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ぽかぽか春庭「ブリジストン美術館きままにアートめぐり」

2013-01-24 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/01/24
ぽかぽか春庭@アート散歩>お金持ちのコレクション(1)ブリジストン美術館「きままにアートめぐり」
 
 「ぐるっとパス」という割引き美術館チケットをこの冬休みも買いました。通常展に無料で入館できる券と、企画展特別展に割引きで入れる券が40館分ついています。
 2000円だから、2館か3館入場すれば「元がとれる」というもんですが、根が貧乏症だから、どうせ買ったなら、とことん使い倒してやろうと考える。

 まず、暮れのうちにブリジストン美術館へ。
 「気ままにアートめぐり」という展示で、これは館所蔵のコレクション展。新収蔵品は、カイユボット(1848-1894)の『ピアノを弾く若い男』くらいで、あとはなじみの作品でした。

ピアノを弾く若い男」

 近代美術館西洋美術館もそうですが、なじみの作品に1年に1度ずつくらい会っておくのも絵を見る楽しみのひとつ。新しい収蔵品があれば、へぇ、こんな絵が購入されていたんだと思って眺めるし、なじみの絵には、いよぉ、また会ったねと挨拶する。
 ブリジストンでは、ピカソのサルタンバンクや「女の顔」などおなじみの絵をながめ、「やあ、久しぶり」とご挨拶。

ピカソ「女の顔」
 
 絵を見て歩くたびに、中学生の私に絵を見る楽しみを教えて下さった松岡先生に感謝の念を抱きます。中3のときの美術の先生です。美術の授業中はさぼってばかりで、課題の写生作品なども、なんとか提出せずに済ませようとした出来の悪い生徒でした。(絵を描くのは、昔も今も超チョー下手です)

 中学校卒業後、年賀状一枚ださなかったのですが、50年たっても「ああ、あの先生に美術授業を受け持って頂いたおかげで、今も美術館巡りが大好きなのだなあ」と思います。
 教師の仕事は地味ですが、ひとりの子どもの心に何かのタネを植えて、それが大きく実っていくのを見ることもあるだろうし、私のように年賀状すら出さなくても、心のなかに先生への感謝を持ち続けるという場合もある。まあ、これは日頃ろくでもない教師だと自責の念を抱きつつ日々の授業を続けている自分へのなぐさめの気持ちでもあります。

 たまに、期末レポートの欄外に「先生に教えて頂いたおかげで、日本語の世界が広がりました」なんて言われることもありますが、そんな直接のことばは、レポートの点数をいくらか上げてもらおうと狙ってのこと。ことばにしなくてもいいのです。どこかにひとりくらい、授業のちょっとしたことが心に残ることがあるかもしれない。それでいい。と、信じられれば地味な仕事も続けられる。

 画家はどんな気持ちで絵筆を握るのだろう。生前にはさっぱり絵が売れなかったという画家の絵の前に立つ。ピカソのように長生きをして功成り名を遂げ、最初の妻、最後の妻のほかに数人の愛人をもってそれぞれに子を産ませた華やかな人生もある。
一枚の絵を売るにも苦労し、貧困のうちに自分も家族も死んでいく画家の人生もある。

 ブリジストン美術館の「気ままにアート」を、仕事帰りにぶらっと一回りして、ついでだから、東京駅の八重洲口から丸の内にまわって、電飾を見て帰りました。イルミネーション、あちこちで輝いています。
 どうにも輝かない人生を歩んでいる身としては、せめて、キラキラのイルミネーションでも眺めて華やごうと、寒い中有楽町まで歩きました。 

<つづく>
コメント (4)
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