんです。
 たとえば、東京オリンピック招致のキャッチコピーに『今この国にはオリンピックの力が必要だ』っていうのがありましたけど、私は五輪はスポーツの祭典の場であって、国威発揚の場ではないということがとても大切な価値観だと思っています。安倍首相は東京国際映画祭のオープニングでも挨拶したけれど、映画が日本のアピールのために利用されているようにも思える。なのでサポートして欲しい、ということも個人的には言いにくいわけです」(ウェブサイト「Forbes
JAPAN」16年12月9日付)

「たとえばですが「国威発揚の映画だったら助成する」というようなことにでもなったら、映画の多様性は一気に失われてしまう。国は、基本的には後方支援とサイドからのサポートで、内容にはタッチしないというのが美しいですよね。短絡的な国益重視にされないように国との距離を上手に取りながら、映画という世界全体をどのように豊かにしていくか、もっと考えていかなければいけないなと思います」(「日経トレンディネット」16年9月1日付)

そう考えると、是枝監督がカンヌを受賞したことは閉塞する日本の言論状況のなかで「大きな希望」といえるかもしれない。「表現の自由の侵害」や「国家権力による芸術やスポーツの利用」にこうした危機感をきちんともっている映画作家が国際的な評価を得たことで、その作品やメッセージに耳を傾ける人はこれまで以上に多くの人に届く可能性があるからだ。

あとは、メディアがどう伝えるか、だ。願わくば、この『万引き家族』について、たんに「日本人がカンヌを獲った」というだけでなく、また特殊な人たちを扱ったセンセーショナルな題材と扱うのでもなく、是枝監督がこの映画をつくった背景や問題意識が広く伝わってくれたらと願う。

(編集部)







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍政治暴走下の茂木経財相不信任案は至極当然

2018-05-22 09:23:04 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


安倍政治暴走下の茂木経財相不信任案は至極当然
日本の議会制民主主義が崩壊の危機に瀕している。

議会は多数決原理を根幹に置いているから、議論の末に最終的に結論を出す段階で採決によって決定することは是認される。

しかし、議会が議会として機能するためには、討論と説得というプロセスが不可欠である。

多数勢力であっても必ず少数勢力の主張、意見に耳を傾けなければならない。

同時に少数勢力は、独自の主張を展開するとともに、多数勢力の不正、不正義、不祥事を議会活動を通じて厳しく糾弾することを求められている。

多数勢力であれば何をしてもよいということではもちろんなく、公器である政治を司る存在として、公平、公正、透明な行動が求められる。

議会が議会として機能するために何よりも重要なことは、議会の多数勢力が政権を担う緊張感を持ち、公平、公正、透明な行動を貫くことである。

このことがあって初めて議会政治は健全に機能するのだ。

ところが、安倍内閣はこの規範を完全に逸脱している。

森友、加計両学園事案は、安倍首相が疑惑の中心に位置する巨大政治スキャンダルである。

安倍昭恵氏が深く関与して国有地が不正に払い下げられたことがほぼ明白になっている。

加計学園の獣医学部新設認可が、適正な行政プロセスを逸脱して決定されたことも明白になっている。

このこと自体で安倍内閣は総辞職を余儀なく迫られるべきあると言えるが、内閣総辞職せず居座っている。

麻生太郎財務相のセクハラ否定、セクハラ擁護、被害者攻撃の言動は麻生氏が単に財務相の職責を担うに値しないだけでなく、国会議員として必要な資質をも欠いていることを鮮明に浮かび上がらせた。

その麻生太郎氏が財務相の地位に居座っている。

与党が適正な対応を示さないことに対して、野党が審議拒否で対応したのは、やむに已まれぬ判断であったと言える。

ところが、安倍政権与党は、あろうことか、野党が審議に応じないなかで、与党単独で審議を強行。

議会政治を完全に形骸化させる暴挙に打って出た。

野党が正当な事由なしに審議拒否に進んだのであれば野党が批判されるべきであるが、与党が言語道断の横暴を貫くなかでの審議拒否であるから、与党は野党の主張に真摯に向き合うべきであった。

