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ぽかぽか春庭「2003年の雨かんむりの漢字」

2015-11-08 00:00:01 | エッセイ、コラム
20151108
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記(6)2003年の雨かんむりの漢字

 2003年三色七味日記再録です。
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2003/11/18 火  晴れ1052
ニッポニア教師日誌>雨かんむりの漢字

 漢字会話2コマ。漢字クラス。キンニ君は遅れてきたけど、私の漢字の説明を聞くと「I understund!」と、うれしそうに言う。

 今日は草冠の漢字と、ウ冠、雨冠の漢字。
 「電」を教えるのに、田から復習。田に雨が必要。雨を降らせるには雷だ。「Thunder!!」言って稲妻を書き、「雷」を「This Kanji is thunder.The rain puls rice field.」次に「Thunder make electricity」と、稲光を示して、雷から電気のしっぽを伸ばす。そこにコンセントの先をくっつけて見せる。これで、電の文字が学生の頭にインプットできる。

 それで、明日のテストのために復習してみると、「好き」が書けない。
 好きを教えるときにあれほど「Women love her children」と強調し、皆うれしそうに、うんうん、と頷いていたのに。3週間たつと、すっかり忘れている。もう、ザル頭め!

本日のうらみ:先週教えたことが全く記憶にのこっていない。女という字と、子という字を、ゴルゴ松本よりうまい体文字で教えたのに


2003/11/19 水 晴れ 1053
ニッポニア教師日誌>学生自慢話2

 午前中、「笈の小文」を書いていて、ダンスを休んだ。自転車操業で書いていて、ついに間に合わなくなってきた。今日は「わ」の和辻哲郎。

 昔読んだ本を思い出して書く、というコンセプトだが、うろ覚えにしか思い出せなくて、もう一度読み直す結果になる本がけっこう多い。和辻の『埋もれた日本』も、第2部を全部読み直した。それで、小文を書くのが遅れる。

 あと、おまけの「を」「ん」で、シリーズを終えるから、その次はもっと無理なく書いていこう。今回の「阿吽著者巡り」は、たくさん書きすぎた。読む人いないんだから、もう少し落ち着いて書けばいいのに、走り出すと止まらない性格。

 午後教授法2コマ。

 今日の「自慢話」発表もおもしろかった。
 短大卒業時の就職活動と教員採用試験のグループ面接の話。グループに「水族館を表現しろ」という課題が出される。話し合いをして、水族館のアシカショウを演じることにした。要するに表現の出来がいいか悪いかが重要なのではなく、グループ話し合いの際の、役割を見ているのだという。リーダー的に話し合いをまとめる人、積極的にアイデアを出す人。皆の発言をフォローする人などを観察されているらしいと。

 もうひとりは磐梯青年の家で開催された少年キャンプに指導員として参加した話。社会指導主事資格のための実習。

 そして、いつもユニークなミトくんは、なんと自慢話として「僕は先週の日曜日、結婚しました!」
 メキシコ留学中に日本人同士で仲良くなり、プロポーズ。3年生だから、成人しているとはいえ、学生結婚でやっていけるのか。「スーツを着て、彼女の親に挨拶に行った」という。みな、興味津々で質問していた。プロポーズの詞は何か、とか。とりあえず、結婚式を挙げて、就職活動が終わってから入籍すると言う。

 ゲーム教材発表は、「一文字変えて」のことばあそび。

本日のむつみ:21歳の花婿が末永くむつみ合えるよう乾杯!


2003/11/20 木 曇りときどき雨1054
ニッポニア教師日誌>学生から学ぶこと

 作文と日本事情2コマ。
 朝、メール返信を書いていて、授業に遅刻した。日本語教師になってから、はじめての遅刻。よろしくないね。
 学生に電話して、教室で待っているように指示。

 大学の暗黙の了解では授業開始から30分たっても教師が教室に現れなかったら「自然休講」ということになっているが、なんと28分おくれで教室に到着。学生は、本日提出分の作文清書をしながら待っていた。 教師人生をはじめて最初の遅刻を、学生にあやまると、みんなニヤニヤしながら、「あと、2分でアウトでしたね。惜しかった」と、許してくれた。

 発表は、ロンさんの「台湾に残る日本のインフラ」について
 台南のダムを造った日本人、八田興一の話。はじめてきく話だった。全人生をかけて台南の地「嘉南地方」の水利のためにダムを造った日本人もえらいが、彼が亡くなった後、彼を忘れず顕彰し続ける台湾の人もえらい。

 日本の植民地占領は、数多くの悲劇を生んだ。韓国の創氏改名も、傀儡満州国設立も、間違っていたと私は考える。
 しかし、政治的な間違いはあるものの、多くの志ある技術者が占領地へ出かけていき、幾多の困難を乗り越えて、現地のために仕事をしてきた。これも事実だ。

 仕事をした人々は、単に日本の占領政策のためだけに仕事をしたのではないだろう。本気で「現地の人の役に立とう」という、強い気持ちがなければ続けられない困難をも克服して、仕事をしてきたのだ。

 これらの人々のこと、日本の人々は忘れている。私もこのダムを造った人を知らなかった。毎年、学生に発表をさせている「日本の文化」と「自国と日本の交流史」
 毎回タイの学生発表は「山田長政」になってしまう。ほかに交流をみつけられない悲しさ。しかし、韓国、中国台湾などの学生の発表で、私が知らなかったことがらを学ぶこともある。今回の八田興一ダムも、そのひとつ。
 教師の楽しみは、教えた学生が成長すること、そして学生から多くのことを学べること。学生から学べて給料ももらえる。いい商売だ。と、それにつけても、時給はもっとあげてほしい。なんのこっちゃ。話はすべてそこに落ちる。

