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嵐のち新コレ

2017-03-25 22:59:00 | 花火

▲オープニングスターマイン
 この雪原が明るく浮かび上がり、雪上車が走った跡の雪質がたまらん(←え、そこっ?)

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 3月第3土曜日は新作花火コレクション(以下、新コレ)である。若手花火師が新しい種類の花火を打ち上げるという意欲的な花火競技会である。
 何年か前からなぜか運営スタッフ欄に自分の名前が記載されるようになり、うっかり休めないという事情もあるが、何しろ変わった花火が見られるし、場合によってはそれが今年のその会社の代表玉になったりするから、見逃すととってもモッタイナイものなのである。

 大曲では、「冬の章」として売り出している。今冬は秋田ではドカ雪が降ったこともあり、会場となる大曲ファミリースキー場にはまだたっぷりと雪が残っていた。
 そのため、今年は長靴を履いて東京を出発。東京にいるうちはパンツの裾を外に出して、「ただラバーブーツですよ!」の風情を装っていましたわよw

 ここね、駅から会場までの公共交通機関が無いのが難点。昔は途中までバスがあったのだが、数年前に廃止になった。地元の人は車で来ているが、遠方からやってくる者は駅からタクシー相乗りでここまで来る(2,500円ぐらいだから、4人でならなんとか許容範囲かな)


 ということで、10時台に会場に到着。
 事務手続きを済ませ、さっそくボランティア実働部隊へ。今年はプログラム販売ポップ作りからであった。えぇ!! その作業あるのなら前もって言ってくれればいいのにぃ…。その手のこと非常に凝るので、さまざまな私財ブッ混んだんだけどなぁ。とはいえ、あるもので何とかせねばならないので、無い頭をひねる。持ってきたお菓子の空き箱まで使って完成させる。
 えぇ、実用一辺倒ですわよ!

 午後になって、パンフレット売りの行商に出る。
 これがまぁ、初物のご祝儀相場かってぐらいに次々と売れて、とりあえず持ち出した20冊があっという間に売れた。あわてて追加でブツを取りに戻る始末。カメラマンの皆さん、朝から雪山に三脚はやしてスタンバっていましたものね…。

 午後になり、通り雨が激しく降るようになる。なんか、いろんなもの飛ばされそうなんだが…。

 はっ! ちょっと待って! 今日の天気予報、傘マークなかったじゃない!?(前日までは)

 当日朝になって急に傘マークがついたんだよね。昨夜のうちに荷造りを済ませ、起きてすぐそれらを持って家を出たので、雨対策なんてほとんどしていなかった…。まぁ、天気がちょっと変わって降ったとしても、そんな酷くないでしょう…ってレベルの最低限の備えしかしてこなかったら、この仕打ちである。

 誰や!! この嵐呼んだんは!!!!!!!

 雨の止み間を縫ってプログラム行商に出る。今度は、下の駐車場まで…。こちらはまだ半分ぐらいの埋まり具合だったけれど、気が付いた方がやはり買ってくださった。
 その後、時間を変え、場所を変えて販売させていただいたけれど、今年は本当にたくさんお買い上げいただき、ありがとうございましたm(_ _)m

 そうこうしているうちに雨はやむようになり(折りたたみ傘は壊れたけれど)、花火開始時刻が近づいてきたので、後始末も投げ出し気味に花火会場に舞い戻る。

 カメラセットしているうちに開会のあいさつが始まり、オープニングスターマインが打ちあがる。


▲インターバルスターマイン


 さて、新作花火コレクションであるが、競技花火大会である。
 4号玉5号玉合計15発で自分の決めたテーマに沿って打ち上げる。その内容について、観客の前で当人がプレゼンテーションするのも特徴だ。
 なんかえらい高い台に上にあげられて、マイクを持って話す若き花火師たち。話しっぷりからも人柄がうかがえる。

