ささやける 牡丹がわたし だけを見て
issei
牡丹は富貴の花と言われ、特に中国では「花中の王」とか
「国色天香」(こくしょくてんか)の賛辞を受けるほどの花の中の花
だという。
一度頂いたことがあって、玄関に飾ったのだが、裏庭などの
目立たないところではなく、まさに人目に付く玄関にこそ
ふさわしい花だと思った。その大輪のなかに自信とプライドを
感じ、こう、わたしにささやいたのだった。
面白いのは、散るときには一気に花びらを落としてしまうのである。
散り際のいさぎよさもまた、花中の王にふさわしい…。
今年7月20~31日まで作品展示を予定している「茶房じゅん」だが、
この作品を初めて展示したとき、「ちょっと趣が変わったわねえ」と
口々に言われたのである。
自分では、よくわからなかったので、後でよく考えたのだが、二つほど
思い当たることがあった。それまで、魚を中心に昆虫、鳥などの動物を
描いていたのが一つ。もう一つは、必ず文字を入れていたのである。
以来、しばらく文字を入れなくなり、花の絵も、薔薇、蓮などを
描き始めたのであるが、男性陣にはやや不評だった。(苦笑)
我が変節の一作でもある。