10 先 進 せんしん
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「顔淵死す。子曰く、『ああ、天われを喪ぼせり。天われを喪ぼせり』
」(9)
「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」(12)
「過ぎたるは、なお及ばざるごとし」(16)
「道をもって君に沢え、不可なれば止む」(24)
「なんぞ必ずしも書を読みて、然る後に学ぶとなさんや」(25)
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14 魯の役人が、国家財産を保管しておく倉庫を改築した。
「今まで間にあっていたのなら、それでいいじゃないか。改築する必要
はないはずだ」と閔子騫(びんしけん)が批評したときいて、孔子は、
「ふだんは無口な男だが、口をひらくとなると的を射たことを言う」
魯人爲長府、閔子騫曰、仍舊貫如之何、何必改作、子曰、夫人不言、言
必有中。
Some people of Lu wanted to rebuild the treasury. Min Zi Jian
said, "The customary style is good enough. Why do we need to
rebuild it in the new style?" Confucius said, "He seldom speaks.
But his word is always to the point."
【ポストエネルギー革命序論138】
世界初!人工知能適用創薬臨床試験へ
世界で初めて臨床試験されるという。英国の新興企業 Exscientia 社と
日本の製薬会社 大日本住友製薬株式会社により製薬----強迫性障害(O
CD)のある患者の治療に使用される薬剤は、長時間にわたりセロトニン
5-HT1A受容体に作用する強力なアゴニストであり、強迫性障害治療剤候
補としてフェ-ズ1試験を開始。大日本住友製薬は、研究重点3領域の
一つである精神神経領域において、アンメット・メディカル・ニーズに
応え開発パイプラインを拡充できた。本研究で非常に短期間に新薬候補
化合物を生み出し満足できもであり、Exscientia社の優れたAI技術と大
日本住友製薬のモノアミンGPCR創薬に関する経験値が相乗的に働く。通
常、医薬品の開発には試用に約5年はかかりるが、AI医薬品の開発に1
年で実現。同社の担当責任者は「創薬における重要なマイルストーン」
であり、また、患者の診断、患者データとスキャン分析----新薬創成時
にAIを使用。DSP-1181分子は、潜在的な化合物をふるいにかけるアルゴ
リズムを使用し、これをを巨大なデータベースと照合させる。つまり、
適切な分子を見つけるには何十億もの決定を必要として、薬物を正確に
設計することは大きな決定だとし、また、アルゴリズムは不可知論的ゆ
え、あらゆる病気に適用できる。これは、最初の薬剤評価試験は日本で
行われ、成功すれば、さらにグローバルな試験を続ける。すでに癌と心
血管疾患の治療薬の開発を行っており、年末までに臨床試験の準備が整
う別の分子を持ちたいと考えている。今年は、このようなAIの設計創薬
は10年の終わりにはすべての新しい薬物がAIで創薬されると話す。こ
れに対し、がん研究所のポール・ワークマン氏は、この成果を次のよう
に述べている。「これは現在、ひとの臨床試験段階での新薬の初めての
AI適用技術の実例である」と。
✔ 唯アルゴリズム主義は問題だが、やって看なければわからない!
安全なカリウム二次電池
1月31日、リチウム技術を超えた次世代エネルギー貯蔵システムでの
用途向けに、カリウムおよびカリウムイオン電池用の不燃性電解質を開
発----有機リン酸塩を元に新しい電解質が蓄電池をより安全に、また大
規模な用途に必要な低濃度での動作を可能にする----された。
【要約】
それらの用途の主な障害は、安全で効果的な電解質の不足。リン酸トリ
エチルなどのリン酸ベースの難燃剤は、リン酸が低濃度で機能できない
以前のLiおよびNaシステムとは対照的に、0.9μmのカリウムビス(フル
オロスルホニル)イミドを含む単一溶媒として機能することを示めす。
この電解質は2μmに最適化され、低コスト、低粘度、高導電性の利点を
備え、均一で堅牢な塩由来の固体電解質界面層を形成し、非樹枝状K-ク
ーロン効率99.6%の金属めっき/ストリッピングと高度に可逆的なグラ
ファイトアノードからなる構造をもつ。
✔ 実用可能か試作してみないとわからない!
