『東京の坂、日本の坂』その126。牛に因んだ坂道の2つ目。赤坂見附駅を降りて青山通りを渋谷方向に歩く。右手には鹿島建設本社や豊川稲荷が見えてくるが、このあたりから右手に道が分かれてゆく。この上り坂が『牛啼き坂』である。
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実はこの道は国道246号の旧道で赤坂〜青山〜三軒茶屋〜厚木〜大山と通じている厚木道(大山道)という古道のスタートなのである。案内板には『路面が悪く、車を引く牛が苦しんだから名付けられた。さいかち坂ともいう』と書かれていた。
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『皀莢(さいかち)』はマメ科の高木で坂の脇に生えていたのであろう。同じ名前の坂道は水道橋から駿河台に登る中央線沿いの坂や品川区旗の台などにもある。
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牛啼き坂の頂上にある女子高まで行ったところで引き返したが、下校時なのか、たくさんの女学生の中をかき分けて赤坂見附駅まで戻る。
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3つ目の坂は『牛坂』(西麻布)である。東京メトロ日比谷線広尾駅で降りて西麻布方向に上がる。そのまままっすぐ行く。ランボルギーニなど外車ディーラーが立ち並び、笄橋(こうがいばし)の次の交差点を左に曲がると次の道を越えたあたりから上り坂になるが、この坂が『牛坂』である。
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かなり先まで見通せ、勾配のきつい坂で霞町教会や幼稚園、高級マンションの間を通っている。
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坂の下な案内板には『源経基や白金長者の伝説がある笄橋に続く古代の交通路、牛車が往来したと想像される』とあるが、今はセレブが犬の散歩に往来する道へと変わっていた。