『日本そばにこだわる』1杯目。毎日、蕎麦屋で昼飯を食べていると今まで気にしていなかった事に気がつく。この企画ではそんなよもやま話を徒然としたためてみたい。今回は『なぜおかめそばはおかめなのか?』がテーマである。
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日本の料理、特に蕎麦屋のメニューのネーミングを改めて考えると不思議なものが多い。例えば『きつねも入ってもいないのにきつねそば』『たぬきも入っていないのにたぬきそば』といった類のことである。まあ、これは油揚げがきつねに色が似ていて、揚げ玉がたぬきの色に似ている、くらいのことであるが。(たぬきそばは関西ではタネも全く違う。)
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ではおかめも入っていないのにおかめそばなのだろうか。ネットで調べればすぐに出てくる。幕末頃に江戸・下谷七軒町(現在の根津あたり)にあった太田庵という蕎麦屋の店主が考案したものと伝わる。
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名前の由来は具の並べ方がおかめの面を連想させることから来ており、遊廓が近くにあった太田庵では大人気メニューとなった。
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具の配置は、まず湯葉を蝶の形に結んで丼の上部におき、眼を表す。鼻はマツタケか結んだ三つ葉、蒲鉾を2枚向かい合わせにならべて膨らんだ頬、椎茸は口と並べていく。まあ、今で言うキャラ弁のような蕎麦であったらしい。
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となれば早速実際のおかめそばを食べに行く。まずは私が事務所の近くの『高松』という蕎麦屋でおかめそば(770円)を頼む。タネは小松菜、椎茸、蒲鉾3枚、麩が入っていて確かにおかめそばのタネに近い。ただ、残念ながら、並べ方からは全くおかめが連想できない。もちろん、滋味深いつゆにタネが良くあっていて味は良かったが。
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続いて行ったのが『東嶋屋』、甘酒横丁にある明治20年創業の老舗である。おかめそばはあんかけそば、力そばと同じ850円である。やってきたおかめそばの具は卵焼き、蒲鉾2.5枚、なると、麩、海苔、椎茸、青みは三つ葉である。蕎麦はやや細め、出汁が甘からずかと言って塩辛くも無いいいバランス、気がつくと出汁を飲み干してしまいました。見た目がおかめににているか?と言われるとかなり離れた気もするが、椎茸と海苔で髪、三つ葉でカンザシ、一つしかないがナルトで目、卵焼きで鼻、蒲鉾で頬というと左斜め下から見ればおかめとも言えなくない。
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もう1軒は浅草の並木藪蕎麦、これは行く時間がないのでHPで確認。こちらの藪のおかめそばは正統派、つまり湯葉を蝶の形に結び目を作り、油揚げで鼻、蒲鉾2枚で膨らんだ頬を表している。
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具は色々だが、やはり、蒲鉾と椎茸は必須、青物を添えてあとは主人のセンスといったところか。食べ比べてみるのもなかなか面白い。