「なんでそーなるのッ!!」
コント55号ではないが、まさにこの言葉どおりの状況に陥っている方も多いのではないだろうか。上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)特例措置並びに源泉徴収選択口座内調整所得金額及び上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率の10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例措置が平成25年12月31日をもって廃止され、平成26年1月1日以後は本則税率の20%(所得税15%、住民税5%)が適用されることに伴い、鳴り物入りで始まった少額投資非課税制度NISA。
口座を開設し実際に投資をされた方は2014年になってからのこの軟調な相場にやきもきされているのではないだろうか。1ヶ月前の2月4日は、TOPIX終値で前日比57.05ポイント安の1139.27、日経平均株価は610円66銭安の1万4008円47銭。心理的な節目である1万4000円を死守した形ではあったが、両指数とも下落率は2013年6月13日以来約8か月ぶりとなる大きさとなり、東証一部約1800銘柄のうち終値で前日を上回ったのが13銘柄だけという惨憺たる日となった。多くの投資家がゴクリと生唾を飲んだに違いない。
様々なキャンペーン、証券会社からの営業の電話に、馴染みの銀行マンからの勧誘、「税金がかからない」といううたい文句等、NISAを始めたきっかけは多々あれど、どうして俺(私)が始めたら下がるのか!と嘆かれている方も多いと思う。
NISAは、配当金や、株や投資信託等を売却する際の売却益にかかる約20%の税金が原則5年間免除される制度だ。この増税の傾向の中、税金が免除されるということと昨年からのアベノミクスでの株高も手伝って、NISAの口座開設数は伸びに伸びて1月で500万口座を突破する勢いとなった。
しかしこのNISA。注意しておかなければならない点がいくつかある。その中でも代表的なのが今回のように含み損となってしまった時の対応だ。
非課税枠を利用し100万円投資を行ったとしよう。しかしその後軟調な相場に押され、5年の期限後に30万円の含み損を抱えた状態となり評価額が70万円になったとする。この時に選ぶべき方法はいくつかあるが、制度改正が実施されていない現状ではほとんどの場合でロールオーバーになるだろう。つまりそのまま新たに発生した非課税枠にその70万円を移してしまうということだ。
もしもそうせず一般口座へ移してしまうと、移した時点での時価(70万円)でもって一般口座へ移るため、その後株価が回復し70万円から90万円へ評価額が上昇した場合に、実際は含み損が解消しているだけにもかかわらず売却益20万円に対して現行約20%の税率で課税されてしまうのだ。
NISAは非課税であることをウリにしているが、これは株価が上昇し続けていくことを前提にしている。配当や譲渡益に対して課税しないことの見返りとして、損失が発生してもその損失は無かったものとされ、他の株式の譲渡益と損失を通算することもできない。また、損失の3年間の繰り越しも当然にできない。損失が発生した場合の手当がまずないということを肝に銘じておかなければならない。
上記にあげた注意点はNISAの有名なデメリットだが、東京証券取引所で新年6日に開かれた大発会に麻生太郎副総理兼財務相が出席し、NISAについて、「皆さん方のご意見を拝聴したうえで、さらに規制を緩和するなり運用がしやすくなるように我々も努力していきたい」と述べたように、このデメリットが早期に改正されることは十分に考えられる。しかし現状では、今後の行方を十分に睨みつつ、投資家の皆様は自身の判断と責任のもと、この軟調局面に対応していかねばならないことになるだろう。
もうはまだなり、まだはもうなり。
いついかなる時でも上がる銘柄など存在しません。買い時、売り時を見極めるのは難しいことです。今後の株価がどう動くかは多分誰にもわかりません。昨年末には「日経平均は年明けにも2万円」等と言っていた人がいました。今は軟調ですが、来月には総悲観から脱し皆が強気になっているかもしれません。しっかりとご自身の運用スタイルを定め、投資は生活資金ではなく余裕資金で行うという定石を守り、リスクと運用益のバランスにご納得いただき相場へ臨まれていただければと思います。
福田税務/労務合同事務所は単なる税金の手続屋ではございません。しっかりとしたアドバイスとフォローのもと、お客様の資産も強存強栄できるよう力を尽くさせていただきます。
■参考リンク
国税庁 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1474.htm
国税庁 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1465.htm
国税庁 上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る10%軽減税率の特例措置の廃止について PDF
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/joto-sanrin/nisa_10per.pdf
国税庁 NISA(少額投資非課税制度)の手続に関するQ&A PDF
http://www.nta.go.jp/gensen/nisa/pdf/toshikaqa.pdf