ところが、安倍政権与党は「数の力」だけを頼りに横暴極まりない対応を続けている。

これでは議会はあってなきがごとしである。

議会政治は完全に機能不全に陥り、議会政治の崩壊が生じている。

TPPについて、安倍首相は米国を含むTPPでなければ意味がないと強弁し続けた。

トランプが大統領に就任すれば米国がTPPから離脱する可能性が高いと指摘されていた。

米国を含むTPP批准を急ぐ必要はないと指摘されていたのである。

ところが、安倍首相は米国抜きのTPPは考えないとし、米国を含むTPP最終合意を確定するためにTPP承認を急ぐべきだと主張した。

その結果として、2016年末にTPP法案承認が国会で強行された。

安倍首相は批准を強行するなかで、批准した合意文書を修正することは絶対にないと言い張ったのである。

ところが、トランプ大統領は予想通りTPPから離脱した。

したがって、TPPの発効はなくなったのである。

すると、驚くなかれ、安倍首相は国会での答弁を覆して、TPP合意文書の見直しに突き進んだ。

そして、日本が主導して米国抜きのTPP11の合意が作られたのである。

日本以外の交渉参加国が自国の利益を守るために合意文書の修正を強く求めるなかで、日本だけは国益を放棄するかたちでTPP11の合意形成を優先した。

国会での答弁などは何の意味もないという行動を安倍内閣が示している。

これでは、議会での審議など何の意味も持たないことになる。

野党が茂木敏充経済再生担当相に対する不信任決議案を提出したことは当然の対応であると評価できる。

安倍政権与党が「数の力」だけを頼りに、傍若無人の暴走を続けるなら、安倍政治に対峙する勢力は、あらゆる手段を講じて抵抗を示すしかない。

議会制民主主義が破壊されようとしているのだから、現行制度で許されるすべての抵抗策を駆使して与党の暴走に抗することは、完全に正当であると言える。

安倍政権は御用メディアを活用して野党攻撃を続けるだろうが、管理されたメディアの流布する情報を鵜呑みにしてはならない。

日本の主権者国民が抵抗=レジスタンスの前線に立ち、抵抗する野党勢力を全面支援しなければならない。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「市民が変える日本の政治」6.6総決起集会

2018-05-22 08:55:45 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


「市民が変える日本の政治」6.6総決起集会
6月6日の夕刻は、東京永田町の憲政記念館講堂に、ぜひぜひ、お誘いあわせの上でご参集賜りたい。

市民が変える日本の政治
オールジャパン総決起集会
愛・夢・希望の市民政権樹立へ!
https://bit.ly/2JYQ1GJ
を開催する。
主催はオールジャパン平和と共生である。

以下に概要をご案内申し上げる。

市民が変える日本の政治
オールジャパン総決起集会
愛・夢・希望の市民政権樹立へ!

2018年6月6日(水)
憲政記念館講堂
午後4時開場 午後4時30分開会
参加費無料

住所:東京都千代田区永田町1-1-1.
丸ノ内線・千代田線 国会議事堂前駅下車 2番出口から徒歩7分
有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅下車 2番出口から徒歩5分

いま必要なことは政治の刷新である。

安倍政治は国会における「数の論理」だけに依拠して憲政の常道、憲政の良識を破壊する暴政を展開している。

そのために、この国はいま真正の危機に直面している。

安倍政治の基本路線は「戦争と弱肉強食」である。

日本を「戦争をしない国」から「戦争をする国」に改変している。

そして、弱肉強食を推進し、弱者切り捨ての政治にまい進している。

日本の主権者は、この安倍暴政を打破して、「平和と共生」を追求する政治を確立するべきである。

そのために、政権を刷新し、政治を刷新しなければならない。

この目的を達成するには、選挙で多数議席を獲得しなければならない。

選挙を通じる多数議席獲得というハードルを越えることができなければ、目的を実現することは難しい。

現行選挙制度の下で政治刷新を実現するには、基本的な考え方で一致できる政治勢力、そして主権者が、大同団結することが絶対に必要である。

政策を基軸にした連帯、大同団結が必要なのである。

そのためには、党派の壁を乗り越えなければならない。

党派の壁はあってもよい。

しかし、その壁を乗り越えて手をつなぐこと、連帯することが大事なのだ。

オールジャパン平和と共生は「反戦・反核・反貧困」を基本に据えている。

「日本を「戦争をする国」にさせない」

「原発を廃止する」

「すべての国民に保証する生活水準を引き上げる」

ことを掲げている。

さらに、
TPPなどのメガFTAに参加しないこと、
辺野古に基地を造らせないこと、
を明確に掲げている。

この基本政策を共有できる政治勢力と主権者が大同団結して、衆院小選挙区や参院1人区の候補者を一人に絞り込む。

この運動を主権者が主導して展開する。

この呼びかけをしている。

6.6総決起集会には、基本政策を共有する野党の代表者に登壇していただき、連帯の決意表明をいただく予定にしている。

立憲民主党常任幹事会議長の川内博史衆議院議員
日本共産党書記局長の小池晃参議院議員
自由党共同代表の山本太郎参議院議員

の登壇が確定している。社会民主党、国民民主党の代表者にも趣旨に賛同をいただいたうえで登壇をお願いする予定である。

現時点で確定している登壇予定者は以下のとおり。

オールジャパン平和と共生最高顧問
鳩山友紀夫(元内閣総理大臣)
原中勝征(前日本医師会会長)

