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大曲の花火2018~入選作より~

2018-08-31 22:36:00 | 花火

▲夜の部オープニングナイアガラ付スペシャルスターマイン

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 大曲の花火、今年も行ってきた。
 ここ数年、直前に大雨でヒヤヒヤするのだが、今年もちょっとドキドキした。思わず翌日のホテルとか一瞬押さえちまったよ…。

 ということで、あさイチで開催決定を確認し、新幹線に乗り込む。今年はかなりゆったり出発。とはいえ、新幹線は相変わらず満席で、デッキに席の無い人が立ったまま秋田へ向かうという状況は例年通り。隣、いかにもビジネスっぽいから仙台で降りるかなって予想したら、その通り。だが仙台から新たな人が乗り込んでくるので、結局満席は変わらず。
 大曲到着後はすぐにチェックイン。部屋に大荷物を置いて必要最小限の荷物で会場へ向かう。例年に比べるとかなり気温が低くて快適だが、湿度は高い。時折上がる雷の煙の行方を見ていると、予報通りメインは風下っぽい。

 撮影のできる席に着いたものの、どうも具合がよくない。ちょっとズレた場所に移ろうかと思ったら、後ろの変な人が変な行動をとっている。なんか、ほかのカメラマンを威嚇している!? しかも、自分の席の横になぜか勝手にロープを縦横に引いてしまっている。どう見ても関係者ではなく、自分と同じカメラマンパスしかもっていないようなのに、なんなんだ!?
 その人は、撮影席に対してだけではなく、通常のC桟敷にいる方にも絡んできて来ていたらしい。挙句の果て、カメラマン席はダメだけど、C席の後ろなら移っていいよとまで言ってきた。何者、このおっさん!?

 気持ちを切り替えて、花火前にスイカを食べて、昼花火開始。今年もパラシュート取れませんでした(パラを取る競技ではないw)。昼花火、撮るの難しい…(太陽と重なる率高し)



 そして、夜花火の開始を告げるスターマインと独特のアナウンスが藍色の空に響き、競技花火の打ち上げ開始でございます


 競技花火は、始まる前に基準となる玉が上げられ、それより良い悪いで点数を付けていく。大曲では地元4社で持ち回りをしており、今年は小松煙火工業の担当である。


▲10号芯入り割物「昇曲導三重芯変化菊」


▲10号自由玉「雪割草」
 以前この玉名で見たものと違っている…。


▲創造花火「アジサイ咲く旅路」

 これらを基準に、ほかの花火を審査していく。
 大曲の業者あるあるとして、標準審査玉が自分の作品(別途上げるんだよ)よりもいいものに仕上がっているということも少なくないw
 この3枚は意識的に審査員席を入れてのトリミングにしている。10号玉は大体、こんな感じで見えている。創造花火は、審査員席の正面以外に左右に筒場がある。なお、屋根がかかっているが,一番先端のみ、素材が透明なものになっていた。前年まではそんな工夫がなかったように思う。




 ということで、今回は入賞作品を…。

総合優勝【内閣総理大臣賞】菊屋小幡花火店(群馬県)

▲10号芯入り割物【優勝】昇曲導付四重芯変化菊
 1ヶ所かけているのはぱっくり面か!?


▲10号自由玉【優勝】里山の忘れ柿


▲創造花火【準優勝】「昭和のなごり花」


 創造花火こそ2番目の賞だが、10号のダブル優勝は内閣総理大臣賞を得るのには十分であろう。初代内閣総理大臣賞を受賞したのはこの煙火店。先代の時代だった。若くして先代の後を継いだ当代の社長としては悲願の内閣総理大臣賞受賞であろう。「過去の受賞者」として列席されたときも先代が受賞したものなのでって恐縮していたらしい。大曲初の親子受賞者となる。
 先代は四重芯の名手として有名だったが、同じ四重芯で優勝したことはうれしいことではなかろうか。自由玉は過去にも出品したことがあるタイトルだが、やや低かったものの、肩の張りもしっかりとして小割のバランスも良いものになっている。
 おめでとうございます。今から来年のスペシャルプログラムが楽しみです。

 以後、部門別で

★10号芯入り割物の部★

▲10号芯入り割物【準優勝】「昇曲導付四重芯変化菊」紅屋青木煙火店(長野県)
 今回は久々にきれいな四重芯。少し小さいか…!?


