国家を超えて普遍的な倫理を語る器量をまったく持っていないことも露呈してくれた。
こういった重大なことがサリン―オウム事件がのこした影響のうち、長く尾をひいて
ゆくものだとおもう。
「政治・社会・経済を讀む―サリン・オウム事件」
八重洲レター 1995年
Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012
※ 当時、麻原は天才という噂を、千人に一人クラスの知性の持ち主たちから聞かさ
れる。その教祖が集団殺人を指示し? 忖度、実行された結果責任を彼らはどう
考るのだろうか?あるいは、被害者(家族を含む)の失われた基本的人権をどの
ように救済、回復し、未来社会に担保されるべきなのか?未だに深い闇の中にあ
る。
【再エネ百パーセント時代:固体リチウムイオン電池もトップランナー】
日本で誕生したリチウムイオン電池は,携帯電話などの小型民生用に関しては韓国メーカーの後
塵を拝する状況となっていたが、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車,家庭用蓄電池など
の中・大型蓄電池の大幅な需要の拡大が見込まれ、安全性と高エネルギー密度,長寿命を兼ね備え
た革新的蓄電池であるバルク型全固体電池の研究開発が、日本の大学や企業において活発に進めら
れ成果報告が相次いでいる(上図ダブクリ参照)。たとえば、3月22日、広く普及しているリチ
ウムイオン電池の3倍以上の出力特性を持つ、全固体(型)セラミックス電池が開発される。東京
工業大学物質理工学院の菅野了次教授、トヨタ自動車の加藤祐樹博士らの研究グループは、リチウ
ムイオンの伝導率がこれまでの2倍という過去最高の性能を誇る固体電解質の発見により実現――
などの成果事例も報告されている。
さらに直近の8月24日、光学ガラス専業メーカーの株式会社オハラは、酸化物系材料を用いた全
固体リチウムイオン電池で、マイナス30℃の低温下においても駆動する電池の試作・実証に成功
したと公表。一般に全固体電池は界面抵抗が大きく、中でも酸化物系の無機固体電解質を用いたも
のは、低温下の特性が低下する。電池を積層構造化することで、緻密で効率的な構造を持つ全固体
電池を作成し固体電解質に酸化物系固体電解質「LICGC」、正極と負極に酸化物系材料を用い、粉
末シートを積み重ね一括焼結。一般的な小型電子機器向けに使用される液体リチウムイオン電池で
は駆動が難しいマイナス30℃という低温下での駆動に成功する(上写真参照)。
また、この電池は電解液や一部の全固体電池で使用される金属リチウムを使用せず、200℃の高
温環境でも燃えず大気中で安定し、硫化物系の無機固体電解質を使用した全固体電池と比較し、安
価に製造できる特徴がある。今後、酸化物系固体電解質であるLICGCの固体電池への採用を進める
方針。今回試作に成功した全固体リチウムイオン電池は、現在小型電子機器に搭載され、電解液を
用いたリチウムイオン電池と置き換わる可能性があり、17年にかけ課題抽出し対策をねり、19
年の電池部材の主流として、需要拡大が見込まれる住宅などの定置型蓄電池システムや電気自動車
向け電池向け市場での拡販を目指す。
ところで、同社の「積層シートの一括焼結製法」とはいかなるものか?「特許5144845 固体電池
株式会社オハラ 2013年02月13日」(下図参照)ではつぎのようなもの。
【符号の説明】
10 固体電池 12 固体電解質 14 正極(図2においてはグリーンシートである) 16 負
極(図2においてはグリーンシートである) 18、20 酸化物 22 正極集電体 24 負極集
電体 26 リチウムイオン
上図のように、固体電解質12、正極14、そして、負極16のグリーンシートがそれぞれ準備さ
れる。この固体電解質グリーンシート12の仮焼成体の両面(上図においては、固体電解質12の
上面及び負極16の上面になっているが、どちらでもかまわない)にジルコニア前駆体が有機溶媒
に分散した溶液を塗布し室温で溶媒を乾燥させた。作製した正極、負極グリーンシート仮焼成体を
固体電解質の両面に配置し、ホットプレスにて加圧しながら、加熱温度120℃で10分間保持し
た後、室温まで冷却した。その後、作製した積層体をジルコニア製のセッターに挟み、大気を入れ
た電気炉内において550℃で1時間、更に920℃で10分間の焼結を行い正極、固体電解質、
負極の一括焼結体を作製した。この一括焼結体の含水分量は150ppmであった。また、各電極
グリーンシートをそれぞれ積層せずに同条件で焼結体を得たところ、正極の空隙率は11%、負極