登壇予定者
梓澤和幸(弁護士・山梨学院大学教授)
伊藤真(弁護士・伊藤塾塾長)
植草一秀(オールジャパン平和と共生運営委員)
加藤好一(生活クラブ生協連合会理事長)
黒川敦彦(モリカケ追及プロジェクト共同代表)
佐久間敬子(弁護士)
鈴木邦男(元一水会最高顧問)
平野貞夫(元参議院議員)
藤田高景(村山談話を継承し発展させる会理事長)
二見伸明(元運輸大臣)
孫崎享(元防衛大学教授)、
望月衣塑子(東京新聞記者)
安田節子(食政策センターVision21代表)
山田正彦(元農林水産大臣)(50音順)

現在、予定確認中の登壇予定者が多数存在する。

主権者が行動して日本政治を刷新する。

「市民が変える日本の政治」

を合言葉に連帯して行動し、愛と夢と希望にあふれる日本政治を実現しようではないか。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

権力犯罪放置国家日本の悲惨すぎる現状

2018-05-22 08:41:27 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

権力犯罪放置国家日本の悲惨すぎる現状
財務省元理財局長の佐川宣寿氏らによる決裁公文書改ざん事案について、大阪地検特捜部が起訴しない方針を固めたと伝えられている。

法律の解釈と運用については警察や検察の裁量に委ねられている。

起訴便宜主義ともいう。

実態は警察と検察に強大過ぎる裁量権が付与されている。

その裁量権とは、

犯罪が存在しているのに、犯罪者を無罪放免にする裁量権と

犯罪が存在していないのに、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権である。

そして、重要なことは、日本の裁判所が、ほとんどの場合、検察の決定をそのまま容認していることである。

とりわけ重要なことは、これらの不正刑事司法が政治権力の横暴によって引き起こされていることだ。

戦後の日本の刑事司法を支配してきたのは米国である。

日本を支配してきた米国が、日本の警察、検察、裁判所を支配してきた。

象徴的な事例が砂川事件である。

砂川事件で東京地裁の伊達秋雄裁判長は、1959年3月30日、日本政府がアメリカ軍の駐留を許容したのは違憲であるとして被告全員を無罪とした。

これに対して、検察は地裁判断の是非を直接最高裁に問う「跳躍上告」を実施。

最高裁は同じ年の12月16日に、

1.日本国憲法は自衛権を否定していない、
2.外国の軍隊は憲法が定める戦力に該当しない、
3.日米安保条約のように高度な政治性をもつ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない(統治行為論採用)

として原判決を破棄し地裁に差し戻した。

背景には、1960年に日米安保条約の改定が控えているという事情があった。

東京地裁による「米軍駐留は憲法違反」との判断を受けて当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー2世が、同判決の破棄を狙って当時の藤山愛一郎外務大臣に最高裁への跳躍上告を促す外交圧力をかけるとともに、田中耕太郎最高裁長官と密談していた事実が、のちに明らかにされた。

日本の刑事司法は米国によって支配され、司法判断が誘導されていた事実が明らかにされたのである。

米国は日本政治を支配し、日本の刑事司法を支配し続けてきている。

対米隷属の政権下においては、露骨に政治権力=行政権力が司法に介入して刑事司法を歪めている。

対米隷属ではない政権が誕生した局面でも、その政権が刑事司法の歪みを直ちに是正しないことを拠りどころにして、刑事司法への介入を強化して、対米隷属でない政治権力を破壊することに総力を挙げることが繰り返されてきた。

2009年に誕生した鳩山由紀夫政権は、日本支配を継続しようとする米国にとって最大の脅威になった。

そのために、鳩山政権誕生を牽引した小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏に対する不正で不当な総攻撃が実行されたのである。

小沢一郎氏を攻撃するための二つの刑事事件であった「西松事件」と「陸山会事件」の異様性がこの事実を端的に物語っている。

「西松事件」とは、西松建設関連の「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」という二つの政治団体からの政治献金を多くの政治家の資金管理団体が、同名称の政治団体から寄附があったとして報告した政治資金収支報告書記載事項について、小沢一郎氏の政治資金管理団体の報告のみを「政治資金規正法違反」だとして立件、起訴したものである。

