日々の恐怖 7月22日 浮遊物(2)
例の場所、立体駐車場地下で、風船かなにかに見える浮遊物が見えたらしい。
勤務時間過ぎているが確認に行ってくれないかと頼まれた。
電灯はすべて落ちていて真っ暗。
その中をKさんと二人で、マグライトをそれぞれ持って確認に向かった。
事務所との連絡用にインカムも持って。
まずはエレベーターで屋上に向かい、そこから下に降りていく事にした。
屋上・・・特に異常なし。
インカムで伝える。
3階・・・異常なし。
真っ暗闇に4本の光の筋が通る。
怖い。
2階・・・異常なし。
インカムで伝えると、地下で何か動くものが見えるとの返事があった。
今、マネージャーが、非常灯だけでなく通常灯をつける準備をしているとのことだった。
その間に1階に下りた。
異常なし。
1階の換金所前に、ホールスタッフ数人とマネージャーがいた。
一緒に行くと言う。
通常灯が点いてもなお薄暗い中を進む。
地下に降りると空気が一変した。
雨の音が小さくなり静かにはなったが、何故か冷たく感じた。
皆の息が荒くなる。
光が薄暗く、懐中電灯の光も弱々しくなったような気がする。
余談だが、プレステ用ゲーム『トワイライトシンドローム』を初めてした時、この時の空気が変わった雰囲気をよく再現していたことにびっくりした。
あのゲームを作った人の中には、実際に怪奇現象の経験者がいると思う。
駐車場地下最奥に向かい、壁に懐中電灯を向けた。
いた。
車が止められない物置スペースになっている場所に、何か白いもの。
光に反射する水蒸気のようなもの。
スーッと動いて壁の中に消えた。
全員見た。
「 わーっ!」
と大声を上げて逃げ出す。
換金所まで戻り、そこで皆息をつく。
1人足りない。
ホールスタッフの学生バイトだ。
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