平成18年5月に会社法が改正され、株式会社の役員の任期が2年から最大10年に延長されました。
当時はずいぶんと先のことだと思っていましたが、今年で12年になります。
非公開会社の役員の任期は10年に
会社法改正により、ほとんどの非公開会社(株式譲渡制限のある会社)の取締役と監査役の任期は、最長10年まで延長できるようになりました。
改正前は、株式会社の取締役は2年、監査役は4年であり、株式会社は、役員重任登記を定期的に行っていましたが、結構面倒でした。
そのため、多くの株式会社は、この会社法改正に合わせて役員の任期を10年に変えたのではないかと思います。(株主総会を開き、特別決議で、定款を変更)
もちろん任期を変えていない株式会社の取締役は2年、監査役は4年のままです。
しかしながら、本年(平成30年)5月に会社法施行から10年を超し、さらに12年を迎えるため、会社法施行後に役員の任期を最長の期間に伸長した株式会社であっても、役員の任期が満了する時期を再度確認していただき、定時株主総会における取締役、監査役の改選、取締役会の決議や取締役の互選等による代表取締役の選定等を行った上、その旨の変更の登記手続きが必要です。
取締役の任期 最長10年 メリットとデメリット(リスク)
メリット
任期が2年から10年に伸びたことにより、取締役の重任(更新)の登記の手間や登記費用を抑えることができるというメリットがあります。
特に、オーナー企業のような閉鎖的な会社では、役員が変わることは稀ですし、役員に変更がなくても重任の手続きを取らねばならず、煩雑ですから、10年など長い期間を設定するメリットはあります。また、選任された取締役は、任期が長いため、長期的な視点で経営を考え実行するなどして、業績を上げることが可能となります
デメリット
取締役は、従業員と違って「試用期間」が認められていませんから、任期をきめて任用した場合には、任期いっぱい取締役を委任しなければなりません。
定款で任期を10年と規定している場合は10年の委任契約をするということです。
選任した取締役がかならずしも期待に応えてくれる人物であるとは限りません。経営能力に欠けることが分かれば、(任期の途中でも)解任することは可能です。 解任は株主総会の決議(定款の規定にもよりますが、通常は普通決議)ですることができますが、問題はその後です。
解任後、その取締役が会社に対して、解任には合理性がなく、解任決議を無効だと訴えてくる可能性があるのです。つまり10年間で得られたはずの役員報酬(の残り)を支払えということです。 これに対して、2年間とするケースのように任期が短い場合には、最悪、任期満了まで待って(解任ではなく)退任していただくことができます。(再任しない)
→取締役がこれから先も自分ひとりだという場合、もしくは身内や十分に信頼できる人を取締役として迎え入れる場合でなければ、10年より短くしていたほうがいいかもしれません。
忘れたら過料
なお、もうひとつのリスクとして、10年にすると任期を忘れてしまうという点があります。役員重任登記をしないと過料として数万円のペナルティが課されます。(2年でも同じです)
12年経ちました 「株式会社のみなし解散」
平成26年以降、最後の登記から12年を経過している株式会社や最後の登記から5年を経過している一般社団法人、一般財団法人は休眠会社等として「整理作業」の対象となります。
休眠会社等は、法務大臣による公告及び登記所からの通知がされ、この公告から二ヶ月以内に役員変更等の登記又は事業を廃止していない旨の届出をしない場合には、「みなし解散」の登記がされます。
つまり、法務局が職権で解散の登記をしてしまいます。 ご注意を
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監査部 西島 健志