
15世紀の女王Me Nu が築いたレンガ僧院の絵
20160310
ミンガラ春庭ミャンマーだより>ミャンマーいろいろ(8)(ミャンマーのお宝in国立博物館その5
ヤンゴン市の国立博物館の展示紹介。ミャンマーのお宝のつづき、Fourth Floor(日本の5階)は、仏教関連のお宝や民族文化の展示室です。。
ピュー時代からヤダナボン時代まで、また、現代の仏教美術と各民族の文化が展示されています。
ニュエ・ガイン(Ngwe Gaing1901-1967)が描いた釈迦像

同じ仏教徒といっても、どのような仏像・仏画にありがたみを感じるかは、それぞれの文化によりますし、個人によっても違います。
私は正直言って、ミャンマーの寺々にある仏像、ことにピカピカのネオンサイン式光背を背負ったお顔真っ白、おめめぱっちり、睫毛バチバチ、唇まっかという仏像にはありがたさを感じないのです。ブティックのマネキン?と思ってしまう。でも、現代ミャンマーの人々は、こういう「洋風イケメン顔」にありがたさを感じるのだろうと思います。
ニュエ・ガインの描いたお釈迦様も、やはり私には「こういう現代風イケメン釈迦はどうもなあ」と、感じてしまう。同じイケメンでも、やはり鎌倉大仏が夏木立の中におわすありがたさがしっくり来ます。(鎌倉大仏は阿弥陀様ですが)
仏像展示の部屋で見ても、古代の釈迦像はそんなにピカピカになってはいません。インドアショカ時代の影響を受けた仏像、中世の仏像を見ても、日本と同様の古色を帯びた素朴なお顔のブッダがおわします。
いつからミャンマーのおシャカさまは洋風の白いお顔になってしまわれたのか。私が見た限りでは、18世紀以前に建立された釈迦像で、まっ白お顔は見当たらなかったので、白いお顔がありがたくなったのは、英領以後かと思うのです。白いお顔のほうが高級、やはり私には理解できません。
金箔ピカピカ、電飾ピカピカのほうが高級というほうは、まだしも理解できます。金も電気も、ダイヤモンドも、ミャンマーでは貴重な物。人々は来世の安寧を願って、せっせと金箔を寄進して仏像や仏塔に張り込め、ダイヤモンドやルビーを寄進して仏塔の先端に貼り付けてもらいます。貴重な物を寄進するほど、来世はよくなる。電気もミャンマーではまだまだ「必要最低限のインフラ」にはなっていません。
地方にいけばいくほど、電気は貴重でありがたいものなのです。世界銀行ミャンマー支部で働く若い女性にうかがったところ、地方で電気などない生活を続けている人にとって、電気が必要という考えはないそうです。電気のない生活で十分に満足して暮らしているので、夜くらくなれば寝るし、煮炊きは薪たきぎで済む。電気があったら、生活がこう便利になる、ということを感じないので、電気は仏様につかっていただくのが一番。現世を便利にするより、仏様に電気を捧げて、来世をよくするほうがずっとうれしいのです。
ミャンマーの仏像が日本のテレビで紹介され「祈れば願いがかなうありがたいほとけさま」と、「パワースポット」のように報道されたのだとか。でも、そのパワースポットは、来世への願いにのみ効果があるのだ、ということは報道されなかったみたいですね。現世のこと、金持ちになりたいとか、良縁を得たいというような願いことをお釈迦様にしてはいけないのです。(現世担当は土着神のナッ神)
白いお顔の仏様に向かって、額を床につけて熱心に祈るミャンマーの人々を見ていると、自分の信仰心不足を申し訳なく思いますが、私はやっぱり現世利益でいきたいと思います。
日本の仏様に「なにとぞ現世で幸せに健康にくらせますように」と、祈りたい。
5階には、ミャンマー130民族それぞれの宝物が展示されていました。各民族それぞれの伝統的衣装や民具など。
カイン族の竪琴や青銅製のドラム

シャン族のドラム

カヤー族のパンフルート

ヤカイン(アラカン)族のワニ型の木琴

モン族のガラスモザイク装飾の物入れ。椰子の葉にhamsaデザインが施されています。

私は、2月7日にひとりでゆっくり見て回りました。3月4日は、日本語解説録音機を借りて、説明があるところだけささっと見聞きして通りました。
日本語解説は無料で借りられます。
なかなかよい展示なのですが、これからもう少し展示方法を工夫してほしいということと、解説パンフレットの充実、博物館グッズ(図録や絵はがき、レプリカおみやげなど)を充実させていってほしいと思いました。
ヤンゴンに来てなにはともあれ見るべきはシュエダゴンパヤーです。国立博物館は、歴史や民族学民俗学に興味がある人、近代絵画に興味がある人にとってはよい展示ですが、一般の人には、「ヤンゴンでヒマもてあましているなら、見ておけば?」と、おすすめする程度。
まあ、私にはおもしろかったですが、3回目を見に行くかと誘われたら、ビミョー。
しかしながら、あるブログに「いままで見た博物館のなかで一番つまらない博物館で会った」と、酷評されていたのを読んで「そりゃあ、あなたが歴史や民俗学、仏像などにまったく興味がないからつまらなかったのでしょう」と、思いました。
ミャンマーについてなんらかの興味を持った人が見れば、その興味にあった見所が必ず見つかるから、入館料500円は、日本の物価からいけばそう高いものではありません。私が5000チャットときいて「たか~い」と思ったのは、私がミャンマー物価感覚になってしまっているので、5000チャットあれば、学食3回分のランチ、と思ってしまうからでしょう。
まあ、時間があったら一度は見ておいて、というおすすめのスポットです。
以上、ミャンマー国立博物館案内でした。
<おわり>