の空隙率は7%であった。
さらに、一括焼結体の上面であるコバルト酸リチウム表面に蒸着法にてAlを成膜し集電体を形成
した。また、チタン酸リチウム負極側にCuをスパッタリング法にて薄膜を形成し、集電体を構成
した。得られた集電体付き積層体を150℃で真空乾燥し、その後、露点温度-60℃以下のAr
雰囲気のグローブボックス内で、正極にAl箔を、負極にCu箔を集電リードとして乗せて、ラミ
ネートセルに封入した。得られた固体電池を室温にて2.7Vにて定電流-定電圧充電を行ない、
0.05mAにて放電したところ、正極活物質換算で115mAh/gの容量が得られるというも
の。
昨夜の「ナトリウム硫黄で蓄電池のマイクログリッド」に続いて「全固体電池:全固体リチウムイ
オン電池」の話。後は日本のお家芸である、「自在な高い品質でローコスト生産」でトップを走る
ことになる。これも面白い。
【帝國のロングマーチ 32】
● 折々の読書 『China 2049』50
秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」
ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・
ピルズベリーが自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の
知られざる秘密戦略「1000年マラソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。
日本に関する言及も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日
常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。
【目次】
序 章 希望的観測
第1章 中国の夢
第2章 争う国々
第3章 アプローチしたのは中国
第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
第5章 アメリカという巨大な悪魔
第6章 中国のメッセージポリス
第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
第8章 資本主義者の欺瞞
第9章 2049年の中国の世界秩序
第10章 威嚇射撃
第11章 戦国としてのアメリカ
謝 辞
解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか 森本敏(拓殖大学特任教授・
元防衛大臣)
第11章 戦国としてのアメリ力
釜底抽薪――釜底の薪を抽く
『兵法三十六計』第十九計
把柴火从锅底抽掉,才能使水止沸。比喻从根本上解决问题(お湯が沸いている釜の底から薪を抜け
ば、釜の湯はいずれ冷める。そうなれば簡単に処理できるという理)。
extracting the firewood from under the cauldron
【第3段階】競争力を測定する
戦国時代の多くの物語において、策謀家は戦略を選ぶ前に、力の均衡を慎重に判断する。こ
れは、伝統的なアメリカのビジネスルール、「測れるものは改善できる」に通じる教えだ。シ
ンプルな教えだが、意味は奥深い。改善しなければならないものをよく知らなければ、改善で
きないということだ。競争で前を走る者を抜くには、自分がなぜ後れをとったかを知る必要が
ある。毎年、中国はアメリカとの比較における自国の競争力を 分析している。なぜ、アメリ
カも同じことをしないのだろうか。
1986年に設立された非営利の米国競争力協議会は、アメリカの国際経済競争力の強化を
目指しており、メンバーは企業のトップ、大学総長、全国労働機関の長、著名な研究機関から
なる。この協議会の刊行物には、アメリカの製造業は遅くとも2017年までに競争力を失い、
一方、中国は、政府が製造業と工業に多額の資金役人をするなどの理由から、トップに居続け
るという予測が、詳しく書かれている(注2)。
アメリカ政府も同様に、よりしっかりとアメリカの競争力を測定すべきだ。ホワイトハウス
は連邦議会に、アメリカの競争力が主要なライバルと比べてどうかという予測や、その傾向を
載せた年次報告書を提供すべきだ。情報コミュニティをはじめとする政府の多くの部署が、そ
の作業に関わる必要があるだろう。対象とするのは、すべての国ではなく、中国をはじめとす
る上位10カ国だけでいい。
【第4段階】競争戦略を考え出す
戦国の戦略ではしばしば、指揮官がどのように「修正」を受け入れて、競争相手より迅速に
