TPA(地球市民の会)のミャンマープロジェクトの拠点は、ヤンゴンから飛行機で北に1時間余りのヘーホーへ、さらにサスペンションの効かない車に見事に揺られて1時間ほどいった山合いにありました。その名は、タンボジー研修センター。
現在は、乾季と雨季との間、暑期と言われる一年で一番暑い時期です。低地のヤンゴンでは35度にもなりますが、この地は標高が高く夏の避暑地といった快適な気候です。しかし、緑はあまりぱっとしません。草木はけっこう枯れている、つまり冬でもあり、落葉樹もあるのです。なんで、一年で一番暑いのに冬でもあるんだ??? わけわからん・・・
このセンターでのプロジェクトは、循環型農業を展開する実験農場、大学受験資格試験に合格を目指す僻地の貧しい子ども達の学習支援が大きな柱となっています。近くの中都市にゆくと、マーケットには生鮮野菜や魚が豊富にあります。一日1ドルの生活であっても、食糧は自給自足をし、意外と手に入ることができます。「アジアには飢えが少ない」と言われています。 しかし、農業技術は昔のままで、ましてやこの地でも、グローバル経済化の波は農薬の多用の危険性を高め、土地の荒廃が心配されています。


そこで、これまで地元農民が目を向けなかった堆肥づくり、有機農業に取り組んでいます。鶏や豚も飼育しています。その作業をするのは、寄宿の高校生16人。周辺の村から親元を離れて集まり共同生活を送っています。センターには、学校の先生を辞めて子ども達の面倒を見る現地人スタッフや日本人研修生も常勤しています。ねおすにも、学校の先生からスタッフになった人がいますねえ・・・。
農作業をし、高校に通い、受験を目指す若者達のまなざしは真剣そのものでした。大人になったら、「医者になりたい」「地域の農業リーダーになりたい」「教師になりたい」その目標は、とてつもなく明確で、彼等の真剣さ、モチベーションの強さがヒシヒシと伝わりました。


地域の気候風土に合った新しい農法の試行錯誤、鶏も豚も一度に数多く飼うノウハウすらまだない・・、換金作物の多角化、そして、子ども達の学習支援など・・、エコツアーを実践できるほど観光客はいませんが、つまるところ、私から見ると、山村の山村留学。ミャンマーの自然学校と言ってもおかしくない活動なわけです。

現在は、各種助成金によって運営が成り立ち、食糧は自給自足なのですが、将来は近辺に現れて来た外国人向けのホテルなどへ有機生鮮野菜の出荷を行い、自主運営の道を模索しているのです。
この研修センターには毎年、鹿児島大学の学生も単位実習で来ているそうです。
このプロジェクトを指揮するO氏から、あふれるように次から次と熱い「思い」が語られ、それらをたっぷりと知ることができました。こんな強い意志と行動力があるからこそ、続けられるのだなと感心しました。日本のNGOの地道な草の根活動の一端を知ることができたことは、私にとって大収穫でした。
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同行者であるI先生からの教えも強烈だった・・・。
「循環農業を志すのであれば、F1種子を使うのではなく、その地にあった野菜を作り種取りをすべきだ」
「今、東南アジアは、野菜種子のF1育成の地となっている。日本で売られている種子のほとんども日本以外で作られている」
品種改良が続けられたF1からは、次世代に有効なタネが取れない・・。
ということは・・・日本の真の自給率はもっと低いのだ!!!