極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

オールメタネーションは俺に任せろ ①

2023年08月20日 | 環境リスク本位制

  
  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと

伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

 



 

  




再エネのソーラー・ウインドウ・バイオマス・地熱につづき、メタネーシ
ョンを追加し、一世一代の大構想を打ち出そうととしている。
なんと面白いことか。メタネーションの続きは後ほどとして、まずは、最
新技術情報の整理整頓から。
------------------------------------------------------------------
ナノロッド状の構造を持つ赤色透明な水分解用の窒化タンタル光電極世
界トップレベルの太陽光−水素変換効率10%を達成
今月18日、信州大学らの共同研究グループは、太陽光を利用して水を高い
効率で分解して酸素を生成できる赤色透明な光電極の開発に成功し。ナノ
ロッド状の構造を持つ窒化タンタル光電極を用いることで、世界トップレ
ベルの太陽光-水素変換効率(STH)10%を達成 。この成果は、光電極が
ナノロッド状であることに加え、赤色透明であることを活かして、タンデ
ム型セルを構築して得られた。ナノロッド状の窒化タンタルの表面に鉄-
ニッケル-コバルト系複合酸化物からなる助触媒を均一に修飾することで、
反応開始から7時間にわたって太陽光-水素変換効率を10%に維持させるこ
とに成功する。
【概要】
光触媒で、水分解を行い、水素と酸素を生成は、再エネは「グリーン水素」
安価なグリーン水素製造のためには、光触媒の太陽光−水素変換効率(STH
向上が課題。人工光合成化学プロセス技術て、世界トップレベルの効率10
%を達成。これは、窒化タンタルをナノロッド状に成膜した赤色透明な酸
素生成用の光電極と水素生成用のPt/Ni電極触媒を備えた二直列CuInSe2
陽電池(無機化合物系)とを組み合わせた水分解用タンデム型セルで。今
回、人工光合成の有用性を実証。



図3.図3 酸素生成用のナノロッド状窒化タンタル光電極と水素生成用Pt
/Ni電極を接続した二直列CuInSe2とからなるタンデム型セル(2段型)に
よる外部電源を用いない水の分解反応



図1.材料および構造的特性。 a)Ta3n5-nrs/ta3n5-thinフィルム/ganのSEM
画像(サイドビュー)。b、c)フェニクーx/ta3n5-nrsの高解像度透過電子
顕微鏡画像。 d)(b)の選択された領域のスポット電子回折パターン。
e)TA、N、O、FE、NI、およびCO要素の(B)の選択された領域のSTEM-ED
S
エレメンタルマッピング。 (c – e)では、境界色は(b)の選択された
領域に対応。
【展望】
より安価に水素製造が可能となる粉末型光触媒シートの太陽光-水素変換
効率の向上および光触媒を用いた水素製造技術の社会実装を目指す。
✔ 貴金属/希少元素の持続可能な製造技術的側面の考察が不可避となる。
【関連論文】
Tantalum Nitride‐Enabled Solar Water Splitting with Efficiency Above 10%
Advanced Energy Materials - Wiley Online Library 
・  First published: 15 August 2023  https://doi.org/10.1002/aenm.202301327
 

画像:Furture Timeline
オールメタネーションシステム概論 ④
その前に、カーボンキャプチャー(直接空気回収:ADC)に触れておこう。こ
こで用いる技術工学方式は、液体ではCO2吸収液としてアミン系有機溶剤を
使用する方式と生石灰/消石灰もよる吸収剤があるが、後者は鍵語は硝子
繊維様態のフィルム(日本製品の特長的付加価値でもある)となるだろう。
両者とも連続再生回収で力は、再エネとメタネーション・エネ(燃料電池
と生成物燃料)となるだろうが、二酸化炭素)の増加を遅らせるだけでな
く、現在1,000ギガトン(Gt)を超えると推定されている大気中にすでに存在
するレガシー排出量にも対処する必要があるとされる(下図参照)。植林
と再植林スキームは、これを達成する1つの方法だが、木が成長するのに
何年もかかり、完熟する前に、干ばつや山火事などの気候変動の影響によ
って害を受ける可能性があり、その対策を考えておく必要がある。