10名以上の政治家の資金管理団体が、まったく同一の収支報告を行ったなかで、小沢一郎氏の資金管理団体だけが違法行為を行ったとして犯罪と認定された事件である。

2010年1月15日に開かれた第2回公判で、西松建設元取締役が、二つの政治団体には固有の事務所もあり、常駐職員も存在し、実体があったと証言した。

このことにより、小沢氏事務所の収支報告の合法性が完全に立証された。

検察は控訴を取り下げなければならなかったが、その2日後に、新たに「陸山会事件」を立件する暴挙に打って出たのである。

「陸山会事件」とは、小沢一郎氏の資金管理団体による世田谷区所在の土地取得に関して、同資金管理団体が2004年10月に代金を決済し、翌2005年1月に所有権の移転登記を完了したことについて、同資金管理団体が2005年の収支報告書に記載して提出したことを、検察が「虚偽記載」だとして刑事事件として立件、起訴した事案である。

この事件の公判で、商法専門学者が土地取引の経緯を踏まえると、2005年の収支報告書に記載して報告した行為が適正であるとの専門家意見を述べた。

およそ、犯罪として立件できるような事案ではなかったのである。

しかし、日本のメディアが連日連夜、小沢一郎氏がまるで重大犯罪に手を染めたかのような報道を展開し続けた。

日本の市民で、「西松事件」と「陸山会事件」の実態を知る者はほとんどいない。

重大犯罪が存在したかのような「洗脳」が行われてきたのである。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イタリアで進行している草の根民主主義革命

2018-05-16 14:01:05 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


イタリアで進行している草の根民主主義革命
3月4日に実施されたイタリア総選挙では、草の根民主主義政党の「五つ星運動」が第一党に躍進した。

単独過半数を確保する政党がなかったため、連立協議が行われてきたが、第一党に躍進した「五つ星運動」と右派政党の「同盟」を基軸とする連立政権が樹立される可能性が強まっている。

日本経済新聞などは、イタリア総選挙で中道右派連合が勝利したかのような報道を示してきたが、単一政党では「五つ星運動」が第一党に躍進したのであり、このことを正確に伝えない同紙の報道は偏向している。

日経新聞などは、中道右派連合を形成するひとつの政党に過ぎないフォルツァ・イタリアを率いるベルルスコーニ元首相を勝利者であるかのように報じたが、事実認識として正しくない。

ベルルスコーニ氏が率いるフォルツァ・イタリアは獲得議席数でも主要提携相手の同盟を下回っており、ベルルスコーニ氏が連立政権樹立を主導することは当初から困難な情勢だった。

中道右派連合のなかでは「同盟」が最大議席を獲得した。

同盟のサルビーニ党首は昨年10月に中道右派が過半数議席を得られない場合には五つ星運動の創設者であるグリッロ氏に電話すると述べていたと報道されていた。

本ブログ、メルマガでは、3月5日付記事

「草の根民主主義政党五つ星運動が伊第一党に」
https://bit.ly/2FfrSxt

「壊憲原発阻止・国民生活再建の日本政治を創る」
http://foomii.com/00050

に、「イタリアにおいて、草の根民主主義の「五つ星運動」が主導して新政権を樹立する可能性が浮上している」と記述してきた。

「五つ星」と「同盟」による連立政権樹立の可能性は選挙直後から存在していた最有力のシナリオであったのだ。

「五つ星運動」に関しては、本ブログ、メルマガにおいて、昨年11月28日に参議院議員会館で開催された「五つ星運動」リーダーのリカルド・フラカーロ・イタリア下院議員による市民との対話集会について記述している。

