彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
図1. Circumglobalwave-7 および 5 パターンと関連する 2 気温
ERA-5 再解析データとバイアス調整された CMIP6 モデルの異常。
子午線風 (m/s 単位) (等高線、紫: 南風、オレンジ: 北風、単位:
(a ~ c、e ~ g) 等高線は絶対値 3m/s で始まり、3 ずつ増加/減
少します。それぞれ、(d, h) の等高線は絶対値 0.5 から始まり、
増加/減少します。1 段階ずつ)および表面付近の温度異常が等高線
で塗りつぶされます。(a – c) 第 7 波および (e – g) 第 5 波の
イベントを、それぞれの気候学に関連させて示す。
(a、e) ERA5 再分析 (1960 ~ 2014 年) に基づく北半球の夏 (JJA)、
(b、f) 過去 (1960 ~ 2014 年) および (c、g) バイアス調整後の
将来 (SSP5 ~ 8.5、2045 ~ 2099 年)CMIP6 シミュレーション (4
つのモデル) からの出力。 d、h) 内側の風の差過去と未来を比較し
た波浪イベント中の温度応答4つのバイアス調整された CMIP6 モデ
ルのパターン (12 の調整されていないモデルについては、を参照し
)図S6)。 ハッチングは 95% の信頼水準で統計的有意性を示す (a、
d、e、h)または、符号が 100% 一致するモデル (4 つのモデルのう
ち 4 つ、b、c、f、g)波形パターン(線の輪郭)の位置と強度がよ
く表現されている。モデルの表面痕跡は歴史的にかなり過小評価さ
れていますシミュレーション。 北上空で温度応答の変化が確認さ
れるアメリカ、ユーラシア、東アジア (d、h)。
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via https://doi.org/10.1038/s41467-023-38906-7
ネイチャーコミュニケーションズ (2023) 14:3528 2
異常気象の世界同時多発穀物不作リスク
加齢の関係もあるかもしれないが、日差し強く、蒸し暑く、線状降
雨が多発し、これは長期にわたる干ばつや大雨、熱波などの異常気
象であると合点するように、そして、作物の不作につながるとの報
告もそれを押す。また、温暖化を含む地球の気候変動によって、異
常気象による作物の不作が世界中で増加しており、サプライチェー
ンの混乱に伴う価格の高騰や、食糧供給の滞りが発生する危険性を
指摘している。コロンビア大学の研究グループの研究チームが、世
界中の主要な食糧生産地域で収穫量の減少が同時多発的に発生する
可能性について調査し、世界中の「穀倉地帯」として知られるいく
つかの作物生産地域で、同時多発的に作物の不作が起こった場合、
輸出の制限に伴う価格の高騰によって、食料不安が高まり、食料安
全保障が困難になると予測。 先ず、下図は北アメリカ中央部や東西
ヨーロッパ、アジアなど、中緯度の温帯気候域に位置する穀倉地帯
の上空を通る「ジェット気流」と呼ばれる気流による不作の可能性
を調査しました。以下の図において、薄青で示された線がジェット
気流の経路、緑が主要な穀倉地帯、赤の斜線で示されたエリアが熱
波の影響を受ける地域、青の斜線のエリアが冷夏などの影響を受け
る地域を表す。 そこでは、「ロスビー波」と呼ばれる大気波の発
生が、世界中の穀倉地帯における異常気象を引き起こしており、作
物の不作につながっていることを突き止める。
1.そのロスビー波の発生により、ジェット気流が強く蛇行する主
要な穀倉地帯において作物の収穫量が減少し、作物の不作が発生
する確率は、地域によっては3倍に増加することを示唆する。
2.ロスビー波によるジェット気流の蛇行現象が作物の収穫量に与
える影響を調べ、1960年から2014年までの観測データと気候モデ
ルのデータ分析し、現在の気候モデルは蛇行するジェットの位置
と強度を示しながら、一方で、局地的な異常気象の程度を正確に
再現していないことを発見、ジェット気流の蛇行が異常気象に与
える影響が過小評価されていた。
3.さらに、温暖化が抑制されない最悪のシナリオを想定して2045
年から2099年にかけての「将来の作物状況の予測」を行った。シ
ミュレーションの結果、北アメリカとシベリアでは、近年深刻な
異常気象が何度も発生して、今後も作物の不作のリスクが高まっ
ているとのこと。また、これらの地域は今後、ジェット気流の蛇
行により、さらに熱波の影響が強まると予測する。
4.これらを踏まえ、①気候変動の作物生産への影響は不確実性が
高い複雑な"気候変動リスク"に備える必要があるという。
図2.ロスビー波 via Wikipedia
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※2021年8月10日 「地球温暖化は人間が原因」とIPCCが断定
【再エネ革命渦論 144: アフターコロナ時代 143】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
特異点真っ直中 ㉗
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。
酸化チタンに代表される光触媒(photocatalyst)は非常に強い酸化力を
もち、反応は室温で進行するが、反応速度が小さいため一時的な大
きな負荷に対して十分な触媒作用を示さなくなる。一方、通常、「
触媒」と呼ばれているものは「熱触媒(thermocatalyst)」のことを示
し、光触媒よりも大きい反応速度が得られるが、多くの場合、加熱
が必要である。本研究では、熱触媒および光触媒作用を併せもつ新
規ナノ材料を開発し、これを、印刷工場や塗装工場などで発生する
揮発性有機化合物(VOC)の効率的浄化へ応用する。