監査部一課 原浩恭
コント55号ではないが、まさにこの言葉どおりの状況に陥っている方も多いのではないだろうか。上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)特例措置並びに源泉徴収選択口座内調整所得金額及び上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率の10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例措置が平成25年12月31日をもって廃止され、平成26年1月1日以後は本則税率の20%(所得税15%、住民税5%)が適用されることに伴い、鳴り物入りで始まった少額投資非課税制度NISA。
口座を開設し実際に投資をされた方は2014年になってからのこの軟調な相場にやきもきされているのではないだろうか。1ヶ月前の2月4日は、TOPIX終値で前日比57.05ポイント安の1139.27、日経平均株価は610円66銭安の1万4008円47銭。心理的な節目である1万4000円を死守した形ではあったが、両指数とも下落率は2013年6月13日以来約8か月ぶりとなる大きさとなり、東証一部約1800銘柄のうち終値で前日を上回ったのが13銘柄だけという惨憺たる日となった。多くの投資家がゴクリと生唾を飲んだに違いない。
様々なキャンペーン、証券会社からの営業の電話に、馴染みの銀行マンからの勧誘、「税金がかからない」といううたい文句等、NISAを始めたきっかけは多々あれど、どうして俺(私)が始めたら下がるのか!と嘆かれている方も多いと思う。
NISAは、配当金や、株や投資信託等を売却する際の売却益にかかる約20%の税金が原則5年間免除される制度だ。この増税の傾向の中、税金が免除されるということと昨年からのアベノミクスでの株高も手伝って、NISAの口座開設数は伸びに伸びて1月で500万口座を突破する勢いとなった。
しかしこのNISA。注意しておかなければならない点がいくつかある。その中でも代表的なのが今回のように含み損となってしまった時の対応だ。
非課税枠を利用し100万円投資を行ったとしよう。しかしその後軟調な相場に押され、5年の期限後に30万円の含み損を抱えた状態となり評価額が70万円になったとする。この時に選ぶべき方法はいくつかあるが、制度改正が実施されていない現状ではほとんどの場合でロールオーバーになるだろう。つまりそのまま新たに発生した非課税枠にその70万円を移してしまうということだ。
もしもそうせず一般口座へ移してしまうと、移した時点での時価(70万円)でもって一般口座へ移るため、その後株価が回復し70万円から90万円へ評価額が上昇した場合に、実際は含み損が解消しているだけにもかかわらず売却益20万円に対して現行約20%の税率で課税されてしまうのだ。
NISAは非課税であることをウリにしているが、これは株価が上昇し続けていくことを前提にしている。配当や譲渡益に対して課税しないことの見返りとして、損失が発生してもその損失は無かったものとされ、他の株式の譲渡益と損失を通算することもできない。また、損失の3年間の繰り越しも当然にできない。損失が発生した場合の手当がまずないということを肝に銘じておかなければならない。
上記にあげた注意点はNISAの有名なデメリットだが、東京証券取引所で新年6日に開かれた大発会に麻生太郎副総理兼財務相が出席し、NISAについて、「皆さん方のご意見を拝聴したうえで、さらに規制を緩和するなり運用がしやすくなるように我々も努力していきたい」と述べたように、このデメリットが早期に改正されることは十分に考えられる。しかし現状では、今後の行方を十分に睨みつつ、投資家の皆様は自身の判断と責任のもと、この軟調局面に対応していかねばならないことになるだろう。
もうはまだなり、まだはもうなり。
いついかなる時でも上がる銘柄など存在しません。買い時、売り時を見極めるのは難しいことです。今後の株価がどう動くかは多分誰にもわかりません。昨年末には「日経平均は年明けにも2万円」等と言っていた人がいました。今は軟調ですが、来月には総悲観から脱し皆が強気になっているかもしれません。しっかりとご自身の運用スタイルを定め、投資は生活資金ではなく余裕資金で行うという定石を守り、リスクと運用益のバランスにご納得いただき相場へ臨まれていただければと思います。
福田税務/労務合同事務所は単なる税金の手続屋ではございません。しっかりとしたアドバイスとフォローのもと、お客様の資産も強存強栄できるよう力を尽くさせていただきます。
■参考リンク
国税庁 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1474.htm
国税庁 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1465.htm
国税庁 上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る10%軽減税率の特例措置の廃止について PDF
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/joto-sanrin/nisa_10per.pdf
国税庁 NISA(少額投資非課税制度)の手続に関するQ&A PDF
http://www.nta.go.jp/gensen/nisa/pdf/toshikaqa.pdf
監査部一課 原浩恭