 大玉(7号)割物花火共演やプライベート花火を挟みながら、24名の花火師の作品が雪を明るく照らし、夜空に花を咲かせた。

 ということで、入賞作品から


▲【金賞】「隴隴と褐色に枝垂れる」
  長野県 伊那火工堀内煙火店 氣賀澤文平

 前年に続いての優勝となる氣賀澤さん。花火の原点ともいえる、炭火での表現。大曲では今、「炭」についての研究もしているんだよね







▲【銀賞】「美への道筋」
  群馬県 菊屋小幡花火店 小幡知明 

  イケメンなので2発サービスです! 真円をどう描くかという辺りがポイント。うん、和火だね…。モノクローム系はまだ進化するってことかな
  





▲【銅賞】「五色叢林~菊型花火による動的光散乱の考察~」
  新潟県 小千谷煙火興行 瀬沼輝明

  地元枠(私の)なので無条件2発です!! しかも微妙に位置上げてるしw プログラムを見た時から、アレか!?、アレぶっこんでくるか!? って、想像したものがキターーーー! まぁ、昨年の愛染や長岡やその他もろもろの現場で見せてきた時差変化の集大成ということかな。これで卒業とはモッタイナイ。来年以降、若い花火師さんを送り込んでいただきたいものである。
 なお、タイトルは国際花火シンポジウムが行われるので論文調にしたとのこと。えっと、私の思考パターンと割と似ているんだけど、それは…w
 あ、1枚目の大きい玉は円が崩れたのではなく、3つのリングを交差させつつ時差変化というもの。藤の花的な時差。



▲【銅賞】「REVOLVER~光の回転式牡丹」
  秋田県 響屋大曲煙火 齋藤健太郎

  地元(開催地)からの入賞。光がぐるりと円の中を回るさまをリボルバーとしたもの。本人が言うより結構視認しやすかったと思うよ。
 あ、なお、響屋さん社名変更しています。




▲【銅賞】 「翠・水 瑛華」
  秋田県 小松煙火工業 伊藤航也

  地元(開催地)からのもう一人入賞。事前に地元ラジオにも出演した「コーヤくん」。なお、レセプションや二次会であいさつできませんでしたorz 小松さんところのアイスクリスタルチックな造形で、緑のバリエーションが端正。

  (ちなみに瑛華を打つ際に瑛太と打っているのは内緒だ) 




▲【特別賞】 「真砂の花」
  長野県 紅屋青木煙火店 青木義祥

  多分、誰も敢えて口にしなかったけれど、おそらく妙なプレッシャーはひしひしと感じつつ、みんなも注目していたと思われる青木さんの御曹司(だよね。思い込みだったらすんません)。錦のキラキラした様を真砂と表現する辺りの手練れ感はどこから!? 若さゆえのアイデア満載の感じではなく(それもこの花火大会の魅力だが)、あえて手堅く錦で行くあたりに、骨太感を感じた作品だった。



 実は、新コレでは花火鑑賞士賞なるものが設定されている。当日現場に集まった花火鑑賞士の投票によって選ばれる賞である。

 その、【花火鑑賞士特別賞】は…
     「桃太郎さん、ずんだ餅 くれねぇが~!!」
      宮城県 芳賀火工 佐藤佳恵

 ふんわりとしてかわいらしい声で話す佳恵ちゃんのファンが増え続けるのも分かるわ~。1発の玉の中に複数の型物を時差で開発するようにしているの、大変な組み合わせ。型物は向きが決まらないとイマイチなので、複数上げるのがセオリー。それが一つでも決まると、成功!ということで…(以下の型物はいじり倒してコンポジってます)。


▲パカッと割れたモモから飛び出た桃太郎(赤ちゃん)は宮城生まれ


▲宮城名物のづんだ餅持って秋田の神様・なまはげのもとに行き、づんだ餅を食べてもらいます。最初は「悪いごはいねぇがぁ~」状態だったなまはげも、おいしいづんだ餅をもらって笑顔に変わっていきます(笑顔バージョンは撮れなかった)


▲そして桃太郎も笑顔になるのでした。めでたしめでたし…。

という物語を見事に花火で表現! 型物の成功率は高くなかったんだけど、そこは頑張れ!

 それにしても、花火鑑賞士賞って、型物率高い気がするなぁ…。



 以下、受賞は逃したものの、気になったものを単に好みでピックアップ


▲「動きまわリング」山梨県 マルゴー 齊木啓介
 タイトル通りに「えぇ、いったいどういう詰め方してんだよっ!」って、じっとしていない感満載の花火。えぇ、花火は止まることないんだけれど、本当に動き回り続ける花火でした。某えらい方が目が追い付かん…とは、まさにこれではなかったかと思われ…。これ、半球の玉込め状態で見てみたい。
 花火作品としては実に美しく、「さすがマルゴーさん、イケメンさん、さすがやイケメン」って思った(大事なことは2回言います)。
 


