2013/01/06
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里日記2013年1月(5)御年始格付け
年始回りというのは、昔は正月の一番大切な行事でした。親戚一同のところをぐるぐると回って、子どものころはお年玉がもらえるのでうれしかったし、大きくなってからは、一緒にごちそういただきながら近況報告をしたりしたものでした。
今では、年始に行くのは、姑の家だけ。姑、5日からはデイケアセンターの体操教室が始まるというので、4日に出かけて、年始をしてきました。
今年最初の「いっしょにごはん」は、1日に見た「芸能人格付け」というのをまねてゲームをしました。格付けというのは、一級品と一般品を比べて、どちらが一流品か当てるというテレビバラエティ番組です。1本100万円のワインと、3000円のワイン。どちらが美味いか、たぶん私には当てられない。味をみるのはできないけれど、私、バイオリンの音の違いと映像演出、生け花は、正解しましたよ。
味のちがいを舌で味わい分けるクイズの中で、100g1万2千円のテンダーロイン肉と100g800円のスーパーの肉を食べ比べて、どちらがいいか当てるというゲーム、元プロ野球の清原や和田アキ子は、100g800円のほうが美味いと言いました。全問正解したのは、歌手のガクト。格付けは一流芸能人。
娘と息子、これを見て、「100g800円の肉って、この団地のスーパーの中では高いほうだよ。たぶん、食べたらフツーに美味い。オーストラリアとかアメリカのビーフなんて、スキヤキ用100g250円なんてのがあるもん」と言います。
そこで、A:100g250円の特売アメリカビーフ、B:100g600円の黒毛和牛。C:100g千円の霜降りの3段階をスキヤキにして、当てるというゲームに挑戦したのです。テレビ番組の100g12000円には及ばないけれど、わが家にしてみれば100g1000円の肉というのは贅沢品なんです。
その結果、わが家でいちばん舌が確実な娘は全部わかりましたが、味オンチの私と息子は、アメリカビーフと和牛の違いはわかるけれど、100g600円と100g千円は「たいして違いがない」という感想でした。つまり、わが家は、100g千円の肉を買う必要はないという結論に達しました。100g600円でも十分に満足しておいしいと感じるのです。なんと安上がりな幸せ。100g12000円の肉なんて、高級すぎてきっと美味いとは思わないかもしれません。
しいたけ、えのき、ねぎ、白菜、しらたき、焼き豆腐、車麩。娘が調理して、皆がおなかいっぱいになってから夫到着。夫は私や息子以上に味がわからない人。世の中には「うまい、とてもうまい、ものすごくうまい」という3種類の味しかないという人なので、何を食べても「うまい」はず。
夫は、同級生から送られてきた小学校6年生のときの遠足写真を持参し、「僕は、この右端の子だと思うのだけれど、どうかなあ、おふくろさん、わかる?」と、子どもの頃の自分の顔、本当に自分なのかどうか、自信がない、と言うのです。
姑は写真をじっと眺め、「うん、間違いない。右端の子」と断定しました。着ているシャツに見覚えがあるというのです。50年も前の写真なのに、さすが母親。我が息子の顔と着ているシャツをしっかり覚えていました。
姑は古い新聞の切り抜きを持って来て、「ほら、この新聞記事にも出ているから」と見せてくれました。昭和39年という古い切り抜き。我が子が学校で活躍した新聞記事を50年も捨てないでとっておく、母心ってありがたいものです。
その「かっては自慢の息子だった」タカ氏、このところ、これまでより母親孝行しているようです。去年の夏、体調を崩してしまった母親を心配し、今まで用事が無い限り顔を出さないできた実家に、数日おきに寄るようになりました。
1月中旬の病院での検査と診察には、娘が付き添うことになって、ヨメはちょいと手抜き。
姑は、体操教室、お習字なども再開し、今の希望は「米寿の祝いを皆でやりたい」ということ。祝いごとの設定はタカ氏に頼みたいというのですが、例によってめんどうくさがりのタカ氏は「僕はパス。お祝いしたいなら、勝手にやって」と、逃げ腰です。こういうときヨメは夫を無視してお祝いごとを仕切っていいものなのやら。ヨメが決めてしまうと、それはそれでタカ氏は気に入らないのです。むずかし。
姑は息子が祝ってくれてこそ幸せなのでしょうに。我が夫、孝行息子格付けではどうも三流息子です。
とはいえ、姑にとっては、小学校中学校あたりまでは自慢の息子だった現在の三流孝行息子でも、たったひとりの愛し子。その気持ちはわかります。私の息子だって、この先親孝行するだろうとはいっこうに思えないけれど、やっぱり愛しい我が子ですから。
