- 山中問答 李白
- 問余何意棲碧山
余に問ふ 何の意ありて碧山に棲むと君に問うが, なにゆえ青い山の中に住んでいるのか - 笑而不答心自閑
笑ひて答へず 心 自づから閑(しづ)かなり笑って、 笑って答えないが,心は自ずから静かだ - 花流水窅然去
桃花流水 窅然(えうぜん)として去る。 桃の花,流れる水,その奥深くに分け入れば - 別有天地非人間
別に天地の人間(じんかん)にあらざる有り。 俗世とはまた別の天地があるさ
- 【訳】
ある人が、私にこう問うた。あなたは一体、何で好き好んで、深い緑の山のなかに住んでいるのか、と。私は笑って答えない。その心は、いたってのどかである。 -
桃の花びらを浮かべた川の水が、どこまでも遠く流れ去っていく。ここは別天地、俗世間とは全く違うのだ。
【解説】
李白が53歳ごろ、玄宗に長安を追われて10年後、長江の流域を放浪していたころの作ではないかといわれます。山中に隠棲する楽しみを詠んだ詩で、「笑って答えず」の一句とともに、多くの人に親しまれてきました。しかし、かつて玄宗と楊貴妃の前にあって、二人を華やかに詠った『清平調』とは別人の趣きの詩風となっています。
何意は、なんだって好き好んで、碧山は深い緑。桃花流水は、陶淵明の小説『桃花源の記』にある、漁師が谷川に浮かんだ桃の花びらをたどっていくうちに桃源郷に迷い込んだという話を踏まえているとされます。窅然は遠いさま、人間(ジンカン)世の中、俗世間。 - 針外しなんかこんな処にいたらすぐ飽きちゃって、都会に戻っちゃうだろうね。