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「イスなし」オフィスが話題 社員立ちっぱなしで大丈夫?

2009-05-31 13:46:25 | Weblog
「イスなし」オフィスが話題 社員立ちっぱなしで大丈夫?  2009年5月20日 J-CAST
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/backnumber/n_office__20090521_3/story/20090520jcast2009241530/
 キヤノンの子会社で工場オフィスを「イスなし」にしていることが波紋を呼んでいる。社員は立ったままパソコンや電話を使うのだという。これに対し、1日中立ちっぱなしではきつすぎるのでは、という声がネット上で相次いでいる。会社側は、「生産性アップのため、自主的に取り組んでいることです」と説明している。

立ったままパソコンや電話を使っている
 「本当に『いす』がなかった、キヤノン電子のオフィス」
 日経ITproサイトに2009年5月19日、こんな見出しの記事が、写真付きで載ると、2ちゃんねるなどネット上では、驚きや批判の声が次々に上がった。
 「えええええええ これは無いわ」「足腰の弱い奴はやってけんな」 記事によると、キヤノン電子の埼玉・秩父工場では、応接室など一部を除き、会議室を含めてオフィスにイスがないというのだ。生産部門ばかりでなく管理部門もそうで、立ったままパソコンや電話を使っているともいう。立った姿勢に合わせるため、机に木製の「下駄」を履かせていた。
 メリットとしては、集中力が高まること、社員同士のコミュニケーションが密になること、共用の書類棚にすぐ行けることなどが紹介されている。その結果、会議時間の半減、問題解決スピードアップなどの効果が表れたという。そして、記事によると、イスをなくした2000年から07年までに同社の経常利益率が9.7ポイント改善した。08年からは金融危機の影響を受けたが、それでも黒字を確保したという。
 日経の記事では、工場内で、警報のような音が鳴る廊下も紹介されている。それは、広い工場で移動時間を節約するため、社員に歩くスピードをつけてもらうためというのだ。センサーが付いており、5メートルの青く塗られた廊下を3.6秒以内に通り抜けられないと、音が鳴って回転灯が光る。廊下には、「急ごう、さもないと会社も地球も滅びてしまう」と白く書かれていた。

「生産性アップのため、自主的に取り組んでいる」
 オフィスで立ちっぱなしの労働環境は、法的には何か問題はないのか。秩父労働基準監督署の第一課長は、「初めて聞きました」と驚きながらも、次のように話す。「労働安全衛生法では、工場などで持続的に立って仕事をする場合には、座ってもよい時間に従業員が利用できるイスを備えないといけないということになっています。デスクワークでもそうです。事例によりますので現場を調べないと何とも言えませんが、法に触れる可能性はあると思います」
 一方、廊下を歩くスピードについては、一定速度以上と定めることを禁じる法的規制はないという。ただ、第一課長は、「速く歩いたために廊下でつまずいてケガをしたという労災事故の事例があれば、その場合は指導の対象になると思います」としている。
 もっとも、ネット上でも、疑問や批判ばかりではない。2ちゃんでは、「立ち作業なんて接客業はみんな一日中立ってるんだから大した問題でも無い」「会議だけは全員立ってやったほうがいい 眠くならないし」といった書き込みもある。10年近くも続けており、立ちっぱなしに慣れたり、休憩時間にどこかで座ったりすれば、それほどきつくない可能性もありそうだ。
 キヤノン電子の秘書室では、「ネット上の騒ぎは存じておりませんし、問い合わせも特に聞いていません。生産性アップのため、自主的に取り組んでいることです」と説明。キヤノンの広報部では、「キヤノン電子に聞いてほしい」としている。



 ん…。この立ちながらパソコンを使ったり電話をしたりする会社の話は、どこかの経済誌に経営者がインタビューを載せていて、そういえばそんな話もあったな…と思いながら、この記事を読んだのですが、確かに会議などでは無駄な議論に時間をかけることなく、時間短縮効果は期待できるものの、お役所が指摘する労働安全衛生法の問題以外にも、妊娠中の女性社員が気分が悪くなったときはどうするのか、といった社員の体調に対する配慮はいささか足りないと思いますし、部分的な修正はやはり必要だと思いますね。
 最初からイス撤廃ありきで、『なんのためにイスを撤廃するのか、そのメリットとデメリットは何か』を深く洗い出さずに、他所がやっているからというだけの理由で追従する会社は、成果主義の運用で大半の会社が上手く行っていないのと同様、確実に社員が不満を持つことになりそうな気がしてなりません。

