産業財産の申請料金の減免

2016年10月03日 | 税務情報(法人関係)

ドラマは滅多に見ないのですが、最近のドラマで面白かったものは「下町ロケット」です。
「下町ロケット」は、中小企業が開発したエンジンのバルブシステムで、 ロケットを飛ばすという夢のあるドラマでした。
その中で争点となったのが、特許権です。
特許、商標、実用新案、意匠、著作などを「知的財産」(税務では無体財産)と言います。
また最近では、東京オリンピックのエンブレムが著作権問題として大きく報道されました。

その「知的財産」の内、特許、商標、実用新案、意匠を「産業財産」と呼び、特許庁の管轄となります。
印紙というのをご存知でしょうか?印紙と聞くと、収入印紙を思い浮かぶ方が多いと思いますが、 印紙の種類としては、(1)収入印紙、(2)雇用保険印紙、(3)農産物検査印紙、(4)自動車検査登録印紙、(5)健康保険印紙、(6)国民年金印紙、(7)自動車重量税印紙、(8)登記印紙、(9)特許印紙の9種類があります。 印紙の役割は、税を納める役割と行政手数料を納付する役割があります。
「産業財産」に関して、特許庁へ申請手数料などを払う際に必要なものが特許印紙です。
あまり目にしない方が多いと思います。 郵便局で売っています。
こちらは、決して割り印をしてはいけません。

この「産業財産」への手数料など支出が困難な個人や中小企業に向けて、支援制度があります。
※ここから先の内容は、研究機関は除き、個人や中小企業に限定します。

◆研究開発型企業の審査・特許料減免制度(国内出願支援)
①個人や中小企業の要件に該当するか(資本金、従業員など)。
②研究開発費(研究開発に関わる材料、労務、経費)÷総収入= 3%以上なら、研究開発型個人や企業に該当。
※上記の2要件に加え、税理士or公認会計士or中小企業診断士による研究開発型企業である数字の証明書が必要です。
個人や中小企業に対して、条件を緩和しているのでしょう、 毎年のように変更箇所(総収入の定義など)がありますので、毎年申請資料を収集して変更箇所がないか確認してください。
参考:https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho24_4.htm

この減免制度の該当者は、1~10年間の特許料(特許維持料金)、審査請求料(特許取得にあたる審査)が、該当者それぞれ1/3や半額、免除となります。
1年間では、大きな減免金額とはなりませんが、10年以上維持する産業財産や産業財産を多く所有する個人や中小企業であれば、非常に効果的です。

他に、「産業財産」の外国出願の補助金制度もあります。

◆外国出願支援事業

参考:https://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm
※こちらは窓口となる特許事務所の協力が必要となります。

外国出願だと金額が大きくなるので、1企業、1個人に対して予算枠があります。
出願方法は、一ヶ国にするのか、数ヶ国に産業財産権を取得するのか、市場戦略にもよります。
ただ審査に、お金と時間が掛かりますので、国を限定する事が一般的です。

さらに支出が困難な個人や企業であれば、共同出願という手もあります。
また特許権を担保にして銀行から融資を受ける特許担保融資と呼ばれる物もあります。

このように国の政策も、知的財産を取得しやすいように取り組んでいます。
日本の知的財産権を外国でも取得することで、経済競争力にも勝つことができ、内需拡大にもつながります。
日本の技術力を世界に見せつけましょう!
「下町ロケット」のような実話に出会えるのを楽しみにしています。



監査部2課 吉野伸明

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