本日のうらみ:メールもらうと、うれしくって、つい。日頃いかにコミュニケーションに飢えているか、、、

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20151108
 11月第1週は、火曜日の仕事の他は1週間家に籠もって休養しました。ほんとに何もしない。たまに食べたくなって豚汁とかおでんとか作ると、娘から「1週間の献立プランがあるから、作りたいときは前もって、申し出てください。今夜は洋食のつもりだから、洋食におでんとか、豚汁とか合わないでしょ」と叱られる。おでんは大鍋一杯つくって、ほとんどひとりで食べました。どこも出かけないと、「ヤンゴンではなかなか食べられないものをたくさんたべておこう」という気になります。

 今日のお昼は、ジャガイモ6個でロシュティ(細切りポテトをケーキのように焼き固めたもの)を作ったら、娘は5個分ひとりで食べ、弟くんに1個分ほど分けてあげました。娘はなぜか、ジャガイモの皮むきが大嫌いなので、ロシュティが大好きなのに、自分では作らないのです。にんじんや大根は皮むき器でむくのに、じゃがいもは包丁のほうがいいので、自分ではしない。ジャガイモ料理のとき、下ごしらえは「母の担当」と言う。

 娘と息子、ふたりして雨の中おばあちゃんのお話相手に出かけました。姑のおしゃべりにつきあって、姑が自宅のおふろにゆっくりつかっている間、風呂場の前で、声をかけながら待機しているのが娘の仕事。
 私はその間、次の赴任準備をしていることになっているのですが、たいていはぐうたらと、やるべきことを後回しにしています。
 「♪思い通りにならない日は、明日がんばろう」という朝のテレビドラマの主題歌フレーズ、気に入っています。一晩眠ったあとは、また明日があるので。
 
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ぽかぽか春庭「2003年のトークトゥハー&ヨシミツ失楽園」

2015-11-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
20151107
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記11月(5)2003年のトークトゥハー

 2003年三色七味日記を再録しています。
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2003/11/17 月
ジャパニーズアンドロメダシアター>トークトゥハー

 午前中、作文漢字コマ。

 午後、飯田橋ギンレイで映画を見た。
 予告編を見て、「バレリーナと女闘牛士の話なら、ぜったいに私のお気に入り映画になるだろう」と思ったら、予想以上だった。

 <あらすじ>映画冒頭で、介護人ベニグノとジャーナリストのマルコが映画を見ている。マルコは泣く。アルゼンチン出身のマルコ。アフリカへ恋人を連れて行った。恋人は麻薬依存症。それをなおすための旅だった。依存症から立ち直った恋人はマルコと別れてしまう。マルコは深い孤独の中にいる。そのための涙なのだ。

 ピナ・バウシェのダンスシーンが出る。もうそれだけで、この映画は私にとって最高だ。ピナ追っかけ人楠田絵里子によると、ピナの近作は明るく笑える踊りも増えてきたそうだ。
 映画の中のピナは、椅子が並んだ中、男と女のコミュニケーション断絶が踊られる。(と、私は感じたが、ダンスシーンは短い一部分だけなので、本当はどういうダンスだったのかは不明)
 でも、一部分でも、ピナの踊りが見られて、この映画はピナが出ているだけで合格。ダンスシーンにピナを使おうと思った監督の感性で作られた映画ならば、見る前からいい映画だと思いこめる。

 (アリシアとベニグノ)
 ベニグノは母親の介護をする以外に家から出なかった男。向かいのバレエ教室に通うアリシアに片想いを寄せる。
 母の死後、ある雨の日、アリシアが交通事故に遭い、植物状態になる。ベニグノはアリシアの父(精神科クリニック医師)に雇われ、病院でアリシアを専門に介護する仕事につく。献身的な介護。たえずアリシアに話しかけ、全身をマッサージし、生理の手当もする。

 (リデイァとマルコ)
 マルコは女闘牛士リディアに興味を持つ。最近有名闘牛士の恋人と別れたことがインタビューで明らかになり、無謀な闘牛試合に出場しようとしていることが発表されているからだ。
 リディアは闘牛士の恋人に未練を持っているが、マルコはしだいにリディアに惹かれる。マルコも元の恋人に未練をもっていたが、彼女とほかの人と結婚式に出席し、未練をきっぱり断ち切って、リディアへの愛を告白しようと決意する。

 リディアは危険な闘牛試合を決行し、猛牛に全身を突かれて、脳死状態となる。
 マルコは、彼女に話しかけることもマッサージしてやることもできない。ただ見つめる。やがてリディアは死に、元恋人から「試合が終わったら、もとのサヤに納まるはずだった」と、聞かされる。マルコには、愛の思い出さえ与えられなかった。

  (ベニグノとアリシア)
 ベニグノは「植物状態だから話しかけても無駄」という周囲に耳を貸さず、たえずアリシアに話しかける。全身マッサージを続け、日光浴をさせる。
 たまの休みの日には映画を見にいくが、それは自分の楽しみのためではなく、アリシアに映画のストーリーを語って聞かせるためだ。アリシアのために、ピナバウシェのダンス映画も見て、ピナにサインをしてもらったパンフレットをアリシアの枕元に飾ってやる。

 ある日の映画サイレントムービーがベニグノの心に残る。新薬実験のために、こびとになってしまった男が、恋人をよろこばせるために、全力で巨大な恋人の体を愛撫する。ついには彼女の体内深くもぐっていき、戻らなかったという映画。

 ベニグノはその映画を見て、変化する。語りかけ全身をマッサージするだけのコミュニケーションから、ついにもう一歩彼女に近づこうとしたのだ。
 アリシアの妊娠が発覚し、ベニグノは逮捕される。ベニグノは刑務所でアリシアの子ども誕生のニュースを待っていたが、死産したと聞き自殺。
 
 (マルコとアリシア)
 マルコは、ベニグノのアパートを借り、向かいのバレエ教室に、アリシアが歩いて現れたのを見た。アリシアは妊娠と死産という身体的極限状態を経て、植物状態から奇跡の復活を果たしたのだ。

 バレエの公演会場で出会うアリシアとマルコ。マルコはやがて、アリシアに語りかけるだろう。アリシアが何も知らされていない「ベニグノの献身と奇跡の物語」を。
 ときどきサイレントムービーのように途中ではさまれる、シーンパラグラフタイトルの最後のタイトルが「アリシアとマルコ」だったから、ふたりがいつか、コミュケーションをかわすだろうという暗示で映画が終わる。

