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『改めて日本語を考える』その22。日本語の慣用句で意味は知ってはいるが、その場所やその物について詳しく知らない物は意外に多い。幾つかを調べてみたので書いてみた。
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まずは『洞ヶ峠を決める』、これは高みの見物をして物事の趨勢が決まってから勝ち組に加わるずるいやり方を意味することが多い。これは本能寺で織田信長が討たれた後、羽柴秀吉と明智光秀が京都・山崎で合戦をするのだが、羽柴・明智の両陣営から加勢を頼まれた筒井順慶は洞ヶ峠でその戦況を見た上で有利な羽柴秀吉に加勢したという故事、日和見の例として良く使われている。
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しかし、筒井順慶は静観を決め、結果、参陣の遅かった順慶を叱責したというのが事実のようである。ところで『洞ヶ峠』であるが、京都府八幡市と大阪府枚方市の境にある峠であり、すぐ東側を国道1号線枚方バイパスが通り、八幡洞ヶ峠という交差点がある。今ではそばにニュータウンも造成され、かつての趣は残されていない。
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次に『天王山』である。これもプロ野球のペナントレースなどでこの一戦で雌雄を喫しかねない場合に使われるのだが、山崎の戦いの際にこの山を制した方が天下を取ることになると『天下分け目の天王山』という言葉が生まれた。
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場所は京都府大山崎町にある小さな山で名神高速の天王山トンネルが有名である。最寄りの駅は阪急京都線西山天王山駅である。初心者向けのハイキングコースにもなっており、旗立松展望台からの景色は圧巻である。
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最後は『関の山』、『1日に一冊本を読むのが関の山だ』など一生懸命やってできる可能な限度のことをいう表現だが、この山はどこにあるのだろうか。
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調べてみるとこれは山、つまりマウンテンを指すのではない。三重県にある関町(現在は亀山市の一部)のお祭りで使われる『山車』のことである。関町の祇園祭に出される山車は大変立派でこれ以上の物は作れないだろうということから『関の山車→山』となったものらしい。
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関町の祇園祭は江戸・文化年間から伝わるお祭りで毎年4基の山車が出て一晩中町内を練り歩く。いつもは7月25日頃に行われるのだが、今年は中止となってしまった。残念。