日々の恐怖 1月7日 駐車場の女(1)
俺は、休みの前の日とか適当にブラーっと出掛けて車中泊をするという、他人から見たら何だそれっていう趣味がありました。
車中泊は警察に声かけられたり、若いヤツらに覗かれたりするので場所選びに結構悩みます。
去年の夏頃、今日はどこで寝ようかなとブラブラ走っているとき、山奥に廃墟みたいになってる展望台があって、そこの駐車場でよくトラックの運ちゃんが寝てるのを思い出し、その場所にしようと車を走らせました。
駐車場には、やはりトラックが2台止まっていました。
端っこに止まっているトラックと距離を置いて、駐車場の真ん中の街灯の下に停めました。
後部座席を倒し、その上に毛布を引いて眠くなるまで携帯をいじっていましたが、そのうちウトウトとし始め、眠りにつきました。
しばらくしてパッと目を覚まし、喉が渇いたので前座席にあったバッグから飲み物を取り出そうと起き上がると同時に、急に後ろの方からコツンみたいな小石がぶつかるような音がしました。
反射的に後ろを見ると、特に何にもなく、
“ 虫かな・・・?”
と思いそのままジュース飲んで寝ました。
翌朝4時半頃、目が覚めトイレ行きたいなと車から降りました。
古い展望台、外にトイレは無く仕方なく建物の後ろで立ちションをしていると、トラックのドアをバンと閉める音がしました。
丁度、立ちションも終え、
“ トラックの人、起きたのかな?”
なんて思いながら車に戻ろうとすると、前からトラックから出てきたであろう、同じ年頃のメガネの兄ちゃんが、
「 昨日、寝れなかったんじゃね?怖かったろ?」
と話しかけて来ました。
俺は何のことかわからず、
「 ん?何が?」
と返すと、
「 あれ?気付いてねえの?」
と驚いています。
それからその兄ちゃんが話してくれたことなのですが、兄ちゃんがトラックでDVDを見ていると、俺がやってきて駐車場の真ん中に停めた、
“ 普通車が珍しいな、カップルか?”
なんて思いながらDVD見てたそうです。
DVDを見終わり寝ようかなと思い後部座席に行こうとした時に、何気なく俺の車を見ると、車のボンネットの前に女が立っていたそうです。
“ 彼女か?何してんだ?”
と思いつつよく見て見ると、ボンネットに手をついて車を抑える感じで立っていて、何か気持ち悪いなと思ったそうです。
そのまま、
“ 嫌なもん見たなあ・・・・。”
と思いつつ後部座席に移動し寝ようとしたのですが、妙に気になってまた俺の車を見てみると、今度は運転席の窓の横に女が移動していて、また抑えるように窓に手を突き出していたそうです。
“ うわあ!気持ち悪いな・・・。”
と思い、一瞬目を離した隙に今度は助手席側に。
“ これはマズイ!ヤバイ!”
とゾッとしながらジーッと見ていると、女が一瞬兄ちゃん側に頭をグイっと動かしたので、慌てて身を屈めたそうです。
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