『政治の既成概念根底から覆す五つ星運動の夢』
https://goo.gl/oFkB22

この「五つ星運動」が政権樹立の一歩手前まで駒を進めている。

五つ星運動は始動から8年で、国政掌握を視野に入れるところにまで成長した。

このことが、全世界の市民に与えるインパクトと夢は計り知れない。

メディアは五つ星運動をポピュリズム政党=大衆迎合主義政党と表現するが、差別と偏見に満ち溢れた表現である。

正しく表現するなら「民主主義政党」、あるいは「草の根民主主義政党」ということになる。

主要国の政治は、少数の経済的支配者によって支配されてしまっている。

支配者はグローバルに活動を展開する巨大資本である。

巨大資本が主要国の政治を支配し、巨大資本の利益を極大化するための政治を実行している。

この支配者にとっての天敵は「民主主義」である。

1%対99%という表現があるが、支配者は1%勢力であり、1%勢力にとっての最大の妨害者が99%勢力、すなわち民主主義勢力なのである。

1%の支配とは、一握りの巨大資本による支配のことであり、この状況を生み出すのが資本主義である。

資本の力がすべての支配の原動力である。カネの力=資本の力によって社会のあり方が規定される。これが「資本主義」である。

この「資本主義」にとっての天敵が「民主主義」なのだ。

「民主主義」が適正に機能するなら、「民主主義」で主導権、支配権を確保するのは、本来99%の側であるはずだ。

だからこそ、大資本=1%勢力にとって「民主主義」は天敵なのだ。

このために、本当の意味の「民主主義勢力」を誹謗中傷する表現が用いられる。

「五つ星運動」は「民主主義勢力」と表現するのが適正であるが、この適正な表現を用いれば、この勢力が益々支持を集めて、勢力を拡大する恐れが高まる。

そこで、「民主主義勢力」とは呼ばずに「大衆迎合主義」=「ポピュリズム政党」と表現しているのだ。

堕落し、腐敗し切っている日本政治の刷新を考えるとき、イタリア五つ星運動の躍進は、最大の精神的支援要因になる。

五つ星運動は、公共飲料水、持続可能な公共交通、脱成長の経済、環境保護主義、インターネット、の五つの課題を掲げている。

そして、五つ星運動は、既存の政治勢力、政党と距離を置いている。

その出発点は、地域の問題を地域の主権者が考えるということだった。

地域の問題点を洗い出し、その解決策を探った。

その解決策を政治勢力に提示したが、彼らは、地域住民の提案に正面から向き合うことをしなかった。

現実に直面して彼らは行動を変えた。

「誰かが変えてくれる」から「自分たちで変える」に方向を転換したのだ。

その成功の一つの通過点として今回の総選挙結果がある。

単独過半数を獲得していないから、まだまだ紆余曲折が予想される。

1%勢力の猛反撃も予想される。予断を許さない。

しかし、草の根民主主義が大いなる成果を生み出しつつある現実を、私たちははっきりと認識する必要がある。私たちに大いなる夢と希望を与える現実が生み出されている。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

選挙を通じての日本政治刷新は十分可能

2018-05-14 20:54:00 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


選挙を通じての日本政治刷新は十分可能
もりかけセクハラ事案がありながら、安倍内閣が総辞職しないことは、日本の主権者にとって悲しむべきことである

国権の最高機関である国会において嘘が平然と重ねられ、政治権力が政治を私物化している現実が露わになっている。

日本に自浄能力があるなら、このような事態を放置することはあり得ない。

国会で多数議席を占有する勢力が、メディアと刑事司法を支配し、「数の力」で国会での議決を強行して暴走を続ける。

議会制民主主義が機能不全に陥ってしまっている。

森友事案も加計事案も疑惑はまったく払拭されていない。

疑惑は疑惑ではなく、不正が実際に実行されたことはほぼ明らかになっている。

本来は、刑事司法が機能して、犯罪を適正に摘発することが必要であるが、刑事司法が政治権力によって不正に支配されてしまっているために、刑事司法までもが機能不全に陥っている。

このようなときに、本来、社会の木鐸としての機能を発揮するべき存在がメディアである。

しかし、メディアの大半が政治権力によって支配されてしまっており、暴走する政治権力を追及する活動が停滞してしまっている。

その結果として日本の議会制民主主義が機能不全に陥り、深刻な危機に直面している。

事態を打開するための行動を始動させ、日本の議会制民主主義を再生しなければならない。

森友疑惑、加計疑惑の真相を完全解明し、責任問題を処理しなければ先に進むことができない。問題の真相解明は日本の主権者国民が求めている重要事項である。

共同通信社が5月12、13日に実施した世論調査結果が公表されている。

加計学園の獣医学部新設を巡り、安倍晋三首相の関与を否定した柳瀬唯夫元首相秘書官の国会での説明に関する調査結果は、

「納得できない」が75.5%、「納得できる」が14.7%だった。

加計学園の獣医学部新設に関する手続きについては、

「適切だったと思わない」が69.9%で、「適切だった」が16.9%だった。

主権者の大半は、加計疑惑に関する安倍内閣の説明にまったく納得していない。

加計学園関係者と柳瀬唯夫首相秘書官が2015年3月から6月にかけて、首相官邸において3回面会を重ねていた事実が明らかにされた。

今治市が申請する国家戦略特区における獣医学部新設について、事業決定後の公募で応募する立場の加計学園関係者が首相官邸で柳瀬唯夫氏と面会していた。

4月2日の面会には愛媛県職員、今治市職員も同席し、説明しているが、柳瀬氏はその記憶がないとしている。

この案件が当初から「加計ありき」で動いていたことを示していると同時に、安倍首相官邸が加計学園に対して異例の便宜を図ったということになる。

加計学園による獣医学部新設に安倍首相が深く関与してきたと考えられているが、安倍首相は、加計学園が獣医学部新設の意向を有していたことを2017年1月に初めて知ったと強弁し続けている。