九州バス協「高速千円拡大しないで」 渋滞禍・利用減

2009-05-31 13:42:45 | Weblog
九州バス協「高速千円拡大しないで」 渋滞禍・利用減 2009年5月27日 
朝日 http://www.asahi.com/business/update/0526/SEB200905260027.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090527-OYT1T00176.htm
 九州バス協会(83事業者)の竹島和幸会長(西日本鉄道社長)が26日、高速道路割引の拡充に反対する要望書を国土交通省に提出したことを明らかにした。高速バス利用者が激減したうえ、渋滞に巻き込まれて所要時間が2倍以上かかる便まで現れ、運行に支障が出ているためという。政権の目玉政策に対し、首相の地元で反旗が翻った。
 政府は3月28日からETC車の土日祝日の利用料金の上限を原則千円にする景気対策を始めた。お盆や年末年始の平日の適用も検討している。
 竹島会長は西鉄の定例会見で黄金週間中の「惨状」を列挙した。5月4日午後は、通常4時間の鹿児島発福岡行きが「8時間かかった」、通常2時間の熊本発福岡行きが「5時間を超えた」と指摘。5月4、5日の福岡発小倉行きは迂回のため「一般道を走った」と述べた。
 同社が運行する高速バス31路線の4月24日~5月6日の総遅延時間は前年より52%増えた。4時間以上かかる長距離路線では87%も増加した。一方、輸送人員、収入はともに約12%減った。
 竹島会長は「不況もあるが、明らかに高速割引の影響だ。客離れにつながる。事業者の努力では限界がある」と危機感をあらわにした。
 要望書は(1)割引の拡大防止(2)渋滞緩和策の検討(3)バス事業全般への支援措置を求め、22日に提出した。日本バス協会(2280社)に同調を求める要望書も出しており、政府に対応を迫る考えだ。
 西日本高速道路(NEXCO)によると、今年4月25日~5月6日に10キロ以上の渋滞が起きた回数は、九州自動車道が前年の3.8倍、山陽自動車道が3.6倍だった。全国は前年の2倍程度。

名古屋高速、土日・祝日3割値下げへ…ETC車対象 2009年5月28日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090528-OYT1T00340.htm
 名古屋高速道路の通行料金について、愛知県と名古屋高速道路公社、名古屋市が、自動料金収受システム(ETC)搭載車を対象に7月下旬から2年間、土日、祝日を3割値下げすることで合意したことが27日、わかった。
 名古屋線は750円から530円、尾北線は350円から250円に引き下げられる見通し。県は、県道路公社が運営する有料道路でも同様に値下げしたい考えだ。
 県は、国が今年度創設した「地域活力基盤創造交付金」を活用する方針で、国に交付対象となるよう要望している。県などの試算では、名古屋高速の値下げには年間34億円の財源が必要だが、交付金を活用すれば、県と名古屋市の負担額はそれぞれ8億円程度で済む。
 同市の河村たかし市長は記者団に対し、「平日も100円値下げすべきだ」との考えを示した。
 一方、県道路公社の12路線のうち、ETCを設置しているのは知多半島道路や南知多道路など6路線。県は未設置の6路線でも値下げに向けた措置を検討する。




 高速道路がどこまで行っても1000円キャンペーンですが、客を奪われるJRやフェリー会社が反発するのならばまだわからなくもないのですが、九州バスという予想もしないところから、料金割引拡大に反対する意見が出てきましたね…。
 まあ、高速バスを利用する方は利用料金の安さを重視することが多いため『割安で移動できるならば、多少の遅れは覚悟しているよ』という方が多いとは思いますが、それでも4時間の予定が8時間、2時間の予定が5時間では、その後の予定が無茶苦茶になり『何が高速バスだ!(怒』とぶち切れるお客さんが続出するでしょうし、お盆はともかく、年末年始は長距離を移動する車の多いことがわかりきっているだけに、『これ以上国のご都合主義に振り回されるのは勘弁してくれ』というのが、正に本音ではないでしょうか…。
 一方、名古屋では名古屋高速道路が国の高速道路割引に合わせる形で、7月から土日・終日の通行料を3割値下げすることを発表。まあ、国に合わせたといえばそれまでなのですが、河村市長は確か住民税の1割減税を公約にしていたはずですし、こんなに大判振る舞いして本当に市の財政は大丈夫なのでしょうか…(汗

