給与所得控除、年収1200万~1800万円で上限案 政府税調が見直し3案 2010年11月25日 日経夕刊
2011年度税制改正を議論している政府税制調査会は25日の全体会合で、所得税の見直し案を提示した。サラリーマンの収入の一定割合を必要経費とみなし、課税所得から差し引く給与所得控除について、年間給与収入額をもとに上限を設定する方針。具体的な上限は(1)給与所得者全体の平均給与の約3倍にあたる1200万円(2)資本金規模1億~10億円の企業の平均給与の約3倍にあたる1500万円(3)同10億円以上の平均給与の3倍の1800万円――の3案。
現行の制度は所得が増えるにしたがって控除額が膨らみ、高所得者ほど有利になる仕組み。米独仏などは定額制や上限制を導入している。給与収入額1200万円の控除額は現行230万円、影響する人数は120万人。1800万円の控除額は260万円。
役員給与の給与所得控除の上限については、役員が自らの意思で給与を決めやすいことに配慮し、給与が「高額」な場合はサラリーマンの半分に設定することを提案。高額の定義は資本金10億円以上の株式会社の平均的な役員報酬(1655万円)を参考に検討すべきだと提示した。
給与控除、年収1500万円上限案 政府税調が最終調整 2010年11月26日 朝日
http://www.asahi.com/politics/update/1126/TKY201011250589.html
政府税制調査会は、2011年度税制改正で、会社員を対象にした所得税の給与所得控除について、年収1500万円で控除額に上限を設ける案を軸に最終調整に入った。税制面で優遇されている退職金についても基準を厳しくするなど、高額所得者を中心に広く負担増を求める。
個人が納める所得税は、年収から様々な「控除」を差し引いて計算する。この控除額が小さくなると、税負担は増える。給与所得控除は、会社員の収入の一定割合について仕事上のつき合いなどの「必要経費」とみなし、年収から一定額(最低65万円)を差し引くが、上限はなく、年収に応じて控除額も増える仕組みになっている。
政府税調は、高額所得者にはより多くの税負担を求める「格差是正」に着手。給与所得控除は「高額所得者ほど税制面で優遇されている」として、25日の会合では、年収1200万円、1500万円、1800万円をそれぞれ超えた場合に、控除額を頭打ちとする見直し案を示した。
控除を受けられる年収に上限を設けると、上限を上回る部分の年収については控除の対象外となり、いままでよりも所得税額は増える。会社役員などについてはさらに控除額を小さくする方針だ。
年収1500万円で頭打ちにすると、所得税を納める給与所得者の約1.2%にあたる約50万人が負担増となる。1200万円では約2.9%(約120万人)で、負担増の世帯は多くなり、政府税調内には「年収1500万円が妥当」(幹部)との意見が強い。また、所得税の基準が変わると、同じ仕組みの住民税額も連動して増える。
一方、税務署に確定申告し所得税の還付を受けることができる「特定支出控除」については、控除対象を増やす方向だ。公認会計士や税理士などの資格の取得費や授業料、仕事上必要な本の購入費、新聞代などを対象に追加。給与所得控除の見直しで負担増を求める一方、必要経費が多い人には控除対象を増やして、税負担を軽減する。
厚生労働省は25日の政府税調の会合で、配偶者控除と成年扶養控除の見直しを提案した。いずれも控除を縮小することで、税収入を増やし、子ども手当の積み増し財源にあてたい考えだ。
配偶者控除は、年収が103万円以下の配偶者がいる世帯主について、納税者の所得から原則38万円を差し引くことができる制度。厚労省は具体案は示していないが、政府税調は、年間所得1千万円(年収約1230万円)を超える世帯主には、控除をなくすことを検討している。
23~69歳の扶養親族を対象にした「成年扶養控除」についても、政府税調は「成人したら働くことが基本」との考え方から、見直し方針を示した。現行では、扶養家族1人につき38万円を控除できるが、年間所得400万円(年収約568万円)を超える世帯は対象外とする方向だ。
