日々の恐怖 1月9日 岐阜の山道(1)
3年くらい前の夏、ツーリングで岐阜の山の中走ってたときのことです。
それまで晴れてたんだけど急にポツポツ降りだして来て、たまたま休憩所というか駐車場みたいな場所があったから、休憩がてらに寄った。
そこは駐車場とトイレと、休憩所みたいな木製の屋根とテーブルとベンチがある場所があった。
トイレで用を足していたら雨が凄くなってきて雷も鳴り出して、いつ雨が止むかわからないし、レインコートを着て様子を見ようと思った。
着替えるのにテーブルの上に荷物を置いてごそごそレインコート取り出して、ふと見るとベンチに老夫婦が座ってた。
“ 今までいなかったのに、いつ来たんだ・・・?”
と思いながらも、雷雨がいつ止むのかのほうが俺には重要だった。
着替えて5分くらい空を見てたんだけど、老夫婦はその間無言だった。
居心地が悪いし俺のほうから挨拶がてら、
「 急に降り出しましたね。」
と声をかけた。
老夫婦は俺の言葉に、
「 ずっと降ってるよ。」
爺さんの声が聞こえた。
“ 今降り始めたばかりなのに、何言ってんだろ・・・・?”
と思ったけれど、顔合わせないように空を見ながら、
「 バイクだし、早く止んでくれないと帰れないんですよ。」
と返した。
すると爺さんは2秒くらい間をあけて、
「 そうだね、可哀想に帰れないね。」
と言った。
そこで、
“ アレ・・・・?”
と思って老夫婦のほうを見たらいない。
辺りを見回してもいない。
“ あ、これヤバイやつかも・・・。”
と思って立ち去ろうとしたら、遠くで怒鳴り声が聞こえたような気がした。
そこで、プツっと意識がなくなったんだけど、ハッと目が覚めたら、30代くらいのお兄さんが俺の肩を揺らして、
「 大丈夫か?大丈夫か?」
ってやってた。
聞いたら、そのお兄さんがトイレから出てきたら、俺が柵を乗り超えて崖の下にダイブしそうになってたところを慌ててとめてくれたらしい。
時間からして、気を失ってたのはそう長くはなかったと思う。
あれだけ降ってた雨もやんでいた。
というか、お兄さんが言うには雨なんか降ってなかったらしい。
でも、俺はレインコートを着てて、道路とかは確かに雨の痕跡はないんだけど、レインコートだけはびっしょり濡れていた。
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