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1.特開2020-15020 触媒、触媒の製造方法、触媒担持担体、分解
方法、水素の製造方法、及び、担体 国立研究開発法人物質・材
料研究機構
【概要】 触媒の存在下、原料に熱エネルギーを付与して、選択的に
所望の反応を起こさせる技術が知られている。例えば、炭化水素を
改質して、水素を得る反応では、改質触媒の存在下で、改質反応を
行う技術が知られている。このような方法として、特許文献(特開
2002-12408 )には、「予熱温度まで加熱された炭化水素、酸素及び
水又は水蒸気からの出発混合物を触媒上に導通することによる炭化
水素の自熱式接触蒸気改質法において、この方法を断熱的に作動さ
せること、及び触媒は、支持体上に、酸化アルミニウム、二酸化珪
素、二酸化チタン又はこれらの混合酸化物及びゼオライトの群から
の酸化物担体物質上に少なくとも1種の白金族金属を含有する触媒
物質の被覆を有することを特徴とする、炭化水素の自熱式接触蒸気
改質法。」が記載されている。 図2のごとく、被処理物に由来し
て、少なくともその表面に吸着された化学種を、光照射によって還
元して生成物を得るための触媒であって、上記触媒は、第1金属原
子を含有する第1材料に、第2金属原子がドープされてなり、上記
第1金属原子を含有する第1材料の非占準位バンドAに対し、上記
第2金属原子由来の非占準位バンドB、及び、上記化学種の非占準
位バンドCの少なくとも一部が重複する領域を有する、触媒で大き
な熱エネルギーを付与せずとも、触媒表面に吸着された化学種を光照
射によって還元し、所望の生成物を選択的に得る反応を起こすこと
ができる触媒を提供する。また、触媒の製造方法、触媒担持担体、
分解方法、水素の製造方法、及び、担体も提供する。
図2.反応分子CH4とH2Oと(被処理物に該当する)が存在す
る、Rh-Ti触媒とRh-Si触媒システムの、摂氏247℃
における量子分子動力学シミュレーション
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課
題を達成することができることを見出す。
[1] 被処理物に由来して、少なくともその表面に吸着された化学
種を、光照射によって還元して生成物を得るための触媒であって、
上記触媒は、第1金属原子を含有する第1材料に、第2金属原子が
ドープされてなり、上記第1金属原子を含有する第1材料の非占準
位バンドAに対し、上記第2金属原子由来の非占準位バンドB、及
び、上記化学種の非占準位バンドCの少なくとも一部が重複する領
域を有する、触媒。
[2] 上記非占準位バンドBが、上記第2金属原子のd軌道成分、
及び、f軌道成分からなる群より選択される少なくとも一方を含む、
[1]に記載の触媒。
[3] 上記第1金属原子、及び、上記第2金属原子は、周期律表第
4~6周期の金属 からなる群より選択される少なくとも1種の金属
原子であり、上記非占準位バンドBが、上記第2金属のd軌道成分
を含み、Nが4~11の整数である時、上記第1金属原子が周期律
表の第N族の金属であり、かつ、上記第2金属原子が周期律表第3
~第(N-1)族の金属からなる群より選択される少なくとも1種
の金属である、[1]又は[2]に記載の触媒。
[4] 上記触媒中における、上記第2金属原子同士の平均距離が
0.4nm以上である[1]~[3]のいずれかに記載の触媒。 [
[5] 上記領域は、上記触媒の占有最高準位から、3.3eV高い
準位までの間に存在する、[1]~[4]のいずれかに記載の触媒。
[6] 上記第1金属原子がCu、Ni、及び、Coからなる群より
選択される少なくとも1種の金属原子であり、上記第2金属原子が
Tiである、[1]~[5]のいずれかに記載の触媒。
[7] 上記第1金属原子がRhであり、上記第2金属原子が、Ti
、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、及び、Wからなる群
より選択される少なくとも1種の金属原子である、[1]~[5]
のいずれかに記載の触媒。
[8] 上記被処理物が有機化合物であり、上記生成物が、二酸化炭
素、水素、及び、水からなる群より選択される少なくとも1種であ
る[1]~[7]のいずれかに記載の触媒。
[9] 上記化学種がプロトンであり、上記生成物が水素である、
[1]~[8]のいずれかに記載の触媒。
[10] 担体と、上記担体に担持された、[1]~[9]のいずれ
かに記載の触媒とを有する、触媒担持担体。
[11] 上記担体が、上記第2金属原子を含有する[10]に記載
の触媒担持担体。
[12] 上記担体が、半導体であって、上記触媒担持担体の電子構
造における占有最高準位Xが、上記担体における、上記半導体由来
の非占有最低準位から300meV低いエネルギー位置Yと同じエ
ネルギーに位置するか、又は、上記Yより高いエネルギーに位置す
る、[11]に記載の触媒担持担体。
[13] 上記担体が、Mを1種又は2種以上の金属原子とし、pは
0より大きい数であって、上記Mの最高酸化数に対応する数である
とき、MOpで表される最高酸化数の金属酸化物を含有する、[1
2]に記載の上記触媒担持担体。
[14] 上記金属酸化物が、MgO1、AlO3/2、TiO2、
TaO5/2、WO3、MoO3、SrTiO3、CuWO4、及
び、TiCa(PO4)2からなる群より選択される少なくとも1
種である、[13]に記載の触媒担持担体。
[15] 上記担体がn型半導体である、[10]~[14]のいず
れかに記載の上記触媒担持担体。
[16] 上記n型半導体がリン、ヒ素、及び、アンチモンからなる
群より選択される少なくとも1種がドープされたSiである、[1
5]に記載の上記触媒担持担体。
[17] 上記担体が、Mを1種又は2種以上の金属原子とし、pは
0より大きい数であって、上記Mの最高酸化数に対応する数であり、