出所:FutuerTimeline

因みに、米国エネルギー省(DOE)は、これまでで最も野心的な取り組みを発
表し、バイデン大統領の「アメリカへの投資」計画の一環として、ルイジ
アナ州とテキサス州の1つの大規模DAC施設に最大2億ドル投資----最初の
Project Cypressは、Climeworks Corporation、Heirloom Carbon Technologies、
Gulf Coast Sequestration
、および非営利団体Battelleとのコラボレーションで
、ルイジアナ州南西部に位置し、毎年1万トン以上の既存のCO2を大気から
回収し、地下恒久的貯蔵を目指す、最大2,300人の新規雇用創出➲化石燃
料産業での総雇用労働者の10%に相当----が授与されている。
※目標処理費:100ドル/メートル-トン未満
2022年の高機能フィルム出荷,前年比70~80% ▶2023.8.21
矢野経済研究所は,ディスプレー・光学,電気・電子,一般産業用のベー
スフィルム及び加工フィルムなど,国内外の高機能フィルム市場を調査し
製品セグメント別の動向,参入企業の動向,将来展望を明らかにし,2021
年実績を100とした場合の各フィルムの市場規模増減状況について公表。


それによると,高機能フィルム市場(日本,韓国,台湾)はコロナ禍の巣
ごもり特需による拡大から一転し,2022年5月頃からスマートフォンやTVな
ど最終製品を生産するセットメーカーが余剰在庫の調整や生産調整を進め
た影響を受けて大幅に縮小した。 ディスプレー部材・FCCLなどのフィルム
部材メーカーや,それらの生産工程で使用される保護フィルム,リリース
フィルムなどの副資材を生産するコンバーター,さらにその原反を供給す
るフィルムメーカーに至るまで連鎖的に大きく販売量を落とす結果となっ
たいう。 2023年に入るとセットメーカーの余剰在庫が整理され,生産調
整がほぼ終了したことから,高機能フィルム市場は再びプラス成長に転じ
ている。ただ,回復の速度は需要縮小の勢いに比べ弱く,V字回復が期待で
きるほどではない。 2021年実績を100とした場合の2024年の出荷数量予測
は,PIフィルムが107.2%,MLCCリリースフィルムは97.2%,一般産業用PET
フィルム94.6%,光学用ペットフィルム94.0%と,2021年の需要レベルに戻
るのは2024年から2025年頃になる見通しであるという。 今回の調査で注目
した2022年のPETフィルム市場は,セットメーカーや部材メーカーの在庫調
整・生産調整の動きが夏頃から顕著となり,例年であれば需要期となる10
月以降も戻らなかった。そのため,下半期以降,PETフィルムの多くの用途
でオーダーが激減した。 中には例年の出荷数量の50~60%程度にも満たな
いものも出てくるなど,比較的堅調であった上半期の実績を合わせても,
2022年のPETフィルム市場規模は前年比79.5%の49万6,600tまで縮小したと
いう。

セットメーカーや部材メーカーによる在庫調整・生産調整の動きは特に韓
国において顕著であったため,韓国のPETフィルムメーカーの販売量の下
げ幅は日本勢,台湾勢に比べ大きかった。ただ,韓国では生産調整・在庫
調整が急ピッチで進められた分,底を打つのも比較的早く,2022年末から2
023年初め頃にはPETフィルム需要が回復に転じ,2023年3月~4月頃からは
そのスピードも速まっているものと見られる。 一方,日本においてはセ
ットメーカーや部材メーカーによる在庫調整・生産調整は2022年の比較的
早い段階から少しずつ実施されはじめ,2023年3月頃まで緩やかに続いた。
2021年レベルへの回復は2024年から2025年頃までかかる見通しであるとい
う。 日本のフィルムメーカーは,生き残りのための方策として,Film to
Filmリサイクルに代表される「環境」にフォーカスした技術開発と提案を
進めており,資源循環やカーボンニュートラルを新たな競争の枠組みとし
ていくことが考えられる

環境対応は目新しい用途開発や新規需要の取り込みに直結するわけではな
いものの,あらゆる業界でCNやサーキュラーエコノミーが重要課題となっ
ている現在,材料・部材・副資材のサプライヤーとしてユーザー企業の環
境対応ニーズにどう応え,何を提案できるかは,フィルムメーカーの新た
な競争軸となり得るという。 Film to Filmリサイクルは単に使用済製品を
再溶融して樹脂に戻すだけでなく,厚み精度やフィルムの品質をユーザー
の要求スペックに保ちながら製膜する必要があり,技術的難易度が高い。
特に使用済フィルムを原料とするポストコンシューマーリサイクル(PCR)
では,回収されたフィルムの用途や施されていた加工によって異物が多い
ケースもある。 偏光板用のプロテクトフィルム,リリースフィルムやMLCC
の生産プロセスで使用されるリリースフィルムなど,高平滑・無異物・無
欠陥といった高い品質管理が求められる製品をリサイクルするにはバージ
ン材を使用する場合以上の製膜技術,品質管理技術が要求される。ここに
日本のフィルムメーカーにとっての新たなビジネスチャンスがあると予測
する。 リサイクル製品の製造は,使用済製品の回収,洗浄・異物除去など
にコストがかかるためもバージン製品よりもコストアップとなる。そのた
め,フィルムメーカーやコンバーターは,リサイクルコストとユーザーの
許容価格とをすり合わせながらコストダウンに向けた技術開発を行なって
いく必要があるが,利益が確保できないほどのコストダウンは避けなけれ
ばならないという。 日本にしかないFilm to Filmリサイクルのスキームと
技術,それを背景にしたフィルムの品質で「リサイクル品の相場(=新た
な価値)を作りだす」意気込みでの展開が求められるとしている。

