『東京の坂、日本の坂』その129。京浜急行で品川駅から4駅目の青物横丁駅で下車する。『青物横丁』という名前はインパクトがあるが、1904年の開業時には青物横町という名前だったらしい。
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江戸時代から農民が青物(野菜や果物)を持ち寄って市場を開いたことに由来する名前だが、今はその面影はない。因みに『横丁』のつく駅名は全国唯一である。
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駅を降りると第一京浜(国道15号線)と池上通りの交差点になり、歩道橋を上がる。駅前交差点から池上通りが『仙台坂』である。
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実はこの坂道は新たに広くなった坂道につけられた名前で後で行く『旧仙台坂』は坂の中程に仙台藩伊達陸奥守の下屋敷があり、坂の頂上には仙台味噌の工場があったためつけられた。
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坂を登って行くと右側にエトワール学園があり、その先を右に曲がる。細い道をしばらく行くと左に曲がるクネクネとした坂道になるがこの坂道が『ゆうれい坂』である。
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かつては両側に樹木が茂り、薄暗かったためこの名前となったが、左右にマンションができ、提供公園もあるため、今は明るい坂道である。
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坂を登り切ると広い道とぶつかるが、この左右に伸びる長い坂道が『ゼームス坂』である。ゼームス坂は元は浅間坂と呼ばれた急坂であったが、明治時代にイギリス人J.M.ゼームスが住んでいたことからこの名前がついた。
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ゼームスは幕末に長崎に来たマディソン商会の社員で明治5年に海軍省に入り、測量や航海術を教えた。彼は急勾配のこの坂道を私費を投じて緩やかに改修したもので明治41年に70歳で没するまでこの地に住み続け、周囲の人たちに慕われていた。
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この坂の途中わずかに横道に入った所に以前はゼームス坂病院があり、そこに高村光太郎の妻、智恵子が精神を病み、昭和10年に入院していた。
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その病院跡に『レモン哀歌の碑』が建てられている。私が訪れた際には碑の前にレモンが3個添えられていたのが印象的であった。(以下、次回)