日々の恐怖 7月21日 浮遊物(1)
今から数年前、大学生のころパチンコ屋でアルバイトをしていた。
と言ってもホールではなく、駐車場の警備員だった。
時給はホールよりも安いが、シフトの自由と体力的に楽だったので、結構気に入って働いていた。
店の営業時間は朝10時から夜の11時。
駐車場警備員は全部で5人。私のほかはみな社会人だった。
そのうち3人はシルバー人材センターからの派遣、もう一人は自衛隊上がりで警備会社から直接雇用のKさんだった。
そのKさんと私は比較的年齢が近く、一緒の勤務上がりの時には飯に行ったりしてそこそこ仲が良かった。
2年間のアルバイトで怖い話が二つある。
週に4回ほどのアルバイトを始めて半年くらい経ったころ、遅番の勤務に入ると、同シフトのKさんが手招きをして言った。
最近立体駐車場の地下の一番奥で、少し不思議なことが頻発してると言う。
Kさんではなくシルバー派遣の人が見たらしいのだが、閉店後、駐車場一番奥で女性を見かけたらしい。
懐中電灯を持ち近づいて行くと消えた、それも梅雨を迎えた最近になって見かけるようになったとのことだった。
Kさんは、
「 世の中には不思議なことがあるからな~。」
とつぶやいていた。
夕方に近づくにつれて雨が降り出した。
その日はたまたま翌日が新装入れ替えで、夜10時で閉店だった。
10時を少し回って最後の換金客も出たころ、ホールスタッフが私達の方に近づいてきた。
防犯カメラに変なものが映っていると言う。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