国税の猶予制度

2018年06月18日 | 税務情報(法人関係)
利益は出たが、税金を払う資金がない・・・よくある話だと思います。
そういう場合の救済制度として国税の猶予制度があります。
以下、国税庁抜粋(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/itiji_leaflet.pdf)。
 
【換価の猶予】
差押に係る国税が任意納付されない場合には、差押財産を換価して滞納国税に充当することが原則です。
ただし、次の①から⑤の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合があります。
① 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
② 納税について誠実な意思を有すると認められること
③ 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
⑤ 原則として、担保の提供があること
※上記の「申請による換価の猶予」のほか、「税務署長の職権による換価の猶予」があります。

【納税の猶予】
利益が出たら、当然ながら税金が出て納税義務が発生します。税金は納税期限までに納付しなくてはなりません。
ただし、次の①から④の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる場合があります。
① 次のAからFのいずれかに該当する事実があること
 A 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難に遭ったこと
 B 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
 C 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと
 D 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと
 E 納税者に上記AからDに類する事実があったこと
 F 本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
② 猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められること
③ 申請書が提出されていること(上記「①F」の場合は納期限までの提出)
④ 原則として、担保の提供があること
※国税の納期限前に災害により財産に相当の損失を受けた場合には、別途、被災者のための納税の猶予があります。
 
 
この制度ができる前の話しですが、
今から10数年前、世間では日本のモノづくり、製造業は大ピンチでした(今でも苦しい製造業は数多くありますが・・・)。
当時私が経理で勤めていた会社の資金繰りも御多分に漏れず、大ピンチで、絞りっ切っても法人税、消費税が払えません。
法人税、消費税合わせて、たしか3,000万円くらいだったと思います。
返済はとっくに止めています。追加融資も望みはありません。
仕方なく、上司が税務署へ事情を説明に行き、一年サイトの手形を振り出して、税務署の金庫へ保管してもらいました。
税務署長が対応してくれたそうです。
半年ほどで何とか融資が確保でき、無事に法人税、消費税も払う事ができました。
そのときは延滞税も利子税もありませんでした。
粋な話です。
 
「税務署長の職権による換価の猶予」にあたると思いますが、いまはそんなに簡単な話ではないと思います。
会社にとっては、あの時、あれからの数年間が勝負でした。それから起死回生の出来事がいくつも起こり、資金繰りは見事V字回復しました。
 
あの当時の私も若かったので、
数年間給与も上がらず、賞与もなく、膨大な残業の中でも少しずつ会社が良くなるという楽しみがあったのですが、家庭がある現在ならとてもできません。
それでも、20代後半から30代前半のあの苦しい会社の状況で経理として残ることができた・・・私にとって大きな経験と自信になっています。
 
自分の意見を若い方達に押し付けるのではないのですが、
今の若い方達は、情報処理能力も高く、コミュニケーションも上手です。ただ失敗を恐れず、困難にぶつかっていく精神力が足りないのかなと思います。
国税の猶予制度はありますが、若い時代の経験は猶予できません。
若い方達は、もっと自ら困難にぶつかって欲しいと思う今日この頃です。
もちろん背後からではなく、真正面から正々堂々とです。
 
 
監査部二課 吉野伸明(そうは言っても自分もまだまだ若いはず・・・)
 
 

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