お寺のオバサンのひとりごと

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王舎城の悲劇 

2007年04月20日 | 仏教
 浄土真宗本願寺派 山口教区基幹運動推進委員会編「観無量寿経ガイド」探究社 と 鍋島直樹先生の著書「アジャセ王の救い」方丈堂出版 を参考に、昨日の続きです。

 「王舎城」(おうしゃじょう)というのは、釈尊在世の頃、インド北部にあったマガダ国の首都で、現在もラジキール(王の城)という地名で残っているそうです。

 「王舎城」の王子・「阿闍世」(あじゃせ)が、「提婆達多」(だいばだった)という悪友にそそのかされて父・「頻婆娑羅王」(びんばしゃらおう)を牢獄に閉じ込め、殺害しよう(餓死させよう)とした。
 王を気遣って、こっそり食べ物を運んでいた母・「韋提希」(いだいけ)に腹を立てた「阿闍世」は、母を王宮奥深くに閉じ込める。こうして、閉じ込められ、悲しみにやつれはてた韋提希の求めに応じ、釈尊が説かれたのが「観無量寿経」(かんむりょうじゅきょう)・・・・
 
 なぜ阿闍世は、両親にこんな仕打ちをしたのか・・・
 「阿闍世」という名前は、インド語は「未生怨」と訳される。なぜそんな悪い名前なのか・・・
 この事情は中国の高僧・善導大師の「観経疏序分義」に書かれているそうです。

 父・「頻婆娑羅王」に跡継ぎがなく、悩んでいたところ、占い師が「ある仙人が3年後に死んだら、王の子に生まれる」と予言します。それを聞いた王は、3年も待てず、仙人を殺害します。すると妻・「韋提希」が身ごもった。

 父王は、また、占い師にたずねた。占い師は「この子は男の子でやがて王に危害を加える」と言う。不安になった王は、妻・韋提希と相談。「この子の生まれる日を待って、高い楼閣から生み落とし殺してしまおう」とする。
 実際、高いところから産み落とされた赤ん坊は、手の小指を骨折しただけで、命助かった。それが、「阿闍世」。

 「阿闍世」をそそのかした「提婆達多」という人は、何と釈尊の従弟、有名な仏弟子・阿難(あなん)のお兄さんなんですね。
 そんな人がなぜ・・・
 この「提婆達多」は、一旦、釈尊の弟子になったものの、背いて独立。釈尊に対抗意識があり、嫉妬していたようです。そのため、「阿闍世」に近づき、父王を殺して王位につかせ、ついでに釈尊も害して政権を握ろうとしたようです。

 結局、どうなったか・・・
 父・「頻婆娑羅王」は、残念ながら獄死。 釈尊の説法を聞いた「韋提希」はもちろんですが、父の獄死を聞いて初めて、自分の犯した罪に気づき、苦しんでいた「阿闍世」もやがて、釈尊の説法に逢い、救われるのです。
「提婆達多」は、何度も釈尊を殺そうとするが、失敗。生きながら地獄に落ちたとか・・・

 これが、お経の物語・・・・お昼の連続ドラマか、サスペンスドラマになりそうな 欲、嫉妬、恨み のドロドロ人生ドラマです。

 そういう配役・凡夫が救われていく道を説かれたのが「観無量寿経」なのであります。


  
コメント
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