新宿のタカシマヤサザンシアターで井上ひさし脚本の「化粧ニ題」を観た。有森也実と内野聖陽のそれぞれの一人芝居を続けて上演する芝居である。
子供を捨てた母親と捨てられた子供がともに劇団の座長で、本番の前に鏡に向かって化粧をし衣装を整えながら台詞を言う。それぞれに来客があり、母親の客は子供の居場所がわかったから会いに行くのをすすめ、息子の客は客席に母親を連れて来たと言う。
井上ひさしらしく所々に決め台詞を鏤めながら機関銃のようにまくしたてるので、注意深く聞いていても聞き逃した台詞がある。しかしふたりとも表情が達者で、それぞれに複雑な気持ちがよく伝わってくる。見事な舞台であった。