δは0より大きい数であって、上記p未満の数であるとき、MO(
p-δ)で表される酸素欠損を有する金属酸化物を含有する、[1
0]に記載の上記触媒担持担体。
[18] 上記金属酸化物が、δを0より大きく2未満の数とした時
TiO(2-δ)で表される化合物を含有する、[17]に記載の
触媒担持担体。
[19] [1]~[10]のいずれかに記載の触媒を製造する、触
媒の製造方法であって、第2金属原子を含有する基材に、第1金属
原子を含有する組成物を塗布し、上記基材上の少なくとも一部に組
成物層を有する、組成物層付き基材を得る工程aと、上記組成物層
付き基材を加熱した後、触媒前駆体を得る工程bと、 上記触媒前駆
体を還元雰囲気中で熱処理し、上記触媒を得る工程cと、を有する
触媒の製造方法。
[20] [1]~[10]のいずれかに記載の触媒と、被処理物と
を接触させ、上記触媒に光を照射して、被処理物を分解して、生成
物を得る、分解方法であって、上記被処 理物が、有機化合物を含有
する、分解方法。
[21] 上記被処理物が有機化合物であり、上記生成物が、二酸化
炭素、水素、及び、水からなる群より選択される少なくとも1種で
ある[20]に記載の分解方法。
[22] [1]~[10]のいずれかに記載の触媒と、被処理物と
を接触させ、上記触媒に光を照射して、水素を得る、水素の製造方
法であって、上記被処理物が、有機化合物、及び、水からなる群よ
り選択される少なくとも1種を含有する、水素の製造方法。
[23] 上記被処理物が更に二酸化炭素を含有する、[22]に記
載の水素の製造方法。
[24] 更に、上記触媒を加熱する、[22]又は[23]に記載
の水素の製造方法。
[25] 上記有機化合物が、炭化水素である、[21]~[24]
のいずれかに記載の水素の製造方法。
[26] 上記炭化水素がメタンを含有する、[25]に記載の水素
の製造方法。
[27] 半導体である担体であって、Mを1種又は2種以上の金属
原子とし、pは0より大きい数であって、上記Mの最高酸化数に対
応する数であり、δは0より大きい数であって、上記p未満の数で
あるとき、MO(p-δ)で表される酸素欠損を有する金属酸化物
を含有する、担体。
【発明の効果】
大きな熱エネルギーを付与せずとも、触媒表面に吸着された化学種
を光照射によって還元し、所望の生成物を選択的に得る反応を起こ
すことができる触媒を提供することができる。 また、触媒の製造方
法、及び、水素の製造方法も提供できる。
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施
例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の
趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本
発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきもの
ではない。
まず、典型例であるRh-Ti触媒に解離吸着したプロトンへの光
励起電子の結合性の良さを確認するため、反応条件を模した、Rh
-Ti触媒とRh-Si触媒システムの局所密度近似に基づく局所
密度汎関数理論による第一原理量子分子動力学と電子構造計算を行
い比較した。
計算モデル: 比較を容易にするため、TiとSiが表面にドープさ
れたRh金属スラブ(190Rh,1Ti,1Si原子)で構成さ
れ、反応物質分子はメタン2分子と水4分子が用いられた(図2)。
詳細は以下のとおりである。 格子定数3.803Å(オングストロ
ーム、1オングストロームは0.1nm、以下同じ)の面心立方格
子のRh金属結晶(無機結晶構造データベース、ICSDcode-
650222)が、4a(15.212Å)×4a×3a(11.
409Å)のサイズで切り出され、4a×4a×24Åのサイズ
のシミュレーションセルの底部に設置された。その(001)表面
のRh原子の内二つのRh原子が、TiとSiに置換された。 そ
して、メタン2分子と水分子4個が、望まれない不均衡をさけるた
めそれぞれの分子同士の距離や、分子とRhスラブ表面の距離が適
度な距離を保つようにして、シミュレーションセルの空間(厚み約
14Å)に置かれた。結局、シミュレーションセル中に含まれるRh,
Ti,Si,C,O,そして,Hの原子数はそれぞれ、190,
1,1,2,4,16であった。
計算手法詳細: 第一原理量子分子動力学シミュレーションはスピ
ン自由度をもつカー・パリネロ法(CPMD)でなされ、Beck
e-Lee-Yang-Parr(BLYP)にちなむ一般化され
た勾配補正が施された交換相関ポテンシャルが用いられている。R
h、Ti、Si、C、O、及び、Hの価電子とコアの相互作用は、
ノルム保存型のTroullier-Martins(TM)擬ポ
テンシャルによってモデル化されている。Rhの5s、4d、Ti
の4s、3d、Siの3s、3p、Cの2s、2p、Oの2s、
2p、Hの1s電子が価電子として扱われ、Rhの5p、Siの3
dポテンシャルも計算に勘案されている。RhとTiについては非
線形コア補正された擬ポテンシャルが用いられている。計算では、
波動関数は、カットオフ値80Ryのエネルギーまでの平面波基底
セットで展開され、ブリルアンサンプリングはΓ点のみである。
仮想電子質量は1200原子ユニット、逐次計算ステップ幅は5.0
原子ユニット時間として計算し、各保存量は良好に制御された。
247℃における平衡状態での電子構造のスナップショットを図3
と図4に示す。メタン分子は247℃で表面で自然解離した。電子
構造の性質では重要成分だけを表示している。実線で示されている
ように、-6.2eVまで電子が占有されている。占有状態と非占
有状態の両方が主にRh4d軌道成分で構成されている。
非占有状態のTi3d成分と、この解離吸着による吸着物の非占有
状態のH1s成分について調べると、非占有Ti3dバンドは-5.