 勿論私達庶民にとっては利用料金の値下げは有難いことですが、財源の不足分は企業努力でカバーできないところは、結局は税金という形でカバーせざるをえないでしょうし、一旦その安さに慣れてしまえば、利用者にとってはその安さがいつのまにか当たり前になってしまい、今度料金が元に戻った時に、急激な利用減という反動が起きかねないかと思いますが、どうもこのETC割引政策は目先の景気浮揚効果ばかり考えていて、2年後に元に戻す時のことを本気で考えているのだろうか? と不安がどうしても先立ってしまいます。

市長同席で市議候補に現金 鎌倉、公選法抵触も

2009-05-31 13:38:52 | Weblog
市長同席で市議候補に現金 鎌倉、公選法抵触も 2009年5月30日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090530/crm0905301646019-n1.htm
 4月に行われた神奈川県鎌倉市議選をめぐり、石渡徳一鎌倉市長が告示日の4月19日、市議選の候補者を激励に訪れた際、随行した市長の政治団体の会計責任者が約10人の候補者にそれぞれ現金1万円が入ったのし袋を手渡していたことが30日、分かった。石渡市長や後援会幹部らへの取材で明らかになった。
 今年10月に任期満了を迎える石渡市長は、事実を認め「自分への支持をお願いしたように思われたとしたら残念だ」と話している。
 市長や市議らによると、現金は市長の後援会幹部が会計責任者に預けたもので数日後にすべて回収した。政治家個人と政治家の政治団体が、当該選挙区内で寄付することを禁止する公職選挙法に抵触する可能性がある。
 後援会幹部は現金を渡した理由は「自分と考えの近い候補を応援するつもりだった」としている。



 う~ん。これは公職選挙法に抵触するかどうか以前に、市長の言動として非常に問題があると思います。
 「自分への支持をお願いしたように思われたとしたら残念だ」という発言もいかにも言い訳じみてしか聞こえませんし、同席していたのならば、止めに入らなければならない立場のはずなのに、一体何を考えているのやら…(汗
 一歩間違えば市長のリコール問題にもつながりかねないと思いますが、10月に行なわれる鎌倉市長選では、市民はどのような決断を下すのでしょうか…。
 ちなみに、現市長の石渡徳一氏は2001年の選挙で新人5人同士の選挙戦を制して初当選した後、2005年の選挙では2新人を退けて再選を決めていますが、ひょっとしたら、本来の選挙時期を繰り上げて、出直し選挙というシナリオも現実味を帯びるかもしれませんね…。

リコール署名「誰が集めた」 安土町選管、住民に照会

2009-05-31 13:32:49 | Weblog
リコール署名「誰が集めた」 安土町選管、住民に照会 2009年5月31日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/0530/OSK200905300108.html
 滋賀県安土町選管が、津村孝司町長の解職請求(リコール)に向けて住民団体が提出した署名の効力を確認する作業として、署名した住民に対し、署名を集めにきた人の名前を尋ねる文書を郵送した。住民団体は「活動を抑えるのが目的ではないか」と憤っている。
 文書は29日付で、三つの質問の最初で「署名を集めに来られた方はどなたですか」と聞き、名前を知っている場合は個人名を、知らない場合は性別とおよその年齢を記すよう求めている。ほかに、署名が町長の解職を求めるためのものであると説明を受けたかと、署名簿の表紙や町長解職請求の要旨を見たかを尋ね、6月3日必着で返送するよう求めている。
 署名は、隣接の近江八幡市との合併に反対する「急ぐな合併・守ろう安土みんなの会」が町選管に提出。リコールに必要な有権者の3分の1(3291人)を上回る4209人分が集まった。町選管が有効と判断すれば、町長のリコールの是非を問う住民投票が実施される。
 住民団体によると、文書は署名者に30日から届き始め、相談が相次いでいるという。大林宏代表は「リコールをつぶすためにここまでやるのか、という怒りでいっぱいだ」と話す。
 一方、井上源三郎・町選管委員長によると、ある地域で郵便ポストに署名用紙を入れ、後日回収された例があったとの情報があった。署名集めが、登録された受任者によって手続き通り面談のうえ実施されたかどうかを確認するため、その地域の署名者に問い合わせをしており、「正確な審査をする上で必要なことだ」としている。
 署名の効力の確認では、町は地方自治法に基づいて事情を聴くため、署名者2千人に役場への出頭を求める通知を出す切手代と、出頭した人に支払う日当の計116万円を予算化。通知書は一部がすでに発送されており、受け取った町民から「不安だ」との声も上がっていた。