 本当にすばらしい映画だった。ことばとコミュニケーションと、人の愛と孤独。4人の男女の生と死はそれぞれに悲しいが、ベニグノの無償の愛は、奇跡となって報われた。
 マルコは必ずジャーナリストとしてこの奇跡を世の人に語り継ぐだろう。ベニグノも十分に自分の果たすべき役割をはたし、むくわれたのだ。

 母親の死後、一歩も家から出ようとしないひきこもりのまま生きながらえる人生よりも、アリシアの介護人として献身し、彼女の復活をもたらす人生を、ベニグノは生きたのだ。
 アリシアが植物状態から回復したことを知らないまま、「彼女と同じ状態になるために」薬を大量に飲んだベニグノ。 本当に植物状態になろうとしたのか、死のうとしたのかはわからないが。
 ベニグノのような表現しかできない愛情のあらわしかたがあることを知る、それで私たちも報われる。

 顔と顔を見つめ合って、「愛している」と、一日百回も言わなければ確認出来ない愛ではなく、遠く離れていても、心は通じ合っているような愛、とつぶやきながら、夫の事務所へ。
 「映画カード、事務所にちゃんと返せ」と、夫からの電話を受けた。そういう実際的な事務連絡以外に電話をよこすこともないから、よほど映画カードを使う必要があるのだろうと思って、映画が終わってすぐ事務所へ行った。

 夫は不在で四街道さんがいた。カードを返し、四街道さんのコンピュータソフトを借りた。私の一太郎を四街道さんのパソコンにインストールしてあげたおかえしだ。くつを脱ぐのが面倒なので、玄関にたったまま立ち話。

 そこへ夫が帰ってきた。ドアを開けて、私を見ると「ワアッッッ!」と、マンションの廊下中に響く大声で叫んだ。「ちょっとぉ、自分の奥さんの顔を見て、そんなに驚く人はいないと思うけどなあ」と、言いつつ、おかしくて、夫がそそくさと部屋の中に逃げ込むのを見ながら、「ああ、面白い。このネタ、10回くらい使い回して、みんなに吹聴して笑える」と、考えている自分に気づいて、また苦笑。

 夫と会う回数より、姑と会う回数のほうが多い、というのもどうかと思うが、「夫が久しぶりに妻の顔を見て、驚いて大声で叫んだ」というのを、ネタにしてやろうとほくそ笑む妻もどうかと思う。
 家に帰ってさっそく、娘息子に「お父さんたらねぇ!!」と、ご注進。

本日のつらみ:顔を合わせていなくとも、見つめ合う時間がなくとも、いつかそのうち夫が植物状態になることがあれば、人工呼吸くらいはしてあげよう


2003/11/21 金 晴れ 1055
ジャパニーズアンドロメダシアター>ベアーズキス

 ビデオ会話3コマ。2組、新日本語の基礎復習ビデオ「小野一家」のラスト「結婚記念の指輪」と「続ヤン」を最後までと、を見た。1組はヤンの5話
 ヤンが日本人女性に失恋して、失恋旅行で雪国を旅行する話、共感する留学生と、「なんじゃこりゃあ」と気に入らない留学生に別れる。愛を成就するか、悲しい別れになるのか、の感性はさまざま。
  
 17日にトークトゥハーの併映作品として『ベアーズキス』を見た。
セルゲイ・ボドロフ(製作/監督/脚本/主演)で、ロシアの民話にもとずく少女とクマの愛の物語。

 サーカスのブランコ乗りの少女ローラと、母熊を殺され、サーカスに買い取られた小熊ミーシャ。ミーシャは成長すると人間に姿を変えられるようになり、ローラと愛し合うようになる。

 ミーシャを演じている監督ボドロフの風貌が、クマが変身したというのが、何の違和感もなく観客に受け入れられる風貌で、たぶん、監督は自分がクマから変身した人間だと確信してこの脚本を書いたんだろうと思う。

 ローラがサーカスの団長に犯されそうになりミーシャはローラを救うため団長を殺す。人を殺したクマはもう二度と人間の姿に戻れない。ローラはミーシャをシベリアの森に返そうと決意する。森へ逃げ込むミーシャ。ローラは思わずミーシャを追いかける。人間の姿に戻れないミーシャを追って、逆にローラは雌熊に変身してミーシャを追いかける。森の奥深く、だれにもじゃまされないところで、ミーシャとローラはクマの夫婦としt仲良く暮らしていくだろう。

 というお話。ロシアの民話をきいているような。とにかく私はサーカスや大道芸を舞台にしていれば、なんであれ、好きな映画。『道』のジェルソミーナも、ダンボも、サーカスや、大道芸や見せ物が出てくるだけで満足。

本日のあみ:ミーシャが警察につかまるシーン、網を上からかぶせられてミーシャは捕まってしまう。一網打熊
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20151107
 東京の街中に仮装した若者であふれた10月31日夜。オールナイト映画で一晩すごしました。館内は仮装して騒ぎ回るなんてことには縁もなく年をとってしまったジジババで満席。森田芳光特集3本立て。
 森田芳光、同世代、同学年です。

 『阿修羅のごとく』と『家族ゲーム』は何度も見た映画ですが、『失楽園』は初めて見ました。日経新聞読まないから、1995年連載中に朝っぱらから電車の中でオヤジどもが目をこらして読みふけっていたという話もひとごとに聞いていましたが。ヨシミツ監督の映画をウシミツ時に見るのもなかなかたいへんで。

 森田作品、好きなのも多いけれど、失楽園は、どう眠い目をこらしても、ところどころ眠ってしまう映像でした。黒木瞳があえいでも「いい女」とは思えないし、役所広司とからんでもやっぱり「男にとって都合のいい女」にしか見えない、というのは、さんざん小説の「凛子」への批判として出されてきたけれど、森田なら森田なりの凛子像を作り上げるかと思って期待していた。