おもに大学を卒業しても定職に就かない世代を税優遇から外すことを想定。ただ、障害者や要介護者などは世帯主の年収に関係なく控除を継続する。520万人の対象者のうち約140万人が控除を受けられなくなる見通し。
退職金の優遇も見直す。退職金にかかる税金は、勤続年数に応じて増える退職所得控除を差し引いた金額のさらに「半額」が課税対象で、給料よりも税制面で優遇されている。在任期間が短い会社役員は税優遇を縮小する方向だ。
地方税収を増やすため、住民税分について生命保険料控除と地震保険料控除を廃止する。現在、両控除により累計5千万人が平均年5千円程度の減税の恩恵を受けている。
う~ん。給与所得控除や配偶者控除に年収制限の上限を導入することを検討するなど、どうも民主党の税調になってからは、まるで結果を出すことを焦っているかのように次から次へと吃驚する(というより呆れ果てる)プランを打ち出してきますね…(苦笑
ただ、もし本気で給与所得控除に上限を設けるならば、年末調整の対象外となり、自分自身で確定申告を行わなければならない年収2000万円以上の人に絞らなければ、企業の負担が増えて使用者陣営の不要な反発を招くことにもなりかねず、導入できるものも導入できなくなりそうですし、将来的にボーダーラインをいくらの水準まで引き下げていくかはともかく、最初から年収1200万円~1800万円をボーダーラインとするのは、個人的には非常に無理があると考えます。
まあ、この年収1200万円だの、年収1500万円だの、年収1800万円だの それなりに根拠のある数字なんだろうな…とは思いますが、企業にはそれでなくとも年末の忙しい時期に無理を言って協力してもらっているだけに、これ以上負担を押しつけても現場の最前線の反感を買うことにしかなりませんし、100歩譲って仮にこの水準で導入するとしても、納税者背番号制を導入するなど、企業に迷惑をかけない形で所得を把握できる仕組みを作ることの方が優先順位としては先かな…と思いますね。
2011年度税制改正を議論している政府税制調査会は25日の全体会合で、所得税の見直し案を提示した。サラリーマンの収入の一定割合を必要経費とみなし、課税所得から差し引く給与所得控除について、年間給与収入額をもとに上限を設定する方針。具体的な上限は(1)給与所得者全体の平均給与の約3倍にあたる1200万円(2)資本金規模1億~10億円の企業の平均給与の約3倍にあたる1500万円(3)同10億円以上の平均給与の3倍の1800万円――の3案。
現行の制度は所得が増えるにしたがって控除額が膨らみ、高所得者ほど有利になる仕組み。米独仏などは定額制や上限制を導入している。給与収入額1200万円の控除額は現行230万円、影響する人数は120万人。1800万円の控除額は260万円。
役員給与の給与所得控除の上限については、役員が自らの意思で給与を決めやすいことに配慮し、給与が「高額」な場合はサラリーマンの半分に設定することを提案。高額の定義は資本金10億円以上の株式会社の平均的な役員報酬(1655万円)を参考に検討すべきだと提示した。
給与控除、年収1500万円上限案 政府税調が最終調整 2010年11月26日 朝日
http://www.asahi.com/politics/update/1126/TKY201011250589.html
政府税制調査会は、2011年度税制改正で、会社員を対象にした所得税の給与所得控除について、年収1500万円で控除額に上限を設ける案を軸に最終調整に入った。税制面で優遇されている退職金についても基準を厳しくするなど、高額所得者を中心に広く負担増を求める。
個人が納める所得税は、年収から様々な「控除」を差し引いて計算する。この控除額が小さくなると、税負担は増える。給与所得控除は、会社員の収入の一定割合について仕事上のつき合いなどの「必要経費」とみなし、年収から一定額(最低65万円)を差し引くが、上限はなく、年収に応じて控除額も増える仕組みになっている。
