
昼のすいているバスの運転席
20130323
ミンガラ春庭ミャンマーだより>ヤンゴンの暑季(5)ヤンゴンバス通勤その2
ヤンゴンの路線バスは、日本車の中古車廃車を改造したものがほとんど。中国車、韓国車もたまにあります。バスは、こんなボロでよく走れるなあと感心するくらい、おんぼろです。椅子は固い木や鉄パイプで作成して取り付けたものが多く、30分も乗っているとおしりが痛くなる。私の乗車は20分くらいなので、たいていは立っています。奥のほうに席が空いていても、すわっちゃいけない。すわっているあいだにドンドン混んできて、出入り口まで人がぎっしりになると降りられなくなるので、できるだけ出入り口に近いとこに立つようにしています。
一番前のお坊さん優先席。一番前でなくても、お坊さんが自分が座っている席の横に立ったら、席をゆずります。

日本車の中古車廃車を輸入して再利用しているので、車内には日本語文字が残s。「お降りの方は、このボタンを押してください」とか「危険なのでステップに立たないでください」とか。「運転手にはなしかけないでください」と、運転席の前に書いてあっても、車掌と運転手は大声でおしゃべりしています。


行きのバス停は、日が当たる側なので、木の幹の細い陰に人々は集まります。バスは続けてきますので、できるだけぎゅーぎゅーづめではないのを選んで、「レーダン?」と確認して乗り込みます。レーダンはインセイン通りとピー通りユニバーシティアベニューとの五叉路なので、どのバスも止まらないことはありません。しかし、交差点の手前で止まるのと、角を曲がってから止まるのと、交差点を通りすぎてから止まるのでは、降りてから大学まで歩く距離が相当ちがいます。
交差点手前で止まると、インセイン通りの横断歩道を登って降りるのが一苦労。
暑いので日傘必需ですが、当地の人々はすれ違うときにお互いの傘を傾ける、江戸仕草で言う「傘かしげ」という作法がありません。どちらかが高くかかげて通り抜けます。背が高い方が高く掲げた方がうまく通り抜けられると思うのですが、当地の人は、男性も女性も背が低めの人が多く、ときに私が高く掲げます。チビの私が高く掲げてもたかが知れていて、傘がぶつかり合ったり、階段途中でバランス崩したり。「ゴミのポイ捨て禁止、噛み煙草(コーン)の赤い唾吐き禁止、トイレなどの列を作るときのフォーク並び推奨、バス電車内での大声でのケータイ会話の遠慮」などとともに、「傘かしげ」作法が普及すればいいなあと思います。
傘は、王国時代までは、高僧や王族が権威の象徴として従者に掲げさせるものであり、庶民が自分でさすものではありませんでした。今ではみやげもの屋で、伝統工芸の傘を売っていますが、小さなもので20万チャット(2万円)という値段を聞き、私にはみやげものとして買うことができないし、ましてや1ヶ月の給料が1万円くらいで暮らしている層の人々にとって、祖父母たちには伝統の傘は高いものだったろうと思います。
今、人々が持っている洋傘は、5000チャット500円くらいが標準。これだって、一食500チャット50円、1000チャット100円の生活をしている層には、高いものだと思います。
使い捨てビニール傘は普及していません。日傘としては役にたたないし、雨期の強い雨にはすぐ壊れてしまい、役立たないので。
さて、日傘をさし、日陰を選んでピー通りを渋滞の車の間を縫って渡り、ようやく大学西門につきます。
<つづく>