 凛子ファンの中高年男はどうか知らぬが、私は残された家族側からしか見ることができぬから、娘が父親の検死長所に「局所結合のまま死後硬直」なんて書かれているのを知ったら、トラウマになるだろうなあと思う。
 って、これまでさんざん出されてきた失楽園批判の範疇を出ないつまらぬ感想ですね。

 でも、中国で、村上春樹の次ぎにポピュラーな「現代日本文学」が『失楽園』である、と聞かされて以来、なにがそれほどウケたのかと思っていたけれど、中国語文学だと検閲伏せ字に成るだろうことを、日本文学の翻訳なら読めたからだろうと。中国でも、今ならもっと過激な中国語文学も出されているかも。

 『失楽園』をR-15の範囲で、上半身のみの描写にしたのも、興行成績あげなければならない「算盤ずく」の問題があるからだろうけれど、ま、そのうちまだ見ていない森田の『算盤ずく』も、R-15『海猫』も見てみよう。
 
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ぽかぽか春庭「2003年の動物園授業」

2015-11-05 00:00:01 | エッセイ、コラム
20151105
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記(4)2003年の動物園授業

 2003年の三色七味日記11月を再録しています。
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2003/11/13 木 晴れときどき雨 1047
ニッポニア教師日誌>動物園で授業

 先週約束したとおり、1時に図書館の前で待っていたが、誰もこない。雨が降ったりやんだりしていたので、皆通常授業だと思って教室にいったのかな、と思ってベンチにすわっていたら、ぼちぼちと集まってきた。教室でお弁当を食べてしまった人もいる。

 雨のなか、こども動物園へ。徒歩で5分で到着。遠足の小学生保育園児が帰宅する時間。入り口で入場券買っているときは雨が強かったが、屋根のあるレスト広場へ行くころにはやんでいた。

 最初私が引き馬にチャレンジ。「みんなも乗りなさいよう」と勧めてみたが、「こわい」と言う人、バドのように「内モンゴル草原で馬を走らせてきたんだから、ここで引き馬に乗ることないです」という人も。内モンゴル草原か。いいなぁ。
 各自持参のお弁当を食べ、私はりんごとチョコレートを配り、「はい、食べながらレポート発表をやりましょう。」

 ウ-さんの日本文化発表は「国名の由来」先週私が学生になぜ日本という国名ができたのかを概略話したとき、うーさんは欠席していた。話題がだぶってしまい、学生へのうけはイマイチ。しかし、一番日本語ができないウーさん、インターネット資料を切り貼りして、3頁のレジュメを作ってきた。「レジュメはA4一枚にまとめること」という「レポート発表の注意事項」を理解していないための3頁なのだが、いっしょうけんめいやったということでよしとしましょう。

 それからコアラ舎へ行く。コアラは寝ていたが、一匹はときどき動くので、留学生達「かわいい」と大喜び。
 コアラ舎の前で写真をとっていたら、飼育係のおじさんがユーカリの枝を持ってきて、葉っぱをとり、「においをかいでごらんなさい」と言う。強い特長のある香り。「ユーカリメンソールと言って、薬品にも使われている成分です」と教えてくれた。話し好きそうなので、コアラについて生息地やユーカリのことなどいろいろ質問した。
 質問への答えの中で、留学生に理解がむずかしそうな言葉を私が「留学生にもわかる日本語に翻訳して伝える。ところどころに茶々をいれ、学生はどっと笑う。

 コアラは、一生をほとんどユーカリの木のうえですごす。水を飲みに2週間に一度くらい木からおりるほかは、樹上生活を続けるというので、「落ちたりしないんですか」と私が質問。飼育係の答え「年寄りになって、身体が弱ると落ちることもあります。若いコアラでは、交尾期に雄が雌を追いかけて無理矢理迫ると、雌がいやがって落ちたりします」というので、「ほらね。コアラも若いと下手なのよね、何事も経験よねえ」とチャチャを入れる。留学生、経験ありの人は、げらげら大笑い。何をいっているのかわからず、ぽけっとしている学生も。

 冗談と笑いの連続。飼育係に「詳しい説明をありがとうございました」とお礼をいうと、飼育係は「先生、お話、おじょうずですねぇ。全国を公演して回れますね」と言う。「お笑い芸人めざしてます!」と答えた。
 わたし、女流落語家、女流講談師になればよかったと、思う。修行の道はつらかろうが、二十歳で入門したとしても、30年続けていれば、いまごろは真打ちになれたかもしれないのに。う~ん、気づくのがおそすぎた。いや、私の場合万年前座か二つ目か。

 ワラビー、カンガルーだちょう、エミューを見る。カンガルーの赤ちゃんがおなかに入っているのをみて、学生たちまたひとしきりはしゃぐ。

 広場でハンカチ落としをして遊んだ。ぼうっとしているので、私は数回鬼になった。鬼は円周を走らなければならない。遊ぶのは大好きだが、疲れた。最後に私が鬼になったところで、おしまい。鬼の罰ゲームとして、お得意の前後開脚を披露。どこでもすぐ足を前後に180度開く芸を披露する。っていうか、これしかできないんだが。ホントは32回のグランフェッテくらいやって見せたいけどね。足が回らず目が回るだけ。

 園内移動のミニトレインに乗って正門へ。キリンに「葛の葉」をやる体験をした。きりんは一番ちいさいのが小夏ちゃん。長い舌で葉っぱを食べる。

 写真をとって、解散。雨でどうなるかと思ったが、楽しい一日になった。最後に「今日の作文宿題は、タイトル動物園でもいいし、コアラを見た日でもいいし、」と、言うと「えっ、そんなあ、書くんですかあ」とブーイング。「日本語の授業なのに、遊んだだけでおしまいになるわけないでしょ。宿題宿題!」

本日の負け惜しみ:コアラよりは経験豊富


2003/11/14 金 晴れ 1048
日常茶飯事典>化石掘り地層見学ハイキング

 息子、城ヶ島へ地学の理科見学。地層を見る遠足。7時半頃担任から電話。出欠の確認。いつも遅刻と欠席なので7時半集合に間に合わないと思って心配しての電話。必ず出席する生徒なら先生も来るか来ないか心配することもないのに、息子の場合、すぐ休むから。