カを増していくかが語られる。重要なのは、戦略を変えるべき時を見極め、望む結果を得るた
めに新たな戦略を断行する柔軟さである。
ウッドロー・ウィルソン国際学術センターのアメリカ/グローバル経済プログラムの部長で
米国競争力協議会の元会長でもあるケント・ヒューズは、中国の技術力の進歩を、1957年
にソ連が打ち上げたスプートニク人工衛星と比較した。スブートニクは、アメリカの技術的優
位と軍事的優位への挑戦と見なされたが、それがアメリカの工学と科学教育への投資と、民間
セクターの革新を促したことに、ヒューズは注目した。今のところ、中国の発展は、そのよう
な強い反応をかき立ててはいない。ヒューズは、競争力を維持するための有望な提言をいくつ
もした。その中には、民間セクターと公共セクターが協力して、競争力を高め、財政・金融改
革、技術革新を進め、生涯にわたって学習する文化を創造するという提言も含まれており
(注3)、それがアメリカの民間の研究開発を向上させた(注4)。同様に、元IBM副社長
で、ニューヨーク大学に所属する著名な数学者、ラルフ・ゴモリーは、「アメリカの製造業の
真の復活」を促進し、中国の「政府による土地やエネルギーの提供、科学技術への莫大な投資、
低 金利あるいはゼロ金利の融資」に対抗することを提案する(注5)。米中経済安全保障調
査委員会のパトリック・ムロイも、「全般的なこの状況は、アメリカの経済的優位や国の安全
に長期的脅威を及ぼす」という理由から、新たな競争戦略の必要性について述べている(注6)。
公共政策アナリストのロバート・アトキンソンとスティーヴン・エゼルは、アメリカの競争
力を高めるための、複数の行政機関による計画を提案してきたが、党派の政治的思惑からそれ
が妨害あるいは中止されることを懸念している。ふたりは保守的な人々にこう警告する。「右
派は、世界を牽引するアメリカの軍事力がほんの少しでも傾けば敏感に察知するが、不思議な
ことに、アメリカ経済の衰退が国の安全、特に防衛力を脅かすことには気づいていない」左派
に対しては、「アメリカが新技術の国際競争で負けたら、『社会正義を前進させる』という自
分たちの使命を達成できないことを左派の議員は知るべきだ」と忠告す(注7),
【第5段階】国内で共通性を見いだす
戦国時代のリーダーたちは、同盟国と親密な関係を結び、共通の目的のもと、たえまなく変
わる協力体制を作り上げた,昔も今も、分裂は危険である。アメリカの対中政策を修正すべき
だと主張する人は(政府の中にも外にも)大勢いるが、往々にしていくつかの党派に別れ、互
いをライバル視している。少なくとも1995年以降、北京の中国人学者は、自国の対中政策
を批判するアメリカ人は政治的見解の相違から分裂し、決して互いに協力しようとしないとい
うことを、嬉々としてわたしに語ってきた。 中国に変化を期待するアメリカ人同士が手を結
ぶという時代は、とうに終わった。
これからは、中国政府の改革を促そうとするアメリカの有害で時代遅れなアプローチを変え、
中国を変えていくために、アメリカ人は垣根を越えて大々的に手を結ぶべきだ。例えば、ダラ
イこフマを支持する人は、国防総省の空海戦闘構想を後押しする防衛専門家と手を組むべきで
あり、中国での人権保護を主張する人は、知的財産保護を求める産業界と連携する必要がある。
さらには、「一人っ子政策」の修正を求める中絶反対グループは、連邦議会の民主主義を促進
する組織と連携すべきだ。
【第6段階】国家の縦の協力体制を作り上げる
中国が南シナ海に関する要求を拡大し、フィリピンの漁船を脅し、ベトナムの地震石油探査
船が敷設中のケープルを切断し、さらに、最近になって東シナ海に防空識別圏を設定したのに
は理由がある。その一帯の豊富な天然資源を狙う中国は、近隣諸国が団結して中国の野望を妨
害しないよう威嚇しているのだ。
囲碁をしてもしなくても、敵の一団に囲まれたら危険だということはわかる。中国もまた、
近隣諸国がそのような同盟を結ぶことを恐れている。アメリカはまさにそれを、モンゴル、韓
国、日本、フィリピンなどの国々とともに進めるべきだ。そうした連携の脅威だけでも中国政
府をためらわせ、その敵意を抑制できるかもしれない。中国は、アメリカとその同盟国がソピ
エト連邦を封じ込めたことを知っている。アメリカが中国の近隣諸国への援助を強化し、協力
を促していけば、中国は孤立し、取り残されたように感じ、タカ派がその責めを負うことにな
るだろう。
【第7段階】政治的反体制派を守る
ソ連の崩壊を導いたのは、ソ連や東欧の反体制主義者で、彼らは検閲や宣伝工作、宗教迫害、