■公民権行使の自由の侵害
 新藤宗幸・千葉大法経学部教授(行政学)の話 聞いたことがなく、信じがたい話だ。「リコールつぶし」とも受け止められ、住民が政治活動など公民権を行使する自由の侵害にあたるのではないか。署名の効力は通常、署名した人物が本当に住民であるかどうか、選挙人名簿に照らして確認する。筆跡が似ているなど疑わしい署名について本人に事情を聴くのは当然だが、署名を求めた人物が誰か、どういう状況で署名が集められたかなどまで尋ねる必要はない。




 う~ん。これではまるで戦犯探しもいいところですし、いくら合併を推進したいとはいえ、安土町選管の言動はあまりにも大人気なく、しかもそのためにわざわざ予算を計上するなど、それこそ無駄遣い以外の何者でもないと思いますね…(呆れ
 ちなみに、安土町は人口1.2万人の、西は近江八幡市・東は東近江市に囲まれた小さな町ですが、安土町は1955年に清水鼻地区を五個荘町(現東近江市)に編入した経緯もあるだけに、合併論議はともかく、どうして『最初から近江八幡市との合併ありき』なのかな?という素朴な疑問が浮かんでしまいますし、実際かっては能登川町・五個荘町と一緒になって安土市を作るという構想もあっただけに、まだ東近江市(2005年2月11日に八日市市、神崎郡永源寺町・五個荘町、愛知郡愛東町・湖東町の1市4町が新設合併して誕生、2006年1月に蒲生町を編入合併)との合併協議を推し進めようとするのならばともかく、なぜ相手が近江八幡市で町のHPでも必要以上に近江八幡市との合併推進を強調(というよりも強要?)しているのか、どうしても理解できません。
 無理に住民の望まない合併をしたところで、当の住民が不幸になり、賛成派と反対派の対立もより深まるだけでしょうし、『合併特例債が使える合併新法の期限内に合併したい』と気が急くのもわからなくもありませんが、もう少し町民の立場にたった冷静な言動を取って欲しいものだと思います。

新銀行東京、最終赤字105億円 09年3月期

2009-05-31 13:29:07 | Weblog
新銀行東京、最終赤字105億円 09年3月期 2009年5月29日
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090529AT3B2900529052009.html
朝日夕刊 http://www.asahi.com/business/update/0529/TKY200905290145.html
 東京都が設立し経営難に陥っている新銀行東京(東京・新宿)は29日、2009年3月期の最終赤字が105億円(前の期は167億円の最終赤字)だったと発表した。有価証券と劣後債の前倒し償還で30億円以上の利益を計上し、赤字幅を縮小した。本業のもうけを示す実質業務純益は赤字が続いており、再建への道筋は見えてこない。
 不良債権の処理損失は93億円。金融庁の検査に伴う資産査定の厳格化などで前の期に比べて53%増加した。09年3月末時点の不良債権比率は16.7%で、全国の銀行平均(08年9月末で2.5%)を大幅に上回った。
 有価証券償還益などで利益を上乗せすることで、最終赤字は昨年2月にまとめた計画(126億円)より少ない水準となった。


 新銀行東京の2009年3月期の最終赤字ですが、前期の167億円から105億円にまで縮小。当初予定の126億円の赤字よりも赤字規模を縮小させたようです。とはいえ、これで開業以来4年連続の赤字決算。しかも容赦のないリストラを行なえば、赤字が縮小するのはある意味当たり前のことですし、津島隆一代表執行役の「経営再建は着実に図られてきている」(朝日記事)というコメントも白々しくしか聞こえません。
 少し冷静に考えてみれば、現在の新銀行東京は本店のみの1店舗体制(2008年5月よりブランチインブランチ化)で、本店のみに残されたATMの稼働時間も平日9:00から17:00まで。コールセンターもATMの稼動時間と同一時間帯しか開いておらず、とても個人事業主のニーズに応えることが出来るとは思えませんし、この貧弱以前の体制でどうやって黒字に持っていくつもりなのだか…(滝汗
 仮に残務整理をするにしても、撤収にはそれなりの時間と費用がかかりますし、これ以上赤字を蓄積させないためにも、例えば他の金融機関に営業譲渡して、本来の役割のはずだった中小企業の支援は政府系金融機関に引き継ぐなど、決断の時期が来ていると思いますが、石原氏が都知事にふんぞり返っている限りは、中々この新銀行東京の再編・整理問題も進展しないのでしょうね…(溜息