 息子は、「日曜地学ハイキング」で一度城ヶ島地層見学をしている。地団連主宰の「日曜地学ハイキングに」毎月参加し、親子3人で化石を掘ったり地層をながめたりした。
 城ヶ島へ行ったのは、息子が4年生、娘が不登校の最中。家から出たがらず、お日様にあたらないため、青白い顔になっていく娘が気がかりだったから、「日曜地学ハイキング」の毎月のイベントはほんとうに救いだった。

 恐竜好き、化石好きからの「地学ハイキング」入会だったが、荒川、大崎海岸、丹沢山中、秩父山中、いろんなところへ化石掘りにいった。私が好きな古生物は恐竜じゃなく、カンブリア期のへんてこ生き物だから、化石を掘り当てることはないけれど、息子と娘が、ハンマーとタガネで貝の化石を掘り出して大喜びしている姿を眺めているだけで、よかった。

 ピカイアから脊椎動物が進化してDNA競争を制したが、カンブリア期のオパビニアがDNA競争に勝っていたら、いまごろ地球はナウシカのオームだらけ。アノマロカリスが勝つか、ピカイアが勝つかは微妙な地球の温度とか海中塩分濃度とかが影響したのかも知れないなあ、巨大隕石がひとつ落ちたことで、現在の地球を制しているのが、恐竜の子孫ではなく、人間になってしまたのだしなあ。
 地球にとっては、恐竜の子孫のほうが地球に優しかったかもしれない、などとぼんやり考えながら、子ども達の化石掘りを眺めていた。

 家にとじこもって、毎日のようにケーキを焼くこと、月に一度化石を掘りにいくこと、このふたつが不登校中の娘の活動だった。娘は、地層の勉強ができるからと地理学科を選んだけれど、本当は「ケーキ職人になりたい」と言っている。どの道であれ、好きなことが出来る人生を見つけられればいい。

本日のつらみ:私がアノマロカリスの子孫だったら今頃は、、、いや、やっぱりアノマロカリスの落ちこぼれ

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20151105
 10月に親子3人で行った国立科学博物館の「生命大躍進」展の図録はまだ息子閲覧中で、私まで回ってきていないので、百均本で『地球の素顔』というNHKの「プラネットアース」シリーズの書籍版を買ってながめています。テレビドキュメンタリーの一部分がDVDになって本に付属しているのですが、まだ見ていません。

 地球46億年の時間の流れに思い巡らせるのが、好きです。私の一生は、ほんの一瞬にすぎないなあ、とか、過去何回か起きた「生物の大絶滅」を思い、人間が絶滅したあとは、どの生き物が知的進化をとげるのだろうかと、想像します。一説にはゴギブリとか。

 SFでは、核戦争で人類大絶滅したあとも、細々と退化した人類が生きのびるお話が作られていますが、果たして、人類は生き残れるのか。
 恐竜大絶滅は隕石衝突という、恐竜にはなんの責任もない、宇宙の輪廻による出来事でしたが、人間は自ら大絶滅へのシナリオを書いている最中。人間大絶滅が千年後なのか、1億年後かわからないけれど。せめてドラえもんが誕生する2112年までは人類存続していないと、ドラえもんがのびたに会えないじゃないですか。
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ぽかぽか春庭「2003年のアバカス指導」

2015-11-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
20151104
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記11月(3)2003年のアバカス指導

 2003年の三色七味日記11月を再録しています。
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2003/11/07 金 晴れ 1041
ニッポニア教師日記>算盤指導

 ビデオなど3コマ。
 ビデオは、人気の授業。漢字練習文型練習で1週間詰め込まれて、いっぱいいっぱいなっている学生が、1週間の最後に、ボケッと見て、ワハハと笑って楽しむクラス。メインの授業ではなく、復習はするが、新しい文型を導入するなどの義務がないので、教師も気楽に授業ができる。

 20年前制作のビデオ。ヤンさんが郵便局で切手を買うシーンでは、局員がそろばんでおつりを計算するという近頃では見かけないシーンが出てくる。
 毎回、ヤンさん第3話の時にはそろばんを持参して、学生の前でそろばんをはじいて見せる。私は足し算のみできる。引き算はまごつく、かけ算はやり方を全く忘れているという程度のそろばん能力だが、学生はたいてい「へぇ、すごい」と感心してくれる。

 「Jananese Abacus」は、中国のものや、アジアの華僑のものと少し違うことなどを話す。 今年は中国のチェンとインドネシアのジジが「こどものころそろばんを習いました」というので、解説をまかせたら、ビデオ授業ではなく「そろばん講習会」になってしまった。これが、1を示す玉、これが「5」の玉、などとチェンが教える。
 「じゃ、82ってやってみて」と非アジア圏学生に、玉を動かすよう勧める。おそるおそる玉を置く。「正解!」と誉めると、大喜び。

 これも「異文化理解」で、いいのでしょう。学生同士で、「イスラム教の人は、お酒を飲むことはできない」ということすら知らない者もいる。たまたまいっしょになったクラスでお互いの文化について、同じ所違うところを認めあえれば、いいと思う。

本日のそねみ:算盤でも計算機でも、私に計算はできない


2003/11/08 土 雨 1042
日常茶飯事典>笈の小文佳境に

 一日中笈の小文を書く。書くことがつぎつぎに頭に浮かんでくる。

本日のうらみ:キーボード早打ちの私も、指の動きがもどかしい。


2003/11/09 日 雨 1043
日常茶飯事典>衆議院選挙で夫帰宅

 一日中笈の小文を書く。メールで反響いろいろ。

 夜、夫が「選挙のはがき」と言って帰ってきた。この前の娘のアパート騒動のときから一ヶ月ぶりに我家にご帰宅。
 帰宅といっても、腰落ち着かせる間もまく、すぐに選挙へ。
 いつものように、娘相手に「自分の票読みがいかに正確か」と、いう自慢話をしている。イギリスのブックメーカーが日本の選挙の票数を賭の対象にしたとき、あたれば10倍という票数を見事にあてたことを話している。私は選挙のたびに、同じ話を聞かされてきた。もう私に話しているんじゃないから、かまやしないけれど、一応突っ込みをいれる。「ふん、競馬も選挙トトも、馬券買ってなければ大穴あてても何にもならないのよ!買ってない宝くじの当選番号あてたって、一円にもならない。」

