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ミンガラ春庭「ミャンマーの楽器」

2016-03-02 00:00:01 | エッセイ、コラム

 大学が留学生の練習用に使わせてくれたビルマの竪琴サウン

ミンガラ春庭ミャンマーだより>ミャンマーいろいろ(2)ミャンマーの楽器

 中国赴任のとき、長春市内にけっこう楽器屋があり、二胡(アールフー)や二十弦琴、揚琴(ヤンチン)など、伝統楽器を買おうと思えば買えました。ヤンチンがほしかったけれど、調弦がたいへん難しい楽器であることなどから、買わずに帰国してしまいました。安い物は2,3万で手に入るけれど本格的には20万30万という値段のものが必要なこと、持ってかえるに大きいので手荷物にも大変だし携行品にしても、途中で音が狂うような扱いをされたら困ります。大学の民族楽器演奏会で、ちょびっと演奏もさせてもらっただけで満足しました。

 ミャンマーでも、民族楽器に興味を引かれました。
 40余年前、小島美子先生の民族芸術論の授業を受けたとき、期末レポートの題材を「アイヌ・ムックリ」をテーマにして書きました。それ以来、伝統芸能、とくに伝統舞踊伝統楽器は、私の生涯の楽しみのひとつになっています。
 ケニアに行けばケニアの民族楽器、タイに行けばタイの民族楽器、中国でももちろん、それぞれがとてもすばらしい個性ある楽器たちでに出会いました。

 ミャンマーにはミャンマーの伝統楽器があるのは、いうまでもありません。
 ミャンマー伝統音楽は、古くはインドや中国の音楽が入り交じり、近年ではイギリスを中心とした西洋音楽も取り入れられているというおおざっぱな流れがわかっているけれど、精密な「ビルマ音楽史」などの研究は、まだまだこれからです。

 仏教研究は、お寺や仏教大学での研究が続けられてきましたが、仏教史研究以外の分野では、音楽に限らず、たとえば日本の民俗学のような分野、民間伝承や薬学でいえば伝統薬の研究など、未開発な分野の宝庫なので、志ある若者の研究フィールドとしてのフロンティアです。来たれ、有為の若手研究者。

 派遣元大学のビルマ語学科学生が、昨年夏に20日間のショートステイにやってきたとき、ビルマ語の授業のほか、「ビルマの竪琴サウン」や「ビルマの木琴パッタラー」のクラスがあり、私もいっしょに楽器練習をしたかった。しかし、私の日本語授業と同じ時間帯だったので、自分の授業を放り出して楽器練習をすることもならず、うらやましく見ていただけでした。

 ミャンマーには少数民族が数多く存在するので、民族ごとに異なる楽器もあります。でも、ヤンゴン市内で民族楽器屋さんを見かけたことがなかったです。バイオリンやギターなどの西洋楽器屋は見たのですが。

 ミャンマーの楽器、なんと言っても「ビルマの竪琴」が第一番に思い浮かびます。
 竪琴も調弦が大変難しく、しかも弦の並びが西洋ハープのように低い音から高い音へと順序よくならんでいるのではないため、どの弦の音がどんな高さの音をだすのか、覚えるのがたいへんだった、と、竪琴練習をした留学生が語っていました。

 けんめいにサウンを練習する日本から来たショートステイの留学生


ミャンマーを代表する楽器、竪琴サウンは、ちょっと高級なホテルにはたいていロビーに展示してあり、昼のティータイム、夜のディナータイムなどで生演奏されています。


ダウンタウンの老舗ホテル、ストランドホテルのティータイムでの演奏


 竪琴にも、サウン・ガウほか、ミジャウン、アウン、トロウなどいろいろあるそうですが、私が見てきたのは、サウン・ガウだろうとおもいます。
 サウンガウの代表的なものは、絹糸弦5音階(ペンタトニック)。9世紀頃から王宮音楽・仏教音楽に使用されていたそうです。ただし、僧侶はけっして音楽には関わらない。
 演奏家が使用するのは一般的に16の弦が台座と首に貼られています。紐をきつくしたり緩めたりで調弦します。1本の弦の調弦に1分ほどはかかるので、16本を調整するのに10分~15分はかかります。曲ごとに調整することが多いので、演奏者がひとりだと、次の曲までの間が長い。現代竪琴では、伝統的な絹弦よりは、丈夫で長持ちのナイロン弦のほうが多いとか。

 私は、観光客向けの民族芸能ディナーショウを行うカラウェイパレスというレストランで竪琴の演奏を聴いたり、ストランドホテルという英領時代から続くヤンゴン老舗ホテルのランチ時にロビーで竪琴演奏のデモンストレーションをしていたのを聴いただけで、本格的な演奏会というのは行ってみなかったのですが、ホテルランチ時の演奏でもとても心地よい音が流れ、竪琴の音色を堪能することができました。

 伝統の人形劇の伴奏に使われていたサウン


 竪琴の次によく見かけるのはパッタラーという木琴です。こちらも、民族ごとに少しずつ違う木琴らしいのですが、私にはその違いがよくわかりませんでした。マリンバとビブラホンの違いならわかるのですが。小学校中学校の音楽部では大きなマリンバが担当楽器だったので、木琴が大好きです。

民族村で見た、木琴


バガン人形劇の伴奏パッタラー


ヤンゴン民族舞踊ディナーショウを行うカラウェイパレス。ティータイム演奏のパッタラー


 カラウェイパレスや民族村の木琴を「演奏してみてもいいですか」と尋ねると、どこも、にこにこOK,写真を撮るかと聞かれました。写真撮ってもらいました。ちゃんと音楽にきこえるよう、演奏しましたとも。元木琴奏者ですから。

 カラウェイパレスの木琴を演奏するHAL。


 カラウェイパレス、ディナーショウでダンスの伴奏をするゴング。


 民族村に似たようなゴング楽器があったので、演奏させてもらいました。「展示物にさわるな」という表示が出ていたのですが、「弾かせて」と頼むと、係の人はにこにこOKし、写真もとってくれました。
 同じような展示物だけれど、国立博物館はさわるのはもちろん、写真もだめだったので、民族村、ゆるいテーマパークでしたが、博物館より庶民的。入場料は、国立博物館の外人値段500円で、民族村外人300円。ミャンマー人ならどちらも無料。



民族村展示のドラム。ドラムも何の皮を張るか、胴は何の木かなど、民族ごとに違いがあるらしい。


バガン遺跡の前の土産物屋のみやげ品パッタラーとサウン。胴体がワニになっている弦楽器は、民族村でも国立博物館でも見ましたが、みやげものは小型でかわいい。


おみやげサウンを弾かせてもらいました。


<つづく>
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