▲「魅惑のクレマチス」千葉県 高城煙火店 高城渉
 クレマチスにはうるさい私。一言でクレマチスって括っているけれど、いろんな種類あるんやでって思っていたのだけれど、これ見て、高城さんの工場にどんなクレマチスが咲いているか大体分ってしまったw。



▲「ピリカ・ノンノ~美しき花~」北海道 海洋化研 齋藤洋平
 はるばる北海道からようこそ! 北海道で煙火を製造しているのはこの海洋化研さんだけの模様。あとは、猟銃の火薬の扱いがほとんどらしい。土浦の創造花火の方に出品するのを何回か拝見したことがあるけれど、面白い花火を作っているなぁって印象に残っていた(夏休みの自由研究シリーズ好き)。今回は、アイヌの言葉を用いたタイトル。型物じゃないのを土浦に出しても行けるんじゃないでしょうか…。北海道、本州系の花火師さんの進出も多いけれど、ぜひこれからも頑張ってください。



▲「ビードロ」愛知県 加藤煙火 加藤克典
 まずプログラムの文章で吹いた。これ、おれたちが売るのかぁって頭抱えた。ってことで、来年からは、もうちょっとわかりやすい文章でお願いしますねw
 色や造形の美しさは十分存じているが、今回はちょっと小さくまとまった感が残念であった(八方咲だと他社を含めてよくある)。もう、私の周りの花火ファンも早く夏に出てくれってうるさいから、伊勢や土浦でビッグタイトル取って上がってきてください!!



▲「市松模様 夜空にひらく」東京都 丸玉屋小勝煙火店 小勝康平
 まず大玉、形はアレだったけれど、表現よかった。東京五輪を意識した市松模様、こちらでも行けるんじゃないか!? 本選の時差変化シリーズ、八方咲もきれいだった。



▲「虹色が織りなすグラデーション」山梨県 齊木煙火本店 飯田茂雄
 今年も虹玉行くぜ! とばかりのタイトル。えぇ、そこが嬉しいんです! 虹まみれで幸せでした。



▲「天空の孔雀」 秋田県 北日本花火興行 今野貴文
 さすが孔雀を30分見つめていたことはあるw 孔雀の羽の色がちゃんと表現できていたと思う。来年以降優勝したあかつきには、宝塚調のクジャクの羽ジャケット贈呈すればいいですね。



▲「柳にイルミネーション」 神奈川県 ファイアート神奈川 河口智光
 和田さんの後はこの河口さんが参加することになるのかな。二宮で気になったあの玉がここでもみられました。二宮の時も書いたけれど、私は和火からのイルミネーションの方が好み。輝度の差もはっきり出るしね。



▲「天を泳ぐ」 静岡県 神戸煙火工場 神戸龍馬
 1発の花火で金魚を表現。牡丹星の後に燃焼速度の遅い冠を持ってきて、それが金魚の尾と見立てるので合っているかな!? その発想は、なるほどっと感心した。錦ではなく、銀の方がボディである赤が引き立つような気がする。
 なお、この金魚が完成したら、小千谷の錦鯉にもチャレンジしてほしいと無理を言うw



▲「藍燦燦」 徳島県 岸火工品製造所 岸洋介
 四国からようこそ~! 徳島の名産・藍にちなんだ花火は、白雪面に反射してきれいでした。徳島の阿南の方にも煙火店あるのね(勉強不足)。太龍寺さん&平等寺(ここ、Wi-Fi完備の札所やで)さんのある町としてインプット完了。10月第2週と、みなと神戸花火大会、スケジュールに入れましたが、今年は無理や、すまん。万が一メリケンパークのホテルが当たったら行くw




▲「越後のアサガオ」 新潟県 片貝煙火工業 本田和憲
 1枚目は何となくアサガオかなって感じに見…え・る…。でも2枚目だと正直に言うと、朝顔というより別物の感じかなって…。

 ほら、ウチの時計草とそっくりじゃないですか!?

 ぜひ、ご検討ください。




▲インターバル花火「色の研究と炭の研究」より。
 青色きれいでした。


 ということで、冬の章は終了。花火師の皆様、楽しい時間をありがとうございました。いつものように好き勝手書いてすみません。私のダダ漏れな花火愛がご迷惑をおかけしております。
 今年、あちこちの現場で、これらの進化形&大玉系にまみえることを楽しみにしております。

 来月、もう春の章なのよねぇ…。