加マグナ連合、オペル救済買収で独政府と合意

2009-05-31 13:22:51 | Weblog
加マグナ連合、オペル救済買収で独政府と合意 2009年05月31日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK847429120090530
 ドイツのシュタインブリュック財務相とグッテンベルク経済技術相は30日、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の独自動車メーカー、オペルの救済に向けたGM、マグナ、米政府との協議が合意に達したことを明らかにした。
 両相は6時間にわたる協議の終了後、記者団に対し、オペル向けつなぎ融資と資産信託化モデルについて合意したと語った。
 メルケル独首相は、ドイツ訪問を翌週に控えたオバマ米大統領が29日、合意成立を支援したことを明らかにした。
 メルケル首相は記者団に「29日に米大統領と話し、この複雑な任務で良い結果をあげるためにすべきあらゆる点で合意できた」としたうえで「この会話が明らかに前夜の交渉に影響を与えた」と述べた。
 マグナの提案は欧州で1万1000人程度の人員削減を想定、ベルギーや英国の工場が閉鎖される可能性もあるが、それでもオペルの従業員は、イタリアの自動車メーカー、フィアットの提案よりマグナの方が良いと考えている。
 ある従業員は「本当に素晴らしい」とコメント。「しかし、どこが人員削減が対象になるかなど今後の展開を見守る必要はある。われわれに何らかの影響があるだろう。しかし、重要なのはまだ生きているということだ」と述べ、主要工場に出勤していった。
 英国を含むドイツ以外の工場がどうなるか、現時点では不明。英国では、組合が雇用維持に熱心でないと政府を批判している。
 マグナの共同最高経営責任者(CEO)のジークフリード・ウォルフ氏は、合意発表後、まだ詳細を詰める必要があるとし「正式な合意締結は5週間後になるのではないか」と述べた。
 ヘッセン州のコッホ首相は、同州とノルトライン・ウェストファーレン州にある工場が合意を批准する必要があり、それが31日までに完了することを希望していると述べた。

<ロシア勢が参加>
 マグナは今回、オペル買収にロシア勢2社と組んで臨んだ。マグナは、オペルを取り込んでロシア市場に参入しようと計画している。
 資金面で協力したロシア国営銀行ズベルバンクは、ロシア自動車業界の再編にもつながるとして合意を歓迎した。ズベルバンクはオペル株式35%を取得することになっている。
 もうひとつのロシア勢、自動車メーカーのGAZも合意を歓迎。GAZにとっては、技術の取得、自社工場の生産能力向上につながる。
 オペル買収には、マグナ、フィアットのほか、投資会社RHJ、中国企業が名乗りを上げた。最終的にマグナとフィアットのいずれか、という状況になったが、フィアットは29日に政府との協議への出席を見送り、買収戦から撤退した。
 GMとマグナの合意は、GMが1929年に買収したオペルの将来を確保するための最初の一歩となる。
 GM欧州の責任者は記者団に「オペル、その従業員、ブランドにとって新たな未来の始まりだと思う」と述べた。ただ、詰めの協議では厳しい局面もあるとの見通しを示した。



 GMの経営破綻がほぼ確実視される中、GM子会社のオペルの売却先が注目されていましたが、結局カナダのマグナ・インターナショナル連合が買収することで基本合意したようですね。
 ちなみに、マグナは日本ではクライスラーの買収に2007年に名乗りを上げたことで一躍有名となったものの、実は自動車部品業界では、ボッシュ・デンソーに次ぐ世界3位の規模を誇るメーカーで、オーストラリアでは自動車製造の請負も行い、生産規模も年間25万台と売り上げ全体の18%を占めているのだとか…。
 とはいえ、マグナの場合、車を生産してきたとはいえ、あくまでも請負で作ってきたに過ぎず、売れる車を開発するノウハウがあるわけでもありませんし、雇用の確保という一面だけを見るとフィアットよりも従業員側に有利だったとはいえ、今後どう売れる車を作り、自動車会社として生き残りを図っていくのか非常に難しい問題を抱えることになるように思います。
 インドのタタのように販売価格の安さを売りにするのか、それとも欧州の方に受け入れられそうな環境規制に優れた車を作るのか、はたまた他の欧州の自動車会社と広範な提携を結ぶのか…。
 今は会社が存続することに精一杯かと思いますが、経営者がどのような経営の舵取りをするのかに注目が集まりそうですね。