嘘と隠ぺいで塗り固めなれた安倍内閣の説明を主権者はまったく信用していない。

だからこそ、国会が関係者の証人喚問等を積極的に実施して、事案の全容を完全解明することが強く求められている。

共同通信社の世論調査では、福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題を巡り麻生太郎財務相が女性記者にはめられた可能性を否定できないとの見方を示し、その後撤回したことに関する麻生氏の責任について、

「辞任すべきだ」が49.1%、「辞任の必要はない」が45.5%だった。

麻生太郎氏の辞任を求める意見が極めて強い。

同時に発表された政党支持率を見ると、

自民党37.1%、立憲民主党も13.3%、国民民主党1.1%、公明党3.7%、共産党4.5%、日本維新の会1.5%、自由党0.7%、新「希望の党」0.7%、社民党0.8%、支持政党なしが34.2%だった。

立憲民主党、共産党、自由党、社民党の支持率を合わせると19.3%になる。

自公の支持率を合計すると40.8%で、上記野党4党の支持率の2倍を超えているが、野党4党の支持率が約20%存在していることは特筆に値する。

支持政党なしが34.2%も存在しており、いざ国政選挙となれば、風の吹き方によって選挙結果は大きく変動し得る。

国民民主党が創設されたが、これまでの言動を見る限り、自公政権の補完勢力を目指しているとしか見えない。

だからこそ、結党直後であるにもかかわらず、支持率が1.1%にとどまっているのだと思われる。

参議院で国民民主党が野党第一党の地位にとどまったために、参院における安倍内閣追及の勢いが大きく後退する恐れが浮上している。

日本政治を再生させるためには、選挙を通じて安倍政治に対峙する勢力が国会多数議席を確保することが何よりも重要である。

安倍政治に対峙する政治勢力の結集が強く求められるが、それを誘導するのは主権者国民の役割である。

新しい野党共闘のあり方を明確に確立する必要がある。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加計関係者との面会を認めた柳瀬元秘書官がまだ隠していること

2018-05-14 20:32:14 | 阿修羅


加計関係者との面会を認めた柳瀬元秘書官がまだ隠していること
http://www.mag2.com/p/news/358738
2018.05.11 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』 まぐまぐニュース




10日に行われた衆院予算委員会での参考人招致で、これまでの説明とは一転、加計学園関係者との面会を認めた柳瀬元総理大臣秘書官。しかしながら取り沙汰されている愛媛県や今治市の職員との接触や「首相案件発言」は改めて否定しました。元全国紙社会部記者の新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、かような詭弁が通用するはずもないと切り捨てた上で、柳瀬元秘書官に嘘をつかせたと思しき人物の実名を記すとともに、愛媛県や今治市サイドとの接触を認めない限り、政権に対する国民の不信感が払拭されることはないと結んでいます。

「調整」でウソを白状した柳瀬元秘書官

奇妙なこともあるものだ。「調整」をすれば、記憶が戻るらしい。


柳瀬元総理大臣秘書官は3年前に、加計学園の関係者と総理大臣官邸で面会したことを国会で認める方向で調整していることがわかりました。(5月2日NHKニュース)


「記憶にない」と逃げ口上を繰り返してきた経済産業審議官、柳瀬唯夫氏が、「調整」のすえ、参考人招致された10日の国会で、加計学園関係者と面会したことを認めた。

「総理と一緒の時に加計学園の方と知り合い、学園事務局から連絡があったのでお会いした。獣医学専門家の元東大教授と学園事務局の方がほとんど話をされ、他に10人くらい同席者がおられたが、その方々が愛媛県、今治市の職員とは知らなかった。名刺を交換したかもしれないが、残っていない」

