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ドキッ💕天平美女によろめいて蘇我氏に怒られた!?

2020-03-14 21:52:00 | お出かけ

▲宿泊したホテルの前の通りからの眺め。この辺り一帯は「ならまち」と称され、昔ながらの作りの建物が多く残っている

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 夜行バスで奈良への旅に出る。
 上野から乗り込み、横浜経由で西へ向かう。横浜を出た辺りで早くも睡魔に身をゆだね、時々目を覚ましながら夜を走る。
 
 明るくなったので遮光カーテンをそっと開けると一面の霧に包まれていた。さすが奈良はまほろば! 
 ほどなくバスは降車場につき、奈良に降り立つ。高校の修学旅行以来の奈良。バス降車場からホテルまでは細い町屋の間を縫ってどでかいキャスターバッグを引きずりながらやや薄くなった靄の中を進む、ちょっとした異世界感。

 ホテルに到着。荷物を整理してホテルに預け、リュックひとつで観光に出る。

 近鉄奈良駅から大和西大寺、大和八木と乗り継ぎ、南下する。
 明日香の前に初瀬の里へちょっと寄り道。長谷寺へ。
 長谷寺へ向かう路線は、古代の地名が続出してきて、一人盛り上がる。さらにグーグルマップを起動させると、目の前の山が歴史に名を残す山だったり、古墳だったりと、もう古代モードが視覚から全面的に押し寄せてきて、ものすっごくテンションが上がりまくる。えっ!? この駅の裏に古墳群があるの!? あの山が幾多の歌に詠まれた山!? もう脳内は里中真知子や大和和紀、山岸涼子、池田理代子などの絵柄でいっぱいになる。
 叫びだしたい衝動を必死に抑えつつ、メッチャ車窓にくぎ付けになる。

 世間の通勤の波と逆走する空いた車両でよかった。

▲西国三十三観音8番長谷寺。山の斜面に堂宇が立ち、この登廊を4つ上って本堂にたどり着く。比較的段差が小さいので上りやすい



▲西国三十三観音8番長谷寺。本堂の四方につるされている灯篭は夕刻になると火が入れられる



▲長谷門前の商店街。昔ながらのお土産物や飲食店が並ぶ。冬は閑散期。桜やシャクナゲ等の春の時期や紅葉の時期は大勢が訪れるらしい。



▲西国三十三観音番外法起院。長谷寺のすぐ下にたたずむ。


 番外法規院でも御朱印を頂戴する。この寺のある通りは、うだつのある建物が多い。花の時期はここまで混むようだが、シーズンオフのこの時期は札所巡りの数名が足早に通るのみのようだ。面白そうなお店がいくつかあった。

 長谷寺駅から大和八木まで戻って乗り換え、明日香村へ。もうですね、じーさんとばーさんしか電車乗っていないんですよ。みんなリュック背負って歩きやすい靴を履いている。平日だからね、若い方は学校とかお仕事とかよね。
 なお、明日香へ至る車窓でもグーグルマップを見ながら、あ、これ古墳!? あの山は信仰の山!? と一人異様に盛り上がっていた。

 奈良は高校の修学旅行以来(京都・奈良コース)。ちなみに中学の修学旅行も京都・奈良だった。だが、明日香を訪れることはなかった。
 高校の修学旅行ではグループ自由行動があったのだが、明日香はその範疇に含まれず、それでも独断で平城京跡をセレクトした私だったりする。私以外のグループメンバーは全く平城京跡に興味を持たなかったw なお、当時の平城京跡は朱雀門の再現もされておらず、草と礎石のみが点在する正に遺構であり、とてもうら若き女子高校生向けではなかったw(あ、自分が勝手にリーダーになって他の人の希望がないからって勝手に平城京コースにしたんだったりする)

 ということで、明日香に降り立った時点でもう感無量である。

 気ばかり競って、レンタサイクルもバスも無視して、ひたすら歩きだす。もう猪突猛進。800mぐらい歩いてから、ようやく冷静になり、こりゃダメだと思い駅まで戻ってレンタサイクルを借りて再出発する。

 その時に、目に入ってきたのが「国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開」という横断幕。見ると1月24日が最終日。訪れたこの日である。
 実物の天平美女が見られる!? そりゃ行かねば!ということで、一路高松塚古墳資料館へ。平日ということも幸いして、飛び込みで見学が可能となった(しかも無料)。
 高松塚古墳、何年か前に天平美女などの壁画がカビに侵食され、いったん壁画を取り外し、修理を施してきた。今年度はその修理がようやく終わったということ。
 なお、まだ壁画の保存方法が決まっていないため、作業室に置かれた壁画をガラス越し拝見するという。通常はガラス越しですら非公開なのが、平成20年から数日間に限定して作業室が公開されてきた。事前予約制らしいが、平日を中心に空きがあれば当日見学も可能という。
 要は、今年が一番ベストの状態で壁画に(ガラス越しで)お目にかかれるということ。

 1班8名(だったかな)限定で説明を聞いてから修理作業室へ。何も持たされず、カメラ撮影(スマホも)厳禁、渡されたオペラグラスで、ガラスの向こうに横たわる壁画の数々を目の当たりにする。
 壁画は古墳から切り出され、耐震設備が整う修理作業室で何年もかけてカビを除去されてて来た。有名な天平美女はかなり復活していたが、天平美男も実はあり、こちらはかなり浸食が進んでいた。星宿は奥の方に置かれ、少しでも上から見ようと必死に背伸びしてオペラグラスで目を凝らす。四神たる青龍・朱雀・白虎・玄武も息を止めて見入る。カビに侵されて線画すらほとんど見えない部分もあるが、これが古代日本で描かれた壁画実物なんだ。ただただ胸が詰まる。
 そして制限時間の10分が過ぎ、退出。実に素晴らしい体験であった。全く下調べをしていなかった自分がこの場に立ち会えたなんて、本当に奇跡なんだろう。