経済的奴隷化が永遠に続く未来を拒み、戦った。その戦いの指導者はヴァーツラフ・ハヴェル
やレフ・ヴァウェンサ、アレクサンドル・ソルジェニーツィンらだった。彼らは、勇気と情熱、
信念を武器として、ソピエト連邦と鉄のカーテンを崩壊させた。しかし、彼らは自分たちだけ
でそれを成し遂げたわけではない。トルーマンからレーガンヘと続く大統領たちが、彼らを
擁護したのだ,彼らが投獄されれば、アメリカの大統領がその釈放を要求した。彼らが資金を
必要とすれば、アメリカ人が送金した。彼らが政府に禁じられている発言をしようとする時に
は、アメリカ人が印刷機を貸し、彼らの戦いと信条を、ラジオ・フリー・ヨーロッパを通じて
何百万軒もの家に伝えた。
今日、中国は、仏教徒のチベット人と、イスラム教徒の新疆ウィグル人への迫害を強めてい
る。チベットでは、夜間外出禁止令を敷き、抗議者を逮捕し、罪のない一般市民を殺害し、ダ
ライ・ラマの最近の言葉によれば、その地域を「この世の地獄」に変えてしまった(注8)。
新疆ではインターネットと電話回線が日常的に遮断されている。さらに、チベットと新疆には、
政府の支援によって漢民族が移住し、その割合が劇的に増加している(注9)。
中国はキリスト教徒も迫害している。一般に、外国人はパスポートを提示しなければ、教会
の礼拝に出席できない。なぜか? 中国は無神論の共産党に支配されており、政府は国民を国
営でない教会から遠ざけたいと思っているからだ。多くの専門家は中国には6千万~1億人の
キリスト教徒がいて、その数は増えていると推定する(注10)。テキサス州に拠点を置く人権
団体チャイナ・エイドの創設者で、代表でもあるボブ・フー(傅希秋)は、中国人が信仰と自
由を守るのを支援しようとしている。この組織の目的は、法改正を進め、中国にある「家庭教
会」に資金を提供し、服役中のキリスト教徒を支援することだ,フーは、一人っ子政策に起因
する暴力に焦点を当てるとともに、中国のその他の人権活動も支援している,最近では、軟禁
されていた盲目の人権活動家、陳光誠が自宅から脱出し、アメリカに渡るのを助けた(注11)。
1989年の天安門広場での虐殺を生き延びた反体制主義者、揚建利は、25年にわたって、
中国政府に説明責任を果たさせるために戦っている。彼は中国国内の民主主義擁護団体と、世
界中の人権活動家と結びつけるための団体、「公民力量一を設立した(注12)。そうした活動
を咎められ、5年にわたって収監されたが、釈放されたのは、アメリカ両院と国連の満場一致
の支持を得て非営利団体が働きかけた結果だ。彼の釈放は、国外からの支援があるかないかで、
反体制主義者の運命が大きく変わることを示している。楊を支えたのと同等の力で、アメリカ
政府が中国の他の多くの反体制主義者を支えれば、彼らがどれほどの力を発揮できるか、想像
していただきたい。
下院議員のナンシー・ペロシが常にダライ・ラマを支持してきたように、ジョージ・W・ブ
ッシュ大統領は中国における信仰の自由を拡大しようとするフーの努力を支持した。だが、残
念ながら、オバマ大統領は支援を求めるフーの嘆願に沈黙で答えたそうだ(注13),オバマ大
統領は、中国の人権問題を中国政府が気にかけている貿易関係などの問題と結びつけようとし
なかった。オバマ政権は、2009年4月に胡錦濤国家主席と開催した「戦略経済対話」に人
権を盛り込むことさえしなかったのだ。
アメリカ政府は、100年マラソン計画に立ち向かう時に、最も有力な陥力者になるであろ
う人々のカを軽撹してはならない。
手に汗で本著の核心を読み飛ばす。次回は【第8段階】に移り、後2回で掲載は終了する。
この項つづく
● 今夜のアラカルト
【無花果とマンチェゴのクルトンハーブサラダ】
●作り方:①ニンニクをパン表面にラビング(こすりつける)。②パンを大きく三角形にカット。
③中火でフライパンを加熱し、オリーブオイルを加え先程のパンを入れ、海塩、黒こし
ょう、ハーブ(パセリ、タイム、ローズマリー、チャイブ、またはタラゴンなどみじん
切り混合)を加え3~4分をきつね色なるまで加熱する。④ニンニクと海塩をペースト
にマスタード、蜂蜜、シャンパン酢、オリーブオイルを加え(泡立て器などで)混合し、
エシャレットとハーブを加え混ぜドレッシングとする。⑤大きなボールに、ルッコラ、
マスタードグリーン、または水菜などのすこし苦みのある野菜を入れ、1/4カット
の無花果と長方形にスライスしたマンチェンゴチーズを加え、④のドレッシングを振り
入れ、さらに、③でローストしたクロトン(カットパン)を混ぜ皿に盛り合わせる。
※ 材料のアレンジは適当に!