最新メタネーション技術を特許事例】
1.特開2023-075078 物質とエネルギーの連鎖的なフロー用の建築シス
 テム メルシャイマー,ケビン ハンス
【概要】
下図8のごとく、システムの共生プロセスは、資源の使用バランス、輸送
要件の削減、水、鉱物、および残留の流れのサイクル短縮、余剰と埋蔵量
のストレージを提供するシステムの統一を形成するために、相反性や成立
した自治を介し動作する。本システムは、有界入力および出力を考慮し、
出力が入力を超えないという安定な受動的デザインの実現を可能にする、
熱管理、大気の最適化、放射線管理、水理学的システム、エネルギーシス
テム、マテリアルフロー、システム管理、およびビルドシステムの8つの
一次システムを調節する設計された生態系が形成され、物質とエネルギー
の連鎖的なフローの恒常的な制御を提供する。


図8.

 

2.特開2023-56800 電気化学セル及び炭化水素製造装置 株式会社デンソー
【概要】
電気化学セルの性能には、電極材料の選定や電極構造の改良が重要となる。
一方、電気化学セルを用いて、炭化水素を生成するためには、原料となる二
酸化炭素及び水蒸気をそれぞれ電気分解し、さらに、電解により生成する一
酸化炭素と水素との反応を進める必要がある。ところが、従来の電気化学セ
ルを単純に適用しても、これらの反応を進行させることは難しく、炭化水素
を発生させるのに適した、単一の電気化学セルは、未だ知られていない。

下図14のごとく、電気化学セル1は、酸化物イオン伝導体11の対向する
2つの面12、13に設けられるカソード2及びアノード3を備える。カソ
ード2は、銀を主成分とする第1粒子21により構成され、二酸化炭素と水
蒸気とを含む原料ガスGに接して設けられる導電性金属層2Aと、遷移金属
元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子22により構成され、酸化物
イオン伝導体11に接して設けられる複合酸化物層2Bと、導電性金属層2
Aと複合酸化物層2Bとの間に設けられ、第1粒子21と第2粒子22によ
り構成される中間層2Cと、が積層された構造を有する、二酸化炭素及び水
蒸気の共電解による炭化水素を生成に用いられる電気化学セルの提供。

図1.電気化学セルの構成を模式的に示す全体断面図

【符号の説明】 1 電気化学セル  11 酸化物イオン伝導体  12、13
面  2 カソード  3 アノード  21 第1粒子  22 第2粒子  2A
導電性金属層  2B 複合酸化物層  2C 中間層

【実施例】
(実施例1~4) 上述した実施形態1と同様の構成を有する電気化学セル
1を作製し、上記図6に示した炭化水素製造装置100を用いてメタンの生
成試験を行い、メタン転化率の評価を行った。電気化学セル1の作製は、次
のようにして、酸化物イオン伝導体11となる電解質シートを用意し、その
両面に、カソード2となるカソード形成用材料及びアノード3となるアノー
ド形成用材料を印刷により塗布し、熱処理することにより行った。
<電解質シートの作製>
電解質シートの材料として、含有量が8mol%となるようにイットリア(
Y2O3)を添加したジルコニア(ZrO2)を調整した。得られたイット
リア安定化ジルコニア粉末に、ポリビニルブチラールを添加して、混合溶媒
としての酢酸イソアミル、2-ブタノール及びエタノールと共に、ボールミ
ルにて混合することにより、スラリーを調製した。なお、表1中に示すよう
に、8mol%のY2O3を含むイットリア安定化ジルコニアのことを、以
下、「8YSZ」と略称する。 【0060】 なお、8YSZ粉末の平均粒
径は、0.8μmであった。ここで、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法
により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)
d50であり、以降においても、同様とする。

