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映画  「 花戰さ 」 

2017年06月09日 10時49分28秒 | 映画・社会

この映画は、”ホントの話”などと書いてあるものもありますが、あくまで伝説を面白可笑しくフイクション化して映画化されたものです。
でも、すべてが”根も葉もない話”ではないところもあるようです。

その伝説というのは、花を用いて豊臣秀吉を打ち負かしたというものです。

  
                    
 信長と”上り竜”    


応仁の乱の後100年続いた戦国時代の影響で荒れ放題となった京の都では人々は明日をも知れぬ生活に疲弊していました。
その京の都の順法寺・六角堂の僧侶、池坊専好(野村萬斎)は、鴨川で行き倒れの人に花を手向けていました。
ある時、六角堂に尾張の織田信長(中井貴一)から花を立てて欲しいとの依頼があり、住職の池坊專栄は、專好とその弟弟子の專武(和田正人)を岐阜城に派遣します。

  
     利休と秀吉               町衆の吉右衛門(高橋克美)と專好

 

專好は「上り竜」というテーマで松を中心に作り上げます。
居合わせた千利休(佐藤浩市)らの心をつかみます。 ところが信長の不興を買いますが、秀吉(市川猿之助)の機転で急場をしのぎます。

それから十数年経ち、世は秀吉の時代になっていました。
專好と千利休は、お互いを認め合う友となっており、秀吉の不興を買った利休が切腹させられると、專好の周りの人々も罪に問われ見かねた專好が、立ち上がります。


  
     專好と利休                「れん」と專好   

專好は、花で秀吉を諫めることを考えました。
それまで、華道を始め茶道や絵画などの文化に対する無理解と秀吉のごう慢さに業を煮やし、「花戰さ」を仕掛けます。


鴨川で助けた娘は素性が分からず「れん」(森川 葵)という名を專好がつけました。
その「れん」は、「むじんさい」と名乗る絵師の娘で、「むじんさい」も秀吉に殺害されたという設定になっています。

  
   「れん」の描いた猿群 (等伯をモデルか?)    ”国宝” 長谷川等伯の「枯木猿猴図」

 

その「絵」は、長谷川等伯の絵をモデルにしています。 
等伯は桃山時代と江戸時代の初期に活躍した絵師で、秀吉に殺害されておらず、この映画の創作と思われます。

ここで疑問は、本当に、池坊專好は秀吉に「花戰さ」を挑んだのでしょうか?
「花戰さ」とは、どのような戦いぶりかは、映画を見ていただければ良いのですが、実際に專好と秀吉の絡みがあったのかどうかです。
專好が前田家に出入りして、專好の大作を秀吉が見たということは、前田家の記録に残っているそうです。
この映画でも前田利家(佐々木蔵之介)の館(ここが戦場となる)で專好の作品を秀吉が鑑賞します。
映画では、ここで、專好と秀吉の息の詰まるような駆け引きが行われます。

このことから、秀吉と專好とは、会っていると思われますが、果たして伝説のようなことはこの記録では、專好が利休の仇をうったかどうかまでは分かりません。
ただ、專好と利休との交流については直接の資料は残っていませんが、お互いの芸術性を高めていったという説があります。

この時代劇の映画には、殺陣も合戦もありません。
花は剣よりもつよしということ、そして人の好みまで権力者に左右されないということを言いたかったのでしよう・・・・