光周波数帯で作動する高速応答ダイオード
光を直接電力に変換するデバイスの一つに"レクテナ"----アンテナで捉
えた光(電磁波)をダイオードで整流するデバイス。このデバイスで、
電子レンジの波長域(マイクロ波領域(数 GHz))では90%以上の電
力変換効率あったが、太陽光の可視光波長域(数百THz~ )は、このよ
うな高い周波数で作動する高速応答ダイオードがないため作動できない。
東北大学の研究グループは、「金属―絶縁体―金属トンネルダイオード」
は、トンネル層と金属の間に自然酸化膜を意図的に成長させることでダ
イオードの高速応答性能が大幅に向上し、従来の10,000倍の光電変換効
率向上が可能であることを明らかにする。
【要点】
①光をアンテナで捉えダイオードで整流することで電力として取り出す
ことができ、従来の光の粒子性に基づく光起電力効果(太陽電池)とは
異なる光の波動性に基づいた光電変換が可能。
②マイクロ波領域(数GHz)では90%以上の変換効率が実現されており、
高効率な電力変換技術であることが明らかになってるが、可視光の波長
域(数百THz~)では既存のダイオードでの整流が困難であり、高速(
数百THz~)で作動するダイオードの実現が必要。
③これまでに報告されている高速応答ダイオードと比較し、約1,000倍
の電力変換効率向上に寄与するダイオード性能を実証。さらに構造最適
化によって約10,000倍まで光電変換効率の向上が可能である。
今回、トンネル層を構成する金属酸化物とその金属を用いた電極層(酸
化チタンとチタン)の間に、酸素不定比性の自然酸化膜(TiO2-x)を形成
することで、ダイオードの高速応答性と高い非対称性を実現した。これ
により、光電変換効率を大幅に向上できることが分かった。その理由は、
酸素不定比性を持つ酸化物層を設けたことで、従来のMIM構造に比べ、
順バイアス時の有効トンネル障壁厚さが縮小し電流密度が向上したこと
と、順-逆バイアス時の有効トンネル障壁厚さの差が大きくなり、非対
称性が向上したことによる。
このような熱光起電力発電(TPV:Thermophotovoltaics)システムは、
太陽光や工業排熱などを用いて発電。同研究グループは、これまで用い
られてきた赤外光用PV(Photovoltaic)セルの代わりに、新開発の光
レクテナを用いると、極めて効率の高い光電変換が可能になるとみて
いる。
✔ このように太陽光発電(自然核融合エネルギー利用)技術及び産業
の技術革新(第5次産業/デジタル革命渦論)の速度は益々旺盛となっ
ている。
太陽光発電のみで稼働する「地球に優しいウェブサーバー」
太陽光は代表的な再生可能エネルギーであり、世界最大級のバッテリを
備えた巨大太陽光発電施設の建設開始や化石燃料と置き換え可能でコス
ト削減も望める太陽光発電の新技術の開発など、太陽光のエネルギーを
利用し環境に配慮する取り組みは日々拡大している。その一方、インタ
ーネットの普及によって二酸化炭素を排出するデータセンタなどが増加
していくのも事実。そうしたインターネットによる環境への影響を取り
上げるLOW-TECH MAGAZINEでは、太陽光発電による電力のみでウェブサー
バーを維持し、ウェブサイトを運営している。LOW-TECH MAGAZINEでは
2018年9月から太陽光発電による電力でウェブサーバを稼働させてお
り、1年間でおおよそ80万ほどのユニークユーザーがウェブサイトを訪
れたとのこと。そのウェブサーバーの構成を簡略化して表したものが以
下で、Olimexのボードを使ったサーバ本体、鉛蓄電池のバッテリ、ソー
ラーパネル、制御装置が基本的な構成となる。バッテリ容量の検証に、
1年間良好な天候のもとでサーバーを動作させ、バッテリーから消費し
た電力量を昼と夜の長さとともに記録したものがこれ。1時間あたりの
サーバーの平均消費電力は1.97Wであり、夜の時間が短い6月は1日あ
たりのバッテリー電力消費が17.4Whで済むが、夜の時間が長い12月はバ
ッテリから29.1Whもの電力を消費している。
尚、インターネットはますます電力を消費するようになっており、デー
タセンタを再生可能エネルギで稼働させるだけでは環境対策は不十分と
のこと。安定的な電力供給が難しい再生可能エネルギーとインターネッ
トをうまく共存させるには、インターネットが常にオンラインでなけれ
