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ミンガラ春庭「コンボケイションホール・ヤンゴン大学キャンパスツアーその1」

2016-03-26 00:00:01 | エッセイ、コラム

コンボケーションホール

20160326
ミンガラ春庭ミャンマーだより>ヤンゴン大学キャンパスツアー(1)コンボケイションホール

 日本の大学、一般市民に開放されているところもあります。
 散歩コースにちょうどいいのが、東京大学の駒場キャンパス、本郷キャンパスです。おたくのご子息、東大組?わが愚息はトーダイもとクラシーのほうですから、子が東大に入学してない納税者として、せめて散歩コースとしてキャンパスを利用させてもらいまひょ、と思っています。
 大学教育予算の最大割合を東大が持って行きます。(2015年度の国立大学運営交付金1兆945億円のうち、東大ぶんどり分は803億、京都大学が531億円。のこりを90ある国立行政法人(うち大学法人86)が、ちまちまと分け合う。
 一方、私立の学校では検問が厳しくてなかなか中に入れない、というところもあります。大学の中にも防犯カメラが設置され、風体怪しき人物を監視しているところもあるそうです。

 ちなみに東大では、学生ボランティアによる無料の「キャンパスツアー」が実施されており、実施日に申し込みをしておけば「こちらが三四郎池です。あちらは安田講堂です」と、グループごとに学内ツアーのガイドをしてくれるそうです。東京見物のさいは、ご利用いかがでしょうか。

 ヤンゴンの大学でも、検問厳しいところと、ゆるいところがあります。ヤンゴン外国語大学は人の出入りに厳しいので有名。門のところで守衛さんに自分の名前と面談アポをとってある人の名前を告げ、守衛さんがアポ相手に電話をかける。たしかにこの人とアポがあると認められないと、中に入れてもらえない。学生の出切りも厳しく、授業が終わると、学内から出るバスに乗せられ、いっせいに帰宅させられる。残って図書館で勉強したいと思ってもむずかしい。学生は、朝1時間目から6時間目まで、びっしり語学授業があり、図書館に残りたいなんて言う気力のこっておらす、みなぐったりとバスに乗るということですが。

 ヤンゴン大学の正門は、2015年3月来緬時の報告で紹介したことがありました。


 正門からコンボケーションホール(集会ホール)まで伸びるメインストリート


 正門から入り、最初にあるのが、地質学部の校舎。ほとんどの校舎が大学設立当初からの建物ですから、100年~150年を経ている建物ですが、そのような歴史的建築物だと言うことは、だれも気にしていません。



 地質学科校舎の脇に、食堂カンティーンがあります。ミャンマー学科の校舎は地質学部校舎の隣。タングー棟(タングーサウン)です。



 ヤンゴン大学は、まえに述べたように、2013年まで25年間、学部が閉鎖されていました。90年代に学生による民主化要求運動が勃発し、軍事政権は大学閉鎖という措置をとりました。2013年に大学再開が決定し、2014年12月の新学期から学部1年生が入学してきました。2016年の現在は3年生2年生1年生が在籍していますが、4年生はいません。卒業生がでるのはまだ先です。

 卒業式は、ヤンゴン大学内にある「集会ホールConvocation Hall」で挙行されます。正門からまっすぐ伸びる大学メイン通りの突き当たりにあり、市内の観光名所のひとつにもなっています。郵便局の「市内名所絵はがき」のなか、コンボケーションホールもその一枚として売られています。
 しかし、ヤンゴン大学学部の卒業式は、20年以上、このコンボケーションホールでは見られませんでした。(大学院の学位授与式は行われたでしょうが)
 コンボケーションホールは、市内の教育機関全体が利用できるので、ガウンを着て四角い卒業式帽子をかぶった集団が、メイン通りや正門前で記念写真を撮りあっているのを見ましたが、他大学の卒業生です。1月2月は、ずいぶんと卒業式姿を見かけました。12月の新学期が始まって、1月2月が当地の卒業式シーズンになるのかもしれません。9月に後期が終わったあとも10月11月に卒業式が行われたのかも知れませんが、日本にいたので見ていません。

 2012年にオバマ大統領がミャンマーを訪問した際、コンボケーションホールで30分間の演説を行いました。このホールが世界的にニュースで映されましたから、ホールの映像を覚えている方もいるかもしれません。オバマ大統領は、「ミャンマーのみなさん、ミンガラバー」と、ミャンマー語で挨拶した後「私はこの国を訪問した最初のUSA大統領です」と演説を始めました。

 コンボケーションホールで演説するオバマ大統領。(画像借り物)


 写真で見ると、正面の壁が黒く見えると思います。最初、私はツタかなにかが壁一面をおおっているのかと思いました。黒く見えるのは、市内の他のビルの黒い汚れとおなじように、黒カビが堆積した汚れです。
 軍のトップが鶴の一声を掛けない限り、何もできない自治が制限のない大学ですから、「集会ホールをきれいにしろ」という一声がないのだろうと思っていたのですが。

 都市伝説があります。前回集会ホールの壁を清掃したのは、1974年の軍政下でのこと。
 ウタン(日本語表記ではウタント)国連事務総長が1974年に亡くなりました。その葬儀をめぐって、事件が起きました。軍当局がウタン事務総長のなきがらを管理しようとしたことに対して学生が抗議し、コンボケーションホールにたてこもる、という事件が起きたのです。
 以後、「ホールの外壁をきれいにしようとすると、軍事政府にとって、都合の悪いことが起きる」と、軍政府は信じるに至り、今になっても決して外壁の清掃補修はされない、、、、単なる都市伝説だと思っていたのですが、2012年のオバマ大統領訪問時にさえ外壁清掃は行われなかったのですから、よほど強固な「壁をきれいにするな」という伝統があるのでしょう。オバマ演説の会場に選ばれた後、屋根の雨漏りのほうは修繕されたそうですから、やはり、外壁修理は避けられているのでしょう。

 このコンボケーションホールで、日本語受講生たちが卒業四季をあげる日が楽しみです。

<つづく>
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