▲10号芯入り割物【優秀賞】「昇曲導付三重芯菊先光露」山内煙火店(山梨県)
 以前内閣総理大臣賞を受賞した時と同じレベルの美しい三重芯。丸い、均等、美しい。


▲10号芯入り割物【優秀賞】「昇り曲導付四重芯変化菊」丸玉屋小勝煙火店(東京)
 あまり周囲では小勝さんの評判聞かないんだけど、割物は結構バランスいい玉出していると思うんだけどな、私。


▲10号芯入り割物【入賞】「昇曲導付四重芯変化菊」信州煙火工業(長野県)


▲10号芯入り割物【入賞】「曲導付三重芯錦紅光露」筑北火工堀米煙火店(茨城県)


▲10号芯入り割物【入賞】「昇曲導付五重芯変化菊」山崎煙火製造所(茨城県)
 このパターンより昨年の方が分かりやすいんだけど、受けがよくないのかなぁ…(私は好きですけど)。


★10号自由玉の部★

▲10号自由玉【準優勝】「晩夏の轟き」阿部煙火工業(新潟県)
 昨年の昼花火準優勝に続き(今年も準優勝)、10号自由玉でもこの成績を納めた。10号玉は基本同じサイズでトリミングしているのだが、大きく広げたのは小幡さんと阿部さんと篠原さんだけなんだよな。中でも一番広げたのは、この玉。それだけ肩の張りがよく、雄大な花火であったということだ。


▲10号自由玉【優秀賞】「虹色のグラデーション」齊木煙火本店(山梨県)
 仕掛けが細やかなだけにどうしてもほかの玉より一回り小さくなってしまう虹グラ。それでも決まれば破壊力は抜群。


▲10号自由玉【優秀賞】「むすんでひらいて」野村花火工業(茨城県)
 波紋の応用編って感じか!?


▲10号自由玉【入賞】「曼荼羅」磯谷煙火店(愛知県)
 え。終わりって思ったときに赤い星が光った。


▲10号自由玉【入賞】「土星に現れた流星群」伊那火工堀内煙火店(長野県)
 大曲って、この堀内さんの炭火大好きよね…。暗い花火で写真的には毎度泣かされる


▲10号自由玉【入賞】「宵の浮星」片貝煙火工業
 直後の三遠さんほどではないけど、大会提供花火の煙の影響を受けた感があるのよね、これ。かろうじて審査員席から中央のが見えたかなって感じ。


★創造花火の部★


▲創造花火【優勝】「クリスタルオパール~大地を照らす神秘の輝き~」小松煙火工業
 そんなに良かったかなっていうのが第一印象。今回、飛びぬけてコレっというのは目立たなかった気がするんだけれど。これだったかなぁという感もある。


▲創造花火【優秀賞】「ウエディングセレブレーション~二人に捧ぐ恋の花~」片貝煙火工業
 今年も分かりやすい花火で行って(と思う)賞を獲得したという。花火技術の進歩も必要だけど、お客さんが見てわかる花火というのも大切なんだってことを大曲は求めているのではなかろうか…。実際、講評の中でも「ウエディングでハートとか分かりやすい」と述べられていたし。ただ、型物をあげればいいというのではなく、ストーリーの中にうまく織り込めていたのが評価されたのだと思う。
 なお、肝心のめでたい感じの♡の部分とかは撮れていないので、この写真では説得感ないけど…。



▲創造花火【優秀賞】「タンポポ」信州煙火工業
 これも分かりやすい花火。自由玉との連携とやらでも問題ないし…。綿毛は白いんだろうけど、かわいく見えれば勝ちだな。



▲創造花火【入賞】「雪どけの華」マルゴー(山梨県)
 雪どけの里山の華やかさを描きかったのかな。


▲創造花火【入賞】「仮面と薔薇~赤と白の世界~」山崎煙火製造所
 オペラ座の怪人でした。バラの型物は分かったんだけど、仮面の型物(舞台等で使われる、半分顔を隠す白いマスク)を理解するのに時間がかかって、なかなか入り込めなかったんだけど、審査員はちゃんとわかっていたったことですねw


▲創造花火【入賞】「水面の煌き~夜明けを待つ森の中の湖~」野村花火工業
 正直、野村さんの花火の凄さって分かりにくい時があるんだけど、その個人的な印象のままで終わってしまった感じ…。


 「自由玉との連携」が今年話題になったが、自由玉と創造花火のタイトルを等しくする業者は以前から何社もあったし、タイトルは違っても自由玉を存分に見せる構成の創造花火は過去からいくつもあったわけだから。花火師さんの間ではわかっていたことではないのだろうか…。私も何となくそうなんだろうなぁとは思っていた。
 極言だが、一般人が初見で見分けのつかない五重芯の必要性に関しては個人的には疑問を持っているんだよね…。花火とは誰のために何のために上げるのか…と考えれば、我々マニア向けの花火ではだめなんだよね…と思う。
 その点、片貝の花火の伝統を引き継ぐために設立された片貝煙火工業さんはそこを、しっかり持っているんだと思う。


 大会提供花火もケムケムでした…。






 あ、昼花火は優勝の小松さんだけアップしておく(スマホでもよく撮れてない…)

▲昼花火の部優勝「曲付黒龍の舞」小松煙火工業



 ということで、今回はここまで。