 一家四人で仲良く小学校まで歩いて、夫、私、娘の三人が投票。息子は小学校体育館の外で待っている。またいっしょに小学校の庭を四人で歩いて、地下鉄の駅へ。まるで、普通の仲良し一家みたいにいっしょに歩いた。

 指折り数えてみれば、四人で顔をそろえて会うのは正月以来だった。娘も息子もそれぞれ用事のあるときに夫の事務所へ出かけていって会うので、別段不自由はないものの、一家4人そろうのが正月以来とは、私も気づかなかった。って、気づきなさいよ、夫の不在の長さ!いやあ、うすうす気づいてはいたんだが、いない方が楽だなって。

本日のうらみ:私には特別用もないので気づかなかった「かくも長き不在」


2003/11/10 月 雨 1044
日常茶飯事典>友だちが賭けているから

 作文漢字2コマ。
 息子は、朝私といっしょにエレベーターに乗った。エレベーターで別れて、私は仕事へ。 
 息子は中学へ。行ったと思ったら、駅へ歩いていく途中で回れ右して帰宅。さぼった。ずる休み。「いやぁ、文化祭のあと代休と土日で5連休だったから、絶対に僕が月曜日休むって、みんな賭けているような気がして、期待に添わないと休む方に賭けたやつらに悪いかなぁ」って思って休んだ」と言うのだ。そんなとこ、義理堅く期待にそわんでもええちゅうねん。

 ちゃんと学校へ行きなさいという私の期待にも添ってくれ。朝、ものすごく急いでお弁当を作ったのに。でも、お弁当を作った労力がむだになったことをなげくより、息子が学校さぼることの方を嘆かなくちゃならないのに。

 なぜ、そんなに朝忙しいかというと、朝もワープロで笈の小文を書いていて、書き出したらとまらないからだ。こんなに書くことが大好きで、楽しめるなんて。これが金になるのなら、きっとイヤになるのかも知れないが、ギャンブルや性悪女に入れあげて身の破滅になる男の気持ちが分るね。こんなコトしていちゃ、だめ、だめ、だめ、、、といいながらずるずるとひきずられて、気がついたときにはどっぷりはまり、抜き差しならず。これで儲かればもっといいのだが。

本日のつらみ:儲からないことには夢中になれるのに

2003/11/11 火 雨 1045
ニッポニア教師日誌>子供の病気

 漢字、会話2コマ。

 子供をおいて単身留学エンジョさん、子供緊急入院の電話で、あわてて今朝、韓国に帰国。
 私が中国に単身赴任している間、風邪くらいはひいたろうが、娘息子が、大きな病気をしなかった。入院もせずに済んだ。
 エンジョさん戻ってこられるといいのだが。

本日のつらみ:子を持つ母の留学至難


2003/11/12 水 晴れ 1046
ニッポニア教師日誌>学生自慢話

 午前中Aダンス。

 午後日本語教授法2コマ。学生に発表させている「自慢話」今日も好評。
 書道師範の腕前を持つ学生の楷書草書行書と、落款の紹介。みんなあまりのうまさにびっくり。
 二人目は千葉市の「合唱団親善大使」に選ばれて、ドイツまで演奏旅行に行ってきた話。
 中国のロックグループが大好き言って、CDかけながら、どんなに彼らがかっこいいか熱弁する学生も。  自分が属するアンダーグラウンドのラップが、メジャーラップとどうちがうかを語り出したらとまらない学生。ほんとに個性豊かで、この企画をはじめてよかったと思っている。 

 多摩川おじさんの「生教材をつかった授業」は、私が貸したゆかたをつかって、ゆかたの特長説明と「ゆかたの畳み方講座」。「日本事情」「日本文化紹介」の授業例として。一度たたんで片づけたが、休憩時間にまた、個人指導でたたみ方を習う学生もいて、これもまた、「日本語教師をめざさない学生にも役に立つ」日本語教授法授業として、よかったよかった。 

本日のひがみ:私も浴衣を畳むくらいはできるが、振り袖着付けはできない

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20151104
 文化勲章授賞式のニュース。今年の文化勲章で一番私がうれしい人は、染織家の志村ふくみさん92歳。エッセイも好きだし、近代美術館工芸館などで見る着物も好き。
 染め物と織物は、いつか自分の手でやってみたいことのひとつ。いつかがいつになるのかはわからないけれど。 
 
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ぽかぽか春庭「2003年のイメージキャラクター」

2015-11-03 00:00:01 | エッセイ、コラム
20151103
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記11月(2)2003年のイメージキャラクター

 本日は「文化の日」です。1946(昭和21)年11月3日に、日本国憲法が公布されたことを記念する祝日。「明治の日」という呼称希望の方々への感想は、以下↓に。
 春庭は、毎年5月3日の憲法施行の日の記念日と、憲法公布記念のこの日を「憲法を読み返す日」にしてきました。はい、春庭は、黒塗りなんぞしませんとも。オールドフェミニストにしてオールド戦後民主主義者ですから。きっとそのうち「おまえの存在自体を黒塗りしてやるぞ」と、言われるのでしょうね。元来が臆病者ですから、自己主張なんて立派なことはできない春庭ですが、黒塗りはいやだなあと、ここに宣言したい。

 祝日、といっても、本日は仕事の日。働きます。

 2003年の日記を採録しています。
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2003/11/06 木 朝雨、午後晴れ 1040
ニッポニア教師日誌>イメージキャラクター