0eV~-3.0eVのエネルギー領域に位置しており、Rh基金
属スラブ上に吸着したH由来の非占有H1s成分はちょうどそのT
i3dバンドの付近に位置しているのである。したがって、Rh4
d軌道の電子は、可視光照射で、励起され非占有4d、5s、ある
いは、5p軌道に励起されることができ、同時に非占有Ti3dあ
るいは非占有H1s軌道にも励起されることを示している。このこ
とはTi3d軌道成分が光励起された電子を解離吸着したプロトン
に移動することに大きく寄与していることを意味する。
また、この計算結果は、触媒中のTiの濃度が大変小さい(原子数
比で1/192)にも関わらず、Ti3d成分が大きく(エネルギー
範囲-5EeVから-3eVまでで、最大約0.15)、エネルギ
ー軸におけるそのバンド位置はH1s非占有バンドの位置とよく合
っていることを示していて(図3、図中の黒く帯状に示され、バン
ドの表示が白く反転している部分)、少量でもその効果が高いこと
を示唆している。ところが、Si3sとSi3pの成分はそれぞれ
0.01、0.025より小さく、このことは光励起された電子が
Siを介して解離吸着したプロトンに移動することはほとんどでき
ないことを意味している(図4)。
したがって、Siをドープすることは、表面吸着プロトンの還元(
水素の生成)に対して効果は小さい。 【0063】 上記と同様の
方法により確かめた本発明の他の実施形態に係る触媒について説明
する。 図5は、Rhに対して、高濃度(具体的には原子%として
13%)でTiをドープした場合の247℃における平衡状態での
電子構造のスナップショットを示した。図中、破線は占有最高準位
を示している。非占有Ti3d軌道バンドと、非占有H1s軌道バ
ンドとの重なり(図中、黒く帯状に示した部分)から、光による反
応促進効果がより増強されることがわかる。しかしながら、図3と
比較すると、図5はH1s成分が小さく、重なる領域がより狭い。
したがって、高濃度にドープすることは必ずしも好ましくないこと
が分かる。
図6は、Rhに対して、Hfを0.5原子%の濃度でドープした場
合の247℃における平衡状態での電子構造のスナップショットを
示した。図中、破線は占有最高準位を示している。非占有Hf5d
軌道バンドと、非占有H1s軌道バンドとの重なり(図中、黒く帯
状に示した部分)から、光による反応促進効果がより増強されるこ
とがわかる。
図7は、Rhに対して、Taを0.5原子%の濃度でドープした場
合の247℃におけ る平衡状態での電子構造のスナップショットを
示した。図中、破線は占有最高準位を示している。非占有Ta5d
軌道バンドと、非占有H1s軌道バンドとの重なりから、光による
反応促進効果がより増強されることがわかる。
図8は、Rhに対して、Moを0.5原子%の濃度でドープした場
合の247℃における平衡状態での電子構造のスナップショットを
示した。図中、破線は占有最高準位を示している。非占有Mo4d
軌道バンドと、非占有H1s軌道バンドとの重なりから、光による
反応促進効果がより増強されることがわかる。
図9は、Rhに対して、Wを0.5原子%の濃度でドープした場合
の247℃における平衡状態での電子構造のスナップショットを示
した。図中、破線は占有最高準位を示している。非占有W5d軌道
バンドと、非占有H1s軌道バンドとの重なりから、光による反応
促進効果がより増強されることがわかる。
図10は、Niに対して、Tiを0.8原子%の濃度でドープした
場合の400℃における平衡状態での電子構造のスナップショット
を示した。図中、破線は占有最高準位を示している。非占有Ti3
d軌道バンドと、非占有H1s軌道バンドとの重なりから、光によ
る反応促進効果がより増強されることがわかる。
図11は、Coに対して、Tiを0.8原子%の濃度でドープした
場合の400℃における平衡状態での電子構造のスナップショット
を示した。図中、破線は占有最高準位を示している。非占有Ti3
d軌道バンドと、非占有H1s軌道バンドとの重なりから、光によ
る反応促進効果がより増強されることがわかる。 図12は、Cuに
対して、Tiを0.9原子%の濃度でドープした場合の400℃に
おける平衡状態での電子構造のスナップショットを示した。図中、
破線は占有最高準位を示している。非占有Ti3d軌道バンドと、
非占有H1s軌道バンドとの重なりから、光による反応促進効果が
より増強されることがわかる。
図13は、Rhに対して、Coを0.5原子%の濃度でドープした
場合の400℃における平衡状態での電子構造のスナップショット
を示した。図中、破線は占有最高準位を示している。バンドに重複
する領域がほとんどなく、所望の効果が得られないことがわかる
(比較例)
上記は、M2金属のd軌道の例を挙げたが、f軌道でも同様の効果
が期待できる。Rh-Ce触媒、Rh-Pr触媒、Rh-Tb触媒
、のそれぞれにプロトンが吸着した場合の概念図を図14に示す。
非占有準位のH1s軌道成分のバンドとの重なり(図中、黒く帯状
に示された部分)から、Rh-Pr触媒が可視域での活性が期待で
きる。上記のf電子をもつ希土類元素をドープされた金属触媒の電
