日々の恐怖 1月20日 月明かり
妹が結婚して新婚旅行へ旅立った後に、妹の新居の中庭で呻いている女が救助された事件がありました。
その女は妹の亭主の同僚でした。
妹の旦那を好きだったとか、付き合っていたと言うわけではなく、ただの独身女の妬みで、窓ガラスでも割ってやろうとしての侵入でした。
しかし、マンション1Fのベランダに侵入したら、月明かりに照らされた畳の上に、振り袖の日本人形がポツンと立っており、恐怖のあまりベランダの柵乗り越えに失敗して転落したそうです。
今も、その日本人形は実在しています。
両親が私と妹が産まれたときに、それぞれに日本人形を買ってくれました。
妹はそれを新居に連れて行き、まだ家具などが揃っていなかったので畳の上に置いていました。
ただ一つ不思議なのは、妹夫婦は用心のため、カーテンも雨戸も閉めておりました。
そのため月明かりに照らされた日本人形を、侵入に失敗した女が見られるはずがありません。
そもそも、人形が月明かりに照らされるはずもありません。
なんとなくその疑問に関しては、妹夫婦も他の家族も触れないようにしています。
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