時は、江戸末期から明治の初め、動乱と新しい時代の幕開けの明治維新。
先週見た映画 「るろうに剣心 」は、同じ時代でも、新しい時代への動乱を描いた、”動”なる映画でしたが、今回の「 柘榴坂の仇討 」 は、新しい時代になっても、武士としての魂を捨てず、忠義を貫こうとする、”静”なる物語となっています。
ネタばれがありますので、承知ください・・・・・・
安政7年(1860年)3月3日。
江戸城桜田門外で、時の大老、井伊直弼(中村吉衛門)の登城途中の行列を18名の水戸脱藩藩士らが襲います。
その時、主君直弼の駕籠を警備していた志村金吾(中井貴一)だけは、刺客の一人を追いかけ、持ち場を離れたため、生き残り、主君を守り切れなかったことを悔やみます。
そのため、仇を討つ密命を受け、切腹もさせてもらわれず、襲撃一味を探し求めることとなりました。
武士の矜持を持つ金吾は、妻のセツ(広末涼子)の助けもあり、敵を探し続けます。
明治に入り、警視庁を退職した秋元(藤竜也)から事件の顛末を聞くことが出来ました。
それによると、伊井直弼を襲撃したのは、水戸浪人が17名、薩摩浪人が1名の18名。
うち、当日斬られたものが2名、自決したものが4名、自訴して切腹したものが7名、残り5名が行方不明でした。
そして、事件後13年経ち、襲撃した水戸脱藩藩士らの多くは亡くなり、残るは佐橋十兵衛(阿部寛)だけとなります。
水戸浪士 佐橋十兵衛は、直吉と名を変え、車夫として身をやつし、孤独の中に生きていました。
この13年間、時代は大きく変わり、徳川も井伊家も無くなり、武士という価値観もかわり、ましてちょんまげも刀の帯刀も禁止されている中、志村は昔ながらの武士として、本懐を遂げるべき奔走します。
そんな中、明治6年2月7日、仇討禁止令が布告されます。
そして、仇の最後のひとりの男 佐橋と出会った志村は、佐橋の人力車に乗り、柘榴坂で降ります。
二人は、お互いの思いを込め対峙します。
佐橋は、桜田門外での襲撃の際、訴状を出して、行列を止めた張本人で、その時、志村は、直弼から聞いたことを佐橋に伝えると、二人の戦闘意欲はなくなり、お互い涙します。
「かりそめにも命を賭けた者の訴えをおろそかに扱うな。 よしんば、その訴えで命を落とそうとも甘んじて受けるべき・・・・・」