大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 1月23日 鏑矢

2016-01-23 19:33:58 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 1月23日 鏑矢



 俺の生まれ故郷は中国山地の近くの山村で、じいちゃんもばあちゃんもその村で生まれて知り合ったらしい。
それで、ばあちゃんの家系は神主で神社を持っている。
 毎年秋には、その神社は昔からの言い伝えにならって、ある祭りを行う。
去年の秋もその祭りをやった。
 その内容は、武者姿をした若者が、神社の境内から鬼門の方向にある木のてっぺんに向かって弓を射ると言ったことで、去年はその弓矢を射る役目は俺がやった。
 その矢の鏃は鏑で、ブ~~~ンって音が出る。
そして、その矢を拾った人は一年を無病息災で過ごせるって言い伝えがある。
 それで、去年の祭りのときだった。
鎧着て、烏帽子を被り、境内の真ん中で鬼門に向かって弓を射た。
ブ~~ンって感じの音がして、鬼門の方向にある巨木の上を超え、境内の外にまで飛んで行った。
 みんなが矢を拾おうと走って行くも、戻ってきた人が言うには、誰も拾った人はいなかったと言うことだった。
 それで、なかには、

“ 巨木の上を超えた辺りで消えてなくなった。”

って言う人も出てきた。
子供の頃から祭りには行ってるけど、弓矢が消えたのは初めてだったから、俺も驚いた。
 なんともよくわからなかったが、着替えのため社務所に行くと、その神社の神主をしている叔父が出てきて言った。

「 木の上を矢が通ったとき、見えない何かに当たってドガって音を立てて消えたんだ。
きっと良くないものがいたんだろうな。」

それで、とりあえず祭りは無事に終わって、夜の打ち上げのとき総代の人から、

「 来年も弓取りよろしく!」

って言われた。
 ちなみに、俺は地元の祭りで神楽やったり笛を吹いたりしてるから、神様に好かれてるのかもなって年寄り連中には言われる。
なんか、これからは毎年弓取りを任せられそうになってしまった。











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