元東大教授というのは加計学園岡山理科大の獣医学部長、吉川泰弘氏のことである。柳瀬氏によれば、吉川氏が獣医学部の必要性について滔々と熱弁をふるっていた。

なぜ今になって、このように述べたのか。以下の記事のように、与党の判断があったからだという。


加計学園問題を巡っては、愛媛県側作成の文書に平成27年4月2日の柳瀬首相秘書官(当時)との面会記録が記され、「首相案件」との発言が残されていた。文部科学省、農林水産省からも面会に関する記録が見つかった。こうした経緯から、与党側は否定するのは困難との判断に傾いた。(5月2日東京新聞夕刊)



どうやら、事実よりも、「調整」や「判断」が重要らしい。

柳瀬氏はどんな心境で過ごしてきたのだろうか。このところ連日のように、経産省の廊下で記者たちの質問攻めにあう姿がテレビで放映された。「国会で話したい」と鉄壁のガードで室内に消える姿には、どことなく哀感が漂っているようにも見えた。

柳瀬氏にしてみれば、何も好き好んで、会ったものを会っていないと言ってきたわけではない。あくまで、安倍首相を「権力の私物化」批判から守るためだ。

長年の親友である加計孝太郎氏の獣医学部新設の夢をかなえたいという首相に、秘書官として誠心誠意仕えたというのが柳瀬氏の思いだろう。

加計学園を特別扱いしたのは安倍首相のためであり、愛媛県、今治市、加計学園の関係者と会って打ち合わせた事実を隠そうとしたのも安倍首相のためである。

しかし今、彼は一人、追い詰められている。国の最高権力者におねだりした疑いが濃い加計孝太郎氏は今のところ逃げおおせているし、安倍首相も国家戦略特区諮問会議ワーキンググループの八田達夫座長らが適正に進めたことだと、同会議議長でありながら知らん顔を決め込んでいる。

なぜ自分がこんな目に。財務省の佐川宣寿前理財局長が味わった苦悩を思わずにはいられなかったことだろう。

佐川氏は安倍首相夫妻の関与を疑われないよう、必死になって森友学園と昭恵夫人のかかわりや、国有地格安売却の真相などに関する情報を隠し続けた。

そのためにマスコミや野党の追及はおさまらず、決裁文書の改ざんが明るみに出るにおよび、せっかく手に入れた国税庁長官のポストを投げ出す羽目になった。スケープゴートにされ、一人責任を負わされた。

参考人として質問に答える柳瀬氏は冷静さを保っていた。しかし、自分を佐川氏と重ねあわせ、言い知れぬ不安の日々を送ってきたのではないだろうか。

佐川氏は証人喚問、柳瀬氏は参考人招致。佐川氏ほどにプレッシャーはかからないとしても、柳瀬氏はこれまで隠していたことを白状しなければならない。

2015年4月2日、柳瀬氏は加計学園の関係者らに会った。もちろん、総理の意向を受けてである。「総理に指示されていない」「首相案件と言ったことはない」と証言したが、秘書官が独断でそんなことをできるわけがない。

獣医学部を今治市に新設するため、安倍首相は文科省や農水省の規制を国家戦略特区制度によって突破しようと考え、その具体的方策の立案を秘書官らに命じていたはずだ。

内閣府の特区担当者に会うようセットしたのは柳瀬秘書官であろう。加計学園関係者と愛媛県、今治市の職員がともにやってくるのは百も承知だ。

毎日新聞によると、与党関係者はこう話している。「学園関係者との面会を認めても、ウソをついたことにはならない」。

愛媛県や今治市の職員は加計学園関係者の後ろにいたので記憶に残っていない。だから「記憶をたどる限り、愛媛県や今治市の方とはお会いしていない」という柳瀬氏のこれまでの国会答弁に矛盾しない…なんとも奇妙な理屈だ。

実際、参考人招致の場で、柳瀬氏は「愛媛県や今治市の方とお会いしたという認識はない」と強調した。

こういう悪巧みは今井尚哉首席秘書官らの得意とするところだろう。

柳瀬氏は現在、経済産業審議官をつとめている。事務次官に次ぐナンバー2のポストだ。56歳。省トップの座も目の前だ。

それほどの人物でありながら、総理と一体化した首席秘書官の威光にはかなわない。加計学園問題にからむ発言、行動について、いちいち今井秘書官にお伺いを立ててきたことは想像に難くない。

それにしても、ウソをつき続けてきたことを白状するにすぎない柳瀬氏の今回の決断について、各メディアが「与党と調整」とか「方針転換」と報じたことには大きな違和感をおぼえる。

