高木晴光の 『田舎と都市との ・ 日々こうかい記』

「新田舎づくり」を個人ミッションとし、田舎と都市とを行き来する人生・仕事のこうかい(公開・後悔・航海)日記

今、後志に生きる⑥ 協働の概念形成

2012-12-08 20:57:03 | 主義・主張
【連続コラム⑥】◆協働の概念形成

 異なるセクター同士が一緒に仕事をすることを協働と言います。たとえば、異なる分野のNPO同士、市民参加型、行政と民間、大学や企業との産学共同、商工会等とチームを組んで仕事を進めるやり方であり、今、新しいシゴト創造、地域づくりを目指し、様々な分野で異業種、ことなるセクターが協働の試みをしています。

 単独でたこつぼ的に活動をしていても、なかなか実効性があがる社会貢献活動・雇用につながる社会的事業になりにくい程に、社会の仕組みが混在化し複雑になっています。人口が少ない地域では、高齢者ケアをするにも、医療・介護、地域交通、ITや買い物支援、地域との関わりなど同時に解決してゆかなければならない課題が複層的に存在します。農業地域に大農法だけを導入しても、効率化され永住できる人は少なくなります。高齢化の進行で、結局のところ若者は少なくなるでしょう。

 農業と何か他産業、観光や教育、時には福祉とのかけ合わせによって地域を再生する必要があります。これは、「第1次産業の6次化・・1次x2次x3次で6次?」などと言われていますが、産業だけに焦点が当たり「地域での暮らし方」の視点が薄いように思います。都会から持ち込まれた概念に振り回され「売れるか売れないか」だけの損益分岐点を考えた商品開発ではなく、そこに生産コストや時間がかかっても、「暮らしが豊かになる」視点を入れたいものです。

 例えば、山菜の加工品を販売する計画します。ひとシーズンに500個を1000円で販売できたとしても、「50万円しか売り上げが上がらない、これでは人件費にもならない。」と諦めるのではなく、30%の利益で15万円を「良し」とする。しかし、その生産過程で、山菜の持続的な採取のために保全を考える、パッケージデザインに知恵を出し合うことで活力あるコミュニティを生み出す、若いボランティアと高齢者が一緒に採取に行くなど、お金で勘定できない社会福祉的付加価値という概念を明確に取り入れることが大切だと思います。

 協働事業を作る支援のメニューは国、地方自治体、基礎自治体にたくさんあり、また様々な民間補助金制度があります。しかし、これらは待っているだけでは委託や補助がされるわけではありません。知恵を絞って提案書を書いてプレゼンテーションをして採択されなければなりません

 採択のためには、この企画提案書を書く、俯瞰的な大きな視野を持ったプランナー・知恵者はもちろん必要ですが、それだけでは実現に向けて動くことはできません。「出合い」を演出する、異なる人々、団体、行政など関わる主体を上手に繋げる、事業を進める時に現れる様々な困難に対して、あらゆる努力を惜しまず調整を行う、事業開発のプロセスを理解し介入することも良しと役割を果たす「社会的なコーディネーター 」が必要です。
 しかし、その役割を担う人材が非常に少ないのが現状です。

 この役割は、誰か人材をポンと地域外から送り込む、または地域の人材を右から左に役割を変えて与えても簡単にできるものではありません。社会的コーディネイターは誰もがすぐにできることではありません。訓練が必要なのです。この役割を担う人材は育てないといけない・・、という認識がまだまだ一般化されていません。この人材不足の問題を課題化し解決してゆかなければならない。

 つまりは社会的コーディネイターを育成することを併行しながら事業を展開することが、協働プロジェクト推進には必要なのです。
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締め飾り

2012-12-08 16:44:50 | 日記
穏やかで、良い時間が流れています。
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