政府税調は、高額所得者にはより多くの税負担を求める「格差是正」に着手。給与所得控除は「高額所得者ほど税制面で優遇されている」として、25日の会合では、年収1200万円、1500万円、1800万円をそれぞれ超えた場合に、控除額を頭打ちとする見直し案を示した。
控除を受けられる年収に上限を設けると、上限を上回る部分の年収については控除の対象外となり、いままでよりも所得税額は増える。会社役員などについてはさらに控除額を小さくする方針だ。
年収1500万円で頭打ちにすると、所得税を納める給与所得者の約1.2%にあたる約50万人が負担増となる。1200万円では約2.9%(約120万人)で、負担増の世帯は多くなり、政府税調内には「年収1500万円が妥当」(幹部)との意見が強い。また、所得税の基準が変わると、同じ仕組みの住民税額も連動して増える。
一方、税務署に確定申告し所得税の還付を受けることができる「特定支出控除」については、控除対象を増やす方向だ。公認会計士や税理士などの資格の取得費や授業料、仕事上必要な本の購入費、新聞代などを対象に追加。給与所得控除の見直しで負担増を求める一方、必要経費が多い人には控除対象を増やして、税負担を軽減する。
厚生労働省は25日の政府税調の会合で、配偶者控除と成年扶養控除の見直しを提案した。いずれも控除を縮小することで、税収入を増やし、子ども手当の積み増し財源にあてたい考えだ。
配偶者控除は、年収が103万円以下の配偶者がいる世帯主について、納税者の所得から原則38万円を差し引くことができる制度。厚労省は具体案は示していないが、政府税調は、年間所得1千万円(年収約1230万円)を超える世帯主には、控除をなくすことを検討している。
23~69歳の扶養親族を対象にした「成年扶養控除」についても、政府税調は「成人したら働くことが基本」との考え方から、見直し方針を示した。現行では、扶養家族1人につき38万円を控除できるが、年間所得400万円(年収約568万円)を超える世帯は対象外とする方向だ。
おもに大学を卒業しても定職に就かない世代を税優遇から外すことを想定。ただ、障害者や要介護者などは世帯主の年収に関係なく控除を継続する。520万人の対象者のうち約140万人が控除を受けられなくなる見通し。
退職金の優遇も見直す。退職金にかかる税金は、勤続年数に応じて増える退職所得控除を差し引いた金額のさらに「半額」が課税対象で、給料よりも税制面で優遇されている。在任期間が短い会社役員は税優遇を縮小する方向だ。
地方税収を増やすため、住民税分について生命保険料控除と地震保険料控除を廃止する。現在、両控除により累計5千万人が平均年5千円程度の減税の恩恵を受けている。
う~ん。給与所得控除や配偶者控除に年収制限の上限を導入することを検討するなど、どうも民主党の税調になってからは、まるで結果を出すことを焦っているかのように次から次へと吃驚する(というより呆れ果てる)プランを打ち出してきますね…(苦笑
ただ、もし本気で給与所得控除に上限を設けるならば、年末調整の対象外となり、自分自身で確定申告を行わなければならない年収2000万円以上の人に絞らなければ、企業の負担が増えて使用者陣営の不要な反発を招くことにもなりかねず、導入できるものも導入できなくなりそうですし、将来的にボーダーラインをいくらの水準まで引き下げていくかはともかく、最初から年収1200万円~1800万円をボーダーラインとするのは、個人的には非常に無理があると考えます。
まあ、この年収1200万円だの、年収1500万円だの、年収1800万円だの それなりに根拠のある数字なんだろうな…とは思いますが、企業にはそれでなくとも年末の忙しい時期に無理を言って協力してもらっているだけに、これ以上負担を押しつけても現場の最前線の反感を買うことにしかなりませんし、100歩譲って仮にこの水準で導入するとしても、納税者背番号制を導入するなど、企業に迷惑をかけない形で所得を把握できる仕組みを作ることの方が優先順位としては先かな…と思いますね。