『東京の坂、日本の坂』その125。毎年のことだが、年末近くなると翌年の干支に因んだ坂道、駅、橋、寺社などを巡り、これを年賀状のデザインにしている。来年は『丑』『牛』なので牛が付いた坂道を探しに行く。
最初は文京区春日の『牛坂』周辺を歩いてみる。東京メトロ丸の内線に乗り、後楽園駅で下車。後楽園(庭園)の塀と並行して走る白山通りを歩く。銀杏が黄葉して美しい。
5分ほど歩くと『牛天神下』交差点に至るがこれを右に折れ、さらに次の道を右に曲がると右手に北野神社の登り口が現れる。
そのまま道なりに行くと道は細長いくの字に折れた坂道、勾配がキツくなるがこれが『牛坂』である。
右手には古い煉瓦塀もあり、さらに頂上まで行くと右手に北野神社(牛天神)の駐車場に出る。
途中にある文京区設置の案内板には『北野神社の北側の坂で古くは潮見坂、蛎殻坂、網干坂など海に関連する坂名で呼ばれていた。(中略)牛坂とは牛天神の境内に牛石と呼ばれる大石があり、それが坂名の由来と言われている(牛石は元々坂下にあった)』と書かれている。
さらに『「江戸志」に源頼朝の東国経営の時、小石川の入江に舟を止め、老松に繋いで凪を待つ。その間に菅原道真が牛車にのり、衣冠を正して現れ、不思議なお告げをした。夢から醒めると牛に似た石があった、これが牛石である。』と牛石の由来が書いてあった。確かに北野神社(牛天神)の境内には四角い大石があるが、牛が座る姿に見えなくはない。
この坂を牛が通ったと言った由来ではなく、北野神社(牛天神)の境内にある牛石があったため、つけられた名前である。白山通りから右手を見るとかなり高いところに神社はあるが、中世はこの下は海(入江)になっていたのであろうか。
港区にも牛坂はもう一つ、さらに牛に因んだ坂道もあるのでこちらも回りたい。