大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 7月2日 仮住まい(4)

2016-07-02 21:41:33 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月2日 仮住まい(4)




 それを聞いて俺もほっとしてテレビとかを見ていたんだが、少し経つと急に隣の部屋が騒がしくなっていった。
そして父さんが慌てて戻ってきて母さんに何かを伝えると、また家から出て行った。
その直後、急遽俺は母親の運転する車で母親の実家に移動し、そこで数日を過ごした。

 さて、ここからは全部伝聞だが、どうやらその時隣の部屋では大変なことが起きてたみたいだった。
というのも、管理人さんと父さんが部屋の合鍵を使って中に入ると、そのAが首を括って死んでいたのだ。
 それだけならまぁ普通の自殺事件で終わっていたのだが、Aが首を吊っていた部屋がこれまたかなり異常だったらしい。
 まず、部屋の天井から何十本も首吊り用の縄が釣り下がっていた。
ご丁寧に天井にフックを打ち込んでの本格的なやつで、Aはそのうちの1本を使って自殺していた。
 そして第二に、大量の男の子の写真が部屋から見つかった。
隠し撮りしたのか、ほとんどがブレてたり影に隠れてたりではあるけど、それが大量に見つかった。
 当然その中には俺の写真も含まれていて、Aは俺の写真を握り締めながら死んで行ったらしい。
それは俺の写真だけがAの足元に落ちていたからだ。
 最後にコレが一番衝撃的だったのだが、その部屋にはおばさんからのAへの置手紙が見つかった。
内容は、

“ 辛くなったらこれ(縄)を使いなさい。
お友達と一緒にいきたい時は予備のを使いなさい。”

的なことだとか。
まぁ流石に細かい部分までは知らないが、成人したときに父が聞かせてくれたものは以上である。
 あの時Aは俺に何をしようとして腕を引っ張ったのかはわからない。
もしかしたら友人と楽しそうに話してる俺を見て、寂しくなって話がしたくて腕を引いたのかもしれないし、そしたら或いはAも自殺することはなかったのかもしれない。
でも仮に一緒に逝きたくて、俺をぶら下げるために引き摺りこもうとしていたのかと考えると怖くてたまらない。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------