子構造も第一原理で計算されているが、その具体的な手法は原子球
近似を用いたリニアマフィンティン軌道法(LMTO-ASA)に
よるものである。f電子軌道に関するバンドのエネルギー位置はま
ず、希土類元素をドープされた金属(例えばRh)のバルクにおけ
る電子構造を求め、そのf電子軌道の状態密度プロファイルとその
系の占有最高準位(Aとする)を得る。次に、CPMD法により求
めた原子配置状態(例えばRh金属スラブにプロトン等が吸着した
状態)のコーンシャム方程式を解いて得られた電子構造とその系の
占有最高準位(Bとする)を得る。AとBが一致するように両者の
電子構造を並べることで、近似的に各構成原子軌道由来のバンド位
置(4f軌道のエネルギー位置と吸着プロトン由来のバンド位置等
)を比較することが可能となり、好適な触媒を見つけることができ
る。
図15は、Rh-Ho触媒、Rh-Yb触媒、のそれぞれにプロト
ンが吸着した場合の 電子構造の概念図である。いずれの場合も、
非占有準位のH1s軌道成分のバンドと4f電子軌道のバンドが重
ならないため、もともとのRhを大きく超える高活性は期待できな
いことがわかる。
図16は、Cu-Ce触媒にプロトンが吸着した場合の電子構造の
概念図である。非占有準位のH1s軌道成分のバンドと4f電子軌
道のバンドに重なり(図中、黒く帯状に示した部分)があるため、
光による反応促進効果がより増強されることがわかる。
図17は、Ni-Ce触媒にプロトンが吸着した場合の電子構造の
概念図である。非占有準位のH1s軌道成分のバンドと4f電子軌
道のバンドに重なり(図中、黒く帯状に示した部分)があるため、
光による反応促進効果がより増強されることがわかる。
以上は、第2金属元素がドープされた第1材料による触媒単体に関
するもので、その反応促進効果は、第2金属元素の非占有d軌道あ
るいは非占有f軌道成分と触媒に解離吸着したプロトンの非占有H
1s軌道成分の重なり(カップリング、混成)に起因するものであ
った。別の形態として、触媒に加え、触媒とそれを担持する担体と
の協働作用(触媒担持担体を用いた形態)により更に反応促進効果
を高める例について説明する。
図18は、最高酸化数の金属イオンで構成される酸化物でできた担
体に、第1材料に第2金属原子がドープされた触媒を担持させた場
合の、触媒と担体の複合体(触媒担持担体)の電子構造の概念図で
ある。破線は占有最高準位。担体の伝導帯の底(CBM)より少し
下に占有最高準位Xが位置する場合であってXが、CBMより下に
あり、かつ、CBMより300meV低い位置Yより高い位置にあ
る場合。熱励起により担体にもキャリアが現れる。VBMは担体の
占有準位(価電子帯)の最高値を表す。 なお、18-Aは、第1材
料の電子構造、18-Bはドープされた第2金属原子の電子構造成
分、18-Cは金属酸化物担体の電子構造を表し、CBMは、非占
有準位(伝導帯)最小値、VBMは占有準位(価電子帯)最高値を
表す。
図19は、最高酸化数の金属酸化物の表面に酸素欠損を設けた担体
(最高酸化数未満の金属イオンを含む金属酸化物)に、第1材料に
第2金属原子がドープされた触媒を担持させた場合の触媒と担体の
複合体(触媒担持担体)の電子構造の概念図である。破線は占有最
高準位。酸素欠損量を調整し、占有最高準位Xを、担体の伝導帯の
底(CBM)より少し上に位置させた場合。熱励起なしでも担体に
もキャリアが存在する。そのため金属に似ているが、イオン結合物
質としての性質もあるため、担体表面では、極性分子を静電気的な
電界で引きつけることができる。なお、19-Aは第1金属原子を
含有する第1材料の電子構造、19-Bは第1材料にドープされた
第2金属原子の電子構造、19-Cは触媒に吸着したプロトンのH
1s成分、19-Dは最高酸化数の金属酸化物と酸素欠損を有する
金属酸化物とを含有する担体の電子構造を表す。CBMは、非占有
準位(伝導帯)最小値、VBMは占有準位(価電子帯)最高値を表
す。具体的に、酸素欠損のないTiO2担体にTiドープRh金属
触媒を担持している物質の電子構造を図20に示す。破線は占有最
高準位X。Xが、CBMより下にあり、かつ、CBMより300m
eV低い位置Yより高い位置にあることがわかる。熱励起により担
体にもキャリアが現れ、反応促進効果が期待できる。
(実施例)
図20の計算は次のように行われた。まず、アナターゼ型TiO2
の(101)面にRh金属を接触させ全体の温度を数百度以上に設
定してTiとRhに拡散を起させ、TiO2担体表面にTiドープ
されたRh金属状態を作ることで、Rh-Ti触媒を担持したTi
O2担体のスラブモデルをシミュレーションセル内に作る。次に、
メタン分子、水分子 をそのスラブ上の少し離れた位置に配置し、実
際の反応温度に設定して暫く分子を運動させ、反応分子が一部吸着
した状態で、その温度における全系の平衡状態を得る。しかる後に、
その一コマの電子構造の詳細を計算し、図20を得た。
更に、先に用いたシミュレーションモデルの酸化チタン表面の酸素
原子の一部を取り去り、TiO2-δ担体にTiドープのRh金属
触媒を担持させた複合体(触媒担持担体)に反応分子の一部が吸着