 娘と息子はディズニーシーへ。息子は、文化祭代休と土日で5連休。それで、娘が学校休んでディズニーシーに行くことにしたのだ。 

 日本事情作文2コマ。来週はこども動物園に行くことになった。
 学生に、日本近代史の話をしながらも、「今日娘と息子はディズニーランドへいったんですよ。私はこうして仕事に励んでいるのにねぇ」と、こぼして、笑われた。なんでディズニーランドの話になったかというと、明治維新の話から。

 明治時代、天皇は神であった。昭和天皇が「チンはホント言うと神じゃなかったのサ」と、人間宣言して戦後復興がはじまったこと、などを話す。「私は人間です」宣言のことを話すと、たいてい留学生は笑う。「本当に昔の日本人は天皇を神と思っていたのか」と質問する。

 私も以前は信じられなかった。建前「神」でも、本音ではそう思っていなかった人も多かったのだろうとは思う。だが、本気で信じていた人の精神がどうだったのか、さっぱり理解できなかった。オームの「ソンシー」を本気で信じていた人を知って、ようやく「信じたい人を本気で信じる人間」が存在するのを知った。「天皇は神」と本気で信じていた人もいたであろうと納得できた。
 戦後象徴天皇も、イマイチ留学生に理解できない部分を含む。タイのように政治権力を保持している王様は、理解できるが、象徴天皇とはいったい日本人にとって、何なのだ。と、質問してくる。

 わかりやすいたとえ。ディズニーランドのミッキーマウスのごとし。ミッキーが存在しないディズニーランド。ミッキーに握手してもらえない、パレードでミッキーが杖をふらない、夜、花火を指揮しない、ほら、なんだか楽しくないでしょ。
 ある場所を統合するには、イメージキャラクターが必要だって、ほとんどの国民は思っているんです、と解説する。むろん、ミッキーじゃなくてミニーを女帝にすべきだ、とか、いやいやグーフィあたりをニューメインキャラにと思っている人もいるのかもしれないが。私の好みはアリスの三月兎よん。

 明治天皇は、16歳で即位するまで、お化粧して女の衣装をきて、育てられた。昭和天皇も、白いワンピース姿の女の子の衣装を着た写真が残っている。これは、男の子の幼児死亡率のほうが女児の死亡率よりも高くて、女の子として育てた方が生き残る率が高いと信じられていたため、男児の跡取りが貴重であった階層でかなり広く行われていた風習である、と、猪瀬直樹のミカドシリーズの受け売りをやる。三島由紀夫も女の子の衣装を着て育てられた。などの話。

 文化研究の受け売りができて、近代国家成立期の歴史授業は、私のお得意分野。限りなくトリビア語りをしたくなり、少しも近代が進んでいかない。文明開化殖産興業富国強兵、話し出したら止まらない。学生は私の冗談混じりの解説にゲラゲラ笑い転げる。

 今年は木曜日のクラスが一番日本語ができるクラス。日本語力がかなり高いので、くすぐりや地口だじゃれも通じる。それで、私の芸人魂炸裂。

 昔の寄席中継で三平が「お客さんに笑ってもらうと、高座の花代が増えるんですから」と言っては笑いをとっていたのを思い出すが、学生を笑わせても、講師料が増えるワケじゃない。なんで、こうサービス精神旺盛になっちまったのか。
 20年前に作った講義ノートを、毎年ぼそぼそ読み上げるだけの大学者先生も多いのにねぇ。

本日のうらみ:寄席なら笑わせれば玉が上がるのに。私の講師手当、時給をあげてくれぇ!

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20151103
 文科省から大学へのお達し。半期15週、1年30週の授業を確保せよと。よって11月3日は授業日とする、という大学暦により出勤。文化よりも仕事、っていうわけね。
 近頃じゃ、文化の日を「明治の日」にしよう、っていう人たちも騒ぎ始めたそうで。天長節、明治節、文化の日となったこの日。「昭和の日」があるなら「明治の日」もよいでしょうということらしいけれど、それなら「大正の日」もなければ、病に苦しんだ先々帝がお気の毒だし、持統の日とか孝謙の日とか後桃園の日とか、125代全部を祝日にしたらいいんじゃないかと思います。(オールドフェミニストだから、女帝の名だけ提出したけどね)国民総活躍を記念して、それぞれの誕生日は祝日とする、というのもいい。11月3日が明治天皇の誕生日でめでたいなら、11月4日もリリーフランキーやネプチューンナグラそのほかの誕生日でめでたい。365日祝日法に賛成。

 明治天皇ご幼少のみぎりは女装によってお育ち遊ばしたことを記念して、明治の日は女装する、というのも文化っぽいかも。ハロウィーンの仮装を10月31日にして、11月3日は女装。

 日本という立憲民主主義国の地方自治体が「憲法を守ろう」を黒塗りしても、国民が大人しくしている国なんだから、この国はヘーワでブンカテキなんだろう。たぶん。
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ぽかぽか春庭「2003年の旧友邂逅」

2015-11-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20151101
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記11月(1)2003年の旧友邂逅

 2003年の三色七味日記11月の再録です。
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2003/11/01 土 晴れ 1035
日常茶飯事典>旧友邂逅

 夕方4時に池袋へ
 出かけるとき、娘が「お母さんの女子校同級生って大学教授とか、校長だし、大学の友だちは文部省キャリアだし、みんなエラくなったのに、お母さんだけえらくないねぇ」と言っていた。ほんとにね。

 K子さんは大学のときの友だちのなかでは、今でも行き来できる唯一の友だち。大学附属図書館情報サービス課長。文科省上級職。ほんとにみんな偉くなっちゃって。

 K子さんとデパ地下で待ち合わせ。とってもとっても久しぶり。ちょっとやせていた。夏に風邪ばかりひいていたのだという。大学が休みのときは、池袋に購入したマンションに戻っているのだという。マンションローンを払うために働いているのだと言っていたが、女ひとりで、ほんとにエライわぁ。娘に「友だちが出世した自慢話をするからちょうだい」と、名刺をもらった。

 池袋の居酒屋で生ビールとサワーをちょこっと飲んで、話して楽しかった。長崎チャンポンもらった。私が家族持ちだと思って、あまり連絡してくれないけど、もはや準未亡人にして、子供は母親なんかうるさがっているだけだから、もっと遊んでぇ、と頼んできた。

本日のうらみ:準未亡人には、遺族年金もなし


2003/11/02 日 晴れ 1036
日常茶飯事典>文化祭Show must go on

 9時半に姑と待ち合わせ。10時から息子のクラス演劇を見た。
 とっても面白かった。去年は三谷幸喜の『ラジオの時間』を翻案したオリジナル作品にして、男だけで演じられるように作り替えていたが、今年は『Show must go on』をそのまま使っている。へたっぴの中3が演じて果たして、いい作品になるのかと心配していたが、三谷は天才ですね。中3素人が演じても、ものすごく笑えた。中3の演技で笑える脚本のうまさ!