<おわり>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里日記2013年1月(5)御年始格付け
年始回りというのは、昔は正月の一番大切な行事でした。親戚一同のところをぐるぐると回って、子どものころはお年玉がもらえるのでうれしかったし、大きくなってからは、一緒にごちそういただきながら近況報告をしたりしたものでした。
今では、年始に行くのは、姑の家だけ。姑、5日からはデイケアセンターの体操教室が始まるというので、4日に出かけて、年始をしてきました。
今年最初の「いっしょにごはん」は、1日に見た「芸能人格付け」というのをまねてゲームをしました。格付けというのは、一級品と一般品を比べて、どちらが一流品か当てるというテレビバラエティ番組です。1本100万円のワインと、3000円のワイン。どちらが美味いか、たぶん私には当てられない。味をみるのはできないけれど、私、バイオリンの音の違いと映像演出、生け花は、正解しましたよ。
味のちがいを舌で味わい分けるクイズの中で、100g1万2千円のテンダーロイン肉と100g800円のスーパーの肉を食べ比べて、どちらがいいか当てるというゲーム、元プロ野球の清原や和田アキ子は、100g800円のほうが美味いと言いました。全問正解したのは、歌手のガクト。格付けは一流芸能人。
娘と息子、これを見て、「100g800円の肉って、この団地のスーパーの中では高いほうだよ。たぶん、食べたらフツーに美味い。オーストラリアとかアメリカのビーフなんて、スキヤキ用100g250円なんてのがあるもん」と言います。
そこで、A:100g250円の特売アメリカビーフ、B:100g600円の黒毛和牛。C:100g千円の霜降りの3段階をスキヤキにして、当てるというゲームに挑戦したのです。テレビ番組の100g12000円には及ばないけれど、わが家にしてみれば100g1000円の肉というのは贅沢品なんです。
その結果、わが家でいちばん舌が確実な娘は全部わかりましたが、味オンチの私と息子は、アメリカビーフと和牛の違いはわかるけれど、100g600円と100g千円は「たいして違いがない」という感想でした。つまり、わが家は、100g千円の肉を買う必要はないという結論に達しました。100g600円でも十分に満足しておいしいと感じるのです。なんと安上がりな幸せ。100g12000円の肉なんて、高級すぎてきっと美味いとは思わないかもしれません。
しいたけ、えのき、ねぎ、白菜、しらたき、焼き豆腐、車麩。娘が調理して、皆がおなかいっぱいになってから夫到着。夫は私や息子以上に味がわからない人。世の中には「うまい、とてもうまい、ものすごくうまい」という3種類の味しかないという人なので、何を食べても「うまい」はず。
夫は、同級生から送られてきた小学校6年生のときの遠足写真を持参し、「僕は、この右端の子だと思うのだけれど、どうかなあ、おふくろさん、わかる?」と、子どもの頃の自分の顔、本当に自分なのかどうか、自信がない、と言うのです。
姑は写真をじっと眺め、「うん、間違いない。右端の子」と断定しました。着ているシャツに見覚えがあるというのです。50年も前の写真なのに、さすが母親。我が息子の顔と着ているシャツをしっかり覚えていました。
姑は古い新聞の切り抜きを持って来て、「ほら、この新聞記事にも出ているから」と見せてくれました。昭和39年という古い切り抜き。我が子が学校で活躍した新聞記事を50年も捨てないでとっておく、母心ってありがたいものです。
その「かっては自慢の息子だった」タカ氏、このところ、これまでより母親孝行しているようです。去年の夏、体調を崩してしまった母親を心配し、今まで用事が無い限り顔を出さないできた実家に、数日おきに寄るようになりました。
1月中旬の病院での検査と診察には、娘が付き添うことになって、ヨメはちょいと手抜き。
姑は、体操教室、お習字なども再開し、今の希望は「米寿の祝いを皆でやりたい」ということ。祝いごとの設定はタカ氏に頼みたいというのですが、例によってめんどうくさがりのタカ氏は「僕はパス。お祝いしたいなら、勝手にやって」と、逃げ腰です。こういうときヨメは夫を無視してお祝いごとを仕切っていいものなのやら。ヨメが決めてしまうと、それはそれでタカ氏は気に入らないのです。むずかし。
姑は息子が祝ってくれてこそ幸せなのでしょうに。我が夫、孝行息子格付けではどうも三流息子です。
とはいえ、姑にとっては、小学校中学校あたりまでは自慢の息子だった現在の三流孝行息子でも、たったひとりの愛し子。その気持ちはわかります。私の息子だって、この先親孝行するだろうとはいっこうに思えないけれど、やっぱり愛しい我が子ですから。
<おわり>