 

▲ガラス越しでも撮影不可なので、お土産の瓦せんべいで天平美女をw


 高松塚古墳から、明日香にある西国7番岡寺へ。岡寺へ至る道は大変急らしく、レンタサイクル屋のおじちゃんも電動アシスト付きじゃないと無理だよって言っていた。そんな坂を頑張ってレンタサイクルで坂を上って行ったが、あまりの急坂にだんだんと推進力が落ちて、ほぼ停止。次の瞬間、自転車が溝に突っ込む。膝と手をすりむく。
 まぁ、これくらいなら仕方ないなぁと看板に従って、右に曲がると下り道。そしてまたもや坂道となった…。そして別方向から続く道も発見。
 ひょっとして、この道を通ってくれば、先ほどの急坂回避できたのではないか!?(帰路それは事実と確認する)

 まぁ、この手の巡礼には巡礼道というのが昔から定められていて、基本そのルートで歩くのが正式なんだよね…。
 
 さて、じゃぁ、この自転車で上るか!? と思ったら、レンタル自転車組合さんが設置した駐輪場が…。いわく、こっから上はとっても急だから、ここに自転車置いて歩いて行けと…)。えぇぇ! レンタルのおっちゃん、このアシスト付きじゃないと坂上れないよって言っていたじゃないか!? なのに、坂を前に自転車降りろとは…。
 先ほどの転倒ですでに自信喪失状態だったので、速やかに自転車降りましたw そして歩いて岡寺へ。



▲西国三十三観音七番岡寺


 このお寺、厄落としの寺としても知られており、おみくじがあった。納経後そのおみくじを引いたら「大吉」が出た! 初詣で「凶」を引いていただけにこれは幸先が良い!

 この時点で2時過ぎ。とりあえず、石舞台古墳も見たかったので、そちらへハンドルを切る。ほどなく石舞台古墳エリア。さすが有名観光地、道の駅などもあって駐車場も大きい! 自転車の駐輪場を見つけて、そこに入る短い下り道で、思いっきり転倒した。
 右足が痛い。これはかなり酷い捻挫をやっちまったか!? 
 とはいえ、石舞台見ねば…。
 明らかに痛む足を引きずりつつ、中学のころから見たかった石舞台古墳をようやく間近に見ることができた。
 え!? さわっていいの!? えぇ!? 石舞台の下に入れるの!? 妙なテンションで足を引きずりつつ、四方八方から舐めるように石舞台見物。豪族蘇我氏、気前が良いな!
 ※石舞台は蘇我氏の墓所との説アリ

 そして、明日香の駅に戻って自転車返却して終了。
 右足、明らかにイタイ。階段上り下りできず、近鉄の全駅バリアフリー対応に感謝しつつ奈良に戻る。

 近鉄奈良駅からホテルに戻る際、夕飯代わりの柿の葉寿司と固定用の包帯と冷湿布を購入。
 ホテルフロントに翌土曜日に診察してくれる病院がないか、調査依頼をして寝る。

 翌朝、ホテルの前の道をひたすら南に向かって歩く。ホテルが調べてくれた整形外科の病院へ向かうためだ。本来なら10分ほどで着く距離を倍以上の時間をかけて病院にたどり着く。

 昨夜のうちに冷湿布と包帯をぐるぐる巻いてみたが痛みは引かない。
 夜中に何度か目が覚め、痛いよ~痛いよ~って泣いていた。(だったら翌朝歩いて病院に行くなよ…)

 診察室に呼ばれ、レントゲンとCTスキャンを撮られる。医者の見立てとしては、どうやら靱帯損傷らしく、ひょっとしたら骨の方もやられているかもしれないと…。となると手術が必要かもしれないが、自分が東京在住なので、奈良で手術するよりも東京で手術する方がいいよね…と紹介状とレントゲン&CTデータを持たされた。思ったよりも重症であった。隣接する薬局で強い痛み止めと胃薬を処方してもらい、さすがに帰りはタクシーでホテルに戻った。

 寝ても治るわけではないが、明らかに痛みにいろいろ持ってかれて疲労が蓄積していたのでとりあえず体を休める。奈良の友人が、杖を買ってきてくれた。ありがたい。

 そして、夕方、杖を突きつき、奈良公園へ。
 若草山焼きを見るのであった(この旅のメインだよ)。


 花火が終わってホテルに戻る。ロキソニン系すげぇな、2晩目は寝ている最中、痛みほとんどなかったよ。



 そして旅の最終、日曜日。
 まず朝イチは、コンビニATMでお金をおろすこと。直線距離700メートル先のコンビニまで1時間近くかけて往復する。とりあえずシカが暴走してなくてよかった(ならまちはしかが時々暴走するらしい)。それにしてもならまちは趣き深い美しい町だな。

 荷造りをして、ほとんどを宅急便にゆだね、自分は極力軽量化したリュックひとつを背負うのみにする。
 予約してあった新幹線は17時台。本当なら、この日は京都観光をしようと思っていたのだが、足がこのざまではとっても無理! ということで、奈良界隈をうろうろする。


▲国宝・元興寺


▲西国三十三観音9番興福寺南円堂


▲興福寺五重塔と五十二段

 さらに、地ビールなどを飲んで15時ごろにようやく奈良出発。
 奈良から京都まで、結構電車が混んでいて、座席は空きがなく、結局京都までの電車はずっと立ったままとなった。

 京都で弁当を仕入れ、ぷらっとこだまグリーンで東京までゆっくり帰ったのであった。広い席を取っていた良かったよ…。