調製したスラリーを、公知のドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に
層状に塗工し乾燥させた。その後、樹脂シートを剥離し、大気中1450℃
で2時間焼成することにより、8YSZを材料とする電解質シートを得た。

  <カソード材料の準備>
カソード2の複合酸化物層2Bの材料となる、遷移金属元素を含む複合酸化
物としては、ランタン系複合酸化物である、LaSrCo0.8Fe0.2O4を
用いた(表1中に、LaSr系として示す)。原料として、ランタン系複合
酸化物の構成元素の単一酸化物(富士フイルム和光純薬株式会社製;試験用
試薬)を用い、所望の組成となるように秤量した。次いで、秤量した原料を、
分散剤としてポリビニルアルコールを1質量%添加したエタノール中で、ボ
ールミルにて混合した。ボールミルによる混合は、直径10mmのジルコニ
アビーズを用いて、16時間行い、その後、混合原料をバットに取り出して
乾燥させた。この乾燥粉体を、1100℃で熱処理することにより、遷移金
属元素を含む複合酸化物の粉体を得た(平均粒径0.5μm)。

 得られた複合酸化物の粉体を、分散剤としてアクリル樹脂を1質量%添加
したテルピネオール中にて、ボールミルにて混合した。ボールミルによる混
合は、直径10mmのジルコニアビーズを用いて、16時間行い、その後、
混練により粘調することで、複合酸化物層2Bの形成材料となる印刷用ペー
ストを準備した。 カソード2の導電性金属層2Aの材料としては、銀(Ag
)を用い、粘度の異なる印刷用ペーストを準備した。まず、市販のペースト
状の銀フリット(大研化学工業株式会社製;「NAG-10」)を用意し、
テルピネオール中へ添加して希釈し、もしくはアクリル樹脂を追加して溶解
させることにより、所望の粘度に調整された印刷用の銀ペーストを得た。銀
フリットは、平均粒径0.02μmのものを使用した。

<アノード材料の準備>
アノード3の材料となる複合酸化物としては、ペロブスカイト型複合酸化物
であるBa0.6Sr0.4CoO3を用いた。カソード2の複合酸化物層2Bと同
様の方法にて、原料となる構成元素の単一酸化物を、所望の組成となるよう
に秤量し、アクリル樹脂とテルピネオールのビヒクル内に分散させて、ボー
ルミル混合を行った後に、乾燥させて、乾燥粉体を得た。この乾燥粉体を熱
処理することにより、複合酸化物の粉体を得た(平均粒径0.5μm)。得
られた複合酸化物の粉体を、同様の方法にてボールミル混合し、混練により
粘調することで、アノード形成のための印刷用ペーストを準備した。 

<電気化学セル1の作製>
上記のようにして得られた電解質シートの一方の面に、複合酸化物層2Bの
形成用に準備した印刷用ペーストを、印刷により塗布した後、乾燥させた。
その後、1000℃にて10分間、熱処理することにより、焼き付けを行い。
複合酸化物層2Bを形成した。さらに、複合酸化物層2Bの表面に、導電性
金属層2Aの形成用に準備した印刷用の銀ペーストを印刷し、熱処理して、
中間層2Cを形成すると共に、その表面に導電性金属層2Aを形成して、カ
ソード2とした。その際に、粘度の異なる銀ペーストを用いることにより、
複合酸化物層2Bへの浸透深さを調整して、サンプル毎に中間層2Cの層厚
t1を調整した。また、導電性金属層2Aの層厚は、いずれのサンプルも
10μmとし、粘度の低い銀ペーストを用いた場合には、印刷後に、粘度調
整を行っていない銀ペーストを印刷して、層厚10μmとなるように調整し
た。複合酸化物層2Bの層厚は、25μmとした。

また、上記のようにして得られた電解質シートのもう一方の面に、アノード
3の形成用に準備した印刷用ペーストを、印刷により塗布した後、乾燥させ
た。その後、1000℃にて10分間、熱処理することにより、焼き付けを
行い。アノード3となる複合酸化物層を形成した。アノード3の層厚は、
25μmとした。さらに、カソード2及びアノード3のそれぞれに、電力供
給用の白金(Pt)製のリード線を、銀フリットを溶融させることにより接
合した。アノード3上の銀フリットは、粘度調整を行っていない銀フリット
ペーストを印刷し、800℃にて10分間、熱処理して配置した。
 