ばならないという考えを見直す必要があるとLOW-TECH MAGAZINEは 述べ
ている。
✔ オールソーラーシステムは間違いなく主流となるが、省エネも併行
しなければね。
図1 図1 βカロテンからオロバンコールに至る生合成の概略図: 本
研究により【図中の青色矢印】で示す反応を触媒するオロバンコール合
成酵素を発見
オロバンコール合成酵素の発見
根寄生雑草の被害を軽減、作物の生産能力向上を図る
ストリゴラクトン(SL)は植物ホルモンおよび根圏情報物質として注目
を集めている植物由来の化合物群で、植物の形態制御や、食糧生産に大
きな被害をもたらしている根寄生雑草の発芽促進に関わっている。地球
規模課題対応国際科学技術協力プログラムの一環として、神戸大学らの
研究グループは、東京大学、徳島大学の研究者との共同研究により、植
物に有用な菌根共生を促進するSLのカルラクトン酸を、根寄生雑草の発
芽を誘導するSLのオロバンコールに変換するオロバンコール合成酵素を
発見する。また、オロバンコール合成酵素遺伝子をゲノム編集によりノ
ックアウトすることにより、SLの生産を人為的に制御できるようになり
ました。これにより、それぞれのSLが担っている機能を解明する道が開
け、植物生産の向上を目指したSLの応用展開が期待されている。
図6 SlCYP722Cにおける標的変異の効果。
(A)SlCYP722C-KO植物におけるSlCYP722Cの上流で作用するSL生合成遺
伝子の遺伝子発現。 WT植物とKO植物は有意差なし。エラーバーは平均
±SEを表します(n = 3つの生物学的に独立した植物)。(B to D)WT、
SlCYP722C-KO、およびSL欠損変異体Slccd8(2757行目)(23)間の枝の
分岐(C)と茎の長さ(D)の比較。 赤い矢印は、成長中のa芽(> 2 mm
)を示す。 枝(>2mm)を数え、主幹の長さを50日間測定。エラーバ
ーは平均±SEを表す(n = 5つの生物学的に独立した植物)。異なる文字
は有意差を示す(P <0.05、Tukey-Kramer検定)。
【要点】
①ストリゴラクトンは、植物の形態制御、菌根菌との相互作用促進、根
寄生雑草種子の発芽誘導などのさまざまな機能を有することが知られる。
②ストリゴラクトンの化学構造は、ABC環を有するcanonical型と、BC環
が開いたnon-canonical型に分けられる。
③一連のストリゴラクトンに共通の生合成中間体であるnon-canonical
型のカルラクトン酸を、canonical型のオロバンコールに変換する酵素
遺伝子を発見。
④トマトにおいてこの遺伝子をノックアウトすることによりオロバンコ
ールの生産を阻害し、カルラクトン酸を蓄積させることに成功した。ノ
ックアウト体で根寄生雑草の種子発芽誘導活性が低下することも確認。
4種類の酵素により、一連のSLに共通の中間体であるカルラクトン酸へ
と導かれている。イネのジャポニカ種では、カルラクトン酸を二段階で
オロバンコールに変換するそれぞれの酵素が明らかになっているが、そ
の他の植物におけるオロバンコール生合成経路はわかっていなかったが、
マメ科のササゲおよびナス科のトマトでカルラクトン酸を一段階でオロ
バンコールに変換する新規オロバンコール合成酵素を世界で初めて発見
する(図1参照)。実験結果、CYP722ファミリーに属するVuCYP722Cタン
パク質がこの反応を触媒し➲オロバンコールを生産し、かつ、遺伝子
操作が容易なトマトからVuCYP722C遺伝子のホモログであるSlCYP722C遺
伝子を単離し➲オロバンコール合成酵素遺伝子であることを確認➲
ゲノム編集によりこの遺伝子をノックアウトしたトマト(KOトマト)を
作り➲野生型とは異なりKOトマトでは水耕液へのオロバンコールの分
泌が認められず、代わってカルラクトン酸を検出➲トマトでSlCYP722C
がnon-canonical型のカルラクトン酸をcanonical型のオロバンコールに
変換するオロバンコール合成酵素であることを証明➲KO体は野生型と
変わらぬ地上部形態を示す(図6 写真1)。このことはトマトの形態
制御にオロバンコールが必須ではないことを示す➲カルラクトン酸が
菌根共生を促進する活性があり、KOトマトで菌根共生に不利益はないと
考える➲KOトマトの水耕液は根寄生雑草Phelipanche aegyptiacaに対
