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ぽかぽか春庭「日本語教育はじめの一歩」

2012-05-23 00:00:01 | 日本語教育
2012/05/23
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>ステップバイステップ日本語教師養成講座(2)はじめの一歩

2012/05/23
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>ステップバイステップ日本語教師養成講座(2)はじめの一歩

 第1回目の日本語教育能力検定試験実施から四半世紀。日本語教師は数が増え続け、現在は5万人の日本語教師が、日本国内や海外で仕事をしています。日本に留学生・就学生として滞在している学生は13万人。世界中で日本語を学んでいる人は300万人に達しています。

 私の仕事のひとつは、日本の大学院で学ぶ国費留学生(日本の文科省が奨学金を給与する留学生)への日本語教育。世界中、100ヶ国の国籍の学生に教えてきました。今年受け持っているのは、中国、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、イラン、イラク、セネガル、イギリス、メキシコというラインナップなので、「お初にお目にかかります」という国籍の学生はいませんでした。

 もうひとつの仕事の柱は、日本語教師になりたい学生のための日本語学、日本語教授法などの講義です。今年の受講学生の中には、すでに「日本語教員養成講座440時間受講単位取得」という学生もいて、「日本語教師をめざしたい」とがんばっています。
 「日本語教員養成講座440時間」というのは、日本語教師資格取得の方法のひとつで、民間の日本語学校日本語教師養成講座などで、440時間の日本語関連科目を受講し、単位取得が認定された教師です。大学で「主専攻または副専攻で、日本語関連科目40単位取得」したというのと同じ認定です。

 しかし、日本語教師のポストはなかなか狭き門なので、確実に日本語教師としての未来を考えるなら、日本語教育能力試験に合格したほうがいいよ、と学生にはすすめています。
 第1回目から約四半世紀がすぎ、2011年度から試験の問題が一部改訂され、昨年の合格率は27%で、これまでより合格率が大きくUPしました。

 2012年は、6月25日(月)から 8月13日(月)までが出願期間。 試験日. 2012年10月28日(毎年第4日曜日)、 合否結果通知は12月下旬で、毎年おおよそ5000~6000人が受験し、合格者は1000人程度。合格率は20%前後でしたから、昨年の27%合格というのは、問題がやさしくなったのかなと思います。

 2010年の日本語教育能力検定試験に出題された問題から、少しアレンジした練習問題にチャレンジしてみてください。「仲間はずれをさがせ」という問題です。

 品詞わけは、学生にとって苦手なもののひとつですが、学習者の誤用を知り的確に指導するために、教師には必要不可欠な知識です。

例題) 「名詞的用法」という観点から、他とことなる語を選びなさい。
A)遠く  B)低く  C)多く  D)早く  E)近く

ヒント:「の」をつけた例文を考える。「遠くの駅まで歩いて行く」
 
 「低く」には、*低くの雲が浮かぶ  *背が低くの男とは結婚しない、など、「の」が膠着する名詞的用法が成立しません。
 量的な意味を含む形容詞の一部に「名詞的用法」があります。名詞的用法が成立するのは、形容詞のうち、近い、多いなど、数量表示ができる量的形容詞の一部です。「高い・低い」は、メートル単位などで、数量表示ができますが、名詞的用法はできません。できるほうが少数派なのです。

「低く」以外の四つは、「多くの人々に愛された」「お待ちしておりましたが、こんなに早くの到着とは存じませず、失礼しました」「遠くの親戚より近くの他人」などの名詞の前につける修飾表現が可能。
 学習者は、「この大学には、多い留学生がいます」などと誤用します。「背が高い留学生がいます、は正しいです。しかし、多い留学生は、どうしてだめですか」と質問してきます。そのとき、数量形容詞「く形」の名詞的用法、の知識があれば、的確に説明できます。例文をたくさん出してあげることが大切。

答え B

 次回から、文法語彙問題、発音問題、記述問題にチャレンジ!

<つづく>
コメント (4)
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