このようにして、緻密体である酸化物イオン伝導体11の両面に、多孔質電
極であるカソード2及びアノード3が積層された電気化学セル1のサンプル
を得た(実施例1~4)。このとき、表1に示すように、実施例1のサンプ
ルは、中間層2Cの層厚t1と、複合酸化物層2Bとの合計の層厚tとの比
率t1/tが1%となるように調整されている。また、実施例2~4のサンプ
ルは、比率t1/tが、それぞれ5%、50%、95%に調整された中間層
2Cを有する電気化学セル1とした。なお、酸化物イオン伝導体11の気孔
率は、5%以下であり、多孔質電極の気孔率は、50%であった。

3.特開2022-137626 可逆型燃料電池システム及びその運転方法 国立大
 学法人九州大学
【概要】
可逆型燃料電池システムであって、燃料極と、空気極と、前記燃料極と前
記空気極との間に設けられ、固体酸化物を含む電解質部とを有する燃料電
池本体と、少なくとも水素を含む燃料ガスを前記燃料極に供給する燃料供
給部と、少なくとも酸素を含む酸素含有ガスを前記空気極に供給する酸素
供給部と、前記燃料極または前記空気極に水を供給する水供給部と、を備
え、前記燃料極が、電子伝導性酸化物及びイオン伝導性酸化物から構成さ
れる電極骨格と、当該電極骨格の表面に担持された電極触媒金属及びイオ
ン伝導性酸化物から構成される複合電極触媒と、から構成される可逆型燃
料電池システムで、SOEC(水蒸気電解)とSOFC(発電)の切り替
えを行っても安定して運転を行うことができる燃料電池本体を有する可逆
型燃料電池システムを提供する。

図5.実験例1、実験例2及び参考例のSOFC/SOEC可逆サイクル
  試験の評価結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】 可逆型燃料電池システムであって、 固体電解質と、前記固
体電解質の一方面側に配置された空気極と、前記固体電解質の他方面に配
置された燃料極とを有する燃料電池本体と、少なくとも水素を含む燃料ガ
スを前記燃料極に供給する燃料供給部と、少なくとも酸素を含む酸素含有
ガスを前記空気極に供給する酸素供給部と、前記燃料極または前記空気極
に水を供給する水供給部と、を備え、 前記燃料極が、電子伝導性酸化物及
びイオン伝導性酸化物から構成される電極骨格と、当該電極骨格の表面に
担持された電極触媒金属及びイオン伝導性酸化物から構成される複合電極
触媒と、から構成されることを特徴とする可逆型燃料電池システム。
【請求項2】 前記燃料極における電子伝導性酸化物が、組成式がABO3で
表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、
Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTiである、Ti
含有ペロブスカイト型酸化物である請求項1に記載の可逆型燃料電池シス
テム。
【請求項3】 前記燃料極の電極骨格におけるイオン伝導性酸化物が、
Gd2O3ドープCeO2又はSm2O3ドープCeO2である請求項1または
2に記載の可逆型燃料電池システム。 【請求項4】 前記燃料極における
複合電極触媒におけるイオン伝導性酸化物が、Gd2O3ドープCeO2又は
Sm2O3ドープCeO2である請求項1から3のいずれかに記載の可逆型燃
料電池システム。
【請求項5】 前記燃料極における複合電極触媒における電極触媒金属が、
ロジウムまたはロジウムを含む合金から構成される請求項1から4のいずれ
かに記載の可逆型燃料電池システム。
【請求項6】 前記燃料極における複合電極触媒における電極触媒金属が、
ニッケルまたはニッケルを含む合金から構成される請求項1から4のいず
れかに記載の可逆型燃料電池システム。
【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の可逆型燃料電池システム
を使用して、300℃以上1000℃以下の温度域で水蒸気電解と発電を
繰り返し行う可逆型燃料電池システムの運転方法。

4.WO2013/141385 熱化学燃料製造用触媒及び熱化学燃料製造方法独立
 行政法人科学技術振興機構
【概要】
熱化学的に料を製造可能とするペロブスカイト酸化物からなる熱化学燃
料製造用触媒及び熱化学燃料製造方法が提供される。そのような熱化学燃
料製造用触媒は、第1温度と該第1温度以下である第2温度の2段階の熱化
学サイクルを用いて熱エネルギーから燃料を製造するのに用いる熱化学燃
料製造用触媒であって、組成式AXO3±δ(但し、0≦δ<1)を有す
るペロブスカイト酸化物からなることを特徴とする熱化学燃料製造用触媒
;ここで、Aは希土類元素、アルカリ土類金属元素、又は、アルカリ金属
元素のいずれか1以上であり、Xは遷移金属元素又はメタロイド元素のい
ずれか1以上であり、Oは酸素である。


図4.La0.8Sr0.2Mn1-xFexO3±δを熱化学燃料(水素)製造用
 触媒として用いた場合の水素製造(生成)量の鉄濃度(x)の依存性を
 示すグラフ

【産業上の利用可能性】
本発明は、太陽エネルギーを高効率で化学燃料として変換貯蔵することが
できるので、得られた化学燃料を各産業分野のクリーンエネルギー、化学
産業のクリーン工業原料として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1温度と該第1温度以下である第2温度の2段階の熱化学サ
イクルを用いて熱エネルギーから燃料を製造するのに用いる熱化学燃料製
造用触媒であって、組成式AXO3±δ(但し、0≦δ<1)を有するペロ
ブスカイト酸化物からなることを特徴とする熱化学燃料製造用触媒;ここ
で、Aは希土類元素、アルカリ土類金属元素、又は、アルカリ金属元素の
いずれか1以上であり、Xは遷移金属元素又はメタロイド元素のいずれか
1以上であり、Oは酸素である。
【請求項2】 前記A元素はLa、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から
選択されたいずれか1以上であり、前記X元素はMn、Fe、Ti、Zr、
Nb、Ta、Mo、W、Hf、V、CrCo、Ni、Cu、Zn、Mg、
Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn
からなる群から選択されたいずれか1以上であることを特徴とする請求項
1に記載の熱化学燃料製造用触媒。
【請求項3】 前記A元素はLaであり、前記X元素はMnであることを特
徴とする請求項2に記載の熱化学燃料製造用触媒。
【請求項4】 前記A元素が一部、Sr、Ca、Baのいずれか1以上で置
換されていることを特徴とする請求項3に記載の熱化学燃料製造用触媒。
【請求項5】 前記X元素が一部、Fe、Ni、V、Cr、Sc、Ti、
Co、Cu、Znのいずれか1以上で置換されていることを特徴とする請
求項3に記載の熱化学燃料製造用触媒。
【請求項6】 前記A元素はLaであり、前記X元素はMnであり、前記L
aが一部、Srで置換されていることを特徴とする請求項1に記載の熱化
学燃料製造用触媒。
【請求項7】 前記置換されているSrの濃度(x;xは置換前のLaの
量を1としたときの量)が0.1以上1.0未満であることを特徴とする
請求項6に記載の熱化学燃料製造用触媒。 【請求項8】 前記Mnが一部
Feで置換されていることを特徴とする請求項7に記載の熱化学燃料製造
用触媒。
【請求項9】 前記置換されているFeの濃度(x;xは置換前のMnの量
を1としたときの量)が0.35以上0.85以下であることを特徴とす
請求項8に記載の熱化学燃料製造用触媒。
【請求項10】 前記A元素はBaであり、前記X元素はTiであり、前
記Tiが一部、Mnで置換されていることを特徴とする請求項1に記載の
熱化学燃料製造用触媒。
【請求項11】 前記置換されているMnの濃度(x;xは置換前のTiの
量を1としたときの量)が0超0.5以下であることを特徴とする請求項
10に記載の熱化学燃料製造用触媒。
【請求項12】 請求項1~11のいずれか一項に記載の熱化学燃料製造
用触媒を用いることを特徴とする熱化学燃料の製造方法、
【請求項13】 請求項1~11のいずれか一項に記載の熱化学燃料製造
用触媒を用いて、第1温度と該第1温度以下である第2温度の2段階の熱化
学サイクルを用いて熱エネルギーから燃料を製造する熱化学燃料製造方法
であって、前記第1温度が600℃以上1600℃以下であり、前記第2温
度が400℃以上1600℃以下であることを特徴とする熱化学燃料製造
方法。
【請求項14】 前記第1温度を、集光太陽光エネルギーを照射して加熱す
ることにより、又は、廃熱を用いて加熱することにより得ることを特徴と
する請求項13に記載の熱化学燃料製造方法。
【請求項15】 第1温度と該第1温度以下である第2温度の2段階の熱化学
サイクルを用いて熱エネルギーから燃料を製造する熱化学燃料製造方法で
あって、 組成式AXO3±δ(但し、0≦δ<1)を有するペロブスカイ
ト酸化物を第1温度まで加熱して還元する工程と、 原料ガスを、還元され
たペロブスカイト酸化物に接触させ、そのペロブスカイト酸化物を酸化さ
せて燃料を製造する工程と、 を有することを特徴とする熱化学燃料製造
方法。
【請求項16】 前記燃料が水素、一酸化炭素、水素及び一酸化炭素の混
合ガス、メタン、メタノールのいずれかであることを特徴とする請求項15
に記載の熱化学燃料製造方法。
【請求項17】 前記原料ガスが水蒸気であることを特徴とする請求項1
5に記載の熱化学燃料製造方法。
【請求項18】 前記原料ガスが二酸化炭素と水蒸気であることを特徴と
する請求項15に記載の熱化学燃料製造方法。
                          この項つづく

✔メタネーションを多角的側面より考察をはじめる。次回も最新触媒技術
からアプローチする。

 

  Part 1 Chapter 7

 「もしこの世界に完全なものが存在するとすれば、それはこの壁だ。誰
にもこの壁を越えることはできない。誰にもこの壁を壊すことはできない」
 門衛はそう断言した。
 壁は一見したところ、ただの古びた煉瓦塀のように見えた。次の強い嵐
だか地震だかであっさり崩れてしまいそうだ。どうしてそんなものを完全
と言えるのだろう?
  私がそう言うと、門衛はまるで自分の家族について故のない悪口を言わ
れた人のような顔をした。
 そして私の肘を掴み、
 壁のそばまで連れて行った。
 「近くからよく見てみな。煉瓦と煉瓦の間に目地がないだろう。それに
ひとつひとつの煉瓦の形もそれぞれに少しずつ違っているはずだ。そして
そのひとつひとつが、髪の毛一本入る隙間もないくらいぴったりとかみ合
っているはずだ」
 そのとおりだった。
 「このナイフで煉瓦を引っ掻いてみな」、門衛は上着のポケットから作
業用ナイフを取り出し、パチンと音を立てて刃を開き、私に手渡す。一見
古ぼけたナイフだが、刃は念入りに研ぎ上げられている。「傷ひとっつき
はしないはずだ」 
  彼の言う通りだ。ナイフの刃先はかりかりと乾いた音を立てるだけで、
煉瓦には白い筋一本も
つかない。
 「わかったかね。嵐も地震も大砲も、何ものもこの壁を崩すことはでき
ない。傷つけることもできない。今までもできなかったし、これから先も
できないだろう」
 彼は記念写真のポーズでもとるみたいに、壁に手のひらをつけたまま、
顎をぐいと引いて私を得意そうに見た。
 いや、この世界に完全なものなどありはしない、と私は心の中でつぶや
く。何らかの形を有するものであればどんなものにも、どこか必ず弱点な
り死角がある。でも声には出さない。
「この壁は誰がつくったのですか?」と私は尋ねた。
「誰もつくりやしない」というのが門衛の揺るぎない見解だった。「最初
からここにあったのさ」
 最初の一週間が終わるまでに、私は君が選んでくれた〈古い夢〉をいく
つか手に取り、読もうと試みた。しかしそれらの古い夢は、私に何ひとつ
意味のあることを語ってはくれなかった。そこで耳にしたのは、もそもそと
いう不破かなつぶやきであり、目にしたのは焦点の合わないいくつもの細
切れなイメーージでしかなかった。断片を出鱈目に継ぎ合わせた録音テー
プやフィルムを遠回しに見せられているみたいだった。
 図書館の書庫には、書籍の代わりに無数の古い夢が並んでいる。長い歳
月にわたって手を触れる者もいなかったらしく、どれも表面にうっすらと
白い埃をかぶっていた。古い夢は卵のような形をしており、サイズも色合
いもひとつひとつ違う。様々な種類の動物たちが産み落としていった卵の
ようだ。でも正確には卵形とは言えない。手に取って間近に眺めると、下
半分か上半分に比べてより膨らんでいることがわかる。重みのバランスも
いびつだ。しかしそのいびつさのせいで座り心地が安定し、支えがなくて
も棚から転げ落ちたりすることはない。
 表面は大理石のように硬質で、つるりと滑らかだ。しかし大理石の重み
はない。それがどのような材質でできているのか、どれはどの強度を有す
るものなのか、私にはわからない。床に落としたら割れてしまうのだろう
か? 何はともあれ、それらはとても注意深く扱われなくてはならない。
希少な生物の卵を扱うのと同じように。