した熱平衡状態を得る。同様にその一コマの電子構造の詳細を計算
する。その複合体(触媒担持担体)の電子構造を図21に示す。
破線は占有最高準位。占有最高準位Xが、担体の伝導帯の底(CB
M)より少し上に位置しており、熱励起なしでも担体にもキャリア
が存在する。そのため金属に似ているが、イオン結合物質としての
性質もあるため、担体表面では、極性分子を静電気的な電界で引き
つけることができ、解離吸着を促進できる。つまりこの系では、光
励起された電子は、TiドープのRh金属触媒上に吸着したプロト
ンや、担体に吸着したプロトンの両方を還元し、その相乗効果のた
めに高い水素生成能力を有する触媒担持担体となる。
(実施例)
一方、酸素欠損のないSiO2担体にSiドープRh金属触媒を担
持し、反応分子の一部が複合体に吸着した状態の電子構造ついても
前述同様の計算手続きで求められた。図22にその全系の電子構造
を示す。
破線は占有最高準位X。XがCBMよりずっと低い位置にあるため、
通常の熱励起では、担体にキャリアを存在させることができない。
担体物質がプロトンの還元に寄与することはできず、また、Siド
ープRh金属触媒におけるSiのプロトンの還元促進作用もほとん
どないため、SiドープRh金属触媒に解離吸着したプロトンのみ
をRh金属のみの触媒作用で還元することになり、その効率は低い
ものになるということが容易に推測される。
(比較例)
図21と図22の理論予測は実験でも確認できる。有機化合物の分
解: 実施例 フルウチ化学市販品CuWO4粉末(CUC-262
22A、99.9%、-200mesh(粒径<75μm))をア
ルゴン希釈の水素雰囲気中で400℃1時間、還元処理して粒子表
面に酸素欠損を作ったCuWO4-δ担体自体を触媒として、有機
化合物であるイソプロピルアルコール(IPA)と空気(酸素だけ
でもよい)の混合ガスを可視光照射(>420nm)で分解した。
IPA分解に関するCuWO4-δ担体自体の触媒活性に関する評
価は、可視光照射対応可能な手製の石英窓付反応容器(高さ約4cm、
直径約13cm)で常温常圧で測定された(図23)。
典型例では、3~4mgのCuWO4ーδ担体が反応容器内に設置
された試料用シャーレに均一に分散された。その後、反応容器は乾
燥空気で数分フラッシングし、容器内を乾燥空気で満たして密封し
た。続いて、IPAガスをシリンジを使って約190~200pp
m程度の濃度になるようにセルに注入し、その後、光を照射。光照
射による温度上昇をさけるため、反応容器の温度は水冷装置により
室温に保った。生成された炭酸ガスは、定期的にシリンジにてサン
プリングし、熱電動式検出器と火炎イオン化検出器を装備したガス
クロマトグラフで定量測定された。 なお、図23において、230
は反応容器、231は触媒、232は石英窓、233はIPA、及
び、乾燥空気を満たした空間、234はサンプリング用シリコンゴ
ム栓、235はサンプリング用シリンジを表す。 Xeランプが光
源として使用された。L42フィルタが紫外光(λ<420nm)
を取り除くために使用された。上記測定手法によるCO2生成量の
時間変化を図24に示す。この測定では、初期IPA濃度189p
pm、触媒量0.50g。1時間当たりのCO2生成量は約3.4
ppm/hであった。
比較例
同様に、フルウチ化学市販品CuWO4粉末を空気中で400℃、
1時間加熱した、特に酸素欠損を導入しないCuWO4 担体自体
を触媒として、有機化合物であるイソプロピルアルコール(IPA
)と乾燥空気の混合ガスに可視光(>420nm)を照射し、IP
Aを分解した。初期濃度198ppm、触媒量0.40gであった。
上記同様の測定方法によって得られたCO2生成速度を図25に示
す。
図24における測定条件との僅かな違いは補正してある。Ⅰ1時間
あたりのCO2生成量は約0.46ppm/hであった。 酸素欠
損を導入した場合に比べ、CO2生成速度は数分の1以下であるこ
とが分かる。
水素の生成: 材料:塩化ロジウム(III)水和物(RhCl3
・3H2O)はシグマアルドリッチ社から供給されている。TiO
2(AEROXIDE TiO2 P25, Lot No. 614
041498)はEvonik-Degussa社から購入した。
触媒の調製:全ての触媒は、含浸法により調製された。 まず、1
gのTiO2がRhCl3・3H2O水溶液(2.43、4.86、
7.29、9.72、14.58、と、24.23mM)20mL
に加えられた。 次に、1時間の撹拌後、上記試料は60℃で乾燥
され、400℃で2時間焼成された。昇温速度は毎分5度であった。
その後、試料はすり潰され、水素雰囲気で400℃で1時間還元処
理された。昇温速度は毎分5度であった。上記の様にして、TiO
2-δを担体として、上記担体に担持されたTiがドープされたR
h粒子(本発明の実施形態に係る触媒に該当する。以下、「TiO
2-δ担体担持Rh-Ti触媒」ともいう。)が得られた。 得られ
たTiO2-δ担体担持Rh-Ti触媒は、製造工程におけるTi
O2原料重量に対するRh重量に応じて、x%Rh-Ti(x=0.
5~5重量%)と命名した。 また、2%Rh-M2という「2重量
%」という表現は、それぞれ相応する担体担持された、異種元素(
第2金属原子M2)ドープされたRh触媒、に対して上記同様の方
法で作成した触媒を意味する。すなわち、本明細書では、特に明言
しない限り、2%Rh-M2とは、原料の担体(TiO2等)の質
量に対してRhを原料重量比として2重量%添加して作製した触媒
であることを表す。 ここでは、TiO2を担体原料とし、それに
含まれるTiをRh金属にドープしているが、例えば、TiO2を
担体原料とし、Rh金属にTiの他更に別の金属(M3)をドープ
したい場合は、RhCl3・3H2O水溶液にM3を含む水溶液を
まぜ、同様に含浸法で製造することにより、M3もRh金属にドー
プさせることができる場合もある。
なお、上記濃度の定義は、触媒の製造時に原料として投入したRh
の質量を原料である担体(酸化チタン等)の質量に対する割合で表
示したもので、ドープ量を示していない。すなわち、仕込み原料と
しての担体質量に対する、Rhの仕込み原料の質量の比を示してい
る。
触媒活性測定:水蒸気メタン改質による水素生成触媒活性に関する
評価は、可視光照射対応可能な手製の石英窓付底固定フロータイプ
の反応容器(高さ3cm、直径8.5cm)で常圧で測定された。
典型例では、20mgの触媒担持担体が反応セル内に均一に分散さ
れた。その後、反応セルは純水なArガスで2時間フラッシングし、
セル内の空気を取り除いた。 続いて、触媒はまず400℃で2時
間還元性のガス、CH4(10%)とH2O蒸気(3%)の混合ガ
スを毎分10mL流して活性化された。その後、活性化された触媒
は所望の反応温度まで冷却され、安定した触媒性能に到達した。全
ての生成物は、熱電動式検出器と火炎イオン化検出器を装備したガ
スクロマトグラフで定量測定された。 LA-251 Xeランプが
光源として使用された。HA30フィルタとL42フィルタが赤外
光と紫外光(λ<420nm)を取り除くためそれぞれ使用された。
温度は反応容器下の熱電対で検出され、光照射による加熱効果を軽
減するため、TC-1000温度制御装置(JASCO)で制御さ
れた。
触媒特性:TiO2担持x%Rh-Ti(xは触媒を製造過程にお
けるRhの重量%、x=0.5~5)触媒は含浸法により準備され、
400℃、1時間の水素還元処理が施された(この工程でTiO2
-δが形成されるが、触媒反応中も還元雰囲気にさらされるため、
δの値は製造直後の値と触媒反応中の値とが同じとは限らない。)。
X線回折(XRD)測定の結果、全ての試料が、担体であるTi
O2がアナターゼ相とルチル相でできていることを示していた。
2%Rh-Ti触媒の透過型電子顕微鏡(TEM)像(図26)か
ら、触媒が、平均粒径約2.5nmの酸化チタン表面上に均一に分
散していることが判明した。なお、図26において、Aで示した領
域は、TiO2-δ担体粒子に対応しており、Bで示した領域は、
Rh-Ti触媒に対応している。
触媒活性の光増強効果:水蒸気メタン改質による水素生成速度の測
定は、石英窓付の底部固定反応容器を使い、常圧下、可視光(42
0~800nm、580mW/cm-2)照射のもとで行われた(
図27)。 なお、図27中、271は反応容器を示し、272は石
英窓を示し、273は触媒担持担体を示す。
図28は、TiO2-δ担体担持Rh-Ti触媒における、水素生
成速度のRh担持量の依存度を示す(260℃で観測)。黒が光照
射しない場合を示し、白が光照射した場合である。いずれも、Rh
仕込み量が、0.5重量%から2.0重量%に増えるにつれ、水素
生成速度は増加するが、2.0重量%から5.0重量%の範囲では
その増加は緩やかであった。上記の結果から、酸化チタン担体をRh
金属が活性化しているが、一定量以上のRhでその活性化は飽和す
ることが示唆される。一方Rh-Ti触媒はその量が増えるほど反
応は促進されるはずであるが、もともとTiO2-δ担体の活性が
高いため、Rh-Tiの増加の効果が見えにくく、飽和したように
見えるものと推測される。
光照射時、水素生成量は、(光照射のない)純粋な熱触媒作用のそ
れの、およそ3倍に増加していることが分かる。この、Rh-Ti
触媒に関する水素生成速度の可視光照射増強効果は再現性があった。
測定温度範囲220℃から300℃でも同様の測定を行ったが、水
素生成速度は、暗反応条件のそれより常に高かった。この反応促進
効果は、CO2とCO生成でも観測された。(副反応としての水ガ
スシフト反応(CO+H2O->H2+CO2)が存在する。しか
しながら、CO2が主要生成物である。)また、反応ガス(CH4
)のガス流量を増やすと、それに応じて、反応速度もまた改善され
た。 一方、可視光照射のもとでの反応速度を達成しようとすると、
光なしの純粋な熱的反応条件では温度を20~30℃高める必要が
あることが分かった。つまり、同じ水素生成速度を得ようとする場
合、Rh-Ti触媒を利用して、可視光照射すれば、より低温で、
SMR反応が実現できることが分かった。また、Rh-Ti触媒は
暗反応と明反応の条件で優れた触媒安定性を示していた。
同様の方法で、酸化ケイ素(SiO2、Wako Co.から購入し
た。)、酸化ジルコニウム(ZrO2、Wako Co.から購入し
た。)、酸化タンタル(Ta2O3、Wako Co.から購入した。
)を担体原料とした系についても検討を行った。Si、Zr、及び
TaがドープされたRh触媒(Rh仕込原料重量比として2%))、
すなわち、2%Rh-Si、2%Rh-Zr、2%Rh-Ta、を
それぞれ担持させ、同様の反応方法、同様の測定方法で水素生成速
