きのう会社の帰りに買い物すべく、スーパーの
駐車場に車を止めようとしたところ、駐車位置になにか
白いものが目に入った。
よく見ると鳩である。それも真っ白い鳩で、このへんに
たむろしている鳩ではない。
それはいいのだが、その鳩のくちばしあたりから赤い
血が付いているのが見えた。
翼も片方ちょっと垂れ気味で、あきらかに何かで傷ついて
飛べる状態ではない。
しかししっかりと立っている。その目は妙に悲しげで
これから訪れようとする運命をただじっと待っているという
感じだった。
私がとっさに思ったのは、車にやられたのではないかということだった。
翼を持った鳩が?と思うかも知れないが現によく道路上に
倒れている鳩を見たことがあるし、先日などあのずるがしこいカラスでさえ
道路に轢死していたのである。
よくすずめが道で何かついばんでいるとき、車で通ると
「あれ」と思うぐらいギリギリのとこで飛び立ったりすることがよくある。
娘などは「あれはきっとスズメの肝試しよ」などと言う有様である。
そのほか、なんとあの飛びのスペシャリストのツバメの轢死体も
見たことがあるのだ。
思うに動物たちにとって、車のスピード感というのはつかみ辛いのでは
ないかと前々から思っていた。ほかの動物たちなら、加速する瞬間に
グッと首をすくめるとか、四足ならグッと前傾姿勢にはいるとかの
リアクションがあるのだが、車にはそれがまったくないのである。
本能中心で動く動物たちにとって車は無表情で無気味な存在
に違いない。
私は車を降りて鳩の様子を見ようとしたら、ほかの女性客の人たちも
すぐに気づき、「まあかわいそうに…」「ほんと…」と車を
降りてきた人たちが囁きあっていた。
しかしみんなどうすることもできず、つぎつぎとその場を
離れていく。私とて同じだった。
こんなとき私に不思議な力が備わっていて、鳩を両手でくるむと
突然バタバタとはばたいて大空に飛び立ったりしたら
大ヒーローになるだろうになあ…などとたわけたことが頭をよぎったが、
現実の私は無力な凡夫なのだ。
何とかしてやりたいのだが何にもできない自分がもどかしく、
どうしようもない無力感にさいなまされてしまう。
無力感を引きずりつつもひとしきり買い物を済ませ、また
駐車場へ。
まだ鳩はそのままの状態でじっとしていた。やはり何人かの
人たちが囁きあっている。
やっぱりどうしようもないか…と仕方なくその場を離れようと
したとき、そのスーパーの店員らしき人が2人手に
ハッポースチロールの箱を持ってやって来たではないか。
誰かがたまらず知らせたに違いない。
ちょっとホッとしつつ、何とかいい結果になるように祈りながら
駐車場を後にした。
動物たちに告ぐ!もっと人間を警戒せよ、もっと文明を恐れよ、
そしてもっと仲良くしよう。
駐車場に車を止めようとしたところ、駐車位置になにか
白いものが目に入った。
よく見ると鳩である。それも真っ白い鳩で、このへんに
たむろしている鳩ではない。
それはいいのだが、その鳩のくちばしあたりから赤い
血が付いているのが見えた。
翼も片方ちょっと垂れ気味で、あきらかに何かで傷ついて
飛べる状態ではない。
しかししっかりと立っている。その目は妙に悲しげで
これから訪れようとする運命をただじっと待っているという
感じだった。
私がとっさに思ったのは、車にやられたのではないかということだった。
翼を持った鳩が?と思うかも知れないが現によく道路上に
倒れている鳩を見たことがあるし、先日などあのずるがしこいカラスでさえ
道路に轢死していたのである。
よくすずめが道で何かついばんでいるとき、車で通ると
「あれ」と思うぐらいギリギリのとこで飛び立ったりすることがよくある。
娘などは「あれはきっとスズメの肝試しよ」などと言う有様である。
そのほか、なんとあの飛びのスペシャリストのツバメの轢死体も
見たことがあるのだ。
思うに動物たちにとって、車のスピード感というのはつかみ辛いのでは
ないかと前々から思っていた。ほかの動物たちなら、加速する瞬間に
グッと首をすくめるとか、四足ならグッと前傾姿勢にはいるとかの
リアクションがあるのだが、車にはそれがまったくないのである。
本能中心で動く動物たちにとって車は無表情で無気味な存在
に違いない。
私は車を降りて鳩の様子を見ようとしたら、ほかの女性客の人たちも
すぐに気づき、「まあかわいそうに…」「ほんと…」と車を
降りてきた人たちが囁きあっていた。
しかしみんなどうすることもできず、つぎつぎとその場を
離れていく。私とて同じだった。
こんなとき私に不思議な力が備わっていて、鳩を両手でくるむと
突然バタバタとはばたいて大空に飛び立ったりしたら
大ヒーローになるだろうになあ…などとたわけたことが頭をよぎったが、
現実の私は無力な凡夫なのだ。
何とかしてやりたいのだが何にもできない自分がもどかしく、
どうしようもない無力感にさいなまされてしまう。
無力感を引きずりつつもひとしきり買い物を済ませ、また
駐車場へ。
まだ鳩はそのままの状態でじっとしていた。やはり何人かの
人たちが囁きあっている。
やっぱりどうしようもないか…と仕方なくその場を離れようと
したとき、そのスーパーの店員らしき人が2人手に
ハッポースチロールの箱を持ってやって来たではないか。
誰かがたまらず知らせたに違いない。
ちょっとホッとしつつ、何とかいい結果になるように祈りながら
駐車場を後にした。
動物たちに告ぐ!もっと人間を警戒せよ、もっと文明を恐れよ、
そしてもっと仲良くしよう。