誰と「調整」したというのだろうか。各メディアの報道を総合すると、「与党関係者」といわれる人が、記者たちに喋ったようだ。

与党関係者といえば、範囲は随分広い。自民党、公明党のいずれとも特定させず、議員か元議員か事務職員かもわからない。

自民党の森山裕国対委員長らテレビカメラの前に立っている顔ぶれは当て馬のようなもので、「調整」の主役は、かつての官房副長官、萩生田幹事長代行と、今井尚哉総理首席秘書官あたりだろう。

彼らの政権維持戦略はきわめてシンプルだ。気に入らない考えを無視し、徹底的に叩き、ウソをつき、詭弁を弄してでも自己正当化する。

国民に真実を知らせることは自分たちにマイナスだと信じ込み、とかく不都合な情報を隠蔽する。池田勇人、大平正芳が打ち出した「寛容と忍耐」の真逆を行く路線だ。

柳瀬氏は安倍ファーストの彼ら“大本営参謀”によって口封じされてきた。

本来、柳瀬氏が良心に基づいた言動をとるなら、「方針」や「調整」ではなく、ただ正直に事実を述べるだけでよい。政治の都合で、ウソをつくことを余儀なくされ、ごく一部の事実を正直に述べる決心まで、政治的判断にゆだねる必要など全くない。

安倍政権の特徴の一つは、官邸と党が、いままでのどの政権よりも密接であることだ。安倍総理の影武者として今井秘書官が水面下の政治工作を担い、党の批判分子を力自慢の萩生田幹事長代行が抑え込むという構図だ。

なにはともあれ、柳瀬氏は加計学園の関係者と会っていた事実だけは認めた。何のために会ったのか。

当然、国家戦略特区の特例を用いた獣医学部新設についての打ち合わせのためだが、安倍首相は加計学園の計画については国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設が認定された昨年1月20日まで知らなかったと言い張っている。

そもそも事業主体となる予定の加計学園が主導しながら、特区の提案者に名を連ねなかったのは、安倍首相との関係を詮索されたくない官邸の指示に違いない。

にもかかわらず、愛媛県と今治市が獣医学部新設の特区提案をする2か月前の2015年4月2日の時点で、安倍首相の秘書官が加計学園関係者と会っていたということになると、安倍首相の「ずっと加計学園の計画を知らなかった」という答弁が虚偽であることも証明することにならないだろうか。

もっとも、証明するまでもなく、安倍首相の発言が不自然で、およそあり得ないことは国民誰しも思っているはずだ。

さて、加計学園関係者と会ったことを認めた柳瀬氏が、これで放免ということにはなるまい。「記憶のかぎり会っていない」のは愛媛県や今治市の職員で、加計学園関係者には会っていたことを思い出したという説明に納得できる人はどれだけいるだろうか。

この詭弁を思いついたのが誰か知らないが、通用すると考えているとしたら、よほどおめでたい。愛媛県や今治市サイドとの接触を認めない限り、国民の不信感が払しょくされることはないだろう。

image by: Flickr

新恭(あらたきょう)
記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。

8. TondaMonta[464] gnOCj4KOgoSCgYJsgo@CjoKUgoE 2018年5月14日 10:26:39 : mDEFrEFy46 : M0kuS4XEISM[1]
▲△▽▼
大迫・佐川氏の再証人喚問を!!
柳瀬も柳瀬だが,原発官僚が大学設置で完璧な嘘が付けるわけない。
ボロボロだが真の野党は,大迫や佐川元財務局長を再証人喚問すべできだ。
その理由は二つある。その一つは大阪特捜の任意聴取が終わったからだ。つまり刑事訴追はほとんどなくなったからだ。
二つ目は,破棄した、ないと言っていた文書が500ページも出て来たからだ。「あったじゃござんせんか」
真の野党は再証人喚問を要求すべきだ。ダメなら審議ストップだ。牛歩戦術だ。それをやらない真の野党は与党予備軍だ。国会対策費を1億円ぐらいもらったのだろう。
特に辻本や福山はダメだ。与党と戦う気持ちがない。TVに映った時だけ威勢のいいことを言っているイセエビに過ぎない。
もし国会審議を続行するというのなら,立憲民主党は露となって消えてゆくだろう。ワタチは応援しない。その理由は明らかだろう。
改竄された文書や書き換えられた文書や捏造されたデータで今後も審議を続けていくのか。嘘の答弁でも納得しないまま審議を続行して何になる。
審議ストップに対する声はあるが,ヤラセだ。どこにだって批判はある。その少しをもって審議ストップを「止める」のは与党を利することになる。それでもええんか。
辻本氏よ、福山氏よ。立憲はもう応援しない。この場をお借りして宣言する。イバイバ。baibai。びぇびぇ。byebye。さよなら。バイバイ。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする