日々の恐怖 1月10日 岐阜の山道(2)
昨年の夏、バイクでツーリングに行った。(岐阜の山道(1)のさらに5年前)
三人で飛騨高山の山道をのんびり流して、休憩所の小屋みたいなのがあったのでそこで休んだ。
誰もいなかったのでAがベンチに横になり少し寝かせろと言った。
俺とBは景色を見に遊歩道に進み、滝がある所に出たので、そこに30分くらいいた。
黒い雲が出てきたので降るかも知れない、すぐ出発しようと小屋に戻る。
Aが爆睡してたので、揺さ振って起こそうとするも起きない。
とうとう雷雨になってしまいそこで雨宿りする事になった。
Bと談笑してると傘をさした夫婦が入ってきた。
Bが、
「 こんにちは、災難ですね。」
と話かけると旦那が、
「 ええ、ほんとに。」
と応えた。
俺とBが話をしている間、その夫婦はずっと黙ったまま、寝てるAのほうを見ていた。
気味が悪いので、それ以上見ないようにしていた。
大きい雷がどこかに落ちて、俺とBがビクッとした。
突然、Aがむくっと起き上がってこう言った。
A「 今の顔、見たか?」
何言ってるかわからず見回すと夫婦がいない。
Bが慌てて外に出ると、俺たちの三台のバイクしかない。
A「 もう大丈夫かな。
寝てたら、ヤバそうなの来た気配がして起きた。
ずっと見られてたから寝たふりしてた。」
B「 俺、話かけちゃったよ。」
A「 災難ですね、だろ。
ヤツはええ、ほんとに、と答えたよな。
あれ、お前のことを言ってたんだよ。」
Bはかなりビビッてたが、
A「 大丈夫、俺、時々こんな体験するから寝た振りしながら、どっか行けって念送ってた。」
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