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ぽかぽか春庭「東京雪景色」

2013-01-17 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/01/17
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里日記 1月(1)東京雪景色

 2013年1月14日成人の日は、久しぶりに昼に降って積もる雪になりました。なにもこんな日にわざわざ出かけなくてもよさそうなものだけれど、こういう日は美術館もすいているんじゃなかろうかと、出かけました。

 家を出るとき、雨が雪に変わり、地下鉄に乗っている間に本格的に積もりだしました。


 六本木一丁目駅を出ると雪国だった。
 「ビルの底が白くなった」てなこと言いながら、六本木ビル群を見上げる。
 六本木駅一丁目駅は、ビルの底にあります。地下2階が改札。そこから地上までは、外にあるエスカレーターを乗り継いでいきます。エスカレーターが建物の中ではなく、外にあって、地下2階から空を見上げながら地上に向かう感覚は、よそにはないものなので好きですが、降りしきる雪の中を上昇していく感覚を味わうのは初めてのことです。

 途中に柚子だかカボスだかの木があって、エスカレーターから手を伸ばしても実には届かないのだけれど、雪中の柚子という景色もおもしろいかと思って写真を撮りました。


 屋根付きのエスカレーターは稼働していたけれど、地上にでる最後の屋根無しのエスカレーターは「安全のため停止」という札がかけられていて、動いていませんでした。階段をすべらないようにひと足ひと足ずつ運んで、スェーデン大使館側に出ます。
 大都会に君臨するがごとき六本木ヒルズが、灰色の墓標のように立ち尽くしています。


 雪の句
酒のめばいとど寝られぬ夜の雪(松尾芭蕉)
・我が物と思へば軽し笠の雪 (宝井其角)
・いくたびも雪の深さをたずねけり(正岡子規)
・雪敷きて海に近づくこともなし(山口誓子)
・雪降れり時間の束の降るごとく(石田波郷)
・雪はしづかにゆたかにはやし屍室(石田波郷)
・雪を来て少女等の語尾舞ふごとし(加藤楸邨)
・降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)
・外套の裏は緋なりき明治の雪(山口青邨)
・葛城山の肩に雪照る皇子の陵(角川源義)
・かぎりなく降る雪何をもたらすや(西東三鬼)
・雪はげし抱かれて息のつまりしこと(橋本多佳子)
・昔雪夜のランプのようなちいさな恋(三橋鷹女)



・夜の底の墓標の如きヒルズビルに皚皚(がいがい)として雪降り続く(春庭



 雪の予報を聞いていたのか、被布を羽織っている娘さんたちもいました。

・被布の裏は緋色なりしや乙女らはさざめきあいて夜行バス待つ(春庭)

・屋根にふる雪のせ新宿西口のバスは真白き世界へと発つ(春庭)

<つづく>
コメント (9)
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