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ぽかぽか春庭「新潟-日本海旅行3」

2013-09-24 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/09/24
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里半日記9月(5)新潟-日本海旅行3

 建築紀行新潟編。新潟駅前から「ドカベン号」という市内循環バスに乗りました。
 最初は、新津記念館。新潟で石油王として成功した実業家の立てた洋館(迎賓館)の見学。昭和の洋風建築で、国の登録有形文化財ですが、室内撮影禁止とのことで、外観だけ撮影。500円。

新津記念館南側


 ドカベン号の順路に従って、1895(明治28)年の建築で、大地主伊藤家の別邸(北方文化博物館)の外観を見てから、斎藤家へ。
 斎藤家は、1918(大正7)年建築、豪商の和館です。現在は新潟市の所有になり庭と屋敷が公開されています。

斎藤家庭園側から

二階から庭を見る

 斎藤家の次に旧小澤家住宅(北前船の時代館)へ。


 入口で、斎藤家で私の前になったり後ろになったりしながら歩いていた一人旅のおばさんが、「ここ、見ますか」と声をかけてきました。「ええ」と答えると「じゃ、ごいっしょに」と言う。あれ?「ごいっしょ」はちょっとしんどいかも。ま、いいか。

 おばさんは、川崎に住んでいると自己紹介し、佐渡の薪能を見に来たのに雨がふって会場が室内に変更になり、その変更地がわかりにくい場所で往生した、というような話をひとりで語り続けます。私は相槌をうつだけでよかったので、それほどしんどくもありませんでした。彼女は一人旅をよくするのだけれど、行く先々でお連れを探して、薪能もどこかのおばさんと偶然いっしょになって見たのですと。こういう誰とでもすぐ友達になれる人もいるし、話しかけられるだけで疲れてしまう、私のような非社交人もいる。

 小澤家の内部をボランティアガイドさんが説明してくれました。
 博物館や美術館のボランティアガイドさんはみな勉強熱心な方が多いのですが、困るのは、ときとして、こちらのほうが美術や歴史にくわしいとき、ガイドさんの間違っていることを指摘するような場合です。
 この日のガイドさんは、ボランティアガイドを定年退職後の生きがいにしているとおぼしき年配の男性でした。このときあとから地元の奥様二人連れがガイドさんに追いつき、前後しながらガイドさんの説明を聞いていました。奥様のひとりのほうが、時折ガイドさんの説明に付け加えをしたり、訂正をしたりしていました。とてもさりげない付け加えなので、美術館のガイドさんに訂正を言うとき、私はいつも「言うべきか言わざるべきか」とさんざん悩んだり緊張したりするのに、こういうふうにさりげなくいうのがスマートだなあと参考になりました。

 ガイドさんより詳しいのも道理で、この日お藏の展示「船箪笥」の所有者で、小澤家の展示に貸出をしている方でした。小澤家の学芸員さんの知り合いとのことで、展示物についても学芸員さんから毎度説明を受けているので、ガイドさんより詳しいのでした。ガイドさんが、陶器製の灯篭の作者を「シミズ何がし」と名前を言うと、「キヨミズですね。きよみずの舞台とか、きよみず焼きとかの」と訂正を入れていました。ガイドさんは「はあ、勉強になりました」と言っていました。

窪田家所蔵の船箪笥


 ドカベン号で向かった次の見学地は、みなとぴあ。新潟市歴史博物館です。
 歴史博物館本館(旧新潟税関庁舎を模して新築)、旧新潟税関石庫、旧第四銀行住吉町支店などが公開されています。

 同行の川崎おばさんは、博物館に入ると「ミュージアムシアター、何分から」と係員に聞いて、「じゃ、その時間まで館内ひと回りしてから見ましょう」と予定を立てる。私は「建物を見に来たのであって、シアターに入るつもりはなかった」とは言い出せず、気弱くおばさんのあとについてシアターへ。「黒鳥伝説」というタイトルなので、オデット白鳥に対するオディール黒鳥の伝説でもこの地にあるのかと思いました。なにせ、イエスキリストの墓までちゃんと存在する日本なので、オディールの墓なんかもあるのかと。

 「黒鳥伝説」は、平安末期に新潟を支配していた「黒鳥兵衛(くろとりひょうえ)」が、源家の誰か(義経、義綱、義家など諸説)に討ち取られるまでの軍記もの。朝廷側が成敗する話なので、黒鳥は思いっきり極悪非道の悪役に仕立てられています。安倍貞任の残党ということなので、地方豪族のうち、朝廷にまつろわぬ者のひとりであったのでしょう。あくまで伝説であって、史実とは異なるらしいですが、私の知らない地方史の一幕を見ることができました。

 川崎おばさんに声かけられたときは、一瞬「ごいっしょに、が面倒だから一人旅してんのに」と思ってしまったのですが、おばさんといっしょでなければがシアターに入らなかったところでした。おかげで、これまで知らなかった黒鳥兵衛について知ることができました。ひとりで行動することは気楽ですが、いつも自分の興味だけで行動してしまうから、思いがけない出会いが少なくなるのかもしれません。「旅は道連れ」も、やってみれば、自分の狭い見識をほぐしてくれて、ありがたいことなのです。

 川崎おばさんは、これから次のバスに乗るというので、私は「まだ建物の写真をとっていきますから」と、今度は自己主張できました。おばさんは、バス停で次のお友達を探して、連れ立って行きました。

 旧新潟税関の建物や旧第四銀行住吉町支店などの撮影をしてから、しばし海を眺めて、駅へ戻りました。

 白山公園にある憲政会館(旧新潟県議会旧議事堂)へ。
 5時を数分過ぎてしまっていたので、閉館したあと。中は見ることができませんでした。
 循環バスも次のはまだこないので、歩くことにしました。
 ドカベン通り、古町商店街の中を歩きました。ドカベンやあぶさんの銅像が通りに置かれています。
   

 宿泊はまた駅前のビジネスホテル。もう歩き疲れたので夕食はホテルの2階にあるシャングリラというレストランで、魚沼産こしひかりの釜だき定食というのを食べました。てんぷら、さしみ、ノドグロ塩焼き、山形牛と野菜のデミグラス煮込み。私にしてみれば、一回の食事に3500円というのは、大盤振る舞いのうちなんですが、味と値段の兼ね合いは、う~ん、釜だき御飯はおいしかったですが、海の幸を味わうには、ちょっと物足りないラインナップでした。



<つづく>
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