 息子は、「おバカな大根役者の役」滑舌は一番いい。役者志望のアシスタント舞監女性の役、舞台監督の奥さん役も、中3の男の子にしては、すごくいい感じの女形だった。

 中1のときは、担任の先生がだいぶ手伝ってくれたそうだが、中3ともなれば、2時間の芝居の、大道具小道具照明音楽効果を含め、生徒だけでやる。中3は、3クラスとも演劇。高校生は映画を制作するクラスも多いが、中3は、皆演劇好きで息子にとっては、いい学年。

 喫茶班のスパゲッティがアルデンテというより「ゆだってねぇよ」という歯ごたえだったのが、イマイチだったが、ウェイターは合格。去年は一昨年に比べて美形度がややオチだったが、今年はまたすこぶる美形ぞろいで、けっこうでありました。でも、姑が注文したパンナコッタに添えられていたのはフォーク。おいおい、フォークでパンナコッタを食べるのは、スプーンでところてんを食べるより難しいぞ。
 あんた、来年は東大ね、っていうウェイターに給仕してもらうところがミソ。

 息子の美術科授業提出作品、うさぎタイムの肖像画。とても上手に仕上がっていた。作品が戻ってきたらかざろう。美形アスカの写真はたくさん残っているが、タイムはいつもぶーたれた顔をしているし、なかなかシャッターチャンスがなかったのだが、息子がいいのを作ってくれた。

 2時半に学校を出て、姑と別れる。東陽町の江東区文化センター。バレエ、ジャスダンスなどの発表会。ミワダンスグループのタキシードジャンクション、ライオンは寝ているなど、みな上手だった。クラシックバレエの発表も見た。

本日のひがみ:すらりとしたボディで踊るタキシードジャンクション、カッコよかった


2003/11/03 月 雨 1037
日常茶飯事典>文化祭二日目

 ひとりで文化祭へ。10時半から息子の劇。二度目なのに笑えた。
 そのあと高2の『赤鬼』をみた。英国版の演出ではなく、オリジナルの「とんび」たちと村人を3人だけで演じ分ける難しいほうの演出。「あの女」役の男の子はとてもいい女形だったが、とんびの役の子が「ぼくはあたまが弱いから」とか「ぼくにはよくわかりません、頭、足りないから」と、台詞を言うたびに「でも、あんた、どう見ても東大一直線に見えちゃうよ」と、突っ込みをいれたくなった。

 赤鬼アンガスが「僕には夢がある」と言う部分で、英語でキング牧師の「I have a dream」演説をやったので、ひとりでウケて、笑ってしまった。キング牧師の「いつか、白人も黒人も鐘を鳴らすだろう」という平等と和平への祈りが、強烈な皮肉に聞こえてしまう、昨今のイラク情勢。
 
 コント班をみたり。雨だからすぐに帰ろうと思ったが、結局体育館のステージ班ファイナルまでいた。
 息子クラスは中学校2位。高校は赤鬼のクラスが優勝。

本日のねたみ:「頭が足りないとんび」を演じても、隠しきれない偏差値75


2003/11/04 火 くもり1038
日常茶飯事典>ついに圧力鍋購入 

 息子は文化祭かたづけのあと、役者打ち上げで、「舞監夫人」役の子の家に集まって泊めていただくことになった。息子が友だちの家にとまるのは初めて。一度家に帰り、夕食を食べてから、コントローラー3本持参で出かける。一晩中ゲーム三昧お泊まり会。

 一日中、笈の小文を書く
 ダイエーにいって、優勝セール最終日に圧力鍋を買った。

本日のつらみ:圧力鍋がこわれて、6ヶ月間新しいのが買えなかった。王監督ありがとう

2003/11/05 水 晴れ 1039
日常茶飯事典>Aダンスビデオ

 午前中Aダンス。発表会のビデオを見た。とてもいいビデオで、みな「このビデオは縦長にのびる撮影で、足が長く写っている」と言う。私も、思ったより太くみえなかった。ああよかった。実物よりきれいにうつすビデオの腕。むかしの修正写真のように、修正ビデオが出るようになったのか。
 
本日の負け惜しみ:修正すれば私も美人

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20151101
 K子さんからの最近のメール。11月に、K子さん所属の劇団の公演があるます。梅若能楽堂で行われるから、招待状を送る、とのこと。同じ劇を両国シアターカイで2度見たけれど、今回は能楽堂での公演なので、また違う演出になるかと期待しています。
 学生時代、いっしょに演劇を見る仲間だったK子さん。卒業後は公務員の仕事に全力を注いできました。2003年にひさしぶりに会ったときは、仕事の第一線で活躍していました。
 定年後、K子さんは、演劇一直線。劇団のスタッフとしても役者としても全力を注いでいます。

 いろいろな女性のライフスタイルがあるけれど、仕事も定年後のセカンドライフも充実させている、K子さんの生き方もすてきだなあ、と思います。
 K子さんの凜とした「おひとり様」を貫く生き方もあれば、パラサイトシングルにひっつかれたままぐちぐちと愚痴を並べる私の生き方もある。子育てを終えて、新しいパートナーと仲良くすごすミサイルママも。みんな違ってみんないい。byみすず
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