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ぽかぽか春庭「畳の部屋で日本体験」

2013-09-28 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/09/27
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽんご教師日誌>留学生の日本文化体験教室(2)畳の部屋で日本体験

 留学生の日本文化体験教室、レッスン2は、「How to cook Japanese chirashi-sushi」。
 ちらし寿司は、お彼岸によく家庭で作られる「日本のソウルフード」というような話をしながら、3人それぞれに、鮪、鮭、鯛、厚焼き卵を切ってもらいました。
 上に散らす材料はなんでもよく、最近はアボガド散らしなどもあるし、各家庭それぞれに家庭の味がある、などを話しながら、炊き上がったご飯半分にすし酢を混ぜて、うちわでパタパタ仰いでもらい、まず、てまり寿司を作りました。丸やら楕円やら好きな形にご飯をまるめて、上に刺身をのせる。あとの半分には「イージー、インスタントクッキング」と言いながら、「ちらし寿司のもと」を混ぜ合わせ、切った刺身やきゅうり、しそなどを散らし、きれいなちらし寿司ができました。

 あとは、それぞれが自由にレタスやきゅうり、ゆで卵などを組み合わせて「わたしサラダ」を作ってもらいました。既製品の茶碗蒸し、いわしマリネの和物などを並べて、ランチの出来上がり。既製品を利用することで、難しいのかと思っていた和食も案外簡単にできることがわかって、自分が作った手鞠寿司も「おいしい」と嬉しそう。
 食べ終わると大満足で「すし酢」の瓶や「ちらし寿司のもと」パッケージの写真を撮り、寮のキッチンで作ってみる、と張り切っていました。


 レッスン3は、「How to wear Japanese Yukata」。
3階の和室で、着物を来てみる体験です。家にあった娘の浴衣2枚と卒業式の着物と袴を用意しておきました。
 私は着付けなど習ったことはありませんので、結べるのは文庫帯とお太鼓だけ。暑い中、四苦八苦しながら、ゆる~い着付けで浴衣に文庫を結んだり三尺帯でちょうちょ結びにしたりしました。ひもがゆるいと着崩れするのですが、今は、着てみて写真を撮るだけなので、昼ごはんを食べたばかりの留学生に苦しくないようにゆるく結んだのですが、すぐに気崩れました。

 正しい着付けの方法ではなかったですが、「私は日本に来てすぐに浴衣を買ったのだけれど、どのように着るかわからなかったので、夏のあいだも着られなかった。これで着方がわかった」と、喜んでいたので、まあ、良しとしましょう。
 皆で大騒ぎして写真を撮りあっていました。



 畳のへりを踏まない歩き方、正座して三つ指ついておじぎをする挨拶など、所作をひととおり教えましたが、なに、私だって日頃は両手に物もってドアをしめるとき足で閉めたり、畳のへりなんぞ当然踏んづけて歩き、作法も所作もない生活をしています。まあ、気はこころ。

 おみやげに西アフリカの民族衣装の布をもらったので、着付けを教わりました。一枚の長い布を肩のところで二ヶ所小さく結び、頭と肩にかぶせます。昔、ケニアで着た着付け方とはやはり異なる方法で、私にも、よい文化体験になりました。

 ここで姑が帰宅したので、いっしょに写真撮影。姑は、体操教室のあとお昼寝するので、留学生が作ったちらし寿司は、夕食に食べてもらうことにしました。

 最後に「着物のたたみ方」
 私自身は「たたみ方」を母が着物しまうときに見ていただけで、見よう見まねで覚えたのですが、自転車と同じように、一度覚えると忘れないので、来年の夏は浴衣を着たいという留学生にも、きっと覚えていてもらえると思います。

 最後のレッスンは「How to cook Japanese sweets」
 白玉粉をお湯でこねて、各自好きな形に丸めてもらいました。これを茹で、既製品の小豆ぜんざいに入れて、出来上がり。超かんたんおやつ。
 これで、今日の日本文化体験レッスンは全部終了です。
 盛り沢山なプログラムで留学生は疲れたと思いますが、とても喜んでくれたので私も嬉しかったです。
 
 学生のfacebookには、さっそくちらし寿司がのった食卓と、浴衣姿のポートレートがUPされました。

 袴の着付け、どうしてもモスレムベールを脱ぐのはできないというので、襟元などぐずぐずになってしまいましたが、気にせず撮影。「楽しかった」の一言で、すべてOKです。

 夏休みの最後、留学生との再会が続きました。
 25日には、2009年に来日した中国の学生たちと、帰国前のさよならの会。
 この年月博士号取得のために大学院で研究を続け、晴れて9月27日に安田講堂で博士号を授与されました。大学ロゴ入りブックカバーをプレゼントしてもらいました。うれしいです。

 25日午後、後楽園の日本庭園をひとめぐりして、池の前のベンチでしばし歓談。中国の大学で教師として採用された報告などを聞きました。
 教え子が立派に博士号を取得し故国の有能な人材として育ってくれたこと、うれしくおもいます。

 もうひとり、15年前に教えた女性との会食。彼女には私立大学で日本事情と文章表現を教えました。私の出身校に転学し、10年の研鑽を経て博士号を取得しました。そのままオーバードクターで残って就職先をさがしています。
 彼女は、故国ではなく日本で大学教師になりたいのだけれど、日本にはポストが少なく、オーバードクターがごろごろいる状態なので、新任教師の募集を見て応募してもなかなか採用にいたらない、という悩みを話してくれました。

 うん、うん、そうなのね。若い博士号取得者が増えているのに、専任大学教師のポストはごく少なくて奪い合い。有力コネクションのある人から決まっていきます。ほとんどのオーバードクターは非常勤講師や予備校講師などの職で食いつなぐ毎日。
 悩みは聞いてあげられたけれど、彼女の就職に役立ちそうな情報は私にはまったくないので、有効な手立ては講じられませんでした。

 青雲の志を抱いて日本にやってくる若者たち。みなが将来の希望に向かってすすんでいけますように。
 私は10月に新しい留学生を迎えます。この秋に来日する新しい学生たちにとっても、日本が住みよい学びがいのある環境でありますように。

<おわり>
コメント (2)
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