する発芽誘導活性を低下させる(下図2)。トマトの生産は地中海沿岸
を中心に世界各地で P. aegyptiacaによる甚大な被害を被る➲オロバ
ンコール合成酵素遺伝子のノックアウトにより、トマトに対する根寄生
雑草の被害を軽減できる可能性が示された。
図2 SlCYP722C-KO根分泌物中のPhelipanche aegyptiacaに対する発芽
誘導活性
✔ もし実用化されれば、農業の革命が到来するだろう(どうして?そ
れは「ひ・み・つ・」)。
【世界の工芸:#CraftsOfTheWorld#KenkichiTomimoto 】
富本 憲吉
Tomimoto, Kenkichi
色絵金彩羊歯文大飾壹
Jar with fern design, overglaze enamels
1961昭和36
23.0(h)×27.0(d)cm
富本憲吉(とみもと けんきち:明治19年-昭和38年(1886-1963))
陶芸家。奈良県生駒郡安堵町に旧家の長男として生まれる。 明治42年
東京美術学校図案科卒業。イギリスに私費留学し、ウィリアム・モリス
などの影響を受け帰国。大正の始めバーナード・リーチとの交友を機に
郷里において独学で作陶を始めた。大正15年東京の祖師谷に居を移し、
国画会工芸部に籍を置き活動、昭和11年には九谷に赴いて色絵磁器に本
格的に取り組む。同12年帝国美術院会員、同19年東京美術学校教授に任
命され、後進の指導にもあたった。第二次世界大戦後はこれらの官職を
全て辞し、主に京都の窯で制作を続け、昭和30年重要無形文化財保持者
に認定され、同36年文化勲章を受章した。同38年5月京都市立美術大学
学長に就任したが、同年6月死去、享年77歳であった。「模様から模様
を作るべからず」を終生の信条に、白磁・染付・色絵と常に独創的な意
匠と造形を追求し、晩年には色絵磁器に金銀彩を加えた華麗な作風を大
成した。模様は身近な風景や植物のスケッチを基に独自に咀嚼したもの
が多く、代表的な常用模様に「竹林月夜」「大和川急雨」「四弁花」「
羊歯」などがある。『窯陶余録』『自選富本憲吉作品集』など著作も多
い。
✔ 陶芸の魅力に惹かれ心が癒されている毎日です。
【地域循環共生圏へGO!】
栗東トレセン「馬の寝床」の大鋸屑バイオマス発電
日本中央競馬会(JRA)が、西日本の競走馬の調教拠点「栗東トレー
ニング・センタ」(滋賀県栗東市)でサラブレッドの寝床に使った木く
ずや稲わらを利用したバイオマス発電を開始。JRAでは初の試みで、
2023年には東日本のトレーニング・センタ」(茨城県美浦村)でも始め
る。大気中の二酸化炭素削減につながるバイオマス発電で得た電力を再
利用し、地球温暖化の緩和に貢献するのが狙い。生物資源を燃やすバイ
オマス発電は、地球環境に優しい発電方式と注目されている。バイオマ
ス燃料を燃やしても、原料の樹木や植物などが成長過程で吸収してきた
分の二酸化炭素排出だけで、大気への影響はないとみなしている。
JRAは総工費約36億円で、栗東トレセン内に木くずや稲わらの燃焼、
発電施設を完備し、昨年11月に稼働を始めた。1日58・5トンの処
理が可能で、木くずや稲わらに付いた馬ふんも一緒に燃やすことができ
る。年間の最大発電量は410万キロ・ワット時で、一般家庭934世
帯分に相当する。これで栗東トレセンの燃焼、発電施設に必要な全電力
を賄い、残りで年間数千万円の売電収入も見込んでいる。2000頭以
上の競走馬がいる栗東トレセンからは、馬の寝床に使われ、ふんで汚れ
た木くずや稲わらが1日約55トンも排出される。これまでは堆肥にし
て販売していたが、取引先の都合で契約を打ち切られるなど不安定で、
堆肥にするのに1~2か月発酵させるため臭いの問題もあった。JRA
の担当者は「生物資源の木くずやわらをクリーンエネルギー創出に活用
することで、環境にかかる負担を低減させたい」としている。
✔ オールバイオマスシステムも「地域循環共生圏」も健在だ。
●今夜の寸評:最後の五つの檸檬
「浮かれている場合ではない!」は年頭のテーマだった。コロナ・ウイ
ルスの流行はインバウンド活況に水を差している。「前門の虎、後門の
狼」もその属篇だ。そうは言いつつも、疲労は限界で、檸檬果汁のホッ
トウイスキーにブラウンシュガーとシナモンスティクとクローブの実を
加え「ひとときの癒し」を得ている。が、山ほどあった檸檬が・・・・
残り五つ。ピンチだ!!