 図書館には一冊の書籍も置かれていない----ただの一冊も。がってはそ
こに書籍がずらりと並び、街の人々は知識と楽しみを求めてここを訪れた
のだろう。普通の街の図書館のように、そんな雰囲気は残り香として、ま
だあたりに微かに漂っていた。しかしどこかの時点ですべての書籍が書棚
から取り除かれ、そのあとに古い夢が並べられたらしい。
 そして〈夢読み〉
はどうやら私の他にはいないようだ。少なくとも今の
ところは、私がこの街における唯一の夢読みであるらしい。私の前にはべ
つの夢読みがいたのだろうか? いたかもしれない。夢読みに関する規則
や手順がこのように絹かくこしらえられ、維持されているところを見ると、
たぶんいたのだろう。
 図書館における君の職務は、そこに並ぶ古い夢を護り、適切に管理する
ことだ。読まれるべき夢を選び、それが読まれたという記録を帳簿に残す。
夕刻前に図書館の扉を開け、ランプの明かりを灯し、寒い季節であればス
トーブに火を入れる。そのための、なたね油と薪を切らさないようにして
おく。そして<夢読み>のために----つまりこの私のために----濃い緑色の
薬草茶を用意する。
「たとえば君はこの街のどこに住んでいるのだろう? そして誰と? ど
のようにして図書館の仕事をするようになったのだろう?」
 君はしばし沈黙する。それから言う。
「私の家はそれほど遠くではありません」と君は言う。それだけ。でもそ
れはひとつの事実だ。

 君は軍隊毛布のようなざらざらの生地で作った青いコートを着て、とこ
ろどころほつれた黒い丸首のセーターに、少し大きすぎる灰色のスカート
をはいている。どれもみんな誰かのお下がりみたいに見える。しかしそん
な貧しい衣服に身を包んでいても、君は美しい。君と肩を並べて夜の道を
歩いていると、私の心臓は強く締めつけられる。正しい呼吸ができなくな
るくらい。あの十七歳の夏の夕暮れと同じように。
「この街に来たばかりっておっしゃってましたが、どこからいらっしゃっ
たのですか?」
「ずっと来の方にある街から」と私は曖昧に答える。「とてもとても遠い
ところにある大きな街だよ」
「私はこの街以外の場所を知りません。ここで生まれて、壁の外には一度
も出たことがないから」
 そう言う君の声は柔らかく優しい。君の目にする言葉は高さハメートル
ほどの堅固な壁にたりなく護られている。
「なぜわざわざここにやって来たのですか? よそからこの街にやって来
た人に会うのは、あなたが初めて」  
「なぜだろう」と拡は言葉を濁す。
 
 君に会うためにここまでやって来たんだよ、そう打ち明けることはでき
ない。それはまだ早すぎる。そうする前に拡は、この街に関するより多く
の事実を学ばなくてはならない。
 我々は数も光量も乏しい街灯の下、川沿いの夜の道を東に向けて歩く。
かつてきみと歩いたのと同じように、二人肩を並べて。川の穏やかな水音
が耳に届く。夜啼鳥の短い澄んだ声が川向こ
うの林から聞こえる。
 君は拡がこれまで住んでいた「遠くにある東の街」のことを知りたがる。
その好奇心が拡を君に少し近づけてくれる。
 「そこはどんな街だったのかしら?」
 そこはいったいどんな街だったのだろう、ほんの少し前まで拡が生活を
送っていたその街は?
 そこでは多くの言葉が行き交い、それらがっくり出すあまりに多くの意
味が溢れていた。
 しかしそんな説明をしたところで、いったいどれほどを理解してもらえ
るだろう? この動きを持たない、言葉少ない街で君は生まれて育った。
簡素で静謐で、そして完結した場所だ。電気もなくガスもなく、時計台は
針を持たず、図書館には一冊の書籍もない。人々の口にする言葉は本来の
意味しか持たず、ものごとはそれぞれ固有の場所に、あるいはその目に見
える周辺に揺るぎなく留まっている。
「あなたが住んでいたその街では、人々はどんな生活を送っているのかし
ら?」
 私はその問いに上手く答えることができない。さて、私はそこでどんな
生活を送っていたのだろう?
 
 君は尋ねる。「でもそこはこの街とはずいぶん違っているのでしょう?
 大きさも成り立ちも、住んでいる人たちの暮らしぶりも。どんなところ
がいちばん違っているかしら?」
 私は夜の大気を胸に吸い込み、正しい言葉と連切な表現を探す。そして
言う。「そこでは人々はみんな影を連れて生きていた」
                           この項つづく

毎日、環境リスク本位制をコアとした問題解決の調査・研究を続けている
と精神形成ができないことがとてもきになる。それを回復確立するには、
村上春樹の小説が役立っていることを確認する(なにも村上春樹でなくて
もいいはずだが)。

風蕭々と碧いの時

John Lennon Imagine

【POPの系譜を探る:2023年代】

今夜の寸評: オールメタネーションは俺に任せろ。



 

 

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