日々の恐怖 1月24日 2006年お盆東北 ドリフコント夏
去年のお盆直前に、父方祖母が90超えで大往生だった。
祖母は田舎の本家の隠居だったので、親の世代までは、亡くなった日から祖母宅というか父方本家(農家の日本家屋)に泊り込みだった。
だけど、お盆という時期柄、お坊さんの都合がなかなかつかない。
結局、お通夜まで4日ほど日にちが開いた。
私は仕事の関係でお通夜から合流したのだけど、そこそこ広い家とはいえ夏場に20人以上の合宿はきつかったらしく、駅まで迎えに来た両親は既に軽い躁状態だった。
「 おばあちゃんがね、夜になると外廊下走ってるの~。
死に装束の白いの着てね、猛ダッシュしてるの、可笑しくて・・・・。」
やら、
「 おじいちゃん、もう亡くなって30年経つでしょ?
おばあちゃん来るの待ちきれないみたいで、夜になるとそこら中フラフラしてるし・・。」
やら、出てくる話がずっとこんなのばっかりだった。
本家で合流した親戚も、ほとんど目が軽く逝ってる。
最初はやばい雰囲気を感じてたけど、疲れきってる一同に代わり用事で走り回ってるうちに自分も同じ状態になってしまった。
寝ずの番してる最中は普通に、
「 あ、おばあちゃん走ってるね~。」
とか酒飲みながら話してた。
お葬式も無事終わったあと、自宅に帰ってから落ち着いて考えたらかなり怖くなった。
その場では白装束で全力疾走な婆さん見ておかしかったんだけどね。
今から思えば、たぶん暑い盛りに喪服でバタバタしなきゃいけなかったので、集団ヒステリーだったんじゃないかと思う。
ただ透けてたし、目の前で棺に入ってるおばあちゃんが振り向くと猛ダッシュしてるしで、もう笑うしかなかった。
ちなみに、おじいちゃんは私が生まれる前に60代で亡くなってる。
だから写真でしか顔を知らなかったんだけど、夜にトイレに行く途中に廊下でぶつかりそうになったおじさんが、そうだったようです。
普通にその辺歩いてたみたい。
“ 見知らぬ親戚がいるな・・・。”
ぐらいに思ってたけど、後で親に確認取ったら、
「 あ、それじいちゃんだわ。
今日泊まってる親戚で、つるっぱげはいないし。」
と言われました。
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