度を観測した。その結果を表1に示す。2%Rh-Si、2%Rh
-Zrの粒子の平均サイズは、3~4nmである。
この項つづく
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2特開2022-165156 エンジン制御装置 トヨタ自動車株式会社
【概要】
エンジンの排気通路に設置される排気浄化装置として、電気加熱触
媒装置がある。以下の説明では、電気加熱触媒装置を、EHC(El
ectrically Heated Catalyst)と記載する。EHCは、排気浄化用の触媒
を担持する基材として、導電材からなる基材を備えている。こうし
たEHCでは、通電に応じた基材の発熱により触媒を昇温すること
で、エンジンの冷間始動直後に触媒を早期に活性化している。
一方、エンジンの排気には、煤が含まれている。こうした煤がEH
Cの内部に排気中の煤が堆積すると、その煤を通じて基材と外部の
導電部品との間に導通経路が形成されてしまう。そして、その結果、
基材の絶縁性が低下することがある。足することがある。したがっ
て、空燃比パータベーション制御だけでは、EHC内に堆積した煤
の除去が不十分となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するエンジン制御装置は、エンジンの排気通路に設
置された電気加熱触媒装置の内部に堆積した煤を除去するための再
生制御を実行する。同エンジン制御装置は、空燃比パータベーショ
ン制御と、燃料カット制御と、の2種の制御を再生制御として有し
ている。空燃比パータベーション制御は、理論空燃比よりもリーン
側の空燃比で燃焼を行うリーン燃焼と理論空燃比よりもリッチ側の空
燃比で燃焼を行うリッチ燃焼とを周期的に切り替える制御である。
また、燃料カット制御は、エンジンが外部動力により回転駆動され
た状態で同エンジンの燃料供給を停止する制御である。そして、同
エンジン制御装置は、空燃比パータベーション制御、及び燃料カッ
ト制御のうちのいずれの制御を再生制御として実行するかを、排気
流量と電気加熱触媒装置の触媒床温とに基づき選択している。
下図1のごとく、エンジン制御装置21は、エンジン11の排気通
路19に設置された電気加熱触媒装置20の内部に堆積した煤を除
去するための再生制御を実行する。同エンジン制御装置は、空燃比
パータベーション制御と、燃料カット制御と、の2種の制御を再生
制御として有し、空燃比パータベーション制御、及び燃料カット制
御のうちのいずれの制御を再生制御として実行するかを、排気流量
と電気加熱触媒装置の触媒床温とに基づき選択することで、電気加
熱触媒装置の内部に堆積した煤の除去効率を高める。
図1.エンジン制御装置の一実施形態が適用されるエンジンを搭載
するハイブリッド車両構成を模式図
続いて、図1を併せ参照して、エンジン11の構成を説明する。エ
ンジン11は、気筒別の燃焼室35と、各気筒の燃焼室35への吸
気の導入路である吸気通路36と、各気筒の燃焼室35からの排気
の排出路である排気通路19と、を備える。吸気通路36には、エ
アフローメータ37と、スロットルバルブ38と、が設けられてい
る。エアフローメータ37は、吸気通路36を流れる吸気の流量で
ある吸気流量GAを検出するセンサである。また、スロットルバル
ブ38は、吸気流量GAを調整するための吸気の絞り弁である。
一方、排気通路19には、EHC(Electrically Heated Catalyst:電気加
熱触媒装置)20が設置されている。EHC20は、触媒の電気加
熱が可能な排気浄化用の触媒装置である。EHC20の詳細な構成
については後述する。さらに、エンジン11には、インジェクタ3
9と点火装置40とが、気筒毎に設けられている。インジェクタ3
9は、燃焼室35に流入する吸気中に燃料を噴射する燃料噴射弁で
ある。点火装置40は、燃焼室35に導入された吸気と燃料との混
合気を火花放電により点火するための火花発生装置である。
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【符号の説明】 10…ハイブリッド車両 11…エンジン 12…
発電機 13…モータ 14…動力分割機構 15…減速機構 16…
車輪 17…インバータ 18…メインバッテリ 19…排気通路
20…EHC(電気加熱触媒装置) 21…電子制御ユニット 22
…アクセルペダルセンサ 23…車速センサ 24…外気温センサ
25…絶縁配管 26、27…金属配管 28…EHC基材 29…
後段基材 30…緩衝材 31…電極 32…電力制御回路 33…補
機バッテリ 34…排気温度センサ 35…吸気通路 36…燃焼室
37…エアフローメータ 38…スロットルバルブ 39…インジェ
クタ 40…点火装置
以下、エンジン制御装置の一実施形態を、図1~図5を参照して詳
細に説明する。本実施形態のエンジン制御装置は、ハイブリッド車
両に搭載されたエンジンに適用されているが図のみ転載、以下省略。
図1.エンジン制御装置が実行する再生制御の要否判定循環流れ図
図2.エンジンの排気通路に設置されたEHC構成模式図
図3.エンジン制御装置が実行再生制御要否判定循環流れ図
図4.同エンジン制御装置が実行する再生制御循環流れず
図5.FC禁止領域、FC許可領域、及び条件付き
FC許可領域設定態様図
※避けて通れない、オールバイオマスシステムでの新規人造触媒製
造及び応